ドラえもんのび太の第四次聖杯戦争   作:テキーラ11

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第13話「聖杯論破」

「「ちょっと待った(てよ)!!」

 

そんな2人に割って入るドラえもんとのび太。

 

ドラえもんはセイバーの方に、のび太はライダーの方に歩み寄る。

 

「さっきから聞いてれば、ブリテンの滅びを救いたいって言ってるけど、君の国の人間が皆死んだわけじゃないよね?生き残って未来に紡がれた命はどうでも良いって言うの?」

 

様々な歴史を見てきた未来のロボットの立場からセイバーに物申すドラえもん。

 

「ずっと思ってたんだけど、ライダーが言ってるのって、弱い人は死ねって言ってるの?欲張りな人しか王様になれないの?」

 

人一倍弱く、人一倍優しい人間だからこそ、ライダーに問いかけるのび太。

 

まずは、ライダーとのび太の問答から見てみよう。

 

「ああそうとも。着いてこられないならば、死ぬしかない。それが、弱肉強食、自然界の変わらぬ掟である。だが、それだけでは国とは呼べん。だからこそ、王が民草を導いてやるのだ。それには王の欲の形を魅せねば、王の欲の形を示さねば導く事が出来んのだ。故に救うばかりでは、王道とは呼べん。」

 

「それは、ライダーの国の話でしょ。確かにライダーの国では、皆が食べる物もあって、お金も持ってて、生活とかにも困ってない人が殆どだったんだと思う。だから強い人ばっかりで、言う事聞いてくれる人もいなかった。そこでライダーが頑張ったんだよね?1番前に立って引っ張ったんだよね?」

 

のび太は聖杯を通って召喚された際に与えられた知識からそう話す。

 

ライダーであるイスカンダルが即位した時代のマケドニア王国は父ピリッポス2世の政策により強国となっていた。

 

ピリッポスの治世において、マケドニア王国は最初後進国であり弱国であったが変革していく。

 

人々の生活は山野に放牧する暮らしから、ポリスと呼ばれる都市にて安全に暮らすようになる。

 

軍事力も増大していき、強国と肩を並べるに至るが人の欲というのは増大していく。

 

欲が増していけば力を持て余し、力を持て余せば治安は悪くなる。

 

そんな状態で父ピリッポス2世が死に、イスカンダルへと王位が渡る。

 

こうなれば、国民を暴走させない為にはイスカンダル自身が先頭で導く他ない。

 

それをのび太は言っているのだった。

 

「でもさ、セイバーの国だと違うんじゃない?セイバーの国は、争いばっかり起きてて、食べる物も無くて、お金も無くて.....国の人は嫌になってたんじゃないかな?平和に暮らしたいって思ってたんじゃないかな?だとしたら目的地は決まってるじゃない。目的地が無ければ、ライダーみたいに道標にならなきゃだけど、セイバーの国では助けてくれる人が必要だったんだと思うよ。」

 

実際、セイバーの治めていたブリテンでは当初、内憂外患の時代であった。

 

国内で覇を称え、強き者が群雄割拠しており、その隙をついて外敵であるサクソン人等がブリテンに侵攻して来た。

 

民衆は度重なる争いや、大地の不作から疲弊しきり、救世主を求めていたのだ。

 

「なるほど.....民草が既に目的地を見定め、その道中を守護する者が必要だったわけか。だが、そんなものは1人では無理であろうよ。それを成し遂げるは、最早人間とは呼べん。」

 

のび太の語りに一応は頷くものの、そうイスカンダルは反論する。

 

「だからこそ、円卓の騎士がいたんでしょ。1人では無理でも皆で頑張れば出来るかもしれない。結局は、セイバーの国も無くなっちゃったけど、セイバーの生き方をおかしいって決めつけるのは違うと思う。だって、ライダーの言う王様が1つだけの正解なら、今頃世界中そうなってるはずでしょ?でも違う。なら、正解が他にもあるんだよ。」

 

「ふむ.....臣下と共に研鑽し守護していく.....正解が1つなら、余の治めた国の様な為政者ばかりになっているはず.....か。然り。確かにその通りであるな。余も少し頭でっかちになっておった様だ。ならば、セイバーとイスカンダルたる余は同格と認めよう。」

 

ライダーはのび太の言葉を真摯に受け止め、それを認めた。

 

弱者が強者を言い負かした瞬間であった。

 

次に、時はほんの少し巻戻り、ドラえもんとセイバーの問答に目を移そう。

 

「それは、どういう意味だ!?」

 

ドラえもんの言葉を、弱者を蔑ろにしているという意味で捉えたのか言葉を荒らげるセイバー。

 

「だってそうじゃないか。君がブリテンの滅びの歴史を変えるという事は、その後に生まれた人々が不幸になるかも知れないという事なんだよ?それって、生き残ったその後の人達はどうでも良いって言ってるのと同じ事じゃないか。」

 

「そ、そんな事は.....だが、例えそうだとしても.....!」

 

セイバーはドラえもんの言葉に、上手く返せず、まるで駄々っ子の様になる。

 

「ブリテンって国は、そこに住む人達は、君の統治下じゃなきゃ存在出来ないの?違うでしょ。確かに国の名前は変わるかもしれない、生粋のブリテン人は居なくなるのかも知れない、でもその血は、命は、未来に紡がれていくんだ。ブリテンが無かった事になる訳じゃない。」

 

「.........ならば.....私は.....私という王は必要無かったというのか.....それならばいっそ.....いっそ私でない王が治めていれば.........!」

 

セイバーは心の何処かで、自分は必要では無かったと考えていた。

 

それを使命という大義名分で、無理矢理押さえ込んでいたのだろう。

 

それを、ドラえもんの言葉に打ち砕かれ、卑屈になるセイバー。

 

