ドラえもんのび太の第四次聖杯戦争   作:テキーラ11

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今回は修行回で、あまり話は進んでいません、ごめんなさい。

でも、敵を消すのに手段を選ばない外道や、マジカル八極拳使いの人外が相手だと仕方なかったんです。


第3話「赦し、そして、継承」

雁夜と桜は抱き合って、泣き続けた。

 

それは、悲痛からくる冷たい涙ではなく、喜びからくる暖かい涙だった。

 

暫くして落ち着くと、臓硯の方へと視線を送る。

 

「この人が本当に、お爺様.......?」

 

臓硯の今までと似ても似つかない姿に困惑を隠せない桜。

 

「ああ、そうだよ。今までの悪いお爺様はもういないんだ。」

 

桜の問に、そう説明する雁夜。

 

「ワシは....お前達に....とんでもない事をしてしまった.......やはり、ワシの命で償おうと思う.......そんな事で....償いきれるとは思えんが.......」

 

臓硯は床に手を付き、頭を下げ、桜と雁夜に贖罪する。

 

「....逃げ出した俺に決める権利は無いと思う。....桜はどう思うんだい?」

 

間桐家という辛い現実に背を向け、逃げ出すという罪を犯した自分には決められないと1番の被害者である桜を見る。

 

「桜は.......死んじゃうのは、謝る事じゃないと思う.....すっごく辛かったし、今でも怖いけど.......お爺様....桜は、赦してあげる。だから、ちゃんと生きて、いっぱい謝ろう?」

 

桜の姿を見て、雁夜はなんて強い子なんだと思った。

 

自分に害を及ぼした相手に怒り排除する事よりも、それを赦し受け入れる事の方が遥かに辛く難しい。

 

それを出来る桜は凄い子なんだと思った。

 

だが、それでも普通の子で、痛みも感じるし、辛い事も沢山ある。

 

だから、雁夜はこの子を必ず幸せにしてみせると、心の中で深く誓ったのだった。

 

「そうか....お前がそう言うのならば、そうしよう.......すまない....そして、ありがとうっ.......」

 

臓硯は桜の優しさに、強さに、また涙を流した。

 

暫くそんな時間が続き落ち着くと、桜も疲れただろうとベッドへ送ってやり、寝かせてから皆でリビングに集まる。

 

「さて....俺の望みは叶ったが....お前達はどうするんだ?」

 

雁夜はソファーに腰掛けながら、ドラえもんとのび太に問い掛ける。

 

「僕達は、元の世界に帰りたいけど.......でも、願い事を叶えるために争い合うなんて間違ってる。だから、この聖杯戦争を止めたい。」

 

「そうだね。僕ものび太君と同じ意見だよ。それに、何か他の方法も見つかるかもしれない。」

 

のび太とドラえもんは同意見であり、それを雁夜に伝えた。

 

「そうか.......なら、俺も協力するよ。マスターとして、戦いに参加する。」

 

雁夜は2人の話を聞き、目をつぶって少し考えると、決心した様にそう話す。

 

「え、でも、危険だよ?」

 

ドラえもんが、雁夜の決断にそう問い返す。

 

「そうかもしれない....だが、お前達は俺の望みを叶えてくれた。だから、今度は俺がお前達の力になりたい。」

 

雁夜やドラえもんの問い掛けに、決意の固さを示す様にそう答える。

 

「....いや、待つんじゃ。お主、刻印蟲も無くなり、魔術もろくに使えんではないか。刻印蟲の影響で、多少、お主の中の魔術回路が開いたにせよ、戦う術が殆ど無い。さすがに無謀と言わざるを得ん。」

 

臓硯は、雁夜を馬鹿にしたくて言っているわけでは無かった。

 

たしかに、雁夜は刻印蟲を埋め込まれた副次効果として、体内の魔術回路が開いてはいた。

 

しかし、それを扱いきる技術も無ければ、魔術回路の数も平均かそれ以下しかない。

 

故に、自分の身を守る術がほぼほぼ無いと言っても過言ではないのだ。

 

「だが、それでも俺はこいつらの力になれる事をしたい.......」

 

雁夜も臓硯が述べる事実は理解していたし、それは自分が1番わかっていたが、それでも何かしたかった。

 

「だがな.......もし、少しでもワシの魔術回路と知識を分け与える事が出来れば、話は別じゃったが.......」

 

臓硯も、雁夜の心意気は汲んでやりたかったが、無謀をさせる訳にもいかなかった。

 

