ヤバい剣しか投影できないオリ士郎君   作:ぬぶぬぶ

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絶対に失踪するんじゃねえぞ....

(口調が)これもうわかんねえなあ

おかしなところがあったらすぐさま修正します。


士郎君のカルデアでの一日

「ふぅ^~疲れましたよほんと」

 

アーチャーに案内された俺は、時々すれ違ったサーヴァントの人に挨拶をしながらこのカルデアを見学した。

やはりカルデア、古今東西色々なサーヴァントがいる。まだ10数人くらいとしか出会ってないが、それでも所謂高レアの人たちが多かった。

おいおいここのマスターは重課金しているのか...?

 

「それにしても一人だけの部屋をくれるとは....」

 

カルデアの見学が終わると、我らが主人公の藤丸立香ちゃんに一人部屋をもらった。

俺は別にアーチャーと同室でもよかったのだが、その俺の意見を聞いたアーチャーの顔が非常に歪んでいたため、ありがたく部屋を受け取った。そんな顔しなくていいだろ!

 

「それにしてもやっぱり殺風景だな」

 

ベッドに腰かけ、貸していただいた部屋を見渡す。今まで誰も使ってなかったのか部屋には観葉植物しか置かれていない。

けど鏡や洗面台、机などが備わっているので十分生活できるだろう。

 

「何か置くとしても、置くものと言ったら何があるかね」

 

アーチャーに何か投影してもらおうかな?できるかわからないけど、とりあえずソファーでも作ってもらうか。

けど俺が頼んだら絶対断ってくると思うんだよな。なんで?(威圧)

 

「おっそうだ。俺の投影した剣でも飾るか!」

 

トレース、オンと呟き剣を投影する。投影された剣をとりあえず壁に立てかけてみる。

 

「なかなかいい感じじゃん」

 

顎に手をそえ、部屋の入口から見栄えを見てみる。

 

「でも....ひねりがないよねぇ...」

 

部屋全体を視界に入れて眺めると、微妙に違和感が湧いてきた。

剣が足りないのか?

 

「トレースオン。名刀電光丸」

 

いつもの愛用の剣を投影し、今度は机の上に横向きに置く。

 

「おお!さすが日本刀、横向きにしたら様になるな!よぉしどんどん飾っちゃうぞぉ~!」

 

 

一