去年、俺は立海大附属中学校の幸村精市という男に地区大会準決勝で負けた。
それまで俺は部活内でも負けなしで、どんな手を使っても勝ちにこだわってきた。
相手が有利な時にはそいつの身体や顔に傷を作り棄権させてやった。
卑怯?それまではあっちが勝ってた?
んなもん知るか、ボールを避けれなかった奴が悪いんだよ。それに棄権だろうが勝ちは勝ちだ。
でも立海大附属中学校の幸村はそれまでの奴らとは違って、どんな球にも柔軟に対応し、平然と返してきた。そしてとうとう俺はあいつに五感を奪われ、1ポイントも取れなかった。
去年の屈辱を晴らす為に前よりも練習やトレーニングにも励んだ。
今年は地区大会初戦で立海大附属中学校とあたる。だけど、当日に立海のオーダー表に目を通すと幸村の文字はない。
俺はこの一年あいつを倒すことを目標にしてきた。だが、あいつにとって俺なんて眼中にないんだ。
ふざけんな。
しかも相手はレギュラーでもない1年だと?
舐めやがって・・・見てろよ、お前の前でお前の可愛い後輩をボロボロにしてやるからな。
そう決意して試合が始まり、俺は最初のサーブから相手の顔面を狙う。
我ながらいいサーブが打てた。よし、これなら顔面的中間違いなし!!
初戦から俺みたいな奴と当たってかわいそーにトラウマになっちまうかもな。でも恨むならオーダーを組んだ先輩とお前の運の悪さを恨めよな。
口角が上がり、相手が地面に伏せるのを楽しみにしていたが相手の1年はいとも簡単に俺のサーブを返してきた。
予想外だったが、すぐに俺もボールの元へ駆け寄りリターンを決める。
にしても相手の1年、思ってるより打球が重いし、スピードも速い。
くそ、やはり腐っても王者立海ってことか。
でも流石に足元狙われたら返せねぇだろっ!
そう思い次に奴の足元を狙うが、それも普通に返してきた。
何処に打っても平然と返してきやがる。こいつ、本当に1年かよ。
あっという間にそのまま相手リードを取られて試合は3-0を迎えた。
ちらりと立海のベンチを見ると余裕な態度の幸村精市が目に入った。
だが奴は1年生から1ポイントも取れない俺のことなど見てもいない。不安そうな顔も、あの顔つきは自分の後輩が俺相手に負けるわけがないと確信しているんだ。
何の、何のために俺はこの1年も頑張ってきたんだ。
このままじゃ終わらせねぇ・・
ラケットのグリップを強く握りしめ、歯を強く食いしばる。
そうだ、いいこと思いついちゃったぜ。
せいぜい俺を舐めてかかったことを後悔するんだな。幸村精市