工藤新一に転生したけど、薬を飲まされて女子高生になっちゃった   作:ストロングゼロ

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アイドル密室殺人事件 前編

「藤峰愛梨寿です。変な時期の転校とはなりましたが皆さんと仲良く出来るように頑張りま〜す」

 

「うわっ! 転校生って聞いてたけどすげー可愛いじゃん」

「アイドルみてーだな」

「彼氏とかいるのかな?」

「こりゃ今度の裏人気投票の順位は入れ替わるぞ」

 

 帝丹高校の2年B組に転校したあたし。この制服可愛いじゃない。気に入っちゃった。

 転校生って、やっぱり目立っちゃうわよね。何か変なこと言わないように気を付けないと。

 

 

「あっ! 蘭ちゃん! 同じクラスじゃん。良かった〜。あたしって人見知りだからさ。知り合い居なくて不安だったのよね〜」

 

「そ、そうは見えないけど……」

 

「あはは、今日から学校でもよろしくね」

 

 あたしは蘭が同じクラスなのは新一の記憶があるから、もちろん知ってたけど素知らぬフリにして挨拶した。

 転生して高校にも入っちゃった。完全に新しい自分としての生活がスタートしたわね……。

 

 

 

 

「あー、びっくりしたぁ。あんなに質問攻めに逢うなんて考えてもみなかった」

 

「そりゃ、アリスちゃんみたいな可愛い子が転校してきたら男子が盛り上がるのは仕方ないよ」

 

「あら、そう? モテ期来ちゃったかな〜」

 

 あたしは休憩時間に男子たちの質問攻めに遭っていた。やれ、彼氏はいるのとか、好きなタイプとか――まぁいろいろと知りたがるわね、男の子って……。

 確かに今の自分のビジュアルは美人になったと思うけど、露骨なんだな〜男の人って。

 

「ねー、藤峰さんってどうして蘭と知り合いになってるの? あっ! 私、鈴木園子。蘭の親友」

 

 放課後に蘭と話をしていたら、クラスメイトで蘭の一番の親友である鈴木園子に声をかけられた。

 彼女は蘭とあたしが何故知り合いなのか気になるらしい。

 

「よろしく。園子ちゃん。あたしのことはアリスちゃんって呼んでいいよ〜。――ええーっとね。あたしはこのクラスの工藤新一くんと親戚で、その関係でこの前知り合ったのよ」

 

「へー、あんた蘭の未来の旦那と親戚なんだ。だったら、将来的には蘭とも親戚になるのね」

 

 あたしが蘭と知り合った経緯を話すと園子は面白いことを言う。

 そっか、あたしが新一自身でもあるから考えもしなかったけど、そういう見方も出来るわね。

 

「そうそう。その予定なんだ〜。結婚式の友人代表のスピーチは一緒に考えてくれると嬉しいかな」

 

「あはっ! 面白いじゃん。じゃあ、今から考えちゃう? 高校のときから蘭は新一ラブが丸わかりでしたって」

 

「ちょっと、アリスちゃん! 話を飛躍させないの! 園子も悪ノリしないでよ」

 

 あたしと園子が一緒になって蘭を冷やかすと、彼女は満更でもない表情で会話を止めようとする。

 でも、想像したんでしょう? 顔に書いてあるわよ。

 

「なぁに、別にいいじゃない。こうやって新しくクラスメイトとなった子と交流を深めてるんだから」

 

「うん。交流、交流♪」

 

「なんか、この二人性格似てるような気がする……」

 

 あたしと園子はノリが似ているからなのか、すぐに仲良くなった。

 明るくてムードメーカーな彼女はとっても良い子だ。もう好きになっちゃった。

 

 

 

 

 

「へぇ〜、蘭のところのおじさまの助手にねぇ。蘭の前だから言いにくいけど、目標にする人間違えてない?」

 

「園子、本当に言いにくいと思ってるならストレートに言わないでよ」

 

「にゃはは、ごめんごめん」

 

