TS転生すればおっぱ……おにゃのこと戯れられるのでは?だからチート勇者、テメェはお呼びじゃねえんだよ!   作:Tena

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学術的な話については現代準拠で考えないようにしてください。
用語の定義が若干作品独自のものにすげ替えられてます。


手慰みに射精……?お前は何を言っているんだ、とジョニーは思った。あんまりに真顔なものだから写生大会の写生だと気が付いた。いや誰だよジョニー。

「……このように、はじめ人類が認識していた生物の分類は『動く』か『動かない』か、つまり動物と植物でした。これを二界説と呼びます。

 技術の発展により、肉眼では捉えられなかった生物の存在が認められるようになり、その構造や生態の違いから『微生物』として認識されるようになりました。三界説の成立です。

 ですが、三界説以前から叫ばれていたこととして、魔力による分類がありました。魔力を保持する能力ではなく、肉体の構成が魔力に依存している生物のことです。動物と植物の分類を細胞の構造などから考えようとすると、避けることができなかったのです。

 そのような生物を『魔霊(まりょう)』と呼称し、現代一般的な四界説が生まれました。魔霊はいわゆる精霊で、森人が有名ですね」

 

 そこまで一息で言い切って、人の良さそうな白髪の導師は水を口に含んだ。

 

 「生物文化論」と題された講義の二度目の授業。初回はガイダンスと講師の自分語りでほとんどの時間が潰れたので不満しかもたらさなかったが、どうやら今回からは真面目に講義をするつもりらしく、コルキスは胸を撫で下ろす。

 学術的な用語であるからか初めて耳にする「魔霊」という言葉を手元の紙に書きつける。他に一切の説明は加えない。関係性や概念はその場で覚えるから、慣れない単語だけを記すようにしていた。

 

「さて、専門的な話は置いておき、ここでこれらの名称を考えると少し面白いことに気付けます。魔霊だけ、『物』が付かないのです。それでは……そこのあなた、どうしてだと思いますか?」

「はい。『肉体』が本体ではないから、でしょうか」

「素晴らしい! その通り、我々と違って魔霊と呼ばれる生物は肉体、精神、魂のうち精神が個人の本質であると考えられています。生物を専門的に学ぶ学生が知ることなのですが、よく分かりましたね。もっとも具体的なことについては魔霊の調査が足りていないので断言できませんが……」

 

 唐突に指をさされたので一瞬考えて答えれば、導師の男は興奮したように語り始めた。「はい」の一瞬であるので傍目からは即答したように見えたかもしれないが。

 同じ部屋で講義を受けている生徒のうち、コルキスの立場を知っている幾人かは流石だと溜め息をついた。一応は国を代表しての留学生である。優秀だと思われる分にはありがたい。

 

クロコ(あいつ)が野心に気付いてる癖してお姫様をこっちに預けたのも頷けンなァ)

 

 授業の範囲を越えて魔霊について語る教授は目がイッている。

 魔霊については資料や研究が少ないのだろう。だからこそ妄想とも呼べる予想が無数に打ち立てられ、有り得そうなものからロマンに走りきったようなものまで色々存在する。ほら、魔霊の研究は不老不死の第一歩とかなんとか言い出した。

 

 学園都市の研究者がこんな人間ばかりだというのなら、アンブレラはコルキスの庇護下に置いたほうがよほど安全だろう。

 アンブレラの体が欲しいという目的は学者もコルキスも同じだが、学者共は絶対に解体(バラ)す。よくてホルマリン漬けである。いや、流石に外交問題だと理解するだろうか。目の前の教授を眺めている限りそうは思えないのだが。研究者に人間性を求めてはいけない。

 

 

 

 

「まったくあの男、指差したのがどなたか分かっているのでしょうか。無礼な!」

「気にすることではありませんよ。落ち着きなさい」

 

 授業後、教室を出てしばらく歩いていると側付きの騎士ヴィオラが眦を決した。教授がコルキスを指差したことが許せないらしい。

 しかし、こちらは生徒、あちらは教師だ。人を指差すこと自体は行儀が悪いが、もしも一般人が王女を指差したことについて怒っているのであれば、学びの場に身分を持ち込むものではないという結論になる。

 むしろ、生徒も含め多くの人が自分を敬わない環境というのは新鮮で楽しかった。いくつかの問題を除けば、こちらでの生活のほうが気楽で性に合っているかもしれない。それでも叩き込まれた所作などは出てしまうため、気品の高い人物と思われているようだが。

 

 まあ、ヴィオラはこれでいいのだろう。コルキスに心酔しているからこそ、そのことになると視野が狭くなり感情的にもなる。

 今の表情こそ険しいが、夜の顔を思い出せば可愛らしいものである。

 

「さて、次の講義は『魔力回路入門』ですね。今年は魔力源が豊富にあるから実技が多くできると導師の方は喜んでいましたが……一体どこから産出されているのでしょうか?」

 

 

 

 


 

 

 

 

 やぁみんな! 僕はジョニー! 嘘だよ、ほんとはアンブレラ・レインさ!

