TS転生すればおっぱ……おにゃのこと戯れられるのでは?だからチート勇者、テメェはお呼びじゃねえんだよ!   作:Tena

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お、お前ら! 身長で人を馬鹿にしたらアレだぞ! 身長が低くて何が悪い。ほんとそういうとこ、アレだぞ。…ええと、うん、と、とにかく…アレだからな!!

「ああ、そういえばこの間はありがとうね」

「?」

 

 肉屋さんで買い物をしていると、会計をしてくれたお姉さんから急にお礼を言われた。

 お姉さんと言っても見た目の話で、実際は200歳手前だが。

 

「うちの子の怪我、治してくれたんでしょう?」

「あぁ、たまたま通りがかったものでしたから。その後はどうですか?」

「お陰様で今日も元気に遊びに行ってるよ。でも、怪我をして帰ってくることは減ったみたいだから懲りてるんだろうね」

「それは良かったです」

 

 先日、街歩き中に足を怪我した子を見かけたから、ぺぺっと癒しの魔法で治したのだ。

 愛すべきショタがはにかんでお礼を言う姿は素晴らしい。断じてショタコンではないが、思わず僕もニッコリした。

 確か3年前にお七夜を迎えた子だ。毎年聖域までの引率は僕がしているから、子どもたちの顔と名前はよく覚えている。その時よりも成長した姿を見ると、長寿の種族とはいえ、子供の成長はやはりあっという間だなぁという感想が出てくる。

 

 細胞から魔力で補強されているエルフ、あるいは魔法的存在と呼べる生き物たちは、免疫が衰えることがない。風邪や細菌由来の病気、また脳梗塞などには強いが、一方擦り傷や捻挫といった外傷は普通にする。

 お医者さんの仕事を奪うつもりもないので、怪我をした人物をわざわざ探すことはない。しかし折角魔力が余っていて癒しの魔法というものが使えるのだし、目の前で怪我をしている人がいれば普通に治す。

 まあ、溺れた人がいたら心臓マッサージなり人工呼吸なりするでしょう。それと同じだ。できることをするだけ。あと合法的にショタやロリに話しかけることができる。幼い命は尊いものです……。

 

 その後、二、三言交わし、ペコリとお辞儀をして店を出た。

 品物を確認すると若干量が多い。よく見れば、包みが一つ増えていた。……鶏肉の揚げ物をオマケしてくれたらしい。アルマは今日も先生の家に行っているんだろうし、差し入れしてくるかぁ……。

 

 

 

 


 

 

 

 

 先生の家で30分ほどゆっくりさせてもらってから、奥さんに土産を持たされて帰宅した。おかしいな……差し入れするはずが、来たときより荷物が増えている……。

 ちなみに、生肉を買っていたのであまり外をほっつくわけにもいかないのだが、今日に限り、この肉はこれからすぐ使うので問題ない。一応、肉の入った袋の中で風を起こして熱がこもらないようにはした。こういう結構細かい魔法ができるようになったのは、ひとえにルーナとヘリオの指導のおかげだろう。

 

「よし、じゃあ作ってみようか、料理長」

「はい。まずは生地からですね」

「御子様、踏み台は大丈夫ですか?」

「い、要りませんが!?」

 

 母様、アイリスと並んでキッチンに立つ。

 僕が成人するまで、アイリスは専属乳母という名のハウスキーパー的な役割を担っている。そのため食事も彼女に作ってもらうことが多いが、今日は3人で共同作業だ。

 

 身長が足りているか心配されたが、もう僕だって一応150センチはあるのだ。そりゃ昔は何をするにも背伸びしている姿を見て笑われたが、ここまでくればもう敵はいない。……エルフの平均身長が高いから、まだやや不便だけど。

 というか、身長の伸びに陰が見え始めた。成長期なのに母様とえっちばっかして、寝る時間が遅かったのがいけなかったのだろう。160センチは行くと思うが……そこからが怪しい。チビ仲間のキバナちゃんは流石親友と言いたくなるが、彼女はむしろ、これから成長期を迎えようとしているらしく……。

 

 い、嫌だ。前世でも170センチに届かなくて、その点でも男らしさが足りずにモテなかったんだ。むしろ身長があれば石油王並みにモテてたはず。この孔明の目に狂いはない。

 ネットか何かで、170センチない奴はそもそも男として見れないという意見を目にしたときは膝から崩れ落ちた。男子の平均身長171センチとかだからな!? 喧嘩売ってんのか!!