 園子はあたしが小五郎の助手ってところに違和感を感じてるみたいだ。

 いや、確かにあのポンコツな小五郎を名探偵にする無理ゲーは好んでやるもんじゃないのはわかっているけど……。

 

「もーう。でも、ごめんね。やる気になってくれてるのに、なかなか依頼が来なくて」

 

「ううん。全然問題ないよ〜。一緒にご飯作ったり、勉強したりするの楽しいし。それに――先生はきっと有名な名探偵になる人だから。いくらでも待てるよ」

 

 それでもあたしは知っている。小五郎は行く先々で事件に見舞われることを。

 まぁ、あれはコナン君のせいかもしれないんだけど……。だとしたら、あたしが事件遭遇体質まで引き継いでいるってこと? そんなの嫌すぎるんだけど……。

 

「お、お父さんが有名な名探偵に? まさか〜」

 

「おじさまのことそんなに買ってるんだ。じゃあ今日も蘭の家に行くの?」

 

「そうだよ。だって、いつ依頼がくるか分からないもん」

 

 あたしはあれから毎日蘭のところに通って依頼が来るのを待った。今日も当然行くつもりでいる。

 

「なんか通い妻みたいね。蘭ったら、旦那だけじゃなくて、奥さんまで作るつもり〜?」

 

「「――へっ?」」

 

「……んっ? なんで、あんたたち顔を赤くしてんのよ?」

 

「べ、別にその、あ、あたしは蘭ちゃんに会いに行ってるわけじゃ……」

「そ、そうよね。アリスちゃんはお父さんの助手で……その……」  

 

 あたしと蘭は園子の発言を聞いて、顔を真っ赤にする。

 確かに最近は事件というより蘭と勉強したり雑談したりすることが楽しくなっていた。

 でも、ダメだから。この気持ちは封印しなきゃ……。

 

「本当にどうしちゃったの? ――じゃあ私も今日は蘭の事務所にお邪魔しよーっと。もしかしたら、アリスの探偵助手姿も見れるかもしれないしね」

 

「そんなに都合良く依頼人が来るかな〜」

 

 園子はあたしが探偵助手をしている姿を見たいと言ったから、今日は女子3人で毛利探偵事務所に向う。

 依頼人来るかな……? 前は半年間来なかったらしいけど。

 

 

 

 

 

 

「あ、あなたは〜〜! お、沖野ヨーコちゃんッ!」

 

「来たわね。依頼人」

「まさか、アイドルが来るなんて」

「先生、デレデレしてる」

 

 夜になって、あたしと園子が帰ろうとしたとき、何とアイドルの沖野ヨーコが依頼人としてやってきた。

 この人は何回も漫画で出てきたはずだから、主要人物に入るのかしら……。とにかく事件に巻き込まれても犯人では無いことは確かね。

 

 すっかり舞い上がっている小五郎がヨーコに依頼内容を聞くと、何と最近彼女は様々なイタズラに悩まされているみたいだ。

 

 

「家具の配置が変わってて、隠し撮りに無言電話。そんなの間違いないわ。ストーカーよ、ストーカー」

 

「だとしたら、女の敵ね」

 

 園子はヨーコの話を聞いてストーカーだと決めてかかっていた。

 普通に考えれば、そんな気持ちの悪いことするのはストーカーだもんね。

 

「でも、執着されて愛されるのもいいわよね。もちろんイケメン前提で」

 

「園子! 被害に遭ってる人の前で不謹慎よ」

 

 園子のぶっ飛んだ恋愛観に蘭は呆れながらヨーコに気を使うように注意する。

 彼女は恋バナ好きだもんね。あたしも嫌いじゃないけども。

 

「うーん。ストーカーじゃなくて、ただの嫌がらせって線もあると思うわ。ヨーコさん、失礼ですが、最近誰かの恨みを買ったりしたことに心当たりはありますか?」

 

「う、恨みですか? いえ、特にはありませんが……」

 

