TS転生すればおっぱ……おにゃのこと戯れられるのでは?だからチート勇者、テメェはお呼びじゃねえんだよ! 作:Tena
かえるさん:待機中…… ねずみさん:たいき にわとりさん:10億光年待った しらすさん:わこつ するめさん:↑光年は距離定期 さめさん:果たして創魔は大人しくしているのだろうか たかさん:良質な百合が収穫できると聞いて とびうおさん:待機 えりんぎさん:創魔被害者の会会員のえりんぎです やぎさん:前回までのあらすじ:レイン転生諸々打ち明け→色々拗れて鬱展開に すずめさん:待機… とかげさん:あらすじまとめ助かる。なんだかんだ、下界もどこも他人同士が関わり合うと結局めんどくさいもんだよなぁ だにさん:美少女の血を吸いたい ちんぱんじぃさん:舞ってる らくださん:創魔このまま野垂れ死んでくれんかなぁ…あんま放っとくと帰ってきそう せみさん:そろそろかな? | ||
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「ぁぃ、上位者どもカミカミ〜。元気にしてた? 私はねー、さっきまで寝てて、今も眠いー」
「皆様、ごきげんよう。……ところで、その挨拶は何を噛んでいらっしゃるんですか?」
「なんだろー……。あ、コメント欄にするめさんいるじゃん。するめ食べたい」
噛みしめるものと言えば、スルメか悔しさである。どちらかと言えばスルメを噛んでいたい。
何分言い方は悪いが無職なもので、配信以外では、シーリーンは惰眠を貪っていることが多かった。眠い時はとりあえず沢山寝て、寝るのに飽きたら配信する。
テルースのように管理している世界を持っているわけでもないから、本物の暇人である。いやはや、寿命というものからやや外れた存在になって一番必要なのが娯楽とは、単純でいて馬鹿らしい現実である。
「前回は結構重い展開になってそのまま終わっちゃったからねー。レインと勇者がガチンコ勝負もしてたんだけど、それはメン限で公開するね。今回は、レインと巫女が何やら話してるみたいだから、そこから見ていこう」
『一体どうやって、舌先三寸で語られる愛を信じろと。──父様への愛を、塗り替えた癖に』
『うん。だからいま、キミを愛している』
「いやぁ……下界の生き物は無茶苦茶だね」
「そうでしょうか?」
「下界に限った話じゃなかった……」
「はい??」
こあらさん:母親メンタル強いなぁ…こんな恐ろしい返し思いつかへんよ普通
ぞうさん:シーリーンが煽りカスになってて草
あめぇばさん:無性生殖派としては恋愛はよう分からんなぁ
きりんさん:愛の保証が欲しいなら、さっさと統合しちゃえばいいのに
くわがたさん:寝取ったのお前やないかーい
くじらさん:愛情の捻くれ具合はテルースも酷いからなぁ…
うしさん:はい?(威圧)が普通に怖い
わにさん:いやしかし重苦しい雰囲気が続くな…つらい…
はたしてレインと巫女の応酬が和解で収まるのか分からず、むしろ擦り切れきったレインの言葉からは、あらゆるものを拒絶するような意思を感じる。
あんまり辛い回ばかりだと撮れ高がなぁ……と配信主らしいことを考えるシーリーンだったが、観察している内にあることに気付いた。
「……あ、この二人が話してる場所、ルーナが寝泊まりしてる場所に繋がってるんだね。この樹の社が入り口か……これ、下界の生き物が作ったんだったら凄いね。テルース、君の世界、あやうく新しい上位者生み出しかけてるよ」
「勇者と魔王。単純なこの図式が、一握りの怪物を生み出しているのです」
上位者と下位者の違いは様々だが、ひとつにまとめて言ってしまえば、魔法というものへの造詣の深さで分けられる。そもそも魔法に対する認識が違っており、それは単なる知識の差というわけでもない。
その上で、レイン達が「聖域」と呼ぶ場所とそこへ繋がる経路は、下位者の中でも並大抵の者では作ることがかなわないような魔法が施されている。
ルーナを堕天させるための器たりうる存在としてヘリオトロープがいたように、テルースの言う通り、圧倒的な個が争い合う環境を用意することで、そこから上位者にすら手の届きうる存在が生み出されるのかもしれない。
「怪物と言えば、レインと勇者、あの子達も化けそうだよね」
うさぎさん:まぁレインたそはほぼ創魔の弟子みたいなもんだしな…創魔がもう一匹増える…?(白目)
かえるさん:勇者はそこまでじゃない?そりゃ真名の秘匿性も十分だからあの世界の中だけなら無双できるかもしれないけど、転移だってほぼ本能みたいなもんでやってるっぽいし、操魔技術はからっきしでしょ
ぺんぎんさん:どうする?あんまり力つけられて困るなら処しとく?
