TS転生すればおっぱ……おにゃのこと戯れられるのでは?だからチート勇者、テメェはお呼びじゃねえんだよ!   作:Tena

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三者面談って、やる前は滅茶苦茶緊張するけど実際にその時になったらびっくりするくらいどうでもいい話するよね。僕の初めての高校の面談、先生が「本当に女の子じゃないんですね?」って確認取ってたのが懐かしい。

 

 

 

 

 ──傷付けてしまうことは知っていた。

 

 この世界の人達が何よりも大切に思う、命のようなものだから。

 

 

 

 

 ──何も言い訳にできないと分かっていた。

 

 僕自身が何よりも大切に思う、命のようなものだから。

 

 

 

 

 ──あなた達がどう思うかも理解していた。

 

 ずっと一緒にいたから。家族だから。愛しているから。信じているから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ──知っていた。

 ──分かっていた。

 ──理解していた。

 

 

 

 

 ──つもりだった(・・・・・・)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ごめん」

 

 そう言って立ち去ったあなたは、きっと誰よりも傷付けられたはずだ。

 

 

 

 

 すぐに彼女を追いかけた彼は、気付きさえしていない裏切りを受けている。

 

 

 

 

 静かに立ち尽くした君は。

 

 空を見上げ、いつしかいなくなっていた君は。

 

 もう一度、月が綺麗だと、だからすべて上手くいくと、笑ってくれるのだろうか。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

「あーやばい、むり、吐きそう。吐いていい?」

「儂に聞くな、儂に。吐くならせめて川にしろ」

「いや家の主以外誰に許可を取れと」

「儂を家主と思うなら、そもそも人の家で吐こうとするな?」

 

 酷いことをおっしゃる。

 

 アルマには何でも相談しろと言われ、母様にはちゃんと聞くからと背中を押してもらい、父様には特に何も言われず。

 転生後の家族である彼らに前世からの云々を伝えることにした僕は、場所として神樹の聖域を選んだ。

 あ、でもこないだリビングで本読んでたら、飲み物を取りに来た父様に「相談したいことがあったらいつでも言ってね」みたいなこと言われたな。本に集中してたから忘れてた。僕ってそんな悩んでるの分かりやすいんだろうか。

 

 ちなみに、聖域を選んだというか、選ばされた。

 こないだここでお昼寝をした日、「家族にぶっちゃけるわ(意訳)」とルーナに伝えたところ、起きてから、ここで伝えるようにと言われた。

 まあ、転生云々の話とか、実際にルーナがいたほうが話しやすいしな。そうなると、なし崩し的にヘリオがおっさんじゃなくてメスガk……おにゃのこであることも伝える必要がある。

 まあ、まとめて伝えてしまいましょうということで。受け取る側が情報量にパンクしてしまわないかだけが心配である。

 

 いや、他にも心配事はある。

 

 受け入れてもらえるかどうか、嫌われてしまわないかどうか。

 人に背中を押してもらったところで、怖いものは怖い。

 一歩目を進む勇気をもらえたというだけで……いや、むしろバンジージャンプを自分のタイミングでなく人に押されて始めると考えるとこっちのほうが怖い。

 バンジージャンプ、パリピの遊びだからやったことはないが、もし押し出すような奴がいたら僕はブチ切れる自信がある。

 

 そんな不安で、胃がシューマッハ。

 爆速で回転する洗濯機のごとく中身がごった返しになっている。うえぇ。

 

「おぅい! 見よ、人の子、宿主! この純白の机! 椅子!」

「「うわ、きも……」」

「アァン!?」

 

 その辺の雑草の上に座って長々と話を聞いてもらうわけにもいかないので、簡易な机と椅子を用意することにした。

 土人形を作る手順の劣化版で適当に土固めればいいかと思っていたのだが、どうもルーナはインテリアに一定の(こだわ)りがあるらしく、作成を彼女に任せることにした。

 曰く、天上にいた頃は自分で色々試作していたとかなんとか。父様と話が合うのかもしれない。

 

 そして出来上がったというブツだが、まあ、さり気なく華やかな意匠を備えつつ、全体的にシンプルなデザインに収まっていて普通に凄いのだが、問題はその色だ。

 

「えぇ……ほぼほぼマジの白じゃないですか……」

「純白なんじゃから、当たり前じゃろう」

「本物の白色なんて現実に存在しないって名言知らないんですか……? あんまり魔力の無駄遣いしないでくださいよ」

 

 土人形を作る場合、おおよその色素は周囲の物から用意する。

 某レン君もそれで見た目をエルフらしく整えていたのだが(なので内蔵などは実装されていなかった)、白に限ってはめったに自然界に存在しない。

 花とかで白色のものもあるが、それは純粋な白ではない。

 

