工藤新一に転生したけど、薬を飲まされて女子高生になっちゃった 作:ストロングゼロ
「怪盗1412号? アリスちゃん、知ってる?」
「何それ? 知らな〜い」
春休みのある日、園子が唐突にあたしと蘭に世間を騒がせているという泥棒の話を振ってきた。
怪盗1412号……全然覚えがない。前世の自分の記憶力の無さが恨めしくなる。
「蘭はともかく、探偵の助手のあんたがなんで知らないのよ!? 今、若い女の人の中でも結構話題のおじさまよ!」
「おじさま怪盗? へぇ、そんなの居たんだ。それがどーしたのよ」
園子が言うには怪盗1412号とは話題のおじさんの泥棒みたいだ。
若い子に人気なのに、あたしも蘭も知らないって……。
「だ〜か〜ら〜、あんたと蘭のおじさまにその怪盗1412号を捕まえて欲しいのよ」
「あたしと先生でその怪盗さんってのを捕まえる? そんな雲を掴むみたいな話――大体、どこに怪盗さんが現れるなんてわからないでしょう?」
で、本題はあたしと小五郎でその怪盗とやらを捕まえて欲しいということらしい。
うーん。どこに出てくるのか分からない泥棒を捕まえるのはちょっと難しいかも。
「ふっふっふっ、それがそうでもないのよ。今、米花博物館で世界の有名な宝石を集めた展覧会が行われてるの知らない?」
「あー、なんか聞いたことあるわ」
「うちのパパが家宝の宝石――幸運を呼ぶ真珠“
園子曰く、博物館で展示されてる鈴木家の家宝のお宝が狙われているから、それを守るついでに怪盗を捕まえて欲しいのだそうだ。
来ることが分かってるなら展示止めればいいのに……。
「だったら、アリスちゃんやお父さんに頼む前に警察に任せたほうが……」
「ダメよ。だって私は怪盗1412号の顔が見たいんだもん。アリスが捕まえたら顔を見せてくれるでしょ?」
あー、園子は怪盗1412号の素顔に興味があるのか。
なるほど。隠しているとミステリアスで魅力的になるもんね。スキー場で恋に落ちることが多いのもこういう理屈みたい。
「いや、まぁ。園子ちゃんが見たいならね。そんなに、そのおじさん怪盗に興味があるんだ」
「きっと素敵なおじさまに違いないわ〜。うふっ……、ねぇお願〜い。親友の頼みだと思ってさ。我が家の家宝を守ってよ。あんたとおじさまが頼りなの〜〜」
園子の中では既に怪盗とやらの素顔は超イケメンでダンディなおじ様って感じで固まっているみたいだ。
その怪盗とやらも期待値上がりまくっていることなんて知らないだろう。しかし、ここまで目を輝かせる彼女を見ると――。
「先生の意見はわからないけど。あたしは良いわよ。園子の言う素敵なおじさまにも興味あるしね」
「さっすがアリス! 話が早くて助かるわ〜」
あたしも興味が出てたりする。本当に格好いい泥棒なのか、それとも見なけりゃ良かったと思うのか? こういう話題は大好きだ。
「あまり期待しないでね。――あれ? 蘭ちゃん、どしたの?」
「あ、あれは新一……!? 新一〜!」
「ちょっと、蘭! 信号、赤よ!」
横断歩道を渡りきったとき、ふとすれ違った男の人が新一に激似だった。
それを見た蘭が彼を新一だと勘違いして、赤信号に変わったにも関わらず追いかけようとしたので、園子が慌てて止めたのだ。
「新一……それにあの女の子は誰?」
「今のは新一じゃないでしょ。似てたけど」
「そ、そう? 新一に見えたけど」
あたしは自信を持ってあれは新一じゃないと断じる。だって、新一はあたしだもん。
「あり得ないわよ。そんなの」
「あれ〜〜? アリス。妙に自信満々じゃん」
「そりゃあ、蘭ちゃんのこと愛しちゃってる新一が黙って女の子と会うなんてあり得ないし」
さっきの男の人は女の子と歩いてた。だから、蘭には余計な心配をさせたくないと思って、あたしは彼が新一ではないと力説した。
「あ、あ、愛して……って、そ、そんなんじゃないから!」
「いつ見ても蘭ちゃんの照れる顔は可愛いなぁ♡」