「あのー....方法が無いわけじゃないよ。臓硯さんの力と知識を雁夜さんに渡す事は可能だよ。」

 

2人の議論に口を挟む様に、そう告げるドラえもん。

 

「「なに!?それは本当か!?」」

 

臓硯と雁夜は、口を揃えてドラえもんの言葉に食い付いた。

 

「うん。だけど.......知識は兎も角として、その魔術回路ってのは臓硯さんから無くなっちゃうよ?それでも良い?」

 

2人の視線を受けて、少し申し訳なさそうにそう答えるドラえもん。

 

「.......臓硯、どうする?」

 

自分に決定権は無いと、臓硯に話を振る雁夜。

 

「ワシは、別に構わん。もう未練は無いし、もしそんな事が出来るのなら、ワシの魔術回路を受け継いだ雁夜が間桐家の当主となり、桜を守っていく事も出来よう。」

 

臓硯はドラえもんの提案に頷き、その提案を快諾する。

 

「わかった。.......ムリヤリ借用書とメモリーディスク〜!!」

 

ドラえもんは、ムリヤリ借用書と書かれた借用書と、ディスクが入ったBDプレイヤーの様な物を取り出した。

 

「このメモリーディスクは、このディスクを頭に乗せる事で記憶をディスクに記録して、それをこのプレイヤーで再生したり、記憶を記録したディスクを別の人の頭に乗せて、その人の記録を与える事が出来るんだ。」

 

そう言って、メモリーディスクを雁夜に渡すと、雁夜はそれを頭に乗せる。

 

記録が終われば次に臓硯に手渡され、同じく頭に乗せた。

 

臓硯は出来うる限り、魔術に関する知識を思い起こし記録していく。

 

記録を終えると、また雁夜の頭の上に乗せて、ディスクの記録を頭に記憶させた。

 

「次に、このムリヤリ借用書は、この紙に借りたい人と借りたい相手と借りたいものと借りたい個数を書くことで、借りる事が出来るんだ。1枚につき4種類まで、借りる事が出来るよ。」

 

次に、ムリヤリ借用書を差し出し、道具の説明をするドラえもん。

 

「ワシの魔術回路の数は、80個じゃ。ついでに魔術刻印も持っていけ。」

 

雁夜は言われた通り、ムリヤリ借用書に書き込むとそれを臓硯に渡す。

 

すると、臓硯の身体から魔術回路と魔術刻印が消え、全て雁夜の身体に移った。

 

雁夜の魔術回路の数は20、そして新たに80もの魔術回路が移り、合計100の魔術回路と500年刻み続けた魔術の知識、そして魔術刻印を雁夜は手に入れた。

 

同時に、魔術回路と魔術刻印を失った事で、臓硯の姿が急に老けてしまう。

 

臓硯は魂の物質化をする前は、魔術による若さの維持をしていた。

 

しかし、魔術回路と魔術刻印を失った為に、魔術を行使できなくなり年相応の姿になったのだ。

 

老いた姿の臓硯は、蟲の頃の臓硯に似通ってこそいるが、そこに柔和さと、温和さを足したような外見になっていた。

 

「臓硯.......あんた.......」

 

雁夜は臓硯のそんな姿を見て、なんて言って良いのか分からず、言葉を詰まらせた。

 

「良いんじゃ。元々ワシは、とうの昔に死んでいる筈の身。それを500年以上生きてきたばかりか、余生を過ごす時間まで与えられたんじゃ。文句を言う筋合いは無い。」

 

臓硯は自身の変化を前に、その結果に不満はないとそう答えた。

 

「さて....魔術回路に魔術刻印に魔術の知識も貰った。後は、魔術を使いこなす特訓もしたい所だが、時間があまり無いな.......」

 

サーヴァントが揃った時点で、聖杯戦争は開始であるが故、具体的にいつかまでは分からないが、戦いの幕開けは近いと推測していた。

 

「すっごく大変かも知れないけど、それでも良いなら、そういうひみつ道具もあるにはあるよ。」

 

雁夜の呟きに、ドラえもんはそう前置きをしたうえで提案する。

 

「なに?俺は構わない。出してくれ。」

 

ドラえもんの出す、奇跡の連続とばかりの道具の数々に慣れたのか、さほど驚きもせず二つ返事をする雁夜。

 

「わかったよ。えっと.......エイコーノトビラ〜!!」

 

RPG等に出てくるお城の扉を一回り小さくした様な道具を出すドラえもん。

 

