時はライダーが
最初にその異変に気が付いたのは、使い魔で見張らせていた舞弥だった。
「マダム.....侵入者です。私が様子を見てきます。」
舞弥はすぐに念話でアイリに知らせると、侵入者の確認に行く。
「.....悪い、少し見てくる。」
雁夜も少しして侵入者に気付き、その気配の薄さから実力が相当なものだと感じ、現場に向かう。
舞弥は侵入者を視認した瞬間に、持ってきていたキャリコM950と呼ばれるマシンガンを放つ。
いや、眼前の侵入者の危険度を察知した舞弥は放つしか無かった。
当然の如く、侵入者にその銃撃は効果が無かった。
効果が無いどころか、黒鍵と呼ばれる刃渡り80〜90cm程の十字架を模した剣を投擲して反撃してくる。
投擲された黒鍵を、舞弥は辛くも避けるが太ももに深々と切創を負う。
歯を食いしばり痛みに耐え、更なる銃撃を加える舞弥。
しかし、防弾加工を施された神父服と強化された肉体の前に弾かれ、接近を許してしまう。
「かはっ.....!?」
舞弥は近接となった瞬間に、キャリコM950を捨ててナイフに切り替えるも、手刀で弾かれ肘打ちを鳩尾に食らう。
さらに、追討ちとして踏み付けを入れる侵入者は、アサシンのマスターである言峰綺礼だった。
「女よ.....お前は役に立ちそうだ.....」
「.....く、殺せるものならやってみろ.....!!」
綺礼の言葉に口から血を流しながらも、なんとか反撃でナイフを綺礼の足の甲に突き刺そうとする舞弥。
「死なない程度には、手加減してやる。」
綺礼はそれをすんなり避け舞弥の脇腹を蹴り上げると、舞弥はその勢いで巨木に打ち付けられる。
今ので、舞弥の肋骨は3、4本は折れただろうか。
さらには後頭部を打ち付け、脳震盪により意識を保つのも危うい。
そこへ、拘束しようと近付いてくる綺礼。
絶対絶命という場面で、舞弥に優しくアーミーコートを掛け、綺礼に立ち塞がる人物が現れた。
「それ以上やるというのなら、俺が相手になろう。言峰綺礼。」
現れたのはパーカーを脱ぎ、隆々とし引き締まった筋肉をTシャツの下から浮き上がらせる雁夜だった。
雁夜は戦闘に耐えられるようにと、動きやすさからアーミーファッションをしていた。
「私が、会いたかったのは貴様だ。間桐雁夜.....!」
言葉は不要と、踊り掛かる綺礼は黒鍵で突きを放つ。
それを肩甲骨を動かし、その勢いのまま避け腕を取りに行く。
しかし、綺礼は取られる直前に腕を折り畳み、頂肘と呼ばれる八極拳での肘打ちを放つ。
二の打ち要らずと言われる八極拳において、この頂肘はまさに一撃必殺の威力がある。
だが、雁夜は波式螺旋術の独特な身体操作法による、肩甲骨と股関節の動きにより、左横から肘打ちを当てて右側に逃がす。
さらには、逃がしきれなかった力を利用し、手を顎下から首に回し地面に叩き付けにかかる。
綺礼はそれを瞬時に察知して、力の流れに逆らわず、逆上がりの要領で腹筋に力を入れ受け流す。
その過程で、綺礼の巨体は数メートル吹き飛ばされた。
「なんて威力だ.....」
雁夜は、綺礼の頂肘の威力に冷や汗をかいていた。
これまでの攻防で、最後まで威力が死ななかったのは、ひとえに綺礼の頂肘の威力が凄まじかったからなのだ。
「技のキレは、凄まじいの一言に尽きる.....」
綺礼もまた、雁夜の使う見たことも無い戦闘術の技量の高さに興奮を覚えていた。
距離が再び開いた事で、綺礼は黒鍵を取り出し構えを取る。
そして、雁夜も持ち手に輪っかのついた、半鎌状の刃物を構える。
カランビットナイフと呼ばれるこの刃物は、軍特殊部隊等で使用される事もあるナイフだ。
鎌の様に湾曲している事で直線のナイフより深い傷を与える事が出来る。
ちょうど猫の爪を思い浮かべて貰うとわかりやすいかも知れない。
突き刺してから切り裂くという効果を齎し、よりダメージとなるのだ。
投擲された黒鍵に、すぐに反応し弾き、避け、綺礼に肉薄する雁夜。
しかし、雁夜は距離を取りつつ、時に投擲し、時に斬り掛かる綺礼を前に傷が多くなっていく。
それでも、それらの猛攻を掻い潜り、雁夜もまた綺礼に浅くない切創を刻む。
だが、左手の突き刺しに反撃して、深々とカランビットナイフを刺した雁夜だが、ここで綺礼が筋肉を締め上げる。
すると、カランビットナイフが固定され、その隙を突き綺礼の寸勁が雁夜を襲う。
なんとか力を逃がすも、雁夜の肋にヒビが入り、激痛に顔を顰める雁夜。
負けじと、肩甲骨から発せられた力の波をそのまま綺礼の腹部に伝え、綺礼も吐血する。
「ごふっ.....!!.....はぁ.....はぁ.....」
「ぐがっ.....!!.....ふぅ.....ふぅ.....」
互いに、浅くない傷を負い、しかし、萎えない闘志。