「面白いくらい真っ赤になるもんね。クラス中が夫婦認定してるのに」
「二人とも〜〜! からかわないでよ! 本当に新一だったんだってば!」
ついでに、顔を赤くして照れる蘭の顔を堪能したあたしは、園子から怪盗1412号が出したという予告状のコピーを受け取り、博士の家に戻った――。
「で、その怪盗さんとやらを捕まえに行くの?」
「うん。怪盗1412号って言って。アルセーヌ・ルパンみたいに予告状を出してるのよ。これ、コピーだけど」
家に戻り、怪盗1412号のことを博士と哀に話す。
哀はあたしが手渡した予告状のコピーに目を通した。
ちなみに、怪盗1412号は世界を股に掛けた大泥棒であり世界中で美術品や宝石を盗んでいる。
FBIだかCIAだかインターポールだかが極秘につけた国際犯罪者ナンバーが1412らしいから、そう呼ばれているんだって。
「エイプリル・フール……月が二人を分かつ時……漆黒の星の名の下に波にいざなわれてわれは参上する……怪盗……なんで、こんなに読み難いのかしら?」
哀はところどころに亀裂が入っている予告状を朗読する。
そうなのよ。これ、最後のところが切れてるし、とても読みにくいのよね……。
「なんか、園子ちゃんのお父さんがイラッとして破いちゃったんだって」
要するに、破かれた予告状を継ぎ接ぎしたやつをコピーしたから読みにくくなっている。
大事な暗号なんだからイライラをぶつけないで欲しい。
「ほう。怪盗1412号か。アリスくん、こりゃあ捕まえるのは難儀じゃぞ」
「博士は知ってるんだ」
意外なことに阿笠博士は怪盗1412号を知っているという口ぶりだった。
若い子に人気といわれてたけど、博士はミーハーなのかな……。
「この前、ニュースで見てのう。興味本位でパソコンで調べてみたんじゃよ」
「へぇ。で、どんな人なの?」
「最初に怪盗1412号が現れたのは18年前のパリ。その10年後に一度姿を消したんじゃが8年たった現在、日本で再び活動するようになったんじゃ。怪盗1412号には“平成のルパン”、“月下の奇術師”と様々な呼び名があるんじゃが、その中で最も親しまれている呼び名がある。各国の警察を子供のように手玉に取る怪盗1412号に興味を持った、ある若手小説家が1412
「“K・I・D”? あれ? まさか……」
博士から聞いた“K・I・D”のスペルの怪盗なら、あたしは知ってるかもしれない。
というか、コナンの世界で怪盗といえば彼しか居ないもん。
「怪盗1412号……人呼んで……、怪盗キッド!」
「怪盗キッドっ!? 怪盗1412号って、怪盗キッドのことなの!?」
あー、やっぱり怪盗キッドか……。なんでまた気付かなかったんだろう。
あれだ。園子がおじさまとか言ったからだ。
あたしの中で怪盗キッドは若い男だからなぁ。確か、彼も高校生のはずだし……。
「あら、随分と驚いているのね? 怪盗キッドのこと知ってるの?」
「あー、うん。何か凄いマジックを使う泥棒ってことは知ってる。1412号っていうのは知らなかったけど。まずいな〜。あたし、捕まえられるかな〜?」
哀はあたしが怪盗キッドを知っていることが意外みたいだったけど、彼がマジシャンの怪盗だってことはよく知っている。
トリックのこととかは、ほとんど覚えてないけど。
「珍しく弱気なのね。あなたでも手に余るくらいの泥棒ってこと?」
「そうね。かなり準備をしないと追い詰めても逃げられるかも。捕まえてみたいって気持ちはあるけど……」
「捕まえるなら至近距離から麻酔銃を当てるしかないじゃろう。それで、その暗号は解けそうかね?」
普段はほとんど使わないけど、コナンくんが持っていた時計型麻酔銃はあたしも護身用として持っている。
キッドを捕まえるのなら、確かにそれを当てるしかないかも。
「それが全然分かんないのよ。怪盗キッドが来る方向と時間を指し示していることは間違いないんだけど」
