ドラえもんのび太の第四次聖杯戦争   作:テキーラ11

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第11話「恋と愛、奉公と自己満足」

「.....何故.....殺さない.......?」

 

ケイネスは全身の脱力感と、遠のく意識を繋ぎ止めながら問いかける。

 

「俺達の目的は、対話と爆弾解除であって、殺しじゃないからな。」

 

雁夜の言葉に、目を見開いて驚くケイネス。

 

「対話.....?それに、私は助けられたというのか.....!?」

 

「別に、お前らを助ける為じゃない。関係ない一般人を巻き込みたく無かったし、ここのケーキバイキングはまた、来る予定だからな。」

 

これは余談であるが、ホテルの従業員の孫が遊びに来ており、あのまま爆発していたら犠牲になっていた。

 

「.....なるほど.....で.......?対話とは.......?下に付けとでも.....?」

 

雁夜の言葉に、魔術を秘匿すべきという観点から共感を得ながらも、馬鹿にするなという様子で笑みを浮かべる。

 

「生憎、あんたはあいつらに嫌われてるし、俺も個人的には好きじゃないから間に合ってるよ.....俺からはないが、あいつらから伝言だ.....あんた、なんでランサーにあんな扱いをする?」

 

雁夜もケイネスの言葉に、呆れ気味に笑みを浮かべながらそう質問する。

 

「.......扱いも何も、奴は使い魔だ.....使い魔を道具扱いするのは当然だろう.......?」

 

雁夜の問いに、言葉を一瞬詰まらせながらそう答えるケイネス。

 

「.....嘘だな。あんた程の魔術師だ.....傲慢になるのも分かるが、わざわざ関係を悪くする程馬鹿じゃあないだろう。俺の目から見ても、私怨が絡んでる様に見えるが?」

 

ケイネスの答えに、ジャーナリストとしての洞察力からそう切り返す。

 

「.........奴は.......奴は、私を裏切って婚約者であるソラウを奪おうとしているからだ.......」

 

ケイネスは言葉にしてから、何故、目の前の雁夜にそんな事を話したのかと驚く。

 

だが、天才魔術師として自負がある己を、最初は奇襲とはいえ、正面から倒してのけた相手への敬意があるからだと悟った。

 

「なるほど.....確かにランサーには、魅了(チャーム)のスキルがある様だな.....だが、あんたの婚約者なら抵抗(レジスト)出来ただろう?」

 

「.......何が言いたい.......?」

 

雁夜の言葉を受け、睨み殺しそうな目付きで、答えるケイネス。

 

「.....率直に聞く。あんた、その婚約者に愛を伝えたのか?」

 

「.......いや、言葉にはしていないが.........」

 

雁夜のあまりにも率直な言葉に、ケイネスは歯切れ悪くそう答える。

 

「なら、あんたの愛が婚約者には伝わってないんじゃないのか?.....俺にも昔、愛した人がいたよ.....だが、家庭環境を理由に、俺は身を引いた。そして、勝手にある男に譲った気になり、俺はその男を勝手に憎んだ。言葉にさえしてない感情論でな.....だから、あんたはその気持ちを口にして伝えるべきなんじゃないか?.....失敗した男からのお節介な助言だ。」

 

雁夜は自嘲しながら語り、ケイネスにそうアドバイスする。

 

「ふん.........」

 

ケイネスは短く鼻を鳴らすが、内心では色々思う所があった様だ。

 

場面は変わり、ドラえもんとのび太対ランサーの戦いはというと。

 

「すごい.....僕ら2人がかりなのに.....」

 

「感心してる場合じゃないよ!」

 

のび太の感心したような呟きに喝を入れるドラえもん。

 

2人がかりでありながら、ランサーが有利に戦いを運んでいた。

 

本来、機械仕掛けの必勝の刀(名刀『電光丸』)は相手に関係なく勝利出来るのだが、スキルの自制により性能が落ちている。

 

とはいえ、2人がかりの猛攻をものともせず、逆に押しているのはさすがはランサーだ。

 

「ふっ、セイバーに続いてこうも骨のある猛者と死合えて嬉しいぞ!」

 

「.....こんなに強いのに、なんでケイネスの言いなりなのさ!?」

 

あまりにも強いランサーに、のび太は思っていた言葉をぶつける。

 

「.....主であるのだから、命令を聞くのは当たり前だ!!」

 

応戦しながら、言葉に詰まった様に返すランサー。

 

「でも、信じ合ってる様には見えなかった!」

 

「それは.......俺が信ずるに値しないからだろう.....多分、この貌の呪いのせいだ.....」

 

ランサーはさらに、続くのび太の言葉に、応戦は完璧ながらも力なく返す。

 

「本当にそう?ランサーの気持ちは伝えたの?」

 

ランサーの返しに何かを感じ取り、核心をつくのび太。

 

「っ!!.....確かにそうだ.....俺は何も伝えてない.....望みも.....感情も.....」

 

のび太の言葉に気付かされたという表情を浮かべるランサー。

 

「貴様らを討ち取り、伝えるとしよう!!」

 

「あっ!?機械仕掛けの必勝の刀(名刀『電光丸』)が!?」

 

ランサーは迷いが吹っ切れ、攻撃のキレが増した様だ。

 

のび太の機械仕掛けの必勝の刀(名刀『電光丸』)がランサーに弾き飛ばされる。

 

「貰ったぞ、降臨者(フォーリナー)!!!」

 

