ドラえもんのび太の第四次聖杯戦争   作:テキーラ11

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第14話「統べし者」

「我らは分断された個、群にして個のサーヴァント。されど、個にして群の.....影.....!」

 

現れた何十体というサーヴァント達は、全員アサシンであった。

 

「.....この(おれ)の酒宴を汚そうとは.....!屠殺は免れんと思え!!雑種共!!」

 

「まぁ待て、アーチャー。宴の客を遇する度量でも王の器は問われるのだ。」

 

「ちっ.....良かろう、貴様の言葉に乗ってやろう。」

 

青筋を立て、今にも暴れそうなアーチャーを宥めるライダー。

 

アーチャーは一応はその言葉に、怒りを飲み込み事態を見守ることにする。

 

「さぁ、遠慮は要らぬ!共に語ろうというものはここに来て盃を取れ!この盃は、貴様等の血と共にある!!」

 

「「「「ふふふふふふ、ははははははは.....」」」」

 

ライダーは自身が持って来た方のワインを酌に掬い、掲げながらアサシン達に語りかける。

 

だが次の瞬間、アサシンの投げナイフにより酌のワインはぶちまけられる。

 

そして、アサシン達はワインを被ったライダーを嘲り笑うのだった。

 

「なるほど.....この酒は貴様等の血と言ったはず.....敢えてぶちまけたいと言うならば.........是非もない。」

 

静かな殺気と凄みを滲ませながら、鎧とマントを身に纏うライダー。

 

それと同時に、力の奔流と共に突風がライダーから吹き荒れる。

 

「セイバー、そしてアーチャーよ!貴様等ばかりに良いところを持っていかせん!今宵は余らの勇姿を見せつけてやらねばなるまいて!!」

 

ライダーがそう宣言すると、辺りが強い光に包まれていく。

 

だが、その光の中には雁夜の姿は無かった。

 

光が収束すると、辺り一面は砂漠のど真ん中と化していた。

 

「固有結界ですって.....!?そんな馬鹿な.....!!心象風景の具現化だなんて!?」

 

アイリは目を疑う光景に、心の底から驚愕していた。

 

「ふふん、ここはかつて我が軍勢が駆け抜けた大地。余と苦楽を共にした勇者達が、等しく心に焼き付けた景色だ!」

 

得意気に笑うライダーの言葉に応える様に、数万にも及ぶ軍勢が行進を始める。

 

「この世界、この景観を形に出来るのは、これが我ら全員の心象であるからさ!見よ我が無双の軍勢を!肉体は滅び、その魂は英霊として世界にめしあげられて、それでもなお余に忠義する伝説の勇者達!彼らとの絆こそ我が至宝!我が王道!!イスカンダルたる余が誇る最強宝具、王の軍勢(アイオニオン・ヘタイロイ)なりぃぃぃ!!!」

 

「「「「「うおぉぉぉぉぉぉ!!!」」」」」

 

ライダーの誇りを乗せた語りに応え、雄叫びをあげる軍勢。

 

一騎一騎がサーヴァント、つまり英霊なのである。

 

それは、ライダーの誇りでありライダーの宝でありライダーの王道そのものであった。

 

「久しいな、相棒!」

 

ライダーに嬉しそうに近寄る馬の名前はブケファラス。

 

ライダーが生前、騎乗していた名馬にして愛馬だ。

 

「.....さて、では始めるかアサシンよ!.....見ての通り、我らが具象化した戦場は平野。生憎だが数で勝るこちらに地の利はあるぞ!」

 

勇者を率いる覇王の余裕をみせるライダーの言葉。

 

アサシン達は、皆一様に絶望染め上げられていた。

 

勝てるはずがない、殺されるのを待つばかり、と。

 

「少し待って頂きたいっ!!!」

 

そんな真逆の雰囲気の両者に割って入る者が一体居た。

 

それは、アサシン達の中では最弱と蔑まれている、基底のザイードだった。

 

