TS転生すればおっぱ……おにゃのこと戯れられるのでは?だからチート勇者、テメェはお呼びじゃねえんだよ! 作:Tena
ノーパン生活を始めてから、二週間程が経過した。
正直、生活する上でパンツの有無って、慣れれば特段違和感がない。
強いて挙げるなら、このスタイルの良いところは母様の欲情スイッチが入りやすくなることだ。隣で日常生活を送っている人がノーパンというのは、ノーパン側以上に相手に効果があるらしい。
鍛錬や部屋着など、結構短パンを好んで履くのだが、腹の方から手を差し込めば直に
が、まあそんなことをわざわざ報告しても、ヘリオがしょんぼりしてルーナは呆れる画が想像できたのでやめておく。
「じゃあ、とりあえず二週間経過して、周囲に起きた変化を挙げていきます」
正直、ノーパンになったことで誰かがクロと判明するような情報はないのだが、脳筋代表として、拾った情報を頭脳派に全部投げておこう。
「村的に結構大きな変化としてあったのは、嗜好品の売れ行きが良くなってるらしいです。砂糖菓子の店員さんが嬉しそうに話していました」
「ふむ」
この話題については楽しむことに決めたらしいルーナが相槌を打つ。先ほど魔力拡張の術式を施してもらい、気絶からおはようしたところである。気絶している時間は10分程度まで減ったし、実感はないが負担に慣れてきているのかもしれない。
ヘリオはこの話題にはさほど興味が無さそうだが、実は彼女の力を結構当てにしている。先日頭の回転の速さが判明したことだし、なにより下着泥棒なんていう変態的な話題は、謎の被調教歴を持つ彼女こそ向いているだろう。
まあでも、嗜好品の売れ行きとパンツは関係ないだろう。むしろあったら怖い。僕のパンツの有無で活性化される経済とかやめてほしい。
「身の回りの人物についてですが、母様がちょっと性欲ビーストになって、父様は相変わらず死にそうになりながら働いていますね。最近はアイサ姉妹の公演が少ないだとか、設計がうまくいかないとかでより死にそうらしいです」
「当代……」
父様は流石に不憫だったので飲み物を持っていってやったりと労っておいた。まあ自分から仕事増やすような人だし、結構自業自得なんだけど。それでも頑張ってることには変わりないからね。
「巫女ってなんじゃろうな。神職の一種かと思っとったんじゃがな。崇めてる神が変態じゃからしょうがないのか?」
「神よ、開戦の合図と受け取ってよろしいか?」
「ちょ、ばっ、待っ! ……土人形を壊したところで、お主の体の主導権が我に移るだけじゃからな!?」
「はいはい。イチャつかないでください」
あとはまぁアルマが何か悩み事がありそうなのだが、彼については後ほど別口で語るべきだろう。
「あ、他にはアイリスがなんか最近ゲッソリしてますね」
「いや犯人ソイツじゃろ」
「いやぁ、まさか」
あのアイリスだぞ? 品行方正、虚弱体質、僕の三歩後ろを歩くような大和撫子が下着を盗むわけ無いだろう。
「ルーナは人柄をあんまり知らないでしょうから、仕方がないかもしれませんけどね」
たとえば、アルマは絶対にその力を弱い者いじめに使うようなことはしないだろうし、父様は建造物を何よりも大事に扱うだろう。そういう、人柄から推察できることは馬鹿にならない。
逆に言えば、そういったことが起きたのなら、相手に何かやむにやまれぬ事情があったのだと推察することすらできるだろう。
「……で、アルマが多分クロです」
「そうきたか」
「逆にそういうのもありじゃなぁ」
僕としてはカミングアウトをしたつもりであったが、どこか投げやりな様子で神様二柱が返事した。
聞いて聞いてという顔をしていたら、しばらくしてルーナがめんどくさそうな顔をしながら問いかけてくれた。
「……して、その心は?」
ありがとうございます。
僕は自信たっぷりに答える。