 あたしは恨みで嫌がらせをされた可能性も考えて、彼女に心当たりを聞いたが不発だった。

 そのうえ、そんな質問をしたもんだから、小五郎が嫌な顔をする。

 

「こらぁ! アリス! こんなに可憐で美し〜〜いヨーコちゃんが恨みを買うわけないだろう!」

 

「で・す・よ・ね〜〜♡失礼しましたぁ♡」

 

 小五郎に怒られたあたしは鏡の前で練習した可愛い笑顔を作って誤魔化す。

 大体、こんな声を出して謝れば小五郎は許してくれるし……。

 

「変り身はやっ! すごいぶりっ子するじゃん」

 

「えへへ」

 

 速攻で小五郎に媚を売るような態度を見せると、園子は呆れ顔をする。

 だって、この人にへそ曲げられたら困るし、扱いやすくしときたいんだもん。

 

「あのう。この件は内密にお願いできますか? ヨーコの今後に関わるので」

 

「お任せください! この名探偵・毛利小五郎が必ずや解決してみせましょう。それでは、この書類に住所と電話番号を――」

 

 マネージャーの山岸が内密にこの件を処理したいと伝えると、小五郎は胸を張って依頼を受けるとして、書類を手渡していた。

 沖野ヨーコの依頼だもん。大ファンの彼にとっては絶対に解決しなきゃいけない事件だ。彼もやる気満々なんだろう。

 

「おじさま、ちょっと頼りになる感じじゃん。意外〜〜」

 

「そりゃ、仕事なんだからお父さんだって真面目にやるよ」

 

 いつになく真剣な小五郎を見て、園子は感心したような声を出し、蘭はそれを当然だと言った。

 うーん。それはどうかな〜〜。

 

「あと、この色紙にサインを! “小五郎さん”へを忘れないで!」

「ああーん。先生だけずるいですぅ。あたしにもお願いしまーす。“アリスちゃん”へって書いてください♪」

「おっ! アリスもヨーコちゃんのファンか? わかってるじゃねーか!」

「あたし、可愛い女の子大好きなんですぅ」

 

 あたしと小五郎はヨーコにサイン色紙をもらった。

 実はあたしはアイドルが大好きだ。だから、ヨーコのサインは本当に欲しかったのである。

 

「「…………」」

 

「ねぇ、蘭。大丈夫なの? あの二人で」

「あ、アリスちゃんは、お父さんに合わせてるだけ……だと、思う。多分……」

 

 こうして、ヨーコからの依頼を受けた小五郎とあたしたちは彼女のいるマンションへと向かった。

 マネージャーの山岸の案内によって――。

 

 

 

 

 

 

 

 

「うはぁっ! ここが沖野ヨーコちゃんのお住いですか〜〜!!」

 

「こ、困りますよ。毛利さん。ヨーコがここに住んでいることは秘密なんですから……」

 

 ヨーコの住むマンションに着いて、興奮の余り大声を出す小五郎に山岸は注意する。

 そりゃあそうだ。アイドルが家バレなんて洒落になんない。引っ越さなきゃいけなくなる。

 

「……し、静かにするんだぞ。お前たち」

 

「はーい♡」

「私たち何も言ってないじゃん」

「お父さんったら……」

 

 それを聞いて、あたしたちに小五郎は注意した。園子はムッとしていたけど、これくらいで目くじら立ててたら彼の助手はやってられない。

 

 

「では、中で話を改めて聞いて――――ッッッッ!? きゃ、きゃああああ!!」

 

 ヨーコが自分の家の鍵を開けて中に入ろうとしたとき、彼女は腰を抜かして悲鳴を上げた。

 こ、これはまさか――事件!?

