TS転生すればおっぱ……おにゃのこと戯れられるのでは?だからチート勇者、テメェはお呼びじゃねえんだよ!   作:Tena

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すいません、夜通し別の文章書いていたら短くなってしまいました。


とりあえず今回一番驚いたのは、猫の顔した人が普通の言葉を発音できていたことです。ニャゴニャゴナーゴって喋ってくれたらそれはそれで癒やされたんだけどなあ!なあ!

「失敬、少々お尋ねしたいことがあるのですが」

「うぇ?」

 

 あんまり宿から出ないほうが良いとのことなので、団らんスペースの広間で道行く人を眺めながら人間の言葉の勉強をしていると声をかけられた。

 声の聞こえる位置が高い。かなり高身長の人だなと思って、フードの下から目を覗かせた。

 

「ひ、人猫さん!?」

「む?」

 

 そこにいたのは、先ほど僕が見かけたであろうケモ度の高い獣人、人猫(ひとねこ)であった。

 いや、人猫だからって「人猫さん」呼びはよくないかな? 僕が話しかけた相手に「エルフ!?」って言われたとして……あれ、そこまで嫌じゃない。

 

「なるほど、たしかに吾輩は人猫です。キセノ、と呼ばれております。以後お見知りおきを」

 

 そう言って、キセノさんは腕を胸に当てながら丁寧なお辞儀をする。

 額のあたりに白い毛が少し生えた黒猫さん。身長は2メートルはあるだろうか。ガタイがよく、これまた黒いスーツをピッチリと着こなしていて、おとぎ話だったら執事でもやっていそうだ。ちょっと意外なのは、指が長くて肉球がない。そこは猫らしくないのか。毛は生えているけど。

 

「ご、ごめんなさい。僕は、ええと、アンブレラっていいます。尋ねたいことというのはなんでしょう?」

「これは、アンブレラ様、丁寧にありがとうございます。人を探しているのですが、金髪碧眼の少女を見かけませんでしたか?」

「金髪碧眼? 人猫でなく、人間の少女ですか?」

 

 エルフは翠眼だが、金髪の少女って意味では親近感が湧くなぁ。

 しかし、この言い方からして人猫ではないんだろうけど、猫人か人間だろうか? 猫耳金髪碧眼の少女だったら会ってみたい。絶対可愛い。

 

 が、キセノさんが頷いたことから、猫人ではなく人間の少女らしい。

 

「見たような気もしますが……少しアバウトなので、もう少し他に特徴はありませんか?」

「特徴……青色の大きな帽子を被っていて、背はアンブレラ様より少し低いくらいです。あとは……、騒がしいですね」

「さ、騒がしい?」

 

 というか、大丈夫だろうか。

 人当たりがいいから信用しかけてたけど、奴隷の少女を追う商人とかって関係性じゃないよな……?

 

「あの、失礼ですが、ご関係は?」

「仕事仲間です。こちらを……。吾輩達はいわゆるなんでも屋を営んでおりまして、全国を歩きながら様々な依頼を受けております」

 

 そう言って、キセノさんは名刺らしきものを差し出してきた。

 異世界にもあるんだな名刺文化……。まあ、小さい自己紹介カードを持ってりゃ何でも名刺か。

 

 しかし、ほえー、なんでも屋。

 災厄で大変だろうに、人類も面白いことやってるもんだな。……むしろ、大変な時期だからこそ、固定された職業がやりづらいんだろうか?

 

 人間の少女と人猫がチームでなんでも屋をやるようになった経緯も気になるけれど、そこまでは流石に初対面で踏み込んでいい話じゃないだろう。

 

「なるほど。ですが、ごめんなさい。僕よりちっちゃくて青色の帽子を被った少女は見てないと思います」

「そうですか……。申し訳ありません、お時間取らせました」

 

 見るからにガッカリとして、キセノさんはもう一度お辞儀をした。

 先程までは胸を張っていたのが、少し猫背になっている。面白い。

 

「もしかして、キセノさんもこの宿に泊まっているんですか?」

「そうですが、より正確には、今日からこちらに泊まろうとしていたところ、連れが行方不明になって困り果てているのです」

「行方不明……心配ですね」

「……いえ、勝手にいなくなるのはいつものことなのでさほど心配しておりません。ただ、宿の場所を伝えないといつまで経っても帰ってこないでしょうから」

 

 何だその少女たくましいなおい。

 それで僕よりもちっちゃいんだよね? やっぱ僕も外歩き回って良くない? クロさんちょっと過保護すぎるんじゃない?

 

 内心、いま外で情報収集しているであろうクロさんのことを責めながら、僕はひとつ提案をした。

 

「部屋番号を教えてもらえますか? 見かけたり、僕の連れから話を聞いたりしたら、キセノさんにお伝えしますよ」

「おお! かたじけない!」

 

 宿の部屋番を伝えた後、キセノさんは少女を探しにか外へ出ていった。

 なんでも屋かぁ。いいなあ。前世だったら「ん? 今なんでもって」って反応を受けそうだけど。どの範囲までやってるんだろう。僕の脳内のなんでも屋は万事屋銀ちゃんで止まっているので、エイリアンを討伐しているイメージである。まあでも、この星は宇宙人と交流とかしてなさそうか。

 

「……あれ? いま普通に会話できてたな?」

 

 ……あまりに自然すぎて気付かなかった。今の人、キセノさん、ナチュラルにエルフの言葉喋っていなかったか?

 ど、どこでバレた!? フードちゃんと被ってるよね!?

 

 ……なんでも屋だから、エルフも見慣れてるってことにしておこう。

 なんかこう、多分、魔力量とかで気付いたんだよ多分。多分。

 

 とりあえず、クロさんに隠蔽の方法をもっと変えたほうがいいと伝えておこうと思った。

 




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書いていた別の文章に関する申し開きです。申し開きってか宣伝です。
ちなみに書いていたのは2話です。書き終わってないけど。

活動報告:短編「流石にもう死に戻りたくない」を投稿しました
https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=248021&uid=153116

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