ライダー達と合流し、お互いのマスターとの顔合わせをするドラえもん達。
方針としては、お互いに不戦を約束しとりあえずは干渉しないというものとなった。
そしてライダー陣営との顔合わせを終え、ドラえもん達は冬木ハイアットホテルへと赴いていた。
「本当にランサーさんのマスターの所に行くの?」
ドラえもんが雁夜を見据えながら、そう確認する。
「ああ。どうしても、気にかかる事があってな。」
この襲撃、もとい訪問は雁夜がドラえもんに提案した事だった。
「わかったよ。僕もケイネスには言いたい事があるんだ。」
のび太とドラえもんにとって、ケイネスの行いは許せるものでは無かった。
故にケイネスにいずれは一言文句を言うつもりであった為反対する理由も無かった。
「そうか、分かった。安全確認の為に俺の蟲達を先行させるぞ。」
そう言うと、蟲を放ち、ハイアットホテルを探索させる。
本来ならば、どこでもドアを使えば一瞬で行けるのだがスキルの影響で制限がかかっていた。
敵マスターへの接触は、相手の合意無しでは行えなかった。
そこで雁夜は探索蟲という、蜜蜂をベースとした蟲を放つ。
蜜蜂というのは非常に優れた嗅覚を持ち、またトンボほどではないが、5000の目を持ち優れた視野を持っている。
蜂という目立つ蟲の為潜入等には不向きだが、探索という分野においては非常に使い勝手が良かった。
予め潜入蟲が残していたフェロモンを辿り、比較的人目に付かないルートを通りつつ、探索していく。
「やはり、あったかっ......!」
雁夜は何かを見つけ、神妙な面持ちでそう言葉にする。
その頃、ランサー陣営はケイネスによるランサーへの叱責が行われていた。
「今宵は何故セイバーを仕留められなかった?......一度ならず、二度までも......更にこの私の令呪をそいだ上でもなお、だ。」
ケイネスのいびりにも取れる叱責に、沈黙したまま頭を垂れるランサー。
「......セイバーとの競い合いは、そんなにも楽しかったか?」
そんなランサーに、更に嫌味たっぷりにそう問いかけるケイネス。
「その様な事は...........騎士の誇りに賭けて、必ずや、あのセイバーの首はお約束致します。」
ケイネスの問いかけに、頭を垂れたままそう答える。
「改めて誓われるまでもない!!当然であろう!!貴様は私に聖杯を齎すと契約したのだ!!それを今更......たかだかセイバー1人に必勝を誓うだと!?一体何をはき違えている!!」
そんなランサーの態度が気に入らないのか、他のイライラ故か当たり散らす様に怒鳴るケイネス。
「はき違えているのは、貴方ではなくて?
そんな明らかにランサーを庇う様に、割って入ったのはソラウだった。
「ソラウ......」
そんな様子のソラウに悲しそうに表情を曇らせるケイネス。
「ランサーは良くやったわ。間違いは貴方の状況判断じゃなくて?」
「セイバーは取り分け強力なサーヴァントだ......あの場で確実に倒せる好機を逃す訳には行かなかった......」
「治癒不可能な手傷を負わせたんだもの。捨て置いた所で何時でも倒せたでしょう。そこまでセイバーを危険視していたのなら、どうして貴方......セイバーのマスターを放って置いたの?」
ソラウの言葉に反論するケイネスだが、ソラウの指摘は止まらない。
「ただ隠れてみているだけで、情けないったらありゃしない。......ケイネス、貴方が他のマスターに対してどういうアドバンテージを持っているのか、理解してない訳じゃないでしょう?本来の契約システムに独自のアレンジを加えたサーヴァントとマスターの変則契約......貴方が令呪を宿し、私がもう1人のマスターとして魔力の供給をする......流石、降霊科随一の神童と呼ばれただけの事はあるわ。」
ソラウはケイネスを貶しつつ、嫌味ったらしく持ち上げ皮肉る。
「......っ......だが、序盤は慎重に......」
ケイネスはソラウの口撃に、精神的にダメージを受けている様子だ。
「あら、そう?なのに、ランサーだけに結果を急がせるわけ---」
「---そこまでにして頂きたい。......それより先は我が主への侮辱だ、騎士として見過ごせん。」
さらに追加の口撃を加えようとするソラウを割って入り制するランサー。
「いえ......そんなつもりじゃ......ごめんなさい、言いすぎたわ。」
ランサーの言葉を受けて、慌ててケイネスに謝罪するソラウ。
しかし、それはケイネスへの気遣いではなく、ランサーに嫌われたくないという恋心からだ。
ケイネスもそれを理解しており、元凶だと認識しているランサーの
