TS転生すればおっぱ……おにゃのこと戯れられるのでは?だからチート勇者、テメェはお呼びじゃねえんだよ!   作:Tena

50 / 181
簡単のために1年は365日、1日は24時間とする。
(物理理論の導入とかでよくあるやつ)


出会いはご縁、別れはぴえん。ましてやぱおん、感じるはご恩。ひとまずごろん、母様とぼかん。ちなみに母姦、いやそれはアカン!!

「発狂したい……」

 

 そこそこ爽やかな風の吹くそこそこ良い天気の下で、現実の非情さのあまり、そのような言葉が漏れた。

 社の大樹の頂上。ひとりで黄昏れたいときはよくここを訪れたという母様を真似て、僕もひとりで村を眺めていた。社を抜ければ聖域に繋がっているから、結果、僕の自室にもかなり近いということであり、行き来が楽で良い。

 

 村と呼ぶにはかなり広く、この高さからでも一望するとまではいかないエルフの里。そもそも、他の大樹が邪魔で人々の生活の様子は全然見えない。まあその分、下からこっちも見えないということなので、一人になりたい時には持ってこいなのだが。

 

 結論から言おう。

 「レイン」として生きていくべく、この美男美女(エルフ)の里をしばらく離れなければいけないらしい。

 つらい。ぴえん。ぴえん超えてぱおん。

 

 

 

 


 

 

 

 

 僕とルーナの間には、一つの共通認識があった。

 それは……いつ訪れるとも知れぬ、この体の使用期限。つまり、真名を偽ることで、肉体から「ニイロ」の魔力が乖離するのはいつか、ということ。

 

 「ニイロ」の名は前世で与えられたものだ。生涯を終えるまでの17年半ほど付き合ってきた。

 真名が乖離するのは、転生後の精神として過ごす期間がこの時間を越えた時、あるいは、やや曖昧だが「経験」が前世の分を越えた時だろう、というのが僕らの想定だ。

 日本における生活は頭おかしいんじゃないかってくらい濃密なものだったから、実際の使用期限は18年以上あるかもしれない。そもそも午睡(シエスタ)を導入している時点でエルフの生活様式はまったりしたものですね。経済はほとんど停滞しているだろうし、そのくせ何百年と生きるんだから、僕くらいのんびりした人じゃないとここに転生しても飽きてしまう気がする。いやでも可愛いおにゃのことイチャついてたら100年とか一瞬じゃない? エルフに毒されてきてますかね……?

 

 閑話休題(話を戻そう)

 

 現在14歳。数え年での話だから、生きてきた時間で考えれば13年ほど。そうなると、使用期限は残り5年程度というわけだ。

 期限になった瞬間体から全魔力が抜けていくというわけではなく、母さん(ウクスアッカ)の最期の様子のように、体から段々と魔力が抜けていくのだろう。だから、プツリと意識が途絶えるわけではないだろうが、一度魔力の乖離が始まれば、そこからはロクに活動もままならないまま下り坂を進むことになるだろう。

 ……真名の乖離が始まった後に「ニイロ」を名乗ったら止まったりするんだろうか? そんな都合よくないか。名乗るというより、自分をそうである(・・・・・)と認識することが大事なのだろうし。もし「レイン」を諦めるのなら、そのときは早めに決断しなければいけない。

 

 この14年間、ひとりで真名の問題に向き合う方法を考えてきた。ルーナが来てからは魔法の扱いを彼女から学び、前世では未知だったものへの理解を深めたし、文字を覚えて以来ずっと「書庫」などの文献を漁っている。もっとも、そうした資料は驚くほど、あるいは意図的に消されたかのように少なかったのだが。

 前世では友達が少なかったから、読書や勉強といったものはよく馴染んだものであった。その点の苦労は少なく、むしろ学ぶ喜びというものを知っている分意欲的に取り組んだのだが……結果は芳しくなかった。

 

 実際、大学に進学して研究生活でもしたらこんなんだったのかな、と想像するくらいには時間を費やしたと思う。アルマとの戦闘術の力量差も、才能もあるだろうがきっと使えた時間が関係している。

 えっちして、鍛錬して、魔力拡張して、巫女の仕事して、えっちして、資料調査して、えっちして、夕食食べて、資料調査して、えっちして、ってくらい時間使ったもんなぁ。ルーナが来た6歳の頃から今までマジでこんな感じの生活をずっとしてた気がする。そりゃこの世界に飽きる暇もありませんわ。

 

 それだけ資料を漁ってもダメだったのだ。何も分からなかった。ってか魔法って何? なんも分からん。ぱおん。そんな感じ。

 

 だから、どうにか周りの力を借りようとジタバタした結果が今だ。他人頼みなんて恐ろしいこと前世ではロクにやってこなかったし、その方法もてんで分からなかったから随分と遠回りしたようであるけれど。

 なんとか、家族みんな、そして神様二人に頼ることができた。ルーナは越えられないラインを定めているみたいだから頼りすぎることはできないけれど、他の4人はきっと可能な限りのことをしてくれる。ありがとうございます。

 

 僕としては、父様が一番何か言いそうだと思っていた。一番「書庫」の文献を読んでいるだろうから。

 一方、ヘリオから案が出されるとは思っていなかった。だって、彼女は今までずっと僕が真名を偽ったことを知っていて、その上で「ニイロ」を使うように、としか言ってこなかったから。

 どうしてこのタイミングで言い出したのかは定かでない。基本聖域に引きこもってるから、何か新しいことを見聞きするわけでもなさそうだし。

 

 

 

 

 オクタ・デュオタヴウォーサ・オヴダナマ。

 直訳、というかそれっぽい日本語訳、「ひとつの真名」。とある研究機関(?)の名である。

 

