幸村side
昨日、妹の綾音と初めての兄妹喧嘩をした。
俺としてはそんなに酷いことを言ったつもりはなかったけど、母親に相談すると最近綾音は家事で友達と遊んだり出来ていないらしい。
綾音はなかなか周りに心の内を話せるタイプじゃないから恐らくストレスが溜まっていたんだろう。
俺が楽しそうでいいねって言ったから・・・次きたら綾音に謝らないとな。
そう思っていると突然ドアのノック音が病室に響いた。
コンコン・・・
「どうぞ」
「お、お兄ちゃん。そ、その、昨日はごめんなさい。私・・お兄ちゃんのこと考えないで、」
「ううん、俺の方こそごめんね。綾音がそんなに家のこと頑張ってくれてるなんて知らなくて・・」
「そ、そんなことないよ。あ、あのね!実は今日月下美人っていうお花持ってきたの!!今日辺りに咲くはずらしいから、是非ってもらったんだ!」
「へ〜、誰に?」
「え、えぇっと、その、し、知り合いに!!」
綾音は嘘が下手だ。でも変に問い詰めて折角の仲直りがおじゃんになったら嫌だから今日の所は問い詰めないことにした。
その日、綾音は病室にお泊まりすることにして、2人で月下美人を楽しんだ。
それからは綾音も前より元気になって綾音が寂しくないように両親も気を遣ってくれた。
そうこうしている内に手術は成功し、無事退院の日を迎えることができた。
病気になったばかりの時はどうして僕がこんな目にって何度も何度も神様を恨んだけど、今では周りの暖かさに感謝することが多くなった。
久しぶりの家は懐かしくて、安心感があって、居心地がとてもよかった。
でも俺の手入れしてた庭は荒れてるんだろうな〜と思って庭を覗くとそこは俺がいた時と変わらず綺麗に花が咲いていた。
植えた覚えのない花まで。
正直、花が全て枯れてしまっているものだと思っていたからビックリしてしまった。
家族に聞いても皆はぐらかすし、心当たりもない。
まぁ、その人が正体を隠したいのに無理に明かすこともないか、花の手入れをしてくれたお礼を言いたかったんだけどな。
しばらくして、学校にも慣れた頃俺の部屋に綾音が訪ねてきた。
「ね、ねぇ!お兄ちゃん、」
「何?」
「そ、その、桐生さんってもう家にこないの、かな?」
・・・・・なるほど、桐生だったか。
今まで何故気付かなかったんだろう?確かに俺が入院する前週に何回か俺の家に来てガーデニングの手伝いさせてたし、本も貸していた。
逆に桐生以外にいない。
しかも綾音の様子を見るに、桐生に惚れている様子。
「今週末来る予定だよ」
「そ、そうなんだ!」
そう言うと、綾音は嬉しそうな顔をして自分の部屋に帰っていった。
柳に電話をして確認すると、俺が入院してから桐生が部活後用事があると1人で足早く帰っていたことがわかった。
桐生は素っ気なさそうで結構優しいところがある奴だからな。
これで確定だ。
にしてもまさか綾音が惚れるとは、確かに顔もかっこいいし、頭いいし、運動神経もいいし、後輩の面倒見もいいし、パッと見細身だけど力は真田よりあるし、赤也曰く女子にもレディーファーストで柳生に褒められる程らしいし。
思えば、そんな奴が毎日家に来てたら惚れないわけがないよな。
まぁ、綾音には入院中苦労をかけたし、妹の恋を応援してやろう。
そう思って俺は桐生に週末家に来るように電話をかけた。