ドラえもんのび太の第四次聖杯戦争   作:テキーラ11

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今回、短めです。


第16話「誇りと意地」

「俺と決着を付けないか、セイバー。」

 

それは、ランサーの唐突な一言から始まった。

 

「今なら、貴様は万全の状態。それを討ち取ってこそ、我が主への宝物となるのだ。」

 

ランサーは騎士として、誉ある戦いをしたかったのだ。

 

故に、セイバーの状態が万全の今が、決着を付ける好機だというわけである。

 

「マスター.....」

 

「私は構わないけど.........」

 

アイリに許可を得るように目配せするセイバー。

 

アイリ自身は構わなかったが、真のマスターである切嗣が邪魔しないか心配なのだ。

 

「水を差されたくないのであれば、余が見届け人となろう。」

 

2人の心配を半ば見抜いているのか、そんな提案をするライダー。

 

「互いに万全、場も用意してくれた。どうだ、セイバー.....これ以上の条件は無いと思うが?」

 

「ああ、決着を付けようランサー!」

 

ランサーの言葉に、力強くそう返すセイバー。

 

ライダーはそんな2人を満足気に見ると、王の軍勢(アイオニオン・ヘタイロイ)を展開する。

 

「はじめぃぃぃ!!!」

 

ライダーが高らかにそう叫ぶと、ランサーとセイバーが切り結ぶ。

 

「これは見ものだなぁライダー、それにフォーリナー共よ。」

 

「ああ!英雄同士の死合いとあらば見届けん訳にはいかん!!」

 

「どっちが勝つんだろう.....?」

 

「本当は止めたいけど.....決闘なら、仕方ないよね.........」

 

アーチャーの言葉に、三者三様の反応を返す。

 

ドラえもんは純粋に疑問を、のび太は争い事への心配を口にする。

 

ランサーはセイバーに約束された勝利の剣(エクスカリバー)を使わせまいと、距離を詰める。

 

迎撃で放たれたセイバーの斜め下からの切り上げを、バックステップで躱し鋭い突きを放つランサー。

 

ランサーの銃弾の様なスピードの突きを掻い潜ると、居合の様に斬り込む。

 

ギリギリでセイバーの剣を受け止めるが、大きく吹き飛ばされたランサー。

 

明らかに、セイバーの方が優勢であった。

 

それは、宝具の特性が知れている事と、ランサーの必滅の黄薔薇(ゲイ・ボウ)が破壊された事に起因する。

 

すると、明らかな劣勢の状態のランサーを援護にかかるケイネス。

 

「令呪をもって命じる!セイバーを亡きものにせよ!」

 

令呪の効果が、肉体を躍動させ一時的にではあるが、ランサーを強化した。

 

先程とは比べ物にならないスピードで襲いかかるランサー。

 

しかし、セイバーもその技量は負けていない。

 

令呪を使って、ようやっと互角に近い戦いが出来ているのだ。

 

しかも、ランサーはセイバーの宝具である約束された勝利の剣(エクスカリバー)をずっと警戒せねばならない。

 

この点で、どうしてもセイバーに半歩程劣ってしまうのだ。

 

何度も繰り返される攻防に、攻め立て続けなければならないランサー。

 

ランサーの猛攻を受け流しながら、息を整えられるセイバー。

 

この差により、ランサーに若干だが疲労の色が浮かび上がってくる。

 

「ランサー、貴様に全幅の信頼を置いてやる。」

 

「マスター.....?」

 

劣勢のランサーにケイネスはそう声を掛け、ランサーは疑問を返す。

 

だが、その隙を放って置くほど、セイバーは甘くは無かった。

 

約束された勝利の剣(エクスカリバー)!!」

 

隙を生じさせない為、威力を絞り放たれる勝利を約束された斬撃。

 

「重ねて令呪をもって命じる!セイバーを亡きものにせよ!!!」

 

重ねられた令呪が、その言葉に最大の誇りをもって答えようとするランサーに答えた。

 

本来ならばランサーのクラスでは使えない、 憤怒の波濤(モラ・ルタ) 激情の細波(ベガ・ルタ)がランサーの手に握られる。

 

激情の細波(ベガ・ルタ)の防御性能により、セイバーの一撃を耐え抜いた。

 

「我が主の命と我が誇りにかけて、貴様を討ち取ってみせる!!生死を分かつ境界線……見定める! はああああっ! ここだ!憤怒の波濤(モラ・ルタ)!!」

 