「目標を言って中に入れば、その目標を達成するまでは出られない扉だよ。中は異空間になっていて、外の世界とは時間の流れが違うから安心して。でも、すっごく大変だからね?」

 

ドラえもんは、雁夜に対して、キチンと道具の説明をする。

 

「わかった、ありがとう。じゃあ、行ってくる。『俺は短期間でもの凄く強い魔術師になる!』」

 

雁夜はそう宣言すると、扉の中へと入って行った。

 

中に入ると、人型のロボットがおり、竹刀を持って待ち構えていた。

 

ここから、間桐雁夜の壮絶な修行が開始されるのだった。

 

まずは、どういう原理かは分からないが、蟲蔵の蟲が全ており、それを操りきるための修行だ。

 

「何故、蟲のコスプレをしなきゃいけないんだっ!?....あぎゃぁぁぁ!?....わ、わかった、着るからっ!電気ショックをやめろっ!!」

 

来る日も来る日も蟲のコスプレをしながら、蟲に話しかけさせられる日々。

 

「臓硯との修行じゃ、蟲に魔力を送って、操るだけだったのに.......だが、あいつらや桜の為にも、やりきらねばっ!」

 

弱音を吐きながらも、何とか耐え続け、知識の助けもあり、蟲を十全に操れる様になった頃、新たな修行が始まる。

 

「....なるほど.......蟲達に魔力特性を付与して、戦闘に応用するのか.......」

 

間桐家の魔術というのは、1にも2にも、使い魔たる蟲を使役してそれを戦闘や様々な研究等に活かすという物。

 

それ故に、間桐の魔術自体には直接的な攻撃魔術が殆どないのだ。

 

そこで、使役している蟲に魔力や自身の血等を分け与える事で、用途に合わせた蟲を作り出し、使役する。

 

また、蟲に愛情を注ぎ、心を通わせる事で動き等が良くなるらしい。

 

「なかなか厳しい修行だが....なんとか出来そうだ....!」

 

つまり、先程の修行は蟲を操る為の基礎だが、この修行は自ら使役する蟲を創り出す修行だ。

 

 

様々な、試行錯誤を経て、形になり、ついには創り出すに至ったころ、漸く修行を終えられると思いきや.......

 

「ぐおぉぉぉっ!!?重っっ!!?なに!?この状態で肉弾戦の訓練だと!!??」

 

蟲使いの間桐の魔術師の不得手である、蟲を使わない魔術戦を克服させる為の修行の様だ。

 

攻撃する魔術を殆ど使えない為、やるならば、身体強化を施した上での肉体言語に頼る他ない。

 

そこで、必要な筋力と身体強化魔術の扱い、及び肉弾戦を想定した武術を教え込むようだ。

 

重力を10Gにしたうえで、基本的な攻撃を反復練習して行くことになる。

 

反復練習の方法は、防御の方法をある程度教えた所で、ひたすらに同じ流派の攻撃技を捌く事である。

 

「がはっっ!!??....ぐぐぅぅぅ....!!!ま、だ....ま、だぁぁぁ!!!!」

 

最初は、ひたすらにボコボコにされていた雁夜。

 

不屈の闘志で、何度も立ち上がり、少しずつ創意工夫を施しながら、徐々に被弾する数も減っていった。

 

やむ無く力尽き、気絶すれば、強制的に傷を治され、すぐ様修行を再開させられる。

 

気絶している間や、睡眠の間は身体強化が切れる為、重力を心臓の働きに影響が出でず身体を最低限動かす事のできる4Gに下げられた。

 

しかし、それ以外の時は10Gへと固定され、極限まで肉体と魔力を酷使する事になる。

 

すると、身体がそれにならされ、肉体は超回復し、魔力の回復も早くなっていく。

 

そうやって、過酷さを除けば、大変効率良く、武術に耐えられるだけの肉体と、武術を扱い切るための技術が身に付いていった。

 

「ふんっっ!!!はぁっっ!!!」

 

攻撃技を捌き続けた事により、効率的な防御と、効率的な攻撃を身に付け、肉弾戦において、ロボットと互角に渡り合う雁夜。

 

雁夜が身に付けるに至った武術は、古くは西暦1180年頃の日本にて、源平合戦の折に、生まれたとされる。

 

日本の諜報部隊として活躍していた忍び、つまり忍者が扱っていた武術で、それが未来世界で進化したものを雁夜は学んでる。

 

日本の古武術においては、戦国武術である為、鎧を着て刀や槍を持った相手にする為打撃が少なく投げや関節技が発達した。

 

