TS転生すればおっぱ……おにゃのこと戯れられるのでは?だからチート勇者、テメェはお呼びじゃねえんだよ!   作:Tena

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おにゃのこが履くぱんつってなんて呼べばいいんですかね。パンティーは何か変態感あるし、おぱんつとかぱんつは呼ぶと笑われるんですよね。そもそも、おにゃのこにパンツの話題振っちゃだめか…

「……で、どうすればいいですかね?」

「儂に聞くな、儂に」

「お主も苦労しておるのう……」

 

 真剣な表情で相談する僕に、ヘリオが呆れた顔で答え、ルーナは半分も聞いて無さそうな様子で適当な相槌を打つ。

 割とかなり問題な話だと思うんだけど、貧乳ロリババアと虚乳エセ女神からすれば他人事らしい。

 この人達に聞いたのが失敗だっただろうか。

 

 ……いや、しかし。今回ばかりはこの二人しか頼れない。

 第三回家族会議なんかを開くわけにはいかない。なぜなら、結果によっては今度こそ家族がバラバラになってしまうかもしれないからだ。

 

「どうしてこんなことに……」

「こやつ、やはり阿呆(あほう)じゃな」

 

 ままならない世の中である。

 おら! 世の中、お前がママになるんだよ!

 

 

 

 


 

 

 

 

 ぱんつが減った。

 

 もう一度言おう。ぱんつの総数が減った。

 ……いや、前々からおかしいなとは思っていたのだ。母様から時々おぱんつ様を拝借しているというのに、棚のぱんつの枚数が変わらないもんだから。

 増えることこそあれど、さほど使い古したものもないのに減るとはおかしな話である。

 

「ふむ……」

 

 さて、果たしてこれをどう考えるべきか。

 その1、誰かがこっそり盗んだ。しかし、むやみやたらと他人を疑うのは良くない。アイサ姉妹♂の自宅を初めて訪問した時も、散々レイプされるレイプされると怯えていたが、実際は普通に暖かく迎えられた。「人らしく」生きる上で、他人を信じることの大切さは母様からも学んだ。ならば、誰も僕のぱんつを盗んでいないと仮定した上で考えていくべきだ。

 その2、なんか魔法がむにゃむにゃして消えた。訳分からんな。やっぱ誰か盗んだでしょこれ。

 

「よし、絶対犯人じゃない人に相談しよう」

 

 まさか性欲の欠片もないエルフから性犯罪者が生まれるとは思えないが、変態さんな母様、精通したアルマ、なぜかそこそこ感度が良く自由自在に我が家に忍び込めるキバナちゃんと、容疑者は意外といる。

 母様の場合は別に言ってくれればいくらでもあげるんですけどね。てか別の人もどうしてもっていうならあげるんですけどね。突き詰めればただの布だし。

 

 ……さて。では、誰ならば絶対に犯人じゃないと言えるか?

 

 絶対に一箇所を動かず、僕の部屋に訪れることが叶わない。また、そもそも下着というものに頓着しない人物──つまり、ヘリオとルーナである。

 そうして、場面は冒頭に戻る。

 

「そもそも、何の目的で盗んだかが分からないんですよね」

「そりゃあアレじゃろ、使うんじゃろ」

「……何に?」

「ナニに」

 

 まじか。やめてほしい。流石にそれは他人を疑い過ぎではないだろうか。

 いや、まあ、性欲ってしょうがないものだし仮にそうしてても別にいいんだけど。

 ただ自分をネタにされるのってなんとなく忌避感ある。

 

「心当たりもあるじゃろ?」

「……」

 

 無言で目を逸らす。

 あの、ほら、でもアルマはまだ僕の手でしかイけないみたいだし、いやそれもどうかと思うけど、母様だって自慰するくらいなら僕とするだろうし、キバナちゃんはそもそもお風呂で体を一緒にこすると気持ちいいってことしか知らないし、……ね?

 誰も、疑わしくないよ?(遠い目)

 

「宿主は、人の子の下着を貰えるとしたら貰うか?」

「……は? ま、まあ、貰えるなら貰うが……あっ、違!」

 

 ルーナがヘリオに唐突に話を振る。

 ヘリオは脊髄反射のようにほとんど何も考えた様子無く受け答えた。

 お前マジかよ(ドン引き)

 

「……あの、ヘリオ、何に使うの?」

「いや、ほら、何かと無いよりは有ったほうが良いものだろう? 貰えるものは貰う主義というわけで、別にやましい気持ちは」

「えぇ……。じゃ、じゃあ、いる?」

 

 なんかよく分からんがヘリオもテンパってるし僕もテンパってる。

 ルーナが堪えるようにクフフッと笑うかたわら、百面相をした後に、ヘリオは「貰おう」と尊大に頷いた。「(パンツを)貰おう」でよくそんな尊大さ出せるな逆にすげえよ。

 

「はい」

 

 ワンピースだったので、しゅるしゅるっと今履いているものを脱いで、そのまま手渡す。

 ヘリオは困っている。僕も困っている。ルーナはとうとう爆笑している。多分一番悪いのはコイツ。

 

「どうすれば……?」

 

 知らんがな(本音)

 履くか、食べるか、脇に置いておくかじゃないですかね。いやもうこっちも混乱してますね。人の脱いだパンツを貰った時の扱い方とかどんなマナー講座でも教えてくれねえよ。摘むように持つのは失礼にあたるので、両手で掬うように受け取りましょうってか。やかましいわ。

 

 ヘリオは一度祠に戻って、パンツを持たずに帰ってきた。置いてきたのだろう。

 その何とも言えない神妙な表情に、ルーナは遂に笑いすぎて腹を攣ってしまったようである。泥人形のくせに。もはや笑い声を出せていない。

 

「……ええと、話を戻そうか」

「……ああ」

 

 脱いだパンツを貰う。たったそれだけの行為で、かくも混沌とした状況を生み出した。やっぱヘリオすげえよ。普通こんなんできねえよ。最近君の評価が爆上がりだわ。

 

「流石に、直接『僕のパンツ盗みました?』って聞いてハイって答える人はいないと思うんだよ。だから、他に盗人を見つける方法があるといいんだけど」

「古典的な手法なら、やはり餌を撒くことではないか?」

「餌って……僕のパンツ?」

 

 というかどれが誰のパンツかって分からんやろ。

 

「……もしかすると、犯人は無差別にパンツを盗んでいるのかもしれない」

「それは普通に危険人物だな」

 

 僕一人の問題かと思っていたけれど、案外、里に紛れ込んだ危険人物に繋がる大事件なのかもしれない。

 そこで、ルーナが名案を思いついたとばかりに声を上げた。

 

「人の子よ、お主の下着が減ったとき、それは洋服棚から抜き取られたものじゃったか?」

「……いえ、違いますね。棚の並びは変わってないと思います」

「なるほど。ならば話は早い、しばらくお主が下着を付けなければよい。そうすれば、仮にお主一人を狙って下着を盗むものがいるのなら、じきにボロを出すじゃろう」

 

 そう、なのか?

 いやでも、確かに……?

 

「……分かりました、やってみます。ついでに、ヘリオの餌の案もやってみる」

 

 故郷に心配事を残したままでは、ロクに旅にも出れやしない。

 ここはひとつ、名探偵レインをやらせてもらおうか。

 


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