 じゃあどうするかと問われればマリー・アントワネット(なければ作ればいい)論法を導入するのだが、純白に見えるものを一番脳筋的に作るには、対象の表面に圧力をかけて密度を上げ、屈折率マシマシにすることが求められる。

 細かい話は置いといて、この作業が馬鹿みたいに難しい。いや、強い力さえあればどうとでもなるのかもしれないが、密度がバグったそれを素材にしてインテリアを作っているのが頭おかしい。装飾とかやってる余裕ないだろ。

 要するに、ルーナは馬鹿。これだけ理解してくれればいい。

 

 そんでもって、それなりに魔力を使う作業であるはずなので、できればもっと簡単に作ってほしかったのだが。

 

「別に、今はお主の魔力が足らんということもないのだから良かろう?」

「それで駆り出されるのは儂なんだが、それについてはどう思うのですか神よ」

「細かいことを言うでない宿主。そんなんじゃと、想い人に気付いてもらえんぞ?」

「お、想っ……違わい!! 違くないが!!」

 

 半目で睨むヘリオをルーナがからかい、顔を真っ赤にしてヘリオがキレる。

 いやあ、いい痴話喧嘩だ。美少女の戯れは、内側にいるのもいいがこうして外から眺めることにも価値がある。

 あー、赤面してるヘリオ犯したいなぁ。ちっぱい虐めてえなぁ。ケツ穴ほじくりてぇ。

 

「あ、そうだ。ルーナ、流石に服着てくださいよ」

「……それもそうか、久しぶりの擬態じゃなぁ。我、女神ムーブと素、どっちでいけばええかの?」

「知りませんよ……」

 

 っっっぶねええええ……。あまりにもルーナ(土人形)が全裸でいることが当たり前過ぎて、裸のまま六者面談させるところだった。

 

 ルーナは、ヘリオに憑依しているときも、土人形に憑依しているときも服を着ない。

 ヘリオは下着をつけない(持っていない)が、服は普通に着る。……先代ご主人様が着衣セックス趣味だったんだろうなぁ(遠い目)

 そんなわけで、ヘリオの肉体で服を着ていないと違和感を覚えられるのだが、ルーナ(土人形)の肉体が服を着ていないのは脳内で常識になってしまっていた。これが日常が侵食されるって感覚か。やべえな。

 

「服を作るから、魔力をくれ」

「はいはい。ヘリオ、経由お願いできる?」

「……お前さまの頼みなら」

 

 土人形に服を実装するためと、先ほどの家具分の魔力を補給するため、僕の魔力をヘリオを介して土人形(ルーナ)に与える。

 どうして僕が直接渡せないのかとかそういう話は、またいつかさせてもろて。

 

「……んあ、来たみたいじゃな」

 

 そう言って、この中で一番魔力の感知に長けたルーナが隠し道の方に視線をやった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ええと、アンブレラ、その子達は?」

 

 母様、父様、アルマ。3人の反応はそれぞれ異なった。

 

 まず父様は、奏巫(そうふ)一族ではあっても奏巫ではないから、百年以上の時間を経て久しぶりに訪れた聖域を懐かしみながら感激し、次にルーナの作った家具に気が付いて、ルーナとヘリオのことはそっちのけでそれ(机と椅子)に飛びついた。

 よほどその構造に気を惹かれたらしい。HENTAIだなあ、気持ち悪いなあと思っていると、自分の作ったものを褒められたルーナが気を良くして父様に解説を始めた。最初は仕切りに頷いていた父様だが、その製法の脳筋具合に気付いてから段々と引きつった笑みを浮かべ始めた。

 技術者だもんね。融点の高い物質を融かすために混ぜる物質のことは興味が湧いても、馬鹿みたいな高温を使っただけって言われたら笑っちゃうよね。

 

 次に、アルマは聖域に訪れること自体が初めてだ。物珍しげに周囲を見渡し、知らない人がいることに、どこか緊張したような面持ちでいる。

 

 最後に母様が、一番聖域に訪れる機会が多かったからこそ、見慣れぬ人達の存在に困惑したように僕に問いかけた。誰とも知らぬ人がいるから、仮名を使ってくれている。

 

 母様が聖域を訪れたのは、母様がお七夜を経てから僕がお七夜を経るまでの100数年ほどの期間だ。奏巫の役割として、その年に数え年6歳になる子どもたちをひとりひとり引率する。今は僕がやっている役目である。