「案外、意味なんて無いのかも。警戒心をそっちに割いて現場の混乱を狙っているの」
「あはは、哀ちゃんらしい考察ね。でも、怪盗キッドは意味のない予告状なんて送らない。楽しんでいるのよ。彼は」
残念ながら予告状の暗号はまだ解けてない。哀は意味などないかもしれないと言うけど、彼は無意味な予告状は出さない。
そういうセンスの人じゃないから……。
「会ったこともないのに何でそこまで分かるの?」
「えっ? そ、そりゃあ探偵の勘よ。探偵の勘!」
まさか漫画やアニメで見て知ってるとも言えず。あたしのキッド論は勘とかいう訳のわからない理屈で終わった。
哀は心底呆れたような顔をしていた……。
3月31日の昼過ぎ……あたしと蘭と小五郎は米花博物館を訪れた。
博物館周辺は警官隊に囲まれていて、既に厳戒態勢だった。
「いやー、毛利探偵! この度は娘のわがままを聞いてくれてありがとうございます。名探偵であるあなたが来てくれて心強いです」
「なあに、この私が来たからにはたかがこそ泥一匹。簡単に捕まえてご覧に入れましょう。はっはっはっはっは」
園子の父、鈴木史郎は名探偵の小五郎が来てくれて安心だと煽てるので、彼は上機嫌そうに笑っている。
困ったな〜。全然、暗号解けてないんだけどな〜。
「アリスもありがとね〜」
「おおっ! 君が娘のクラスメイトの毛利探偵の助手か! 娘から話は聞いとるよ。一人でも事件をいくつも解決してるとは。大したものだ!」
「ありがとうございます。すべて先生の教えの賜物ですが、あたしも微力を尽くさせていただきま〜す♡」
史郎はあたしの手を握りながら褒めてくれたので、目一杯の笑顔で頑張ると宣言した。
彼は友達のお父さんだし、いい印象を持ってもらいたい。
「うんうん。頼もしい。これなら家宝も安心して展示できるな」
「相変わらずのぶりっ子キャラ」
「えへへ」
普段の学校での態度との違いを指摘する園子に対してあたしは笑って誤魔化す。
自分は毛利探偵事務所の広報みたいなものだから、愛想が大事なのよ……。
あたしたちが
犯行予告は翌日なもののその時間がわからないため前日から泊りがけで警備にあたっているとのことだ。
「
ここの警備の責任者である茶木警視は大声で川の警備に人員を割こうとしていた。
なぜなら予告状に“波にいざなわれて”とあり、この周囲で波が立ちそうなのが提無津川だけだからとの理屈のようだ。それは、ちょっと安直だし根拠が薄い気がするけど……。
「ぶわーはっはっ」
そんな茶木警視の推理を聞いた小五郎は馬鹿にしたように吹き出した。
おおー、珍しい。小五郎が他人の推理を笑うなんて……。
「き、君は毛利小五郎。何がおかしいというのだ?」
「警視殿も甘いですな。波といえば海……海といえば沖……そして星といえばスター……。すなわち、予告状がさすのはアイドルの沖野ヨーコちゃん。彼女はコンサートのラストで必ず“ムーン・レディ”を歌う。すなわち月が分かつときとは、ライブが終わった4月1日の夜9時ごろ。怪盗1412号はその時間帯に米花公会堂のある方角から現れるということです!」
なんだろう。時々、小五郎のこのブレなさ加減がすごいと思ったりする。
どうやったら、こんな発想に行き着くのか……ある意味凄い。
沖野ヨーコが絡んで来るなんてあたしには想像も出来なかったよ……。
「せ、先生……、見事な推理ですが……」
「なるほど! 確かに一理あるな!」
「さすがは名探偵! 見事な推理!」
あたしが小五郎のフォローをする前に茶木と史郎が彼の推理を絶賛する。嘘でしょ……。
いつの間にか小五郎の名探偵像が独り歩きしてアホな意見も名推理に聞こえるようになってしまったみたい……。
まっ、あたしも暗号が解けてないから、しばらくは遊ばせておくか。最悪、あたしだけでも彼に辿り着けば良いんだし。
「ね、綺麗でしょ? ブラックスターは」
「園子ちゃん? そ、そうね。魅力的な宝石だと思うわ。ん?