 

「アイリス。手を出してもらえますか?」

「手、ですか?」

 

 アイリスは大きい。胸だけの話じゃない。いや胸もデカイけど。なんだそのデカメロンは、ボッカチオするぞってくらいデカイけど。

 顔も女子校で貴公子やってそうなタイプだし、専属乳母として引きこもってなかったら女の子たちから人気が出そうだ。そのくせ実は病弱というのも、ギャップ萌えがあって良いと思います。

 

「……ん゛っっ」

「嘘だ……」

 

 身長が大きい人は、大概手足も大きい。差し出してもらった右手に鏡合わせにするように僕の左手を重ねると、アイリスの指の第二関節を少し越すかというところまでしか届かなかった。

 何やらわたわた慌てるアイリスの傍ら、僕は膝から崩れ落ちる。

 

「料理をしましょう……」

 

 辛いことからは目を背けよう。

 人生、長いのだ。辛いことは忘れよう。身長なんて無かった。宇宙を前にすればたかだか数十センチの違い何になるんだ。身長が大きければ偉いのか。ふざけるな。身長が大きくったって……あれだ、あれだぞ、……とにかく、アレだから。

 低身長は希少価値。ロリコンもそう言ってる。嫌な付加価値だな。

 

 さて、前置きが長くなったが、今回3人で料理をしているのにはわけがある。

 というのも、今日作るのは僕の前世での知識に基づいた料理なのだ。前世のことを知らないアイリスには、「書庫」から見つかったレシピということで通している。

 それじゃあ、始めさせてもろて。

 

「まずは薄力粉と強力粉、塩ですね」

「はーい」

「入れました」

 

 書き起こしたレシピを見ながら僕が指示を出し、それぞれボウルに突っ込んでいく。

 次は温めておいた熱湯を少し注ぎ、やけどしないように道具を使って混ぜ、ある程度混ざったら手でこねくり回す。

 ……母様の胸触ってるときみたいな気分だな。それより少し力がいるけど。

 

 チラリと母様を見ると、バッチリ目が合った。

 ……自分の胸を触られているときのことを思ったのか、僕の胸を触っているときのことを思ったのか、母様のみが知る。身長は小さいままだけれど、胸は母様のせい(おかげ?)で同年代の子よりは大きく育っています。でもキバナちゃんの方が僕より若干大きいんだよね。エルフって身長とおっぱいが逆比例するんですかね……?

 アイリスや乳母様(フェリシアさん)のことを考えれば、そうではないと分かるけど。

 

 さて、弾力が強くなってきたところで、一旦寝かせ、そのあとに小さく分けてからそれぞれ薄く伸ばす。

 待っている間はもう一つの作業を進めます。

 

 買ってきたひき肉。あとはキャベツ、ニラ、ネギ。どれも地球で言うそれらに似てる野菜ってだけだが、まあ実質同じやろ。四捨五入すれば一緒。でもキャベツとレタスと白菜は四捨五入したら全部同じ扱いになると思う。初めて料理した頃は、あいつらの違いが本当に分からなかった。

 ここまで材料を明かせば、何を作っているか分かるだろう。餃子、ちゃおずぅである。さよなら天さんのちゃおずぅである。ちゃおずぅ……。どうして死んじゃったんだよ……。

 

 正直、やる作業はめちゃくちゃ単純だ。

 それぞれ野菜をみじん切りにし、調味料と上手いこと混ぜつつ肉も野菜も一緒にする。あとは用意した皮で包んで形をそれっぽくすれば、ちゃおずぅの人体錬成が完了する。

 ……意外と餃子の形作るの難しいな。完成形を僕しか知らないから、僕が手本を作らないといけないんだけど。

 

「アイリス、お上手ですね」

「いつも料理しているから、でしょうか? やはり慣れと手際は関係しますよ」

 

 アイリスが美しい餃子を量産していく……。

 母様と僕は四苦八苦しながらなんとかそれらしきものを作り上げた。

 

 あとは焼いて、完成。はい美味そう。焼色もこんがりいい感じ。もう見てるだけで美味い。肉汁が視覚に溢れてくる。なんなら魔力纏ってるまである。

 今日は焼き餃子で優勝していくわよ……。

 

 にんにくを効かせすぎたのか、その晩母様とキスをした時に餃子の味がして、お互いに笑ってしまった。

 でも、にんにくの入ってない餃子は論外だと思います。

 




レインはアイリスが吐血したり鼻血を出したりしている場面を多く見ているので病弱だと思っていますが、別にそんなことないです、むしろ血が余ってるくらいです。

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