TS転生すればおっぱ……おにゃのこと戯れられるのでは?だからチート勇者、テメェはお呼びじゃねえんだよ!   作:Tena

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寒くてベッドから出られない朝は、人肌で温まりながらえっちなことをして体温を高めるといいよ。なお結局ベッドからは出られない模様。そもそも相手がいない人は…ペットを飼おう!

 久しぶりにおにゃのことディープなキスしたなぁ……。

 まあ、女性同士でのキスはコミニュケーションのひとつって保健の教科書にも書いてあったような気がするし、何より気持ちいいし、少しムラムラしてしまうことを除けば問題ない。多分。

 

 そそくさと会計を終えた僕らは、現在宿で作戦会議中である。

 別れ際、キセノさんとクロさんがお互い分かりあったような顔をしていたので、やはり肉の力は偉大である。あるいは、キセノさんは存外猫派なのかもしれない。

 

 目下の議題はコルキス様についていくかどうかだ。

 僕としては、今後のことも考えた上で付いていったほうが助かることが多いと思う。学園都市で虐められたら敵わん。ほら、外国人の転校生って大抵、人気者になるかめっちゃ避けられるかの両極端じゃん。

 そのことを伝えた上で、クロさんは未だどうすうるべきか悩んでいるようである。悩んでいるということは、僕の意見もあながち間違いでないと考えているわけで。

 

「逆に、コルキス様と一緒に行動するデメリットってありますか?」

「色々あるが、一番分かりやすく面倒なのは政戦の道具にされることかな」

「あぁ……それは確かに……」

 

 でも、だったらわざわざ後継者争いで揉めてることとか僕らに話すのかな。

 困ってることを先に話して、話に巻き込みやすくするってのはあり得るかもだけど。

 

「ううん、でも、利用したいなら勝手に利用させちゃっても良い気もしますけどね。僕らが直接関わるようなことさえ避けられれば」

「その選択を強いられる時は、大抵承諾しか許されない状況になっているだろう。その上で、お前上手く立ち回れるか?」

 

 うん無理ですね!

 駄目だこりゃ。

 

 そうなんだよなぁ。いま明確に悪意が見えなかったとしても、見えるときなんてもう後戻りがきかなくなっているタイミングだし、むしろ後戻りできるとしたら今なんだよなぁ。

 やっぱり僕に頭脳労働は無理なようです。最終決定権はクロさんに委ねます。

 

「……よし。ならついていくことにしよう。その代わり、御子はアイリスちゃんから常に離れないようにすること。今までもそうだったとは思うけれど、今度は片時も。アイリスちゃんを人質に取られるのが一番不味いだろう」

 

 それなら全然OKだ。アイリスを従者と言い張れば、いつも一緒に居てもおかしくないだろうし。

 確かに、僕一人だったらどうとでも逃げられる気がするけれど、アイリスを押さえられると動けなくなる。ヤバいときはアイリスごと風の魔法で逃げられる、そんな状態を維持するのだ。

 

「それじゃあ、明日も早いし解散。おじさんは隣の部屋で寝てるから」

「はーい」

 

 クロさんが立ち去ったあと、それじゃあ僕らも寝ようかとアイリスの方を見ると、何やら神妙な顔をしている。

 

「アイリス、どうかしましたか?」

「……いえ、お二人の話を聞いていて、(わたくし)が足手まといになっている、と思ったのです」

 

 それは、武力的な能力の違いのことを指しているのだろうか。

 だとしても、彼女によって僕が精神的に支えられている部分は大きい。

 そんなことない、と言おうとした僕を遮って、アイリスは懇願した。

 

「もし……もし、私のせいで御子様が不利益を被るようなときがあれば、どうぞ迷わず見捨てて下さい」

 

 絶句。そのあまりにも寂しい言葉に、とっさに出る言葉がなかった。

 何を言ってるんだこのグラマラス美女は。そんなこと言うならむしろ絶対見捨てないんだが。

 

「……どうして、アイリスはそこまで僕に尽くそうとするんですか。キミは、ひとりの人で、意思があって、自由なのに、どうして」

 

 ずっと前から不思議に思っていることだ。

 僕のどこに、これだけ自分を捧げようと思える要素があるというのか。

 仮にこの恵まれた容姿に惹かれてというのだったら、それはきっと僕のことを見誤ってしまっているから、もっと自分のために生きてほしい。

 ただ、その問いかけには、こともなげに、最初から答えが決まっているかのようにアイリスは答えた。

 

「決まっているじゃないですか。私が、御子様の乳母だからですよ」

 

 それは、理由じゃなくて与えられた役割ではないか。

 そう問いかけるにはあまりに確信に彩られた声音で、僕は何も言えなくなってしまう。

 

「ですが……もしも私の意思を認めてくださるのでしたら、ひとつだけ」

 

 そう言って、高身長の彼女は僕の顎を持ち上げて、唇を重ねた。

 慣れているはずだけれど、どこか久しぶりなその行為。

 自然に口内に侵入してくる柔らかな弾力は、リリィちゃんの肉を味わうためのそれとは異なって、淫らに絡み合い、口を犯すために動き回る。

 随分僕の口の中を熟知しているようで、敏感な場所を順になぞる。その度にぞわぞわ震える頭は、酸欠も相まって次第にチカチカと何も考えられなくなっていった。

 目を細めて身を任せていた僕から顔を離して、アイリスが耳元で囁いた。

 

「たまには相手をしてくれないと、嫉妬してしまいますよ」

「……ふぁい」

 

 あれ……? 乳母ってこういうのだっけ……?

 


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