 

 ……はい。おはようございます。みんなのノアイディ=アンブレラ・レインです。

 なんかまた監禁されて暇なので、テンションを上げるくらいしかやることがありません。

 監禁というか、軟禁? 危ないことはないです。ただ、閉じ込められてるので監禁みたいなもんです。手錠とかはないです。

 

 というのも、白妙の止り木にある魔法石、もといヤァヒガルが尽きたらしい。全部魔力を吸収させてしまった。

 ほっとくと僕はまた大量の魔力を垂れ流し始めてしまうが、いーちゃんとかに影響があるかもしれないから、魔力版断熱室みたいなとこに入っててくれと。神妙な顔してお願いしに来た院長は面白かった。

 

 魔力が完全に枯渇することで生命に危険が出るのは分かるが、多い分には構わないんじゃないかって気もするし、いくらいーちゃんが周囲の環境の影響を受けやすいからって隔離は寂しい。

 だがまぁ、酸素だって確か濃度が高すぎるとヤバいと言うから、渋々従うことにした。

 天然状態のヤァヒガルが届くまでって話だったし、そろそろ出れるだろう。

 

 魔力は光とかより磁力に近くて、普通の壁では防ぐことができない。物質的な障壁はほとんど意味をなさないのだ。

 そのため、特別な製法による遮断壁を用いた部屋でなければ監禁も意味がない。白妙の止り木にそういう部屋があったのは……まぁ、金あるんだろうなあって感想に尽きる。よく整備された水回りとか、無駄に凝った装飾とか、ここの運営は安泰なんだろうなぁ。どっからお金出てるんだろ……。

 ほとんど密室なこの部屋、用途もよく分からない。金持ちの道楽か。

 

 ……ほとんど密室なんよな。

 

「助けてーー!!!」

 

 叫ぶ。

 

 誰も見に来ないし、反応はない。

 つまり、監視とかもない。

 

 久しぶりの、完全に一人な時間である。

 

「い、一回だけ……」

 

 

 

 


 

 

 

 

「アンブレラさん、お待たせしました〜」

「ひゃっ……、は、はい」

「ごめんなさい、暑かったですか? とりあえず、こちらをどうぞ……って、あれ」

 

 紙袋を抱えた眼鏡さん……クラムヴィーネが現れ、その袋から鉱石のような物を取り出した。

 ヤァヒガルのはずだが、その色は既に変わっていた。

 

「……すごい、ですね。空気はかなり伝搬率が悪いはずなのですが、それが関係ないほどこの部屋にアンブレラさんの魔力が充満していたのでしょうか。……しかし、閉鎖系の空間でこれほどの量の魔力が空気中に満たされるわけもありませんし、外から? ほとんど遮断しているはずですが……その平衡を崩すくらい誘引性が……?」

「あ、あの? クラムヴィーネ導師……? まぁいっか、ありがとうございました……」

 

 クラムヴィーネがまたブツブツ呟いて自分の世界に入ってしまったので、また自傷しはじめても敵わないしヤァヒガルの礼だけ言ってスタコラサッサと逃げ出した。

 この間の一件以来、彼女と二人きりになるのは怖いし、少し気まずい。

 

 院長に声をかけて、入荷されたヤァヒガルのところに連れて行ってもらう。触った状態で色の変化する速度がいつもと同じくらいになるまでひたすら魔力を含ませて、ようやく自由の身となった。出所である。

 

「あーちゃん!!」

「いーちゃん!」

 

 ガシッと抱擁し合う。

 一心同体、ユアマイフレンズ。毎日一緒にいると、一日離れるだけでかなり久しぶりに顔を合わせるような気になる。

 寂しくなかったかと聞くと、シュービルが話し相手になってくれたから寂しくなかったとのこと。泣いた。シュービル貴様紳士同盟を裏切るのか。そんな同盟無いけど。

 

 キッと彼を睨むとヒッという情けない声が聞こえてきた。やりすぎたかなと思って今度は優しく微笑みかけると、余計に顔を青くして逃げ去ってしまった。解せぬ。泣いた。

 そんな僕の心情を知ってか知らずか、イフェイオンは肩にもたれかかるようにして優しく囁いた。

 

「嘘だよ、寂しかった」

 

 ……いーちゃん!!

 

 策士である。少女というものは多かれ少なかれ策士である。だがそれに騙されるのが甲斐性ではないだろうか。

 シュービルにはあとで謝りに行かないとなぁなどと考えながらいーちゃんの髪を梳いていると、アイリスがなにやら油筆を動かしているのが目についた。

 

「アイリス、それは?」

「手慰みに写生でも覚えようかと考えまして」

「……」

 

 確かに、アイリスは課題も終えて僕待ちの暇な状態ではある。

 一体その筆はどこから手に入れたのだろうとか疑問は尽きないけれど、絵を描くのは楽しそうだからまあいっか。ちなみに僕の画才はちょっとアレである。

 

「御子様の美しさの一部でも残し、あわよくば人間に布教したいと思います」

 

 ……頑張ってください。

 

 とはいえ、ここ最近の出来事や監禁されていた時間を通じて、僕も課題に対して少しアイデアが生まれた。

 案外、卒業と別れの時は近いのかもしれない。

 




密室、欲求不満の自己開発済み娘、何も起こらないはずがなく…
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