 また、いわゆる豊穣の祭りみたいなイベントで、収穫期に収穫物を献上することなどもある。

 しかしそこで母様が交流を持ったのは、あくまであの野趣あふれたおじさんの泥人形である。その正体が褐色貧乳美少女であることは知らないし、ましてや僕の隣に二人の美少女がいる理由は皆目検討もつかないだろう。

 

 さて、彼女らをどう紹介するべきか。

 

「ええと、こちらの黒くてちっちゃいのが神様A、白くて()ってるのが神様Bです」

「「──阿呆(あほう)」」

「あいたっ!?」

 

 二人に同時に頭を叩かれた。痛い。

 アルマ、構えないで。今武器持ってないでしょ。

 

「……失礼。中々信じられないかもしれませんが、こちらの褐色の女性が命名神の本体、もう一人の方が、この世界そのものを管理する神々の一柱です」

 

 まあ、厳密には違うが、最初の紹介としてはこんなものでいいだろう。

 

「失礼って、いや本当に失礼じゃよなこいつ」

「まあ、儂は特に拘らないが」

「嘘つけ。小さいと言われて落ち込んだじゃろう」

「……身長の話だ、身長の! そ、そうだよなお前さま?」

 

 まーたイチャイチャしてら、こいつら。

 痴話喧嘩は他の人がいないところでやってもらえませんかね?

 あと小さいって言ったのは身長の話ですよ。他に何があるっていうんですか。僕が、ヘリオのちっちゃくてむしろ太ってる男の人の方があるんじゃないかってくらい悲しいほど薄っぺらな貧乳を通り越して虚乳の如きナイアガラの滝について揶揄するわけないじゃないですかやーいこのド貧乳。

 

「僕はちっちゃいのも好きですよ」

「身長の話だよなァ!?」

 

 置いていかれたように呆けている母様とアルマ。そして、家具に未練が残るようにチラチラと視線を遣る父様。こら、欠片を採取しようとするのはやめなさい。

 内輪ノリが過ぎた。反省して、サクサク話を進めていかなければ本題にも入れない。

 すると、どうしようか迷うように頬を掻きながら、ヘリオが「人形(デューカ)」、と呟いた。

 聖域の土が形を変え、ヘリオが人と接するとき用のおっさんの土人形が生成される。

 

「こちらの身体なら、キバタン*1もサルビアも見覚えあるだろう。キバタンは流石に忘れているかもしれんがな」

 

 父様が目をパチクリとさせる。

 

「……いえ、覚えております。しかし、どこで仮名を?」

「お前らの娘、次代奏巫女から聞いた。真名で呼んでもよいのだが……一応、息子と娘の前だろうからな。お前らが娘や息子を真名で呼ぶ分には、まあこの神(ルーナ)秘匿が意味を成さない(真名を聴くことができてしまう)から、問題ない」

 

 久しぶりにヘリオが真面目に喋っている姿を見た気がする。珍しい。

 貧乳ネタで弄られたあとで、よくこんな厳格な口調で喋ってられんな。恥ずかしくないんですかね。

 ある程度納得がいったように口元に手を当てた父様は、次にルーナの方を見た。

 

「しかし、この世界そのものを管理する神、というのは」

「まあ信じがたいよなぁ。簡単に言えば、上位者じゃ。神というにはあまりに恣意的で、悪魔と言うにはあまりにお主らに無関心な存在。神という言葉が、一番わかり易いじゃろうて」

「え、そうなんですか?」

「ややこしくなるからお主は静かにしとれ」

 

 怒られた。

 

「その上位者同士のいざこざで、我はそなたらの言う命名神(ヘリオ)の身体に堕とされた。力もおおよそ封じられたし、我が神と呼んで差し支えない存在であると証明するのは難しいな」

 

 力あってこその上位者、ということだろう。

 

「まあ、たとえばこの机と椅子は我が先ほど適当に作った。当代の巫女なら、これが元々あったものではないと分かるじゃろう?そして人の子の父、お主ならこれらが生半可な技術では作れないと分かるじゃろう?」

 

 母様はコクリと頷く。

 段々と、シリアスな空気になってきたようだ。胃がキリキリと痛み始める。

 

「他に……そうじゃな、堕天する前はこの世界をお主らの知覚の外から覗いておったから、お主らの秘密も結構知っておるぞ。あ、勇者。お主は幼児の頃しか知らんから、秘密もクソも見とらん。糞は見たか。お漏らしし過ぎじゃ」

 

 何気に酷い。お漏らしくらい誰だって……誰だって……ぼ、僕は、そんなに、しなかったかな。まさか、お七夜を越えたあとになってまで他人の前でお漏らしする転生者なんておらんやろ。おらんかった。イイネ?