ザイードはライダーに向け、地面に頭を擦り付け土下座する。

 

「この期に及んで命乞いはしない!!助けてくれとは言わない!!だが、この場にて少し話す時間を貰えないだろうかっ!!!」

 

覚悟を決めた様子のザイードは、ライダーに語りかける。

 

「無論、聞き入れず蹂躙するのは自由だ!!だが!!少し時間を貰えるのならば!!暗殺者(アサシン)の矜恃を見せ付けると約束しようっ!!!」

 

その言葉には、信念が、勇気が、暗殺者(アサシン)としてのプライドが込められていた。

 

「いいだろうアサシン!暫し、時をくれてやろう!!」

 

だからこそ、ライダーはアサシンの申し出を受けたのだ。

 

「恩に切る!!.....さて、(同胞)よ。私は思い出した。弱い私の為に(お前達)が代わりに痛みを、苦悩を引き受けてくれていた事。弱い私で本当すまなかった!今度は、私の番だ!この苦痛は私1人が持っていく!」

 

「待て.....(お前)(我ら)全ての苦痛を背負うと言うのか.....?」

 

ザイードの決意の言葉に、他の人格を代表してアサ子と呼ばれるリーダー人格が問いかける。

 

アサシンは暗殺者(ハサン・サッバーハ)となる前はザイードという名の少年だった。

 

ザイードは誰よりも、暗殺教団を崇拝していた。

 

誰よりも、責任感が強く、誰よりも暗殺者足ろうとした。

 

しかし、悲しい事に同じ年頃に天才と呼ばれる少女がいた。

 

先代の教団の長(ハサン・サッバーハ)の奥義を全て会得したのだ。

 

自身を追い込み、研鑽し、誰よりも努力を惜しまなかった。

 

だが、少女は常に彼の先を行っている。

 

そんな少女(天才)と自身を比べてしまい、才の無い自分を責め続けて心は摩耗し続けていった。

 

苦悩しては努力し、自己嫌悪しては研鑽を続けた。

 

そして遂には精神は限界を迎え、崩壊しない為に新たな人格を作った。

 

少年は彼らを頼り、苦悩を、痛みを、自責の念を押し付けた。

 

何度も利用し功績をあげるが、その度に自我が薄らいでいった。

 

それが、百貌のハサンと呼ばれる暗殺者(アサシン)誕生の物語だ。

 

だが、ザイードは自分の弱さも、苦悩も、痛みも、全てを一身に背負う覚悟を決めた。

 

「そうだ!もう頼らない!痛みも苦悩も悲しみも!全て背負って自分の足で歩いていく!!」

 

「そうか.....(我ら)はもう必要無いのだな.....強くなったな.....(お前).....」

 

皆一様に感嘆の表情を浮かべ、一人また一人とザイードに吸収される様に消えていった。

 

そして遂に、弱き(ザイード)を受け入れて、真の暗殺者(ハサン・サッバーハ)となる。

 

「ありがとう、(同胞)よ.........さて、すまなかったな、征服王イスカンダル!!さぁ、暗殺者(ハサン・サッバーハ)の矜恃、しかと見せ付けよう!!」

 

「.....蹂躙せよぉぉぉぉ!!!」

 

アサシンの啖呵に、言葉はもはや不要と軍勢に号令を掛けるライダー。

 

迫り来る軍勢と共に吹き荒れるアサシンへの逆風。

 

((ここは暑いな.....汗が吹き出す.........我が故郷と同じ砂漠か.........さて、敵は万の勇者を率いる王.....そして、追討ちの様な逆風.........だが、それで良い!!それが良い!!相手に不足なしっ!!!))