みみずくさん:※リア凸は禁止です
「んー、まあ、ルーナがもう一人ってなるくらいなら、その前に私が何とかしておくよ」
「ルーナとニイロさんは全然違いますわよ?」
「そうなの? ルーナスキーのテルースに言われると信じるべきな気がしてきた……」
「ルーナはよほど腹黒ですもの。それでいてお馬鹿なのがお可愛いのですけれど、ニイロさんは根本からお馬鹿さんです」
「腹黒が言うと説得力ある」
「はい??」
腹黒と言うか、サイコパスか。
腹黒が自分のことをろくでなしと自覚しながら常識人を演じるとしたら、サイコパスはその自覚がない。
「あ、それでね、どうもこのお社がある樹の範囲はルーナ側からも知覚出来てるっぽいんだよね。レインと巫女の会話が終わったら、二人の会話を盗み聞きしてるルーナの様子も見に行ってみよう」
盗み聞きをしている人を盗み見る。なんともおかしな状況である。
シーリーンからすれば、「上位者」というものへの理解は十分であったので、ともすれば、盗み聞きの盗み見を盗み読みしている存在だっているのかもしれないと考えた。もっとも、やはりそれは知覚の外であるので、考えたってしょうがないのだが。
とらさん:なんか泣けてきた
もぐらさん:寿命持ちはこういう人間関係の重みが軽いから羨ましい
つばめさん:なんで生きてるんだろうって鬱になった
きつねさん:俺だってなぁ……
きつつきさん:この子はちゃんと幸せになれるよ
たこさん:儂もTS転生してくるわ
ねこさん:仲直りしてくれてよかった
みじんこさん:;;
レインと巫女の会話が終わり、コメント欄含め、少ししんみりした空気に満たされていた。まあでも、視聴回としては見ごたえのある良いものになったかもしれない。喧嘩別れのようにならなくてよかった。
テルースは「ニ゛イ゛ロ゛さ゛ん゛良゛か゛っ゛た゛ね゛ぇ゛……」と涙を拭いている。毎回思うが、このクレイジーサイコレズは他人に感情移入し過ぎである。
なお、「絶対に逃さない」発言を含む、今回における数々の発言から、巫女には「テルース2号」というあだ名が付いた。あるいは「2号」。まぁつまり、愛情のやべぇ奴という意味である。シーリーンとしては、巫女の愛情はレインにしか向いていないからまだマシだと思う。思いたい。このサイコが増殖するのは嫌だ……。
「それじゃあ、あとは若いお二人に任せて、私達はルーナの方を観に行こうか。今回も、ヘリオトロープと脳内で会話してるみたいだよ」
そう言って、社とは位相のズレた場所、レインらが聖域と呼ぶ場所へ視点を移動させた。
石の祠の上にルーナは腰掛け、夜空を見上げながら独り言のように語っている。
『……カカ、人の子と巫女の絆は深まったというわけじゃな』
『……』
『宿主。お主は置いていかれたままで良いのか? 隠し事をし、人の子の未来も塞ぎ、それがお主のやりたいことじゃったのか?』
『儂は、……別に』
『つまらんのう……。つまらんつまらん。お主がこの世界でどれだけ生きて、どれだけ見聞を深め、どれだけ背負ってきたのかなど、我からすればほんの僅かなものじゃ。その程度で自分を縛るなど、お主のような被虐嗜好でもなければせんじゃろうな』
どうやら先輩風を吹かしているようである。
ヘリオトロープは、森人達に神様と崇められ、重責を背負い、己を律して生きてきたのだろう。シーリーンはその姿に見覚えがあった。崇められるものは皆、ああして自分を縛り付けるのだ。
『伝えたい気持ちと伝えたくない気持ち。繋がりたい気持ちとそれを恐れる気持ち。その優柔不断さを、矛盾を持っていることを責めているのではない。それは決して悪いものではない。じゃが、選べ。人の子が選んだようにな。選ぶべき時というのがある。今がそれじゃ』
誰よりも自分で全てを選んできたルーナだからこそ言える言葉なのだろう。
もっとも、自分の意志を貫き通してきたからこそ、多くのものに恨まれ、嫌われてきたのだが。それでも意思を信じる彼女の姿は、いくらかの上位者からは嫌悪を通り越して畏怖、あるいは尊敬すら集めている。
『……人は、弱いからな。身体を、心を預けてしまうようにできておる。もっとも、だからこそ愛してやりたいと思えるのじゃが』
濁りきった瞳で、小柄な少女に憑依したルーナは遠くを眺める。
その心の機微に少し触れた気がして、気付けばヘリオは問いかけていた。
『神は、あなたは……いつから、神なのですか?』
『お主と一緒じゃよ。気付いたら、というやつじゃ。誰も彼も、勝手じゃよなぁ……我が言えた義理ではないが。じゃがまぁ、子らへの愛情は自然と芽生えるものじゃ』
『儂は……ちゃんと、みなの「神様」でいられているでしょうか?』
『まぁ、できとるんじゃないか。知らんが。ほれ、人の子がいつも最初に悩み事を尋ねに来るのだって、お主じゃろう?』
その相談の内容はどれも碌でもないものばかりで、片手間にしか相手しないときもあるけれど。
それでも、頼りにされているというのは確かであった。
らっこさん:なんかこう…背中がデカく見えてきた。おかしいな創魔なのに…
おおかみさん:神というか、上位者
らいおんさん:普段無茶苦茶やってるくせに妙なカリスマ性があるのタチ悪い…
とんぼさん:レインちゃん的にはお母さんよりヘリオちゃんの方が頼りやすかったのかぁ
へびさん:シーリーンとかもだけど、そういえば創魔も突然力持って現れたよな。過去が意外と知られてない
「……はい、じゃあ短いけど今日はここまで。おつかみ〜」
「あら?」
まるで本物の神のようにヘリオトロープを諭すルーナを見ていられず、やや強引にシーリーンが配信を終わらせた。
なんだか、彼女を追っていることが馬鹿らしく感じられて。その嫌な気持ちを忘れようと、再び不貞寝に戻るのであった。