とある科学の超人兵士。   作:バナハロ

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回り回っても、重なり合った未来がある。

 白井黒子は、困っていた。最近、自身のプライドをズタズタに引き裂かれるような出来事があった。あの憎き二丁水銃に、助けられたのだ。経緯はどうアレ、あの男にお姫様抱っこをされた上に「姫」なんてふざけた呼び方をされた。

 

「ムッキィイイイイイイ‼︎」

 

 悔しい。考えただけでも自分を絞め落としたくなる。もう本当に腹が立つ。自分で自分が情けない、とはこの事だ。

 

「ま、まぁまぁ黒子、落ち着いて……」

「これが、落ち着いて、いられますか! あんなヒーローに……まさか、助けられるなんて……一生の不覚ですのおおおおお!」

 

 一人、全力で悶える黒子を美琴は宥めるが、そう簡単にはいかないようだ。

 

「うう……だって、だってぇ……」

「まぁ、気持ちは分かるけど」

 

 ムカつく馬鹿な男子高校生を追い掛けて負けている美琴としては、本当によく分かる話だ。

 何より腹立つのは、向こうに競う気が一切ない、という事である。これには闘争本能の高い人ほど腹を立てるものだ。

 これで、もう簡単には「あのヒーローもどき叩き潰す」とは言えなくなってしまった。

 とりあえず、今はもうあのヒーローのことを考えるのはやめておこう。それよりも、不可解なことがある。

 

「そういえば、お姉様。少し気になる事が」

「何よ?」

「固法非色についてですの」

「ああ、あの子。何、好きなの?」

「違います!」

 

 なんでそうなるのか。自分があなたにメロメロである事は知っている癖に。

 

「そうではなくて、ですね。昨日、実は少し引っかかることがございまして……」

「あの子と昨日会ったっけ?」

「はい。固法先輩を追っていた時に、黒妻さんと一緒にいました」

「え、な、なんで?」

「そこなんですの。あの後、黒妻さんは二丁水銃に連れ去られました。その後に、何故か非色さんと仲良く公園におられます。その上、うろ覚えですが、非色さんの服装は二丁水銃と一緒でしたわ」

「え、あのラフな奴?」

「はい」

 

 確かに気になる。勿論、全て状況証拠に過ぎない。その上、友人を疑う事になってしまうため、下手に叩いて埃を出す事はできない。

 

「……なるほどね。でも、もし非色くんが二丁水銃なら?」

「……その時は……彼の、弁解次第でしょうか」

「弁解?」

「どういう信念を持って活動しているか、ということですの。……まぁ、お姉様が不良を撃退するのと同じような理由ですし、釈明の内容によっては大目に見てあげないこともない、と言うことですわ」

「ふーん……」

 

 正直、美琴は自分と二丁水銃が似たようなものとは微塵も思っていなかった。自分だって見てしまったら困っている人を見過ごすような真似はしないが、彼の場合は自分から事件を探して回り、首を突っ込んでいる。

 他にも、なるべくなら悪人にすら怪我をさせたがらないとか色々と相違点はあるし、黒子もそういう面には気付いているはずだ。

 その上でこう言うのなら、非色の事を多少なりとも気に入っているのだろう。

 

「あんた、ほんと可愛いわね」

「な、なんですの急に⁉︎ お姉様にお褒めにいただけるとは……!」

「はいはい。いいから寝るわよ。もうこんな時間だし」

「お姉様〜!」

「だーもう、うるさい!」

 

 迂闊に褒め言葉を使うべきではなかった。特に「可愛い」など自分のキャラではない。

 そんな時だ。ほんの軽い気持ちでこんな事を言ってみた。

 

「あんまり変態的なことをしてると、非色くんに言っちゃうわよ!」

 

 言ってから後悔した。だからなんだ? と。しかし、予想以上の効果があったようだ。黒子は、一瞬だけ体を硬直させて顔を若干、青くした。が、すぐにハッとしたのか顔を上げる。