 

アサシンは心の中でそう意気込むと、砂を手に取り、撒いた。

 

アサシンは弱さと苦悩と苦痛を受け入れ唯1人になる事で

妄想幻像(ザバーニーヤ)を失った。

 

だがそれは、弱体化したという訳では無かった。

 

そもそも、ザイードは才能無き者では断じて無い。

 

多重人格というのは、人格により得手不得手が存在したり、能力が違ったりする。

 

だが、1つの身体であることは変わりないので、その肉体の性能を超える事は出来ない。

 

つまり、32種にも及ぶ技能は、智慧は、全てザイード一人の才能なのである。

 

さらには、暗殺者(アサシン)としての考え方や教団への信仰心も随一であった。

 

故に、ザイードは初代を除き、暗殺者(アサシン)としての技量は歴代最高なのである。

 

そんなザイードが、唯一人の暗殺者(ハサン・サッバーハ)になる事で、別の宝具へと進化する。

 

それは、統率天使(マーリク)と名付けられた。

 

撒いた砂が逆風によりアサシンに降りかかり、汗によりアサシンの身体を砂が覆う。

 

王の軍勢(アイオニオン・ヘタイロイ)に向かって、最速で走り出すアサシン。

 

王の軍勢(アイオニオン・ヘタイロイ)は砂煙を上げながら迫り来る。

 

すると、砂煙に紛れて、アサシンの姿が忽然と消え去った。

 

専科百般(A+)は人格が統一された事により、専科百般(EX)に進化した。

 

そして、進化したスキルの化粧術により全身に迷彩を施したのだ。

 

さらに、統率天使(マーリク)を発動する事で気配遮断はEXレベルとなる。

 

それ故に、ライダー達はアサシンを見失ってしまったのだ。

 

「「「探せぇぇぇぇ!!!」」」

 

「「「消える筈はない!!!」」」

 

軍勢はアサシンを捜索し、警戒するが見つからない。

 

アサシンはすぐ側にいるというのに。

 

これは、暗殺者(アサシン)として最高峰の技量による絶技であった。

 

そしてアサシンは、最速で、最短距離を、その最高の技量でもって疾走る(はしる)

 

狙うはライダー、統率天使(マーリク)の能力により見定めた弱点(霊核)を見つめて。

 

((その命、貰った!!!))

 

刃を構え、霊核目掛けて刃を突き立てた。

 

だが、悲しきかな、ライダーの幸運スキルはA+でアサシンはE。

 

その差により、アサシンを探していたライダーは偶然目に入りそうな砂を払おうと腕を上げた所にアサシンの刃が突き刺さる。

 

攻撃を受けた事で反撃し、アサシンの心臓はライダーの剣に貫かれた。

 

「がはっ.....!!.....ふん.....運の良い.....奴め.........」

 

アサシンは死に行く身体で、それでもその顔は笑っていた。

 

「.....然り。暗殺者(アサシン)の矜恃しかと魅せて貰ったぞ!敵ながらに天晴れであった!!」

 

ライダーは素直にアサシンを認め、彼もまた笑った。

 

「ならば、良かった.........約束は守れたよう.....だ.....」

 

剣を引き抜かれ、地面に仰向けに倒れるアサシン。

 

((.....なんと、美しい青空だろうか.........ああ.....鐘の音が聞こえる.....初代にして最後の翁よ.........私は.....最期に.....暗殺者(ハサン・サッバーハ)の名に恥じぬ姿.....お見せ出来ましたか.........?))

 

こうして、アサシンは最期の時を迎え、光の粒子となり消えた。

 

「うぉぉぉぉぉぉぉ!!!」

 

ライダーが勝利の雄叫びをあげると、軍勢も続いて雄叫びをあげる。

 

そして暫くして、王の軍勢(アイオニオン・ヘタイロイ)は解除され元の場所に戻る。

 

「すまんが、傷の手当てをしたい。場所と道具を貸してもらえるか?」

 

と、そこへ、傷だらけの雁夜がさらに満身創痍の舞弥を抱き抱えて運んできた。

 

そう、ライダーとアサシンの闘いの裏で、また別の闘いが繰り広げられていたのだ。

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