「餌を撒いたら綺麗に釣られてくれました。現行犯です」
ヘリオの案に従って、パンツを餌として釣りをしたのだ。
具体的に言うと、魔力の線で薄く薄くゼロワン並みに薄くパンツと僕を繋ぎ、廊下に落としてそれぞれの人物の反応を見たのだ。
アイリスを始めとして、うちに来ることのある人物はみんな僕に落ちていたよと届けてくれた。父様や母様もだ。
が、アルマだけ部屋に持ち帰った。もうこれは完全にクロだろう。それから一週間は経っているが、渡しに来る気配もないし。
「ううむ……まぁ、なるほど。確かに勇者かもしれんな」
「年頃の
「でも、持ち去ったのは確かですから」
というかぶっちゃけ彼であってほしい。
一番怖いのが、僕にも誰にも気付かれず、第三者の手によってこっそり穿き終えたパンツを盗まれているということ。身内とか思春期とかそういう理由なら全然構わない。でも、どこの誰とも知らない輩に下着を狙われていて、一切気付けていないというのは流石に寒気がする。
「もう、いくらでも持っていって構わないんで直接言ってほしいですね……」
「追い詰められているのだな……」
「じゃから、衣服など一切纏わぬのがFAじゃよ」
「えふえー?」
そう言うルーナは今日もマッパである。なんかもうこうも堂々と裸でいられると、欲情もちょっとしかしない。やはり母様のような恥じらいが大切である。
FA、ファイナルアンサーという言葉を聞き慣れぬヘリオは首を傾げている。ルーナは地球の文化とかどんくらい知ってるんだろう。
「そういえば、この間あげた僕のぱんつってどうしました? 捨てたなら捨てたでいいんですけど」
「被りながら寝ておるぞ。良いアイマスクじゃ」
「何やってんですかマジで返してください」
「嫌じゃ! 一度貰ったのじゃから我のものじゃ!」
「ヘリオにあげたんですけどね!?」
地球の文化以前に、一体どこで常識という最も大切な文化を忘れてしまったのだろう、この
某熱帯雨林とかで「常識」が格安セールされてたりしないかな。ギフトとして届けてやりたい人が大勢いる。果たして自分が常識を備えているかどうかはムフフな秘密である。多分備えてない。
「いいか、人の子。常識などというのはだな、『人』らしく生きる上では大して役に立たないものじゃ。そりゃあ一度は知るのもよかろう。枠を知らなければ、枠を破ることは叶わないのじゃからな。論理だって同じじゃ。いくらでも自己矛盾を抱えてしまえ。その意志に従えてさえいれば、一番大事なものを見失うことはなかろうよ」
「その結果、全裸で生活して他人のパンツをアイマスクにする人になんてなりたくないですよッ」
なんかいい感じにまとめようとする癖はもう知っている。
というか、半分本気で、半分茶化すつもりで言っているというのがこの馬鹿神の厄介なところだ。彼女がこれまでの間に考えたことを言っているのだから、それなりの含蓄があるに違いないのだが、その目的が相手をからかうことなのである。
これ、信じたらやべぇ道に進まされるやつだよな。やっぱ邪神じゃねぇか。
「……はぁ、とりあえず、アルマが容疑者って方向でいいですか?」
「それも少し疑わしいがな」
「我はお主の意思を尊重するぞぉ」
クカカ、とルーナは愉しむような笑みを浮かべている。この邪神、お巫山戯モード入るとマジで適当になるな。とりあえず面白いことになると良いって顔だ。
「じゃあ、もう直接聞いてみます。しらばっくれるようであれば、ぱんつの場所は分かってますし、それを暴いて問い詰めましょう」
もう早く解決してくれ。
素直に自白してくれたら、それだけ僕のぱんつに価値を見出してくれてるというわけだし、ご褒美に3枚くらい追加であげるから。何に使うのかほんとに分かんないけど。
あれか、巫女のぱんつを7枚集めたらドラゴンを召喚できる的な伝承でもあるんか。