園子に促されるようにして、改めて
――そのとき、あたしは閃く。この暗号が示していたその意味に。
「どーしたの? アリスちゃん、急に」
「方向を確かめてるのよ。楽しい夜にするために、ね」
「……?」
なるほど。そういうことか……。怪盗キッドも手の込んだ暗号を作るものだ。
それなら、彼は必ずあそこに現れる――。
◆ ◆ ◆
「こんな夜更けに出かけるの? もう23時過ぎよ」
「ちょっと怪盗キッドに会ってくる。哀ちゃんも一緒にどう?」
「パス。興味ないし。それじゃあ、暗号は解けたのね」
あたしは出かける準備を終えて、哀を怪盗の見物に誘ったが断られる。
まぁ、彼女は人前にあまり出たがらないから仕方ない。
「うん。“月が二人を分かつ時”っていうのは人工衛星と太陽の間に月が入る時……つまり、怪盗1412号が来るのはBS放送が中断する深夜12時半から4時半の間だとあたしは推理したわ(※補足――この時代は、日食現象のせいで深夜の放送が休止されることがあった)」
時間帯についてはかなり範囲が広がるけど、とりあえず深夜の内にやって来ることは確定している。
「で、場所は?」
「
怪盗キッドはハングライダーで空を飛ぶ。つまり、ホテルの屋上から空を飛んで博物館を目指そうとするに違いない。
「随分と洒落た暗号だと思ったけど、蓋を開けるとロマンの欠片もないわね」
「えーっ、センス良いと思うけどなー。じゃあ行ってくる」
あたしは正直言って怪盗キッドのセンスに脱帽しているのだけど……哀には伝わらないのかしら……。
どうやってこんな格好いい文章を書いてるのだろう。
「気をつけなさいよ。泥棒なんか無理して捕まえてもあなたに何のメリットも無いんだから」
「キャー、哀ちゃん心配してくれるんだー♡優し〜〜い♪」
「もう、二度と心配しない……」
心配してくれる哀をムギュっと胸に押し付けながら抱きしめると、ムッとした表情の彼女に毒づかれた。
哀ちゃん成分補給したし、怪盗さんを捕まえに行きますか!
「おー、本当に来た♪」
「やぁ、お嬢さん。こんな所で何をしているのかな?」
ホテルの屋上でしばらく待っていたら、本当に白いマントとスーツとシルクハットでモノクルを付けたファッションの怪盗が現れた。
泥棒とは思えないくらい目立っているわね……。でも、全くスキがない……。
「やだー、あなたに会いに来たに決まってるじゃない。わざわざ
「これは失礼。まさかあなたのような可憐なお姫様が招待に応じてくれるとは思いもよらなかったもので。で、お姫様のお名前は?」
あたしが彼を待っていたと告げると、怪盗キッドはむず痒くなるようなキザなセリフを投げかける。
いやー、あたしのことお姫様だって。正直なんだから〜♪
「藤峰愛梨寿、探偵の助手をやってるわ。見て見て〜〜。ほら、色々と買ってきたのよ。ポテチに、チョコに……、ジュースもほら。コーラとかサイダーとか。アルコールはごめんね。あたし、未成年だからさ」
「おいおい。パーティーでも始めるつもりかよ……」
キッドの前であたしはお菓子とジュースを広げると、彼は呆れたような口調になった。
あれま。ポテチの“のり塩”と“コンソメ”は好みじゃなかったかしら……。
「うん♡楽しいパーティーにしましょう。二人きりも良いけど、やっぱり――」
「……っ!? 花火?」
「大勢で集まった方が楽しいわよね? あはっ! ヘリコプターもこっちに気付いたみたいよ。怪盗さん♪」