 研究機関というか、魔法学校というか、学園都市というか。ヘリオが提示したのは、この世界で唯一魔力を研究している場所へ行くことだった。父様もその名は知っているらしく、曰くある程度外の世界のことを知っている人なら知っているとのこと。母様は知らなかった。箱入り世間知らずお嬢様可愛い。好き。心のぱおんがそそり立つ。

 魔法学校と言えば音割れの人、学園都市と言えばそげぶの人。彼らを中心に陰謀渦巻く場所なイメージしかないし、そうでなくとも森の外へ出たら何年も母様に会えなくなる。僕が旅立ちを嫌がったのは実に論理的な理由だと思う。

 

 きっとエルフの里の中で僕の問題は解決できる…………という、その幻想をぶち殺された。

 少なくとも、(ルーナを除いて)その場に僕の相談の直接的な解決策を知っている人はいなかった。足の生えたウィキペディアである父様もどうすればいいかは分からないと答え、その上で、ヘリオの案に乗って魔法学校を頼った方がいいと言われた。

 

 というのもその魔法学校は、災厄によって文明が栄え滅びシヴィライゼーションしている中、その地理的な特性から災厄が初めて生まれたときくらい昔から存在し続けているらしいのだ。

 エルフがいるように他種族も多くいるが、基本的にこの世界の地図は、人間側と災厄側に分けることができる。それらの境になるところは冒険ファンタジーみたいな環境をしているのだろうし、なんなら今は勇者がいないから、人間側の前線はかなり後退させられているだろう。

 しかし、いくらファンタジーと言っても、天動説よろしくお盆みたいな世界地図をしているわけではない。つまり、人間側と災厄側の境界線は左右で2本描くことができる。

 

 この一方の境界線に存在しているのが────エルフの森なのだ。

 

 マジか。中立とは聞いたけど物理的にも間に立っているのか。そんな気分である。

 そして魔法学校は、人間側の領土のうち、かなり森に近いところに位置している。つまり、災厄側からは一番攻められにくい場所だ。また同時に、エルフの住む森から割と行きやすいということでもある。や↑ったぜ(勝利宣言) ……いや、母様と離れなきゃいけないんだったらむしろ敗北では?

 

 前回エルフの森に手を出したという災厄は、この芋ってる集団含め、裏取りによって人間を破壊し尽くしたかったのだろう。そしてブチ切れて人間と結託したエルフに負けた。雑魚、ざぁこ。ざぁーこ。……あい調子乗りましたすいません。

 その反省を踏まえてなのかは知らないが、(人間から見て)勇者もいないというのに、今回はエルフの里が狙われてはいない。むしろ勇者本人がいるから狙ったほうが正解なんですけどね。行き先がわからないって意味でも「転移」はチートである。

 

 

 

 

 さて。結局、魔法学校とやらに知恵を借りに行かねば、どうにもこうにもいかないということだけが判明した。誰も意地悪で言っているわけではないだろうから、数年とはいえ母様と離れなければいけない事実に絶望の表情を浮かべつつ、僕も受諾したのである。

 

 次に問題になったのが、僕の立場だ。

 次代巫女。外に出た拍子にぽっくり逝ったら、かなり沢山の人が困る。そうでなくても、森から外へ出るのは何があるか分からないから、変化を嫌うこの里では渋られる。

 

 そもそも真名を偽っているということ自体バレたら問題だから、魔法学校に行く理由作りにも一苦労である。

 が、そこはお仕事モードの母様が流石だった。一悶着あったが、母様のキリッとした表情以外大して面白みのない話だったので割愛する。というかそれ以外見てなかった。まあどうにか長老会を説得し、承認させたのである。

 条件は、従者……もとい護衛、あるいは世話係か? それを二人付けること。まぁこれは納得だ。流石に御子一人で冒険というわけにはいかなかった。僕は対人能力が高い方でないと自覚しているから、助けてくれる人がいるのはありがたい。

 ちなみに、護衛という目的だと、エルフの里にいる人で僕より強いのは先生かアルマぐらいだろうから、むしろ世話係という方向で人選をお願いしたい。

 

 4年。

 これが、ヘリオ達との間で取り決めたひとつめの期限である。

 

 ひとつめというのは、真名の問題に対する策は、なにも完全解決する一手だけではないからだ。

 たとえば、延命。

 エルフの本来の強みはその長寿にある。父様が150年以上知識を蓄え続けているように、長期間真名について魔法学校で調べる、あるいは研究することができれば、何か見つかる期待値も高くなる。

 僕は今回これを封じられている。エルフにとっての5年なんてのは、人間からすれば1年、あるいはそれよりも短い。だから、この期間ですべてを解決するというより、まず何か手がかりを見つける。そのための期限が、4年。

 

 そこまで経ったら、一旦ここに帰ってくる。

 何も見つかっていなかったら、もう腹を括る。「ニイロ」として生きていくことを選ぶか、「レイン」として死ぬことを選ぶか。その判断は、将来の自分に委ねよう。

 もしも解決していたらそのまま元通りの生活をすればいいし、延命の手段が見つかっていたら、その延びた期間によってはもう一回魔法学校に戻ればいい。

 

 ……僕、この戦いが終わったら母様を孕ませるんだ。

 あ、魔法学校でついでに、おにゃのこ同士で子供作る方法調べてこよっと。

 




**連絡欄**
これにて告白編は終了です。
全然書き溜め溜まってませんが明日からしばらく連日更新します。
期限は作者の両手が燃え尽きたときです。ぴえん。
説明が足りないところを補いながら日常編としてしばらくやらせてもろて。

あと、魔力に関して設定のどうしようもないガバを発見してしまったかもしれません。ほんとにガバだったら上手いこと修正しておきます。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。