 

「な、なんであの方が出てくるんですの⁉︎ い、いいい、意味が分かりませんわ⁉︎」

「え、あんたまさか」

「な、なんですの?」

「い、いや……」

 

 いや、黒子に限ってそんな……そう思いつつ、とりあえず今はからかえるだけからかっておいた。

 

 ×××

 

 さて、翌日。非色は今日も木山と面会に来ていた。

 

「でさぁ、ヤバいんだよ。正体とかバレそうで……というか、不測の事態があまりに多くて、中々上手く隠せなくてさぁ」

「バラせば良いだろう」

「やですよ! せっかく出来た友達をまたなくす事になりますし……何より、俺の正体を知った人の方が危ないって!」

 

 特に、佐天や初春は戦闘力のない一般人だ。スキルアウトから嫌われている非色に仕返ししようと人質をとってもおかしくない。

 

「……しかし、今のままではもうバレているかもしれないだろう?」

「や、でも正体を隠すために助けられる人を助けないんじゃ、それはヒーローじゃないでしょう」

「そういう男だったな、君は……」

 

 しかし、それでヒーローが続けられなくなっても困る。少なくとも、木山としては自分の教え子達を助けられるまでは捕まってもらいたくない。

 

「……なら、こうしようじゃないか」

「? なんですか?」

「ちょうど、私も相談したい事があってね。その結果次第では、私が君に新たなアイテムを渡そう」

「アイテム?」

「例えば……そうだな。君の望む、変身アイテムとか。作らせてもらおう」

「マジで⁉︎」

 

 それはかなり嬉しいが……しかし、すぐに冷静になった。

 

「いや、あんた塀の中でしょ。どうやってよ」

「それが相談の内容だよ」

 

 そう言うと、少し真剣な顔をした木山が説明する。

 

「実は……私は近々、釈放されるのかもしれない」

「……どういう事?」

 

 非色も難しい顔で片眉を上げる。明らかに普通じゃない処置だ。

 しかし、木山は難しい顔をして首を横に振る。

 

「詳しいことは私にも分からない……。だが、そういう話を持ちかけられているんだ」

「……」

 

 非色は顎に手を当てる。何か裏がある、と思わずにはいられなかった。幻想御手を開発したとはいえ、その開発者を釈放する理由が分からない。それを使って何かきな臭い事を考えているとしたら、木山に詳細が知らされていないはずがない。

 つまり、木山が「詳しいことは分からない」というのが嘘なのか、或いは、自分が木山と接触したのがバレ、子供達の事を知られたか……何にしても、自分と木山がこれ以上、関わっている所を見られるのはマズいかもしれない。

 

「……木山先生、釈放の話は飲んで下さい」

「何故だ? 君は反対すると思ったが」

「勿論、木山先生は牢屋に叩き込まれるだけのことはしました。……が、それをする事で救えない命が出て来るとなれば話は別です。ただし、子供達を匿っているラボには来ないように」

「……分かった」

 

 これは用心のためだ。後をつけられれば一発アウトである。木山に関しては「仮釈放」という処置を取れば、警備員を使って尾行させてもなんら不思議ではない。

 

「それと、今日からここに来るのは控えます。だから、必要な事があれば、今俺に全てを伝えて下さい」

「……今、か?」

「はい。可能な限り多く」

「それは構わないが……メモも厳禁である事を忘れていないな? 覚え切れるのか?」

「本気出せば、大学の教科書一冊くらいなら、一発で中身丸暗記出来ますよ」

「……私は、頭の良い子供は好きだよ」

 

 そう言って、非色は木山から話を聞く事にした。

 

 ×××

 

「……お、お姉様ったら……違うと言っているのに……」

 

 黒子は、手元に持っているチケットを見下ろして歩いていた。握られているのは、盛夏祭のチケット。常盤台中学女子寮で開かれる夏祭りだ。

 一般人が参加するには、招待チケットが必要である。で、このチケットを持っている理由は一つ、美琴のお節介である。

 

