ドラえもんのび太の第四次聖杯戦争   作:テキーラ11

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第1話「大英雄降臨」

のび太とドラえもんは自由研究の為、太古の地球へ訪れていた。

 

様々な恐竜を観察し、そろそろ帰ろうかという時、大規模な時間乱流が発生する。

 

木にしがみついて難を逃れようとしたが、それも叶わず、のび太とドラえもんは時間乱流に飲まれてしまった。

 

揉みくちゃにされ気絶する2人だったが、運が良いのか悪いのか、出口へと投げ出された。

 

「うーん....はっ!ドラえもん!ドラえもん!大丈夫!?」

 

「うー....はっ!のび太君!怪我とかはない!?」

 

2人は気が付けば、互いの身体を心配し始める。

 

「僕は大丈夫。のび太君の方は?」

 

「僕も怪我や痛いところはないよ。それにしても....ここは、どこだろう?」

 

のび太とドラえもんが周りを見渡すと、そこは光だけがあり、白くて何も無い、だだっ広い場所だった。

 

「分からない....空気は大丈夫そうだし、少し歩いてみようか。」

 

ドラえもんの提案で、一帯の散策が始まる。

 

「ドラえもん、こっちにはなんにも無かったよー!」

 

「のび太君!こっちの方に良くは分からないけど、出口らしきものがあるんだ!」

 

およそ1時間程散策した結果、ドラえもんが何かを見つけた様だ。

 

「ここなんだけど....誰かが呼んでる気がするんだ。」

 

「本当だ....誰かが、助けてって叫んでる気がする....!?ど、ドラえもん!誰か来た!」

 

のび太とドラえもんが話をしていると、のび太が周りを見渡しながらそう叫ぶ。

 

「え、誰もいないよ?どこにいるの?」

 

「僕にも分かんない!でも、いるんだよ!」

 

どうやら妖精すらも見る事の出来る優しさを持ったのび太は、何かを感じ取った様だ。

 

「わかった。のび太君を信じるよ。ちょっと待って....」

 

のび太の訴えにドラえもんは頷くと、四次元ポケットを探り出す。

 

「純真な目薬〜!!」

 

ドラえもんが高らかに取り出したのは、純真な目薬というひみつ道具だった。

 

この純真な目薬は、目に見えないものを見えるようにする効果がある。

 

2人が目薬をさすと、そこには漆黒の鎧に身を包んだ、190を超える大柄の男がいた。

 

漆黒の鎧に身を包み、髪は長く美男に相応しさを持つ整った顔だったが、思い詰めた様に立ち尽くしていた。

 

「王よ....何故私を罰して下さらなかったのか.......狂えるなら....一時でも、この感情を忘れられるなら....私は----」

 

「「.---じょう....すか....大丈夫(ですか)!?」」

 

男が光に向かい飛び込もうとした時、2人の声に気付き振り返る。

 

「え....君たちは....英霊....なのか.......?」

 

「英霊.......?ぼ、僕は野比のび太。こっちは....」

 

「僕、ドラえもんです。大丈夫ですか?すごく、思い詰めた顔をしてましたけど.......」

 

のび太達は、男の問いに疑問符を浮かべながらも自己紹介をする。

 

「あ、ああ....私は、ランスロットという。」

 

のび太達の自己紹介を受け、釈然としないながらも自己紹介を返すランスロット。

 

「君達はどうやってここへ.......?」

 

核心をつくようにそう問掛けるランスロット。

 

「実は....」

 

ランスロットの問いに、包み隠さず事の経緯を話すドラえもん。

 

「.............」

 

ランスロットはドラえもんの話を聞き、思考する。

 

(彼等の話が本当だとすれば、英霊では無いという事か.......私の姿が見えるのはともかくとして、彼等の姿が見えるのは、霊体ではないから.......と、すれば彼等の話は本当の事なのだろう.......)

 

ここまで考えれば、のび太達の目を見ながら口を開くランスロット。

 

「....君達は、元の世界に帰りたいか?何を経験したとしても、帰りたいか?」

 

ランスロットの真剣な様子に、ゴクリと生唾を飲み込むのび太達。

 

「..........帰りたい。ママやパパ、ジャイアンやしずかちゃんやスネ夫、学校の皆にも会いたい!僕は帰りたい!ドラえもんもそうでしょ?」

 

「うん!僕も帰りたい!ドラミやセワシ君も心配だ!」

 

ドラえもん達の言葉を聞いて、ランスロットは覚悟を決めたように頷いて語る。

 

「ならば、この召喚に応えると良い。おそらく....君達なら、大丈夫だと思う。」

 

ランスロットの騎士としての心根が、自分の欲望よりものび太とドラえもんの助けとなる事を選んだ。

 

「良いの?ランスロットさん、行きたかったんじゃないの?」

 

のび太はランスロットの目を見ながら、問いかける。

 

「....行きたくないと言えば、嘘になる....君達へ、この戦いの場を譲るのに抵抗がない訳では無い....だが、子供等の心からの願いを踏み躙ってまで我欲を通す等.......それはもう騎士では無い....そして、私は騎士でありたい。故に、君たちに譲ろう。」