と、そこへ火災報知器のベルがけたたましく鳴り響いた。
そしてそれと同時に部屋の電話も鳴り、ケイネスは受話器を取る。
「......ああ、わかった......下の階で火事だ、まぁ、間違いなく放火だろうな。」
ケイネスは受話器を置くと、ニヤリと笑いながら皆にそう伝える。
「放火?よりによって今夜......」
ケイネスの言葉に、疑問符を浮かべるソラウ。
「人払いの計らいだよ。」
「じゃあ......襲撃......?」
ソラウはケイネスの言葉を聞いて、驚いた様に声を漏らす。
「ふっ、セイバーのマスターは可能な限り早急に槍の呪いを解消したいだろうからな。」
不敵な笑みを浮かべながら、予想していた様子でそう答える。
「ランサー、下の階に降りて迎え撃て!......無碍に追い払ったりするなよ?」
「承知しました。」
ケイネスの指示に、手を胸に置き了解の意を示す。
「御客人には、ケイネス・エルメロイの魔術工房をとっくり堪能して貰おうではないか......フロア1つ借り切っての完璧な工房だ!結界24層......魔力炉3機......番犬代わりの悪霊、魍魎数十体......無数のトラップに廊下の1部は異界化させている空間もある......ふふははははは!お互い存分に秘術を尽くしての競い合いが出来ようというものだ。......私が情けないという指摘......すぐにでも撤回して貰うよ......?」
「ええ、期待してるわよ。」
誇らしげに自身の施した仕掛けを話すケイネスに、適当に相槌を打つソラウ。
ケイネス達がそんなやり取りをしている間に、外では避難活動が行われていた。
「アーチボルト様!ケイネス・エルメロイ・アーチボルト様!いらっしゃいませんか!?」
「はい、私です。ご心配なく、ケイネス・エルメロイ・アーチボルトは......妻のソラウ共々、避難しました。」
ホテルの職員がケイネスを探し呼んでいると、切嗣がそれに答えてケイネスを名乗る。
催眠術を使い、ホテルの職員に自分がケイネスであると信じさせたのだ。
「そうですか......はい、結構です。」
当然ホテルの職員は自分が催眠に掛かっているとも知らず、納得し避難誘導が終わったと上司に告げた。
それを見届けた切嗣は、舞弥に電話をかける。
「準備完了だ、そちらは?」
「異常なしです、何時でもどうぞ。」
スナイパーライフルを構え、スコープ越しにケイネスを監視していた舞弥が答える。
切嗣は通話を終了すると、人目のつかないところまで行き、煙草に火をつける。
それから携帯を取り出しある電話番号を打ち込み、最後に通話ボタンを押す。
それは、切嗣が予め仕掛けさせていた爆弾の起爆装置を起動させる為の番号だった。
しかし、数秒経っても爆弾が起爆する事は無かった。
「なんだとっ!?......仕掛けがケイネスにバレたのか!?」
爆弾が起爆しない事に焦りを隠せない切嗣。
時間は雁夜の探索蟲が、何かを発見した所まで遡る。
「やはり、爆弾があったか......こいつはC4だな......」
「「ば、爆弾っ!?それは大変だ!!」
雁夜の発言に飛び上がる、のび太とドラえもん。
「ああ、恐らくはこのビルごとケイネスを始末しようとしていたんだろう......十中八九、他にも爆弾は存在する。」
「そんな!?早く、何とかしないと!!」
さらに続けられる雁夜の言葉に、のび太が焦りながらそう返す。
「もちろんだ。だが、どうやってホテルに侵入するか......」
「それなら......オールマイティパス〜!!!」
ドラえもんの宝具である、『オールマイティパス』は見せた相手に催眠の様な効果を齎す。
その効果により、提示するだけで機密施設や有料施設、電車やタクシーに至るまで対価なしに使用出来るのだ。
ドラえもん達は早速中へ入ると、雁夜の探索蟲の先導のもと爆弾を捜索する。
「まずは、こいつだな。......当たり前といえば、当たり前だが、特に時限式でも、凝った細工もしていない。知らなければ、爆弾とも気付かれないだろうな。」
雁夜はそう言いながら、手早く爆弾の信管を抜いて無力化させていく。
「そんな簡単に、爆弾って解除出来るの?」
「ああ、本当は液体窒素とかで冷却してからが望ましいが、こいつはC4というプラスチック爆薬の一種で、信管さえ抜いてしまえば燃やしても発砲しても爆発しないんだ。前に取材で工兵と仲良くなって、教えて貰ったんだ。」
のび太の問いかけに、そんなふうに説明する雁夜。
「匂いは覚えさせた。見つける事は可能だが、信管を抜くだけとはいえ危ない作業だし、爆発する危険性が減るとはいえ危険物には変わりないし、処理をどうするか...........」