と、そこで、ライダーとアサシンの闘いが終わった様だ。
アサシンが敗れたのを知ると、逃走をする綺礼。
雁夜は後を追うか迷うが、舞弥を見遣りそちらが優先だと考え、舞弥をお姫様抱っこで運んだ。
雁夜も舞弥も、ドラえもんの
「私は.........?.....貴方が助けてくれたのですね.........」
目を覚ました舞弥は、雁夜を見据えながらそう呟く。
「まぁ、成り行きなんでな.........」
雁夜はセイバー陣営の監視をする中で、舞弥がセイバー陣営の仲間なのは知っていた。
だが、信じたくはないという思いもあったため、なんと返せばいいのか分からず、ぶっきらぼうに答えてしまう。
「私は.........セイバー陣営に雇われた傭兵です.........」
そんな雁夜の様子を見て、嘘をついてはいけないという
舞弥らしからぬ感情により、雁夜にそう伝えた。
「あー.....とりあえず、無事で良かった。他に痛むところはないか?」
「いえ、特には.....助けて頂きありがとうございます.....」
微妙な空気が雁夜と舞弥の間に流れる。
だが、そんな沈黙を破るように、禍々しい魔力の反応が現れる。
それは木々を破壊し、真っ直ぐセイバー陣営の城へと向かってくる。
巨大で、醜悪で、酷い臭いの、海魔と呼ばれるタコとヒトデを合成した化け物といった風体?
全長は推定200m、体重推定74万トン、こんな化け物が前進してくるのだ。
そして、その場の全員が海魔から発せられる敵意を感じ取っていた。
この海魔は当然と言えば当然だが、キャスター陣営の放ったものだ。
命令は至ってシンプル、敵を捕食しろ。
((舞弥、聞こえるか?))
((はい.....どうしました.....?))
舞弥の通信機に、切嗣からの連絡が入った。
((キャスター陣営が動いた。他の陣営と協力する様にアイリに伝えてくれ。))
((わかりました.....))
((それと、この機会に間桐雁夜に近づいてくれ。そして.........))
切嗣は、そんなふうに舞弥に命令をくだす。
((.....わかりました.........))
先を続けずとも分かる、その抹殺指令になんだか分からない痛みを感じる舞弥。
「マダム.....切嗣から.........」
先程の内容をアイリに耳打ちする舞弥。
「わかったわ。」
アイリが二つ返事で協力戦を申し出ようと動こうとした時だった。
「魔力を感知して来てみれば.....魔術の秘匿もなにもあったものじゃない。」
「ライダー、フォーリナー、セイバー、アーチャー、あれを打ち倒すという事で相違ないな?」
ランサー陣営が現れて、ランサーの口から共同戦線の申し出がなされた。
「もちろん僕達は構わないよ。」
ドラえもんがまず答える。
「余も同意であるぞ。」
ライダーがそれに続いた。
「私達の方から申し出ようとしていた所だ。」
セイバーもそう声をあげた。
「ふん、あの様な汚物に
アーチャーも渋々だが合意した。
「だが、倒すにしても、あの巨体ではなぁ!」
ライダーは襲い来る海魔の触手を避けながらそう話す。
「知れたこと。核となる部分を一撃で破壊するか、一瞬で消し滅ぼすしかないであろうよ。」
アーチャーは
「だが、私の宝具を使えたとして消し飛ばせるか.....」
セイバーの宝具である、
「僕なら、核さえ一瞬でも見えれば、破壊する自信がある!」
のび太は、自信満々にそう答える。
「セイバー、一瞬でもやつの外皮を引きはがせるんだな?」
「その自信はある。」
セイバーが答えると同時に
「かたじけない!」
セイバーは腱が切られていた方の手の感触を確かめながら礼を言う。
「
「露払いは任せて貰おうか。」
「余はフォーリナーの足となろう。」
ライダーとランサーはそう申し出た。
「他の雑種の安全は
アーチャーはマスター達の護衛に回るらしい。
「時を稼ぐ!」
ランサーは、触手を引き付けながら、次々にそれを切り裂き注意を引く。
「いいぞ、離れろ!
セイバーの宝具から、放たれた光が海魔を包み込む。
しかし、前半分が消し飛んだだけで、見る見るうちに再生していく。
「見えたか!?」
「うん!ここだぁー!!!」
だが、一瞬見えた核を寸分狂わぬ一条の光が撃ち抜いた。
のび太が
そして、自壊するように、海魔は消えてしまう。
共同戦線は成功を収めたのだった。
「.....これで、良かったのか?」
「うん♪上出来♪これで、君も仕事がしやすいでしょ?」
遠く離れた場所で、切嗣とフランチェスカが会話をしていた。
「何故、僕に力を貸す?」
「私はねー、理想に挑む愚かしい人間の姿が好きなの。つまり、君のファンって事♪ま、フォーリナーが気に食わないってのもあるしねー。」
そう、キャスター陣営とセイバー陣営は裏で繋がっていたのだった。