 

ランスロットは悲痛な表情を隠し、悲しげな微笑みを浮かべる。

 

「ありがとう、でもランスロットさんすごく辛そう....僕達に助けられる事は無い?」

 

ランスロットの覚悟を感じ取ったのび太は、それでも食い下がるようにそう問いかけた。

 

ランスロットはのび太の言葉や表情に、かつての自分の主君を感じた。

 

のび太の優しさや人としての在り方が、かの騎士王と重なったのだ。

 

「.......では....もし、この先で、アーサー王と出会ったのなら....何故、私を罰してくれなかったのかを聞いて欲しい....」

 

ランスロットは一息置くと、のび太にそう伝える。

 

「....分かったよ。必ず、伝えるね。じゃあ、行ってくる。」

 

のび太はランスロットにそう言い残すと、ドラえもんを連れて光の中へと消えた。

 

時間は少し遡り、所変わって、間桐邸。

 

その瞳に、加虐性と憎悪、そして、狂気を宿した老人間桐臓硯は愉快そうに目の前の青年を見つめる。

 

「ギリギリ間に合ったではないか、聖杯に選ばれたという事は、貴様もそれなりの術師として認められたという事だ、ひとまずは褒めてつかわすぞ雁夜…じゃがな、無様な姿よのぉ。」

 

見つめられた青年、名を間桐雁夜。

 

半死半生といった具合で、右半身は爛れて、時折蠢く事で、体内に蟲が巣食っているのが分かる。

 

「くっ.......」

 

「ほれ、左足はまだ動くのか?ん?ふふふふ.......」

 

臓硯は嬲る様に、杖で、足を刺激する。

 

「がっ....!?ぬぅぅぅっ.......!」

 

それに合わせ、苦悶の表情を浮かべながら、臓硯を睨む雁夜。

 

「ふははははっ、怒るな怒るな、体内の刻印蟲を刺激すれば、蟲が貴様を食い潰してしまうぞ?まあそれでもワシの見立てでは、貴様の命は、もってあと一月ほどだろな?」

 

睨む雁夜を嘲笑いながら、心底楽しそうに言う臓硯。

 

「.........十分だ。」

 

臓硯の言葉に吐き捨てる様にそう返す雁夜。

 

「何じゃと?」

 

意外そうな顔で、聞き直す臓硯。

 

「それで十分だと言ったんだ。」

 

「ハハハッ、雁夜、一年耐えた褒美じゃ、貴様に相応しい聖遺物を見つけておいたわ…父の親切を、無にするでないぞ?」

 

雁夜の覚悟を秘めた目を見て、嘲り笑う様にそう話す臓硯。

 

それから、雁夜にサーヴァント召喚の呪文を書いた紙を渡すと、覚えてくるように言い伝え去る臓硯。

 

次の日になり、ろくに眠れない雁夜は、呪文を頭の中で反芻しながら廊下を歩いていると少女に出会う。

 

希望を取り上げられ絶望の闇に髪と瞳を染め上げられた、壊れかけの少女、名を間桐桜、遠坂家より間桐家に養子に出された少女だ。

 

「はぁ....はぁ....桜....ちゃん....」

 

息も絶え絶えに、誰から見ても明らかに長くないであろうその姿でありながら、それでもなお苦痛を押し殺して笑みを浮かべる雁夜。

 

「....!?....雁夜おじさん....」

 

桜は雁夜の姿を視認すると、あまり表情を変えないが、驚いている様子だ。

 

「やぁ....桜ちゃん....びっくりしたかい?」

 

「うん....お顔....」

 

怯えた様子だが、それでもなお、雁夜を心配する桜。

 

「あぁ、ちょっとね、また少しだけ、また体の中の蟲に負けちゃったみたいだ…ふふっ、おじさんはきっと、桜ちゃんほど我慢強くないんだね.....ははっ....」

 

桜に心配をかけまいと、笑みを浮かべながら顔を触り、自嘲する雁夜。

 

「雁夜おじさん....どんどん違う人になって行くみたい....」

 

「っ....!....そうかも....知れないね....」

 

桜の呟きに少し心が乱されるも、苦笑いを浮かべながら返す雁夜。

 

「今夜はね、私、蟲蔵へ行かなくて良いの....もっと大事な儀式があるからって御爺様が言ってた.......」

 

蟲蔵とはその名の通り、間桐家の飼育する魔蟲を保管している蔵である。

 

桜は、間桐家の養子になったその日から、毎晩の様に魔蟲にその純血を奪われ、犯され、嬲られてきた。

 

その為、桜の目には、もはや希望の光は見て取れず、絶望の闇に染められているようだった。

 

「あぁ、知ってる....だから今夜は、代わりにおじさんが地下に行くんだ。」

 

「雁夜おじさん、どっか行っちゃうの?」

 

雁夜の覚悟を持った佇まいに、何かを感じ取り、そう問いかける桜。

 

「....これからしばらく、おじさんは大事な仕事で忙しくなるんだ.......こんな風に桜ちゃんと話していられる時間も.......あまり無くなるかもしれない....」