「それも違う。君は怠けたの?手を抜いたの?そうじゃないから悔しいんでしょ、間違ってるって半分は分かっていても故国を救いたいって思ったんでしょ、だったら胸を張っていい。君は頑張ったんだ。そりゃ、国は滅んだよ?でも、君じゃなきゃ救えなかった命が沢山あった。君じゃなきゃ繋げなかった命があった。それなら胸を張って良いんだよ。」

 

「.........だが、私は.....臣下に、騎士達に恨まれているのではないだろうか.....だから裏切られたのではないだろうか.........」

 

セイバーはドラえもんの言葉に心動かされながらも、責任感の強さからそう自責の念を抱く。

 

「君に伝えたい事がある人を僕は知ってる。彼の名前はランスロット。僕の宝具で、彼に会って話をすればいいよ。待ち人来る異空への入口(あの人は居間)〜!!」

 

ドラえもんは召喚前の会話を伝え、待ち人来る異空への入口(あの人は居間)の使い方を説明する。

 

「あ、貴方は.....貴方は本当にサー・ランスロットなのか?」

 

「アーサー王.........?アーサー王なのですか.....?」

 

セイバーが襖を開けて中に入ると、中にはランスロットがいた。

 

ランスロットはセイバーを見るなり、涙を流しながら本当に本人なのか確かめる。

 

「なぁ、ランスロット卿.........私は間違っていなかっただろうか.....?王として相応しく無かったのではなかろうか.....?貴殿は私が王で本当に良かったのか.....?」

 

「何を言うのですか!私は、ランスロットは、貴女様の臣下であった事を誇りに思う!貴女でなければダメだったのです!!.....しかし.....だからこそ.....私は、貴方に罰して欲しかった.........貴女自身が人間であると知って欲しかった.....全てを貴女1人に背負わせる自分が許せなかった!もし.....もしも.....願いが1つ叶うのなら.........私を罰して頂きたい.........!!」

 

セイバーの言葉にランスロットはそう強く言葉にする。

 

そして、自責の念から涙を流し、慟哭にも似た苦悩を訴えた。

 

「.....そうですか.........サー・ランスロット .....剣を抜きなさい。剣を抜けっ!!」

 

ランスロットの叫びを受け、セイバーもまた涙を流しながら自らが先に剣を抜き、そう命令する。

 

その先のセイバーとランスロットには、言葉は必要無かった。

 

達人の、本物の騎士の剣のぶつかり合いは、千の言葉に勝る。

 

何度も何度も打ち合い、語っていた。

 

言葉に出来ぬ想いを、言葉に出来ぬ感情を、2人はぶつけ合っていた。

 

そして、遂にランスロットが切り伏せられる形で終了する。

 

「ランスロット卿!!」

 

倒れ伏すランスロットに駆け寄るセイバー。

 

「王よ.....ありがとう.....ございます.........どうか.....貴女様は自責なさらないで下さい.....私は.....救われた.........貴女はなにも.....悪く.....な.....い.........」

 

セイバーの腕の中で、ランスロットは光の粒子となり消えた。

 

それは、ランスロットが救われた瞬間でもあった。

 

セイバーもまた泣きながら、解放されていた。

 

「私は.....私は、間違っていなかった.....!私は、自分の意思で剣を抜いたのだ.....!ブリテンよ.....騎士達よ.....済まない.........そして、ありがとう.....!!」

 

誰の意思でもなく、自分の意思でブリテンを救おうとした。

 

ここで初めて、セイバーはブリテンの滅びという呪いと決別出来たのだった。

 

セイバーが戻ると、救われた顔をみて全てを察したアーチャー。

 

「ふっ.....ふはははは!くだらぬ茶番だ!ライダーも道化なんぞに言い負かされおって!ははははははは!.....貴様らはやはり王足る器など無いのだ。(おれ)1人が唯一の王のようだな!!」

 

「今の言葉、取り消してよ!」

 

嘲り笑うアーチャーに、のび太は毅然とした態度で詰め寄る。

 

「.....道化風情が王たる(おれ)に意見するのか?余程死にたいと見える。」

 

アーチャーはのび太の言葉に笑うのを止め、背後に王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)を展開する。

 

「死にたくはないけど.....でも!茶番なんかじゃない!!アーチャーには、友達はいないの?」

 

怖くて震えながらも、真剣な眼差しで言葉をぶつけるのび太。

 

「.....盟友がいる。」

 

アーチャーはのび太の言葉に、友の存在を否定する事は出来ず正直に答える。

 

「だったら分かるでしょ?アーチャーはすごい王様なんだって、名前を知らなくてもなんとなく分かる、1人で何でも出来るのかも知れない、でも友達がいたんでしょ。友達が仲間がいるから、もっと頑張れる。他人の為にって思える。1+1が1より小さいとは僕は思わない。だって1人じゃないんだもん。」

 

そんなアーチャーにのび太は堂々とそう語った。

 

「くっくっく、ふははははははははははは!!!」

 

のび太の言葉を受け、傲笑するアーチャー。

 

だがそれは、嘲りなど一切含まない、気持ちのいい笑い声だ。

 

「よもや、この(おれ)が人の形を見誤ろうとは.....のび太、貴様は道化ではなく、本物の道化師だ。人に笑われるのではなく、人を笑わせているのだ。道化師を処すは、王の沽券に関わる.....人の不幸を取り除く為ならば命を張るその姿勢.....努努忘れるな。」

 

宝具を解除すると、再び笑い声をあげるアーチャー。

 

「良い、先程の言葉、貴様に免じて取り消してやる。今宵は無礼講だ、存分に飲め!」

 

そう宣言する、アーチャー。

 

しかし、そこへ、人影が皆を取り囲むように何十人と現れた。

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