「それなら、器用手袋と四次元くずかご〜!!」
ドラえもんは器用手袋と四次元くずかごという宝具を取り出す。
器用手袋はどんな不器用な人でも上手に作業ができ、四次元くずかごは四次元空間に不要物を処理するためのくずかごだ。
ドラえもん達は、それぞれ探索蟲の案内のもと爆弾を見つけ処理していく。
「これで、全部のはずだ。次は...........」
「いよいよ、ケイネスだね。」
爆弾を全て処理した雁夜達は、ケイネスのもとへ向かう為進んで行く。
「ここからは、作戦通り、二手に別れよう。僕とのび太君はこのまま進む。雁夜さんは窓から出てタケコプターを使い、壁から通り抜けフープで中に入る。」
「ああ、ドラえもん、気を付けろよ!」
「雁夜さんも、気を付けてね。」
こんな会話を繰り広げ、二手に別れたドラえもん達。
ドラえもんとのび太がそのまま先に進むと、槍を肩に掛けながら扉に持たれかかるランサーがいた。
「これは、予想が外れたな......何故ここに?......と、聞くのは野暮か。」
「ふふ、期待してるわよ、ランサー。」
すぐ様戦闘体勢に入るランサーと、そんなランサーをうっとり見つめるソラウ。
「うん、君のマスターには言いたい事があってね。」
「2人掛りか......面白い。存分に楽しませて貰うぞ!フォーリナー!!」
ランサーは二槍を構え、後の先を取りに猛りつつも待ちを選択する。
「とりゃぁぁぁぁ!!」
まずは、のび太がランサーに一直線に踊りかかった。
それを見事な槍捌きにて、片手で受け流し、更にはカウンターまで放つランサー。
のび太は動かされるままに、それをこれまた見事な刀捌きで受け止める。
と、そこへ、今度はドラえもんが突っ込んできた。
巧みに身体を動かし、避けつつ攻撃を返すランサー。
ドラえもんものび太同様に、動かされるままに槍を受け流した。
2人の猛攻に、1人で対応しながら、更には互角の戦いを繰り広げるランサー。
一方その頃、単独行動を取っていた雁夜は、ケイネスの仕掛けた罠を無視し窓から外に出る。
タケコプターを使い最上階まで行くと、通り抜けフープで中に突入する。
そして、予め潜入蟲を潜ませて中の様子を知っていた雁夜は、突入と同時に翅刃虫を放ち先制攻撃に移る。
「なにっ......!?」
ケイネスは予想だにしない雁夜の先制攻撃に驚愕する他無かった。
故に、数多く持って来た魔術礼装の殆どを使う事が出来なかった。
唯一反応したのはケイネスの魔術礼装である
高速で圧縮、流動させる事で、防御にも攻撃にも破格の性能を見せ、更には自動索敵も可能とする傑作だ。
その強固な防壁に、翅刃虫は防がれ、更にはその後の攻撃により為す術なく落とされる。
更には、雁夜へ水銀の刃は襲いかかり、距離を取りながら辛くも避ける。
雁夜は時に攻撃の軌道を読み、時に防壁蟲を展開しながら、何とか防御しているが、近づく事すら出来ない。
「ようこそ、蟲使いよ。この、ケイネス・アーチボルト・エルメロイ直々にもてなそうじゃあないか!」
ケイネスは闘いの高揚感と、圧倒的な戦況から尊大な笑みを浮かべ言い放つ。
「ぐあっ.....!!.....くっ.....余所見していて良いのか.....?行け!
雁夜は、ケイネスの
雁夜が放ったのは、
更には、アルミや鋼を掛け合わせた合金でコーティングしたボディをもつ、まさに科学と魔術が融合した使い魔だ。
その速度は銃弾のそれに匹敵し、攻撃力自体は翅刃虫に劣るものの、人間の肉体を破壊するには十分過ぎる。
「があぁっっ!?.....くっ.....なかなかの速度だ.....だが、こうすれば良いだけのこと!!」
これでは、翅刃虫の攻撃ですら歯が立たなかった水銀の盾を前に為す術がない。
更に、魔術により雁夜を特定して、棘を生やした球体が襲いかかる。
このままでは、いずれは、肉塊にされ絶命するのは明らかな状況だ。
にも関わらず、雁夜はニヤリと不敵な笑みを浮かべていた。
「.....俺は肉弾戦か、使い魔による攻撃手段しかない.....だから、正面からじゃお前みたいな攻防一体の遠距離系の魔術師には及ばない.....だから、対策を練ってきた.....この瞬間を待っていたっ!行け!!
雁夜は、
だが、その能力は
1匹1匹の吸収率は微々たるものだが、
「かっ.....!!?がぁぁぁぁっっ!!?」
ケイネス程の魔力も吸い尽くし、無力化する事が可能だ。
魔力不足により、ただの水銀に戻り床にしたたる
力なく倒れ伏すケイネスをもって、雁夜の勝ちが決した。