あたしがお菓子の中に紛れさせていた打ち上げ花火を点火させると、ヘリコプターがこちらに向かってくる。
これで、警察たちもキッドがここにいることに気付くはずだ。
「……やり辛いな。どこまで本気なのか掴みどころがねぇ」
「そう? あたしって単純な方だと思うけどな。まさか、パーティーに来て早々逃げ帰ったりしないわよね?」
「ふっ……」
あたしが逃げないかどうか尋ねると彼は不敵に笑う。
逃げだす瞬間に麻酔銃を撃とうと思ってたけど、そんなに単純にはいかないか……。
彼は懐に手を入れるとおもむろに何かを取り出した。こ、これは……。
「無線……?」
「こちら、茶木! 杯戸シティホテルの屋上に怪盗キッド発見! 米花町、杯戸シティホテル周辺パトロール中の全車両及び、上空のヘリ部隊に告ぐ! 直ちに現場へ向かうように!」
「え〜、ワシだ。中森だ。杯戸シティホテル内を警戒中の各員に告ぐ。キッドは屋上だ。直ちに捕えろ!」
キッドは茶木警視や中森警部の声マネをして、付近の警官をすべてこちらに呼び寄せた。
うわぁ……。やっぱり、この人は他の犯罪者と違ってスペックが桁違いだ。
「すご〜〜い。どんな声帯してんのよ。でも、分かんないわね。ただの下見でわざわざ警察さんたちを集めるなんて」
「へぇ……、今回は下見ってことまでわかってるんだ」
「だって、今日は嘘つきの日だもん。あの予告状には一文、一文に全部意味があった。最初のエイプリルフールだけ無意味ってわけがないもんね。ねぇ、あれどうやって作ってるの?」
そう。今回のキッドは本気じゃない。エイプリルフールにちなんで嘘の予告状を出したのだ。
嘘の予告状を出した理由――恐らく目当ての宝石が偽物だからじゃないかしら……。
「手取り足取り教えてやりてーけど。ほら、パーティーのゲストがやって来たぜ。中森警部、お早い到着で」
「怪盗キッド! 今日こそお前を逮捕する!」
キッドがホテルの屋上の出入り口に顔を向けると中森警部が部下を引き連れて入ってきた。
警部は拳銃を向け、警官たちがキッドを取り囲む。
うーん。どうやって逃げ出すつもりだろう? 彼のことだから絶対に逃げちゃうんだろうな。
「お姫様の言うとおり、今日の予告状はエイプリルフールの嘘。それじゃあ、また会いましょう」
キッドはハングライダーを用意して、退散することをあたしたちに告げた。
ますます、わからないわ。それなら、なぜこのような――。
「かかれい! やつを飛ばすな!」
「せ、閃光弾!?」
キッドは警官隊が突っ込んできた絶妙のタイミングで閃光弾を放ち、あたしたちの目をくらませる。
あちゃー、そうきたか。何も見えない……。
「探偵のお姫様、知ってるかい? 怪盗は鮮やかに獲物を盗み出す創造的な芸術家だが、探偵はその跡を見て難癖をつける批評家にすぎないってことを――」
「批評家かぁ。そうかもね……。でも、楽しかったわ。次はもっとおしゃべりしましょう」
キッドはあたしたち探偵を批評家だと断じて、姿を消してしまう。
そして、いつの間にかあたしの手元には彼からの予告状があった――。
“4月19日 横浜港から出港するQ・セリザべス号船上にて本物の漆黒の星を頂に参上する 怪盗キッド”
ふふっ、面白いわね。これはあたしへの挑戦状ってことかしら――。
キッドのマジックはマジでチートすぎる。
何気にこの暗号をバッチリ解いてる中森警部って目暮とかよりはよほど有能な人なんですね〜。