しかし、忍者は諜報や暗殺を目的としている為、城などの室内で、武器の持ち込みも難しい為に打撃も発達していった。

 

その為、後世に起こる戦争に於いてもスパイとの相性が良く、その技術が使われ、進化していった。

 

さらに時代が進むとタイムマシンが開発され、正しい形で技が伝授された。

 

そして科学技術が発展し死なない場での技術の研鑽が出来るようになると、世界大会等も行われるようになった。

 

雁夜が身に付けたのは、その名を波式螺旋術といい、武田信玄に重用された透波や歩き巫女の間で培われた技術の流れを汲む流派だ。

 

構えは独特で、全身の筋肉を柔らかく脱力させ、肩甲骨を絶えず回し続け、手は波打つ様にリズムを刻む。

 

肩甲骨や股関節から拳や足先に力の波を起こし、それをロスする事なく相手に伝える事で破壊力を生む打撃。

 

螺旋を描いた動きで相手の攻撃を避け、流し、絡めとり、投げや関節に繋ぐ技術。

 

この2つが、基本であり、要の武術なのだ。

 

「....最終試験?....お前を倒せば、出れるのか。」

 

使い魔の扱い、魔術特性を付与した蟲を創り出し、そして武術の習得。

 

これらを経ての最終試験とは、これら全てを駆使して師範ロボを倒す事だった。

 

「ぐはあぁぁっっ!!?....これも、通じないか.......」

 

蟲をけしかけてもだめ、武術で倒そうとしても機械の超反応により遠距離からの雷撃等で近付けない。

 

師範代ロボを、観察し、戦術を練り、倒され、また練り直しを繰り返していく雁夜。

 

「ここをこうして.......いや....こうの方が.......」

 

そして、1つの魔術礼装とも呼べるものを創り出す事に成功する。

 

それは、大量の蟲を寄せ集めて作った、データを演算し数値を変換する生体コンピューターとも呼べるもの。

 

その名も、脳蟲群(モス・ラ・リーテ)、魔力パスを通じて送られたデータを元に変換して別の蟲に送る事も出来る。

 

「展開しろ!!防壁蟲っっ!!」

 

この防壁蟲は、脳蟲群(モス・ラ・リーテ)より送られたデータを元に攻撃を吸収する能力を持つ。

 

1匹1匹は小さく、吸収量も微々たるものだが、大量展開する事により攻撃を防ぐ事が出来る。

 

「密集しろ!!扮装蟲っっ!!」

 

雁夜は扮装蟲と呼ばれる蟲で自身の身体を覆い隠す事で、師範ロボの視界から消える。

 

この扮装蟲は脳蟲群(モス・ラ・リーテ)から送られたデータを元に体色を瞬時に変えることで景色と同化する能力を持つ。

 

こちらも大量に扱う事で、その力を発揮する。

 

これらを扱い切るための技術と貰い受けた魔術回路があってこそ初めて成り立つ戦術だ。

 

「せぇやぁぁっっ!!.......これで、修行は終わりか.......」

 

師範ロボに忍び寄り、渾身の武術を叩き込む事で、師範ロボを倒した雁夜。

 

5年にも及ぶ過酷な修行を経て、雁夜はその髪は真っ白に変化し、筋骨隆々の身体を手にした。

 

さらに、魔術を扱う技術、応用する戦術思考、敵を屠る為の武術を身に付けるに至った。

 

雁夜は漸く扉に手をかけ、外に出ることが叶う。

 

「....今は、夕方か.......待たせたな、ドラえもん、のび太。.......どのくらいの時間が経った?」

 

雁夜を出迎えたのは、まずは、差し込んで来る夕陽、そしてドラえもんとのび太だった。

 

「お疲れ様、ずいぶん逞しくなったねー!えっとね、お兄さんが中に入ってから、5日くらいかな。」

 

のび太は雁夜の変化に感嘆すると、雁夜の質問に答えた。

 

「そんなにというべきか、それほどというべきか、分からないが.......聖杯戦争になにか動きはあったか?」

 

のび太の答えに感慨深い表情でそう話すと、真剣な表情で次はそう問いかける。

 

「結論から言うとね.......サーヴァントを1人倒したよ。」

 

「はあぁぁぁぁぁっっ!?」

 

ドラえもんの衝撃的な発言に、雁夜の驚愕の声がコダマする。




雁夜おじさんの身体は、ビルダーみたいなゴリゴリのマッチョというよりは、格闘家の様な引き締まって無駄な筋肉が内容な身体に仕上がってます。
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