 アルマが「いやっ違っ」とかなんとか言い訳している横で、ルーナは父様に指でこっち来いとジェスチャーする。アルマ、ええんやで。それでええんや。それが、人って生き物なんや。

 

「例えばそうじゃな、人の子の父、こっち来い」

 

 そう言って、ルーナは父様の耳元でボソボソと何事か言った。すげえ悪い顔してる。

 

「あああああああああああぁぁぁぁぁぁあああぁぁぁぁぁぁああああん!!」

「「「「!?」」」」

 

 父様が、かつてない程に恥ずかしそうに顔を抑え天を仰いだ。

 毎日のように僕の可愛いところを吹聴して歩くとかいう、存在そのものが恥晒しな父様がここまで……?

 一体何を言ったんだと訝しんでいると、今度はルーナは母様を呼び寄せた。父様の時以上に悪い顔してる。

 

「まあ、お主は言うまでもないよな。巫女のくせして、盛り過ぎじゃ」

「!!」

 

 なんだ。何話しているんだ。

 

「いや、娘とセックスするのは構わないんじゃよ? 儂の口出すことじゃないし」

「……はい…………はい」

 

 母様が顔真っ赤にしてプルプル震えだした。可愛いんだが、ルーナのあの指の動き、輪っか作って、人差し指抜き差しするあれって……。

 

「じゃけどさ、普通地鎮祭のあとに、路地裏で娘とする? なんじゃっけ、『ごめん、火照りが……止まらないんだ。レインの指で鎮めて?』じゃっけ? 地鎮祭より先に自分の頭鎮めたほうがいいと思うんじゃが」

「……いや、あの…………はい、本当に、それはもう、仰るとおりで……」

 

 あかん、何言ってるか大体予想がついてしまった。

 下唇を噛み締め、涙目になって恥ずかしそうに震える母様は……って泣いてんじゃん!

 

「いやぁしかし、どの時も羨ましくなるくらい気持ちよさそうに喘いでおったのう。あ、乱暴にシて欲しいなら、言ったほうがいいと思うんじゃが。人の子はそういうところでは辺に優しいからな、あちらからお主を壊s──」

「この馬鹿神(ばかみ)!! なに母様泣かせてるんですか!!」

 

 ルーナを引っ張って叱る。言っていいことと悪いことがわかんないんだろうか、この馬鹿神は。

 他人のセックス事情に口を出すなんて、どんな上位存在にも許されっこない行いではないか。

 

「……いや、我、わりと常識的なことを言っていたと思うんじゃが……。しかしお主は恥じらいとかなさそうじゃな。当代巫女の腹に置いてきたか」

「ありますから!?」

 

 失礼な、と憤慨していると、後ろから肩を掴まれた。

 ……え、母様?

 

「……ぐすっ、……レイン、私はいま世界神の大事な言葉を聞いているところだから、少し待ってね

「うぇっ!?」

 

 ルーナ、キミ、母様に何を言ったんだ……?

 

 母様は涙を拭いながらも、真剣な眼差しでルーナの言葉の続きを聞こうとしている。ルーナが若干引いたかのように、引きつった笑みを浮かべる。

 未だにもんどりをうってビーバーのように絶叫する父様。

 「違うんだ、姉さ……レイン、違うんだ」などと、誰に向かってかもわからない言い訳を重ねるアルマ。

 

 なんだ、この地獄。

 

「……儂、そろそろ残り時間が半刻なんじゃが」

 

 ヘリオが遠い目をしてため息をつく。

 そうだね、話進めないとね……。

 

*1
父様の仮名




ルーナ「支配願望はかなり持っとるんじゃよ。じゃがお主を大事にし過ぎるきらいがあるから、お主の方からお願いするくらいじゃないとしてくれんじゃろう」
母様「なるほど…勉強になります、世界神!」
存在そのものが恥晒し「ア゛ア゛ア゛ア゛!!(絶叫するビーバー並感)」
アルマ「チガウンダオレハオネショナンテ…レイン聞イテクレ…」

レイン「たすけて」
ヘリオ「」

**連絡欄**
今日もシリアルが美味しいですね。自分はフルグラをよく食べます。
誤字報告ありがとうございました。
あと、感想眺め返してはニヤニヤさせてもらってます。
おかげさまでお気に入りが4桁に入りました。
これからも末永くよろしくお願いします(意訳:はやく完結してくれ)

そんなわけで支援絵です。自給自足のできるオタクの鑑。
成長して髪が伸びましたね。
レイン14歳(別タブで開かれます)


最後に。色々とありますしありましたが、今週もどうか、笑顔とエロスを忘れずに。

レインが転生等々について打ち明けた際の母様の反応

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