『非色くんでも誘っちゃいなさいよ!』

 

 らしい。実際、黒子にそんな気はない。それは勿論、知っている男性の中では一番好ましい。だが、そもそも黒子の知り合いの男は少ない。だから、ある意味一番好ましいのは当たり前なのだ。

 別に恋している、とかではないし、顔を見ればドキドキと心臓が高鳴るということもない。この前、変な反応をしたのは自分でもよく分からないが……。

 

「……まぁ、適当に初春や佐天さんを誘えば良いでしょう」

 

 そう決めて、どっかでパトロールをサボっている初春を探しに行った。サボりだとしたら、十中八九、佐天も一緒だろうし。

 そんな時だった。また嫌なタイミングで目に入るのである。あのヒーロー擬きが。ビルの上を元気に跳ねて移動していた。相変わらずの身のこなしだ。

 

「……」

 

 背丈も非色と同じくらい……と思ったところで首を横に振った。今は非色の事はなるべく考えたくない。

 それに、なんかあのヒーロー様も急いでいる様子だし、今日は見逃してやる事にした。

 

「……そんな事よりも、佐天さん達と合流しましょう」

 

 そう決めて、おそらくいつものファミレスにいると思われる場所にテレポートした。

 到着すると、案の定というかなんというか、のんきにパフェを頬張っている。

 

「わー、きたきた。来ましたよー!」

「好きだねぇ、甘いもの」

「私みたいに頭脳労働がメインな人は、糖分を摂取しないと生きていけないんです。白井さんみたいな脳筋さんは話が別でしょうけどね」

「……あ」

「なんですか? 一口ですか? 仕方ないですねえ。このパフェの魅力の前では、例えダイエット中の人であっても手を伸ばしてしまう代物なのですから」

「一口と言わず全部差し上げたら如何ですの?」

「いやいや、それは流石に……ですの?」

 

 さっさと一口だけでも食べれば良いものを、と佐天は呆れ気味に鼻息を漏らす。

 ギギギっと、壊れたロボットのように後ろを振り返る初春の視線の先には、黒子が立っていた。

 

「良いご身分ですのね、初春? 仕事をサボってパフェで一服とは、流石、頭脳労働がメインなだけありますわ」

「し、白井さん……」

「私のような脳筋とは立場が違いますものね」

「わぁ〜! ご、ごめんなさいぃ〜……!」

 

 涙目で頭を抱える初春。本来なら頭グリグリの刑だが、今日はそんな事をしなくても良いだけの脅迫材料がある。

 

「所で、佐天さん。盛夏祭ってご存知ですの?」

「もちろん知っていますよ! お嬢様達がもてなしてくれるお祭りですよね⁉︎」

「はい。実は、それが近々、開催されまして」

「ま、待って下さい、白井さん。なんでその話を佐天さんだけにするんです?」

 

 話の流れ的に嫌な予感がした初春だが、黒子はそんな事知ったことではない。

 

「良かったらいらっしゃいません? 招待チケットがあるんですの」

「良いんですか⁉︎」

「待って下さい! 私にも是非……!」

「勿論、構いませんよ? もう一人、招待できるので、固法先輩とかお友達辺りでも誘って、ご一緒にどうですの?」

「鮮やかな無視ですか⁉︎ こ、ここに、ここにもう一人いますよー!」

「行きます!」

「佐天さん、私達、友達ですよね⁉︎」

「さ、初春。仕事に戻りますわよ」

「白井さん⁉︎ 私まだ返事を聞いてな……あ、待っ……せ、せめて一口ー!」

 

 連行された。

 

 ×××

 

「うーん……誰を誘おうかな……」

 