ランサーの超跳躍により、遥か上空から落下しながらの初撃必殺のランサーの誇りを乗せた攻撃。

 

「騎士王の意地にかけて貴様を退ける!!約束された勝利の剣(エクスカリバー)!!!」

 

迎え撃つは、セイバーの意地を乗せた勝利を約束された斬撃。

 

「ぐはっ!!!ま、だ.........ぐっ.........」

 

「どうやら、私の勝ちの様だな。」

 

決闘の行方は、セイバーの勝利に終わる。

 

ランサーの敗因は、令呪により使える様になったとはいえ、クラスに合わない宝具故に威力が殺されていた事だ。

 

何とか立ち上がろうにも言うことを聞かない、ランサーの身体。

 

そこへ、ケイネスが駆け寄ってきた。

 

「我が令呪を全て使ってなお、負けおって。」

 

ランサーにかけられる厳しい言葉とは裏腹に、怒りの感情は混じっていなかった。

 

「我が主.........申し訳ありません.........」

 

それに対して、本気で悔しがるランサー。

 

「だが貴様の忠義、しかとこの目に焼き付けたぞ。ランサー、大義であった。貴様の忠義には、我が最大の信頼と礼をもって答えよう、貴様を誇りに思うぞ、ディルムッド。」

 

「有り難きお言葉.........!.....セイバー.........俺にはこんなにも素晴らしき主がいるのだ.........!ああ.....世界はこんなにも美しく.....こんなにも幸福をもたらしてくれるのだな.........聖杯に祝福あれ.........その願望に幸福あれ.........いつか.........座に戻る事があれば.....このディルムッドの.........敬意を思い出してくれ.....セイバー.........主よ.........私は.....幸せ.........でし.....た.........」

 

ランサーは光に包まれ、笑みと感涙を流しながら、幸せそうに光の粒となり消えていった。

 

「ランサー、私は貴様に敬意を表し.....そして、この聖杯戦争を勝ち抜くと誓おう。」

 

こうして、意地と誇りの戦いは意地の勝利で終わった。

 

だが、誇りは敗れても、幸福であった。

 

それは、願望が叶えられたからである。

 

「さて、今宵はこの辺でお開きとしようか。」

 

ライダーが全てを見届けた後、王の軍勢(アイオニオン・ヘタイロイ)を解除し、そう話す。

 

「ふん、中々に良き物が見られた。我《おれ》も帰るとしようか。」

 

「ちょっと待って!」

 

帰ろうとするアーチャーをドラえもんが呼び止めた。

 

「ねぇ、アーチャー.....いや、ギルガメッシュ。君は1人きりなんでしょ?だったら、僕と友達になってよ。」

 

ドラえもんは人の為に作られた、心があるロボットだ。

 

それ故に一人きりのアーチャーに思う所があり、そう告げた。

 

「ふん、今宵は無礼講だが、少々不敬が過ぎるぞ。貴様の生き様はまさに奴隷、最下級の存在だ。そんな貴様が至高の存在の王であるこの(おれ)の友となる?侮辱であると知れ!今宵は赦すが、次は無い。」

 

アーチャーはドラえもんにそう吐き捨てて、消えていった。

 

「僕は諦めないよ.........」

 

アーチャーが消えた虚空を見つめながら、そう呟くドラえもん。

 

ケイネスは、その日のうちに聖堂教会に赴き、敗退の手続きと保護をソラウと共に受ける。

 

綺礼は傷を手当し終えてから、教会のキリスト像に祈りを捧げていた。

 

「綺礼、その傷は.....!?」

 

そこへ、父である言峰璃正が通りがかり心配そうに駆け寄る。

 

「父上.....私は敗退しました.........ですが.....負けたくないのです.........越えたい壁があるのです.........!」

 

綺礼に生まれて初めて越えたいという挑戦欲求が芽生えた。

 

その初めての感情は綺礼を悩ませ、璃正に胸の内を吐露させた。

 

「そうか.........」

 

璃正は初めて見る息子の姿に、そう呟くと無言で抱きしめた。

 

「父上.........私は.....私は.........!」

 

抱きしめる父の背中は偉大だった、それ故か綺礼は涙を流していた。

 

「大丈夫だ、綺礼.....!お前は必ず乗り越えられる!私の奥義を授けよう。」

 

この日、綺礼は更なる進化を遂げる事となる。

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