 

「そう.......」

 

桜の問いに、心配をかけまいとそんな嘘を吐く雁夜に、短くそう返す桜。

 

「なぁ桜ちゃん、おじさんの仕事が終わったら、また皆で遊びに行かないか?お母さんやお姉ちゃんも連れて....」

 

「お母さんやお姉ちゃんは.......そんな風に呼べる人はいないの、居なかったんだって思いなさいって、そう御爺様が.......」

 

雁夜が桜を少しでも元気付ける様にと切り出せば、桜は諦めた様にそう告げる。

 

「.......そうか.......」

 

雁夜は桜の言葉と表情に、いたたまれず、膝立ちになり片腕で桜の身体を優しく抱き締める。

 

「....おじさん.......?」

 

抱き締められた桜は、少し不思議そうに問いかける。

 

「.... じゃあ、遠坂さん家の、葵さんと凛ちゃんを連れて、おじさんと桜ちゃんと4人で、どこか遠くへ行こう、また昔みたいに.......一緒に遊ぼう。」

 

「あの人たちと.......また会えるの?」

 

桜は雁夜の言葉に、少し驚きながらそう聞き返す。

 

「.... あぁ、きっと会える、それはおじさんが約束してあげる。」

 

雁夜は口から零れそうな希望を与える言葉を必死に噛み殺しそう告げる。

 

死ぬかもしれない、負けるかもしれない、そういった想いから桜に無責任な希望を与えるべきでないと判断したのだ。

 

「..........」

 

しかし、それ故か、桜の心にはさほどの感慨も生まれなかった。

 

「....じゃあ、おじさんはそろそろ行くね?」

 

「うん....バイバイ、雁夜おじさん.......」

 

「はぁ....はぁ....はぁ....」

 

「.......バイバイ....」

 

桜の下を後にする雁夜の背中にさよならを告げる桜。

 

息を切らし、引き摺るように歩く雁夜に、もう会えないとばかりに、消え入りそうな声でもう一度、別れの挨拶をする桜。

 

雁夜が蟲蔵に入ると、既に臓硯が中で待っていた。

 

「召喚の呪文は、覚えてきたであろうな?」

 

「あぁ。」

 

臓硯のそんな問いに、短く肯定する雁夜。

 

「良いじゃろう、だがその途中に、もう二節別の詠唱を差し挿んでもらう。」

 

「.......どういう事だ?」

 

雁夜は臓硯の言葉に、疑問符を浮かべて聞き返す。

 

「なに、単純な事じゃよ、雁夜、お主の魔術師としての格は、他のマスター共に比べれば些か以上に劣るのでな、サーヴァントの基礎能力にも影響しよう....ならばサーヴァントのクラスによる補正で、パラメーターそのものを底上げしてやらねばなるまいて.......雁夜よ、今回呼び出すサーヴァントには、狂化の属性を付加してもらうかの。」

 

臓硯の言葉は一応は、雁夜の身を案じる風ではあるが、浮かべている笑みが、その態度が、雁夜を苦しめる事を愉しんでいると語っている。

 

蟲蔵の中には、血で綴られた魔法陣が描かれていた。

 

そして真ん中には触媒として、湖の騎士(ランスロット)が使ったとされる楡の枝が供えられていた。

 

だが、奇跡かはたまた偶然か.......運ばれて来る途中か、保存されていた場所でかは分からないが、楡の枝にはどら焼きの食べカスが着いていた。

 

雁夜は覚悟を決めると、覚えてきたものに、臓硯から伝えられた詠唱を加えて、召喚の義に取り掛かる。

 

「素に銀と鉄。 礎に石と契約の大公。

 

降り立つ風には壁を。 四方の門は閉じ、王冠より出で、王国に至る三叉路は循環せよ

 

閉じよ。(みたせ)閉じよ。(みたせ)閉じよ。(みたせ)閉じよ。(みたせ)閉じよ。(みたせ)

繰り返すつどに五度。ただ、満たされる刻を破却する

 

――――告げる。

 

汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に。

 

聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ。

 

誓いを此処(ここ)に。

 

我は常世総ての善と成る者、 我は常世総ての悪を敷く者。

 

されど汝はその眼を混沌に曇らせ侍るべし。

汝、狂乱の檻に囚われし者。

我はその鎖を手繰る者――。

 

汝三大の言霊を纏う七天、

抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ―――!」

 

雁夜が詠唱を終えると同時に、魔法陣の中心から眩い光が辺りを包み込む。

 

風が吹きすさび、ホコリを巻き込み、煙となって雁夜達の視界を塞ぐ。

 

しばらくして、煙が晴れると、そこには少年と青色をした二足歩行の狸の様な何かが立っていた。

 

「こんにちは、僕ドラえもんです。」

 

「僕は野比のび太。貴方が僕のマスターなの?」

 

時空を超え、世界を超え、宇宙を超え、次元を超えて.......

 

奇跡かはたまた偶然なのか、それを知る由はないが.......

 

なんにしても、ここ、冬木の地に、1機と1人の大英雄が降り立ったのだ。

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