 

「どうした!?」

「何があったの? あっ――!? ひ、人が倒れてる……!」

 

 小五郎に続いてあたしもヨーコの家に入ると、男の人が背中から血をダラダラ流して倒れていた。

 うわ……、これは死んでるな。何に驚いてるって人が目の前で死んでいることを冷静に受け止めている自分にだ。  

 以前なら絶対に昼食べたものを戻している。これも新一の体になった影響なのか……。

 

「警察だぁ! アリス! 警察を呼べ〜〜っ!!」

 

「は、はい! 先生!」

 

 あたしは小五郎の言葉に従って警察に通報した。

 これがあたしにとって初めての殺人事件の捜査となる――。

 

 

 

 

 

「では、帰ってきた時にはすでにこの男は殺されていたと?」

 

「はい……」

 

「で、その時いっしょにいあわせたのが……」

 

「わたくし、毛利小五郎であります♪ 目暮警部殿!」

 

「よりによって、君か……」

 

 現れたのはお馴染みのキャラクター、目暮警部。

 色んな警察のキャラクターはいるけど、この人がダントツで登場する回数が多いだろう。

 目暮警部は小五郎が現場に居合わせたことに対してすごく迷惑そうな顔をしていた。

 

「いやぁ懐かしいですなぁ! 警部殿と追った事件の数々!!」

 

「あぁ……、おまえが部下だったおかげでほとんどが迷宮入りになったがな……!」

 

 そうそう。小五郎って元警察なんだよね。迷宮入りになったのって彼のせいみたいに言うけど、目暮警部もそんなにレベルは変わらないような気もしなくもない。

 下手したら小学生の光彦とかよりもヤバいときあるし……。

 

「まぁ! あなたが目暮警部さんですね。噂は聞いておりますわ。会えて光栄です」

 

「君は誰かな? 蘭くんの友人かね?」

 

 しかし、目暮警部は小五郎を名探偵にするにあたって重要な人物だ。あたしの印象を良くしておくに越したことはないだろう。

 あたしは目一杯愛想を良くして彼に話しかけた。

 

「あ、はい。毛利先生の助手をしています。藤峰愛梨寿です! 警部さんのお話は親戚の新一から聞いておりまして――」

 

「おー、工藤くんの親戚か。確かに彼の母親の有希子くんに瓜二つだな。しかし、毛利くんの助手になるとは……付き合う相手を選んだ方が――」

 

「いえいえ、先生は名探偵ですよ。警部さん。きっとこの事件を解決してみせます」

 

 とりあえず、新一と親戚関係というのは悪くない印象みたいだ。

 小五郎の助手というのは、園子と同様に変な顔をされるけど。ううむ……、いつかあの“名探偵の助手とは〜!”くらい言われるように頑張らねば。

 

「うーん。毛利くんが名探偵……想像できん……。――それにしても暑いですなぁ! いつもこんなにエアコンを強く?」

 

「いえこんなには……、それに出かける時ちゃんと切ったはずなんですけど……」

 

「そりゃあ、妙ですな……」

 

 そう、入ったときから気付いていたけど、この部屋はエアコンが効きすぎていてとても暑い。

 でも、ヨーコによればエアコンは切っていたみたいだ。

 

「妙なのはそれだけじゃないんですよ。わずかですが死体のまわりに濡れた後があります。雨が降っていたわけでもないし、不自然です」

 

「そしてこの椅子も変なんですよ。荒らされた室内でこれだけがきちんと立ってますから……」

 

「さらに暑すぎるこの部屋……、死亡推定時刻を狂わせるためなのか……、いいえ、それなら冷やしたほうが効果的――ですよね? 先生♪ さすがは先生、ひと目現場を見ただけでこんなに違和感に気付くなんて」

 

 あたしはとりあえず現場で感じた違和感を並べて小五郎にパスを回す。

 あくまでもあたしは彼のサポート。彼に事件を解いてもらわなきゃならないのだ。

 

「えっ? 違和感? そ、そうだな。この部屋は不自然すぎる! このあたりの謎が事件解決の糸口になりそうだ!」

 

 小五郎はわからなくてもノリだけは良い。だから、彼は最初から知ってましたって顔をしてくれた。

 うんうん。この調子、この調子……。

 

「ほう、毛利くんがこれだけ熱心に仕事をするとは思わなかった――。で、死因はわかったかね?」

 

「死因は包丁が背中に刺さったことによる出血ですね」

 

 当たり前だけど、死因は見たまんまだった。包丁で被害者は背中を刺されて死亡したのだ。

 

 

「あの包丁はあなたのものですか?」

 

「え、ええ……」

 

 警部は当然、家主であるヨーコを疑っている。

 あたしはとりあえず漫画でずっと登場してるヨーコは犯人ではないと除外しているけど……。

 まぁ、理由はそれだけじゃない。最初からヨーコとマネージャーの山岸は犯人じゃないってあたしは思っている。

 

「まさかヨーコを疑って……!?」

 

「被害者に見覚えは?」

 

「あの、もっと近くで見ないと……。――あっ!? うわぁぁぁぁっ!」

 

 なぜかヨーコに対する質問に山岸が答えて、彼は死体に近付き、血だまりに足をとられ転んだように見えた――。そして、死体と顔を合わせて驚いて離れたようにも……。

 

 だけど――。

 

「山岸さ〜ん。ポケットから落ちましたよ〜。あなたが遺体から抜き取ったものが。ちゃんと、ハンカチを使って拾ってっと」

 

「山岸さん、ポケットの中身を見せてもらえますか?」

 

「うっ、うう……」

 

 山岸は死体が掴んでいた髪の毛を転んだフリして抜き取ったのだ。

 あたしは彼がそれをポケットに入れたのを見逃さなかった。だって、不自然すぎる動きなんだもん。

 

「この長い茶髪は……、沖野ヨーコさん。あなたの髪の毛では?」

 

「えっ?」

 

「そして、この部屋は密室だった。となると犯人はこの部屋の主――。被害者と揉み合いになり、刺した瞬間にあなたは髪を掴まれ何本か髪の毛が抜き取られたのでしょう。この髪の毛があなたの犯行を示す証拠です」

 

「そ、そんな私――人殺しなんか……」

 

 警部は確信しているようにヨーコを犯人扱いする。

 被害者が彼女の毛髪を掴んでいるから犯人だと決めつけたのだ。

 まぁ、一見そのように見えなくもないけど、警部の推理は間違っている。その毛髪はヨーコを犯人だと指し示してはいないのだ。

 

「そーですよ。警部殿! こーんなに、可愛くて可憐なヨーコさんが人殺しなんかするはずないでしょ!」

 

「あ、そう……。そもそも、君の助手が髪の毛を発見したのだが……」

 

「アリス! お前はなんて余計なことを!」

 

 警部は自分の助手がヨーコ犯人説のアシストをしたと、彼女を擁護する小五郎に伝えると彼はあたしに悲壮感が漂う声で怒鳴った。

 小五郎は沖野ヨーコの大ファンだから、その反応は仕方ない。

 

「も〜〜う。先生ったら、そろそろ教えて差し上げてもいいじゃないですかぁ♡その、髪の毛こそ可愛くて可憐なヨーコさんの犯行を否定するって」

 

「はぁ?」

 

「なになに、面白いこと言ってるじゃん。アリス」

「その髪の毛がヨーコさんの犯行じゃない証拠なの? アリスちゃん」

 

 あたしは被害者が掴んでいた毛髪こそ、ヨーコの無実を指し示すアイテムだとみんなに伝えると、園子と蘭は興味深い顔をした。

 どうでもいいけど、この二人もよく死体が転がっているこの空間で平気な顔してるわね……。あたし、今日はハンバーグ食べられないわよ。

 

「じゃ、蘭ちゃんと警部さんに協力してもらいましょう。蘭ちゃんは髪の毛の長さがヨーコちゃんと同じくらいだし、警部さんは体格が被害者に似ているから」

 

「「……?」」

 

 あたしは事件を再現してみようと提案した。犯人役を蘭に、被害者役を目暮警部に頼んで……。

 

「例えば、このあたしの丸めたハンカチが凶器だとするでしょ? で、蘭ちゃんはこの事件と同様に警部さんの背中を刺してみて、ゆっくりと……」

 

「こう?」

 

 蘭は首を傾げながら警部の背中にハンカチを押し当てた。

 さて、ここからが重要だ。

 

「はい、警部さん。蘭ちゃんの髪の毛を触ってみてください」

 

「えっ? あ、あれ? 手が届かない。これは無理だ」

 

 実際に再現してみるとわかりやすいが、背後から刺されて髪の毛を掴んで倒れるなんて芸当は無理だ。

 手が常識離れして長いなら別だけど……。

 

「でしょ? だから変な話なんです。死体がヨーコさんの髪の毛を持っているのって。まるで、誰かがヨーコさんを犯人にしようとしてるみたいです。ええーっと、これで、いいですかぁ? 先生」

 

「そ、そうだ。ヨーコさんは嵌められているんだ。彼女を罠に嵌めた人物こそ、この事件の犯人!」

 

 あり得ない毛髪を被害者が持っていたということは誰かがヨーコを犯人に仕立てあげようとしている証拠だ。

 彼女は誰かの悪意によって、犯人にされるところだったのだ。

 小五郎はあたしに話を振られて彼女を嵌めようとした人物が犯人だと言ったけど、そのとおりだと思う。

 

「そもそも、ヨーコさんと山岸さんは名探偵の先生に相談に来て、自らこの部屋に招いたのですよ?」

 

「そういえば……。警部殿! この二人が犯人なら死体がある部屋に私をわざわざ入れるはずがありません」

 

 ついでに言っておけばヨーコと山岸が犯人ならあたしたちをわざわざ死体のある部屋に何食わぬ顔して招き入れるなんてあり得ない。

 絶対に何かしら犯人ではないとする理由を作ってから死体と対面させるはずなのだ。

 

「う、うむ。珍しく筋が通っていることを言う……。しかしだなぁ、毛利くん。この密室の謎がわからんことには――」

 

「ねぇ、ヨーコさん。この部屋の合鍵とかってないのですか?」

 

 警部はまだこの部屋に鍵がかかって密室だったことに違和感を覚えてるらしい。

 だから、あたしはこの部屋に合鍵がないかどうかヨーコに尋ねた。

 

「合鍵……ですか? あるにはあるのですが、山岸さんが最近テレビ局の楽屋で無くしてしまったみたいで……」

 

「そうですか〜。じゃあ、もし無くしたのではなくて、盗まれたのでしたら――その合鍵を持つ人物はこの部屋に入ることができますね〜。あと、このイヤリングはヨーコさんのものですか? そこのソファの下にあったのですが」

 

 合鍵は山岸が持っていたけど、テレビ局で無くしたらしい。それは早く言って欲しかったし、マネージャーなら鍵をその時点で取り替えるように手配すべきだったわね……。

 それと、同時にあたしはさっきソファの下で見つけたイヤリングを彼女に見せる。

 

「い、いえ。これは――ゆう子さんのイヤリングだったと思います」

 

「そ、そういえば、その池沢ゆう子はヨーコに仕事を取られたって恨んでいたような……」

 

「警部殿〜〜! 間違いありません! その池沢ゆう子をここに呼び出してください!!」

 

 ここに来て新たな人物の名前が浮上する。彼女の名は池沢ゆう子。人気の女優さんだ。

 小五郎はすでにゆう子を犯人だとして、警部に彼女を呼び出すように声をかけている。

 

 彼女の登場によってこの事件は真相に近付くことになった――。

 

 




とりあえず帝丹高校に入学させて、園子を前倒しで出してみました。原作の彼女が眠らされて事件を解決するパターンのやつが好きで、この作品を作るきっかけになってたりします。
ちなみに原作では蝶ネクタイ形変声機が初登場ですが、アリスはまだ変声機を手に入れてません。

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