「待て!ランサー!」

 

ランサーはそのままのび太を槍で貫こうとするが、ケイネスの言葉に槍を止める。

 

「どうしてですか、我が主。」

 

「それは、そやつらのマスターに借りが出来たからだ.....」

 

ランサーの言葉に、どこか清々しい様子で答えるケイネス。

 

「ドラえもん、のび太、お前らも矛を納めてくれ。話はついた。」

 

扉の奥から現れたのは、ケイネスに肩を貸しながら歩く雁夜だった。

 

「うん!分かった!」

 

ドラえもんは雁夜の言葉に機械仕掛けの必勝の刀(名刀『電光丸』)をしまう。

 

「借りはこれで無しで良いな、間桐雁夜よ。」

 

「ああ、こっちはマスターのそっちはサーヴァント2体の命を助けた。これで貸し借りなしだ。」

 

そう言葉を交わすと、雁夜達は万物の距離を無視する機械扉(どこでもドア)に消えていく。

 

その場に残ったケイネス達はしばしの沈黙の後、ケイネスがその沈黙を破る。

 

「ランサー、私とソラウだけにしてくれ。伝えなければならん事がある。」

 

「分かりました。ですが、その後にこのディルムッドにも時間をください。」

 

それだけ伝えると、霊体化して消えるランサー。

 

残されたのは、ケイネスとソラウの2人だけだった。

 

「私は別に話す事はないわよ、ケイネス。」

 

ケイネスに嫌味たっぷりな様子でそう切って捨てるソラウ。

 

「構わない。私が勝手に伝えると決めたのだから.....」

 

ソラウの様子にもめげずにそう話すと、大きく深呼吸をして真剣な眼差しで見つめるケイネス。

 

「.....私は、君が好きだソラウ。どうしようもなくどこまでも愛しているのだ。君の尊大な態度も、そう躾られたからだという事も、愛された事がないのも全て分かっているつもりだ。」

 

「...........」

 

ケイネスの言葉に、ソラウは思う所があるのか、静かに耳を傾ける。

 

「私は魔術の事しか知らない.....家柄が無ければ何も無いつまらない男だ.....だが、ソラウ。君を想う気持ちは世界中の誰よりも強いという自信はある!.....こんな、何も持っていない私だが.....それでも、傍に居たいと思うのは我儘だろうか.....?.....私と.....私と今一度、改めて私の妻になってくれまいか.....?」

 

あのプライドの高いケイネスが全てをかなぐり捨てて、惨めさなど微塵も気にせず放つ渾身の愛の言葉。

 

「ケイネス.........」

 

それは、ソラウにとって初めて向けられる剥き出しの愛に他ならなかった。

 

故にソラウは思い悩み、色々な考えが頭を巡る。

 

そして、結局はランサー()ケイネス()かの2択を迫られる。

 

身を焦がさんとする燃え盛る激情である本能の恋。

 

勢いはなくとも、優しく身を温める焚き火の様な温和な理性の愛。

 

本能対理性というのは幾重にも繰り広げられてきた人類の歴史である。

 

ならば、それらを天秤にかけたとて、誰が狡いと言えようか。

 

そして、答えが出たのかケイネスを見つめるソラウ。

 

「.......嫌よ。」

 

ソラウはそうキッパリと言い放つがそれは-----

 

「-----私の夫ともあろう貴方が、私の夫たるケイネス・エルメロイ・アーチボルトが、何も持っていないなんてありえない。私に全てを与えて頂戴。その代わり、私の持てる限りの全てを生涯、貴方に捧げると誓うわ。」

 

一方的に突き進むランサー()ではなく、共に歩み続けるケイネス()の勝利だった。

 

ここに来て漸く、ランサーの魅了黒子(チャーム)無効化(レジスト)されのだ。

 

「本当に私で.....いや、言うまい.......分かった。このケイネス・エルメロイ・アーチボルトの名にかけて、全てを君に与えると誓おう。」

 

こうして、ケイネスという1人の男は、ソラウという1人の女の愛を勝ち取ったのだった。

 

「次は、ランサーの番ね。私は少し席を外すわ。ニヤケ顔を見られるのは恥ずかしいもの.....」

 

そう言いながら、少し照れた様子でその場を後にするソラウ。

 

入れ違いで実体化し、ケイネスの前に跪くランサー。

 

「大切な時間を割いて頂き、有難く存じます。」

 

「前置きは良い、話したい事があるのだろう?」

 

ランサーの言葉に、真剣に話を聞く姿勢をみせるケイネス。

 

「はっ.....まずは、主に1つ嘘をついていたことをお詫び致します。私の望みは無いと言いましたが、実は1つあります。それは、我が身を委ねるに値する主に、この身を捧げ尽くし、忠誠を示したいと言う望みです。しかし、言わぬが華と勝手な自己満足により伝えなかった事をここに詫びさせて頂きたい.....!」

 

「なるほど.....つまりは、召喚の際に半分は貴様の願望はかなっていたわけか。」

 

ランサーの言葉に、疑念が1つ解消された様子のケイネス。

 

「あい、分かった。貴様の身をもって、その忠誠の強さを聖杯を手中に収めることでこの私に見せつけてみせよ!ランサー!!」

 

「有り難き幸せ!必ずや聖杯を手にして見せましょう!!」

 

ここに、愛は恋に勝ち、自己満足は真なる奉公へと変化したのだった。

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