 パフェを食べた佐天は、招待チケットを見下ろしながら歩いていた。勿論、領収書をもらった上に、名前は「初春飾利」にしておいたが。

 さて、これからどうするか、だが、まぁまずはせっかく何人か一緒に行けると書いてあるし、友達に声を掛けるのがベストだろう。

 そう思って携帯をポケットから出した時だ。ふと前を見ると、如何にも柄が悪そうな男達が三人立っていた。

 

「ねぇ、お嬢ちゃん」

「それ盛夏祭の招待券じゃない?」

「俺達に譲ったほうが良いんじゃねえの?」

 

 ストレートな連中である。勿論、渡したくは無いが……かと言って、痛い目に遭うのも嫌だ。

 ……けど、この人達を連れて行ってお祭りをめちゃくちゃにされる、と思うと痛い目を見るより嫌だ。

 

「っ……!」

 

 何も言わずに走って逃げ出した。180度真逆を向いて走り始めたわけだが、まぁ男と女だ。それも、ほとんどスタート位置に距離はない。あっさりと肩を掴まれてしまった。

 

「待てよ!」

「それ寄越せってんだよ!」

「はーなーしーてー!」

 

 そんなことをやっている時だった。その佐天の肩を掴んだ手を、一人の男が掴んだ。

 

「まったく……何やってんですかあんたらは」

「ああ⁉︎」

「え……?」

 

 口を挟んだのは、佐天も見覚えのない男の人だ。やたりとツンツンした髪、高校生くらいの少年が、まっすぐとスキルアウトを見据えている。

 

「よってたかって歳下の女の子に絡むとか恥ずかしくねーのか?」

「ああ?」

「俺らだってそんなガキに興味はねえよ」

「欲しいのは紙切れの方でな」

「尚更、ダサいですことよ。常盤台の能力者に喧嘩も売れねえって事だろ?」

「テメェ……!」

 

 すごい、と佐天はその男の人を前に目を丸くした。能力者なのかそうでないのか分からないが、三人相手に割って入れるのは並みの度胸ではない。

 

「死ぬ覚悟できてんだろうな?」

「まとめてかかって来やがれ。三人くらいなら何とかなるだろ」

 

 そんなことを言った時だ。

 

「よーう、ケンタくん!」

「何してんだ? こんなとこで」

「えっ」

 

 自分達の後ろから、呑気な声が聞こえた。振り返ると、再びスキルアウトが四人ほどやって来た。

 

「おう、中島」

 

 どうやら、前の三人の知り合いのようだ。つまり、前門の虎、後門の狼である。

 

「何してんだ?」

「いや、なんかこのガキが喧嘩売ってきてよ」

 

 しかも自分から売ったことにされてしまった。完全に腰が引けた佐天は、ツンツン頭の少年に聞く。

 

「ど、どうするんですか……?」

「ど、どうしよう……」

「え? 能力は……」

「上条さんは無能力者です」

「……え?」

 

 まさかの自分と同じだった。目の前のスキルアウトは、指をバキボキと鳴らしながら距離を詰めてくる。

 

「よし、じゃあ少し痛い目見てもらおうか」

「く、クソッ……やるしかないか……!」

 

 一応、上条と名乗ったツンツン頭の人が身構えた時だ。急に真上から液体が降って来て、それが不良の足に掛かる。

 

「……あ?」

 

 直後、今度は本人が降ってきた。

 

「何、お祭り? 俺も混ぜてよ」

 

 現れたのはヒーロー様だった。思わず、佐天はホッと胸を撫で下ろす。

 

「てめっ……ウォーター……!」

 

 声を上げかけた不良が後ろに吹っ飛ぶ。隙だらけだったため、上条が殴ったのだ。

 

「おい、あんた! そっち任せるぞ!」

「え? あ、はいはい!」

 

 助けに来たはずが役割をふられてしまった。四人の方を二丁水銃、一人減って二人になった方を上条が相手にする事になった。

 四人を相手にしながら、上条の方に目を向ける。無能力者のようで、拳で語るインファイトスタイルのようだが、中々、悪くない。他の二人の顔面に綺麗なストレートやフックを叩き込む。

 

「……へぇ」

 

 思わず感心しながら、とりあえず自分も与えられた仕事はこなす。足を払って転ばせると、水鉄砲を放って身動きを取れなくした。

 その調子で、お互いに三人ずつ片付けた時だ。一番後ろにいた奴が、手首を上にスナップする。直後、手の上に浮かんだのは電気だった。

 

「テメェら……これならどうだ!」

 

 手先から、目に見える稲光が放電される。狙われたのは、佐天だった。佐天に攻撃を避けるスキルはない。つまり、どちらかが壁になれば、どちらかは倒せるというわけだ。

 勿論、その一発で倒れるほどヒーローは脆くない。痛いけど、耐えられる。すぐにガードしようと手を伸ばした。

 が、それより早く、上条が動いた。非色の前に立ち、右手を伸ばして電撃を打ち消した。

 

「……は?」

「なっ……!」

 

 それを見るのは二度目のはずの非色も驚いた。そういえば、そんな能力を持っていた。

 ましてや不良の方は尚更だ。その隙を突いて、上条は一発、顔面に拳を叩き込んだ。一撃しか殴っていないにも関わらず、見事に顎にクリーンヒットさせ、気絶させる。

 驚いている非色に、上条は軽くお礼を言う。

 

「ふぅ……あんた、誰だか知んないけど助かったわ」

「え? あ、いや……むしろ余計なことしちゃった?」

「そんな事ねえよ。俺一人ならボコボコにされてた」

 

 確かに、人数差は明確だ。どんな能力を使ったのか知らないが、あの電気を消すまであの能力を使った様子は無かったし、多分、普段は無能力者と変わらないのだろう。

 

「あ、あの……!」

 

 そんな二人に、佐天が声を掛けた。

 

「すみません、ありがとうございます。助けていただいて」

「気にしなくて良いから」

「そうだよ。俺じゃなくて助けたのはこの覆面の人だし」

「いえいえ、お二人に助けていただかなかったら……」

 

 そう言って頭を下げる佐天。こういうお礼をもらうのはヒーローの役目じゃない。さっさと立ち去ろうと思った時だ。その前に佐天がポケットから招待チケットを取り出した。

 

「これ、良かったらどうぞ。お礼に……」

「? 何これ」

「常盤台中学女子寮盛夏祭の招待チケットです。……なんか、私が持ってるとまた絡まれそうなので……」

 

 本当は行きたいが、お礼をしないわけにもいかない。そう思ってチケットを差し出したのだが……上条は首を横に振った。

 

「いやいや、俺もそれ知り合いにもらったからいいよ」

「え、そ、そうなんですか?」

「てか、そろそろ補習だから。じゃな」

 

 それだけ言うと、上条は走って立ち去ってしまった。さて、残ったのはもう一人のヒーローさんだ。

 

「じ、じゃあ……ヒーローさんに……」

「え? いや、俺はそれもらってもアレだし……」

 

 正直、忙しくてそんなの行ってる場合ではない。今だって、子供達を助けるために必要なものを取ってくるよう、冥土返しにお使いを頼まれた所だし。

 

「俺なんかより、君が友達のために使いなよ。じゃ!」

「え? あっ……!」

 

 こっちにも逃げられてしまった。最近の男というのは、格好付けるのが流行なのだろうか、なんて助けてもらっておきながら失礼な事を思ってしまった。

 しかし、こうなってしまっては仕方ない。わざと襲われて助けを待ってもっかい渡すわけにもいかないし……。

 

「……あ、一人いたなー。誘ってみても良い子」

 

 そんなわけで、その子に連絡を取ってみた。

 

 ×××

 

「……」

「どうしたんだい?」

「……いえ、こうなるかぁ……と」

 

 施設で作業をしていた非色の携帯には、佐天涙子から「一緒に盛夏祭行こうよ!」という誘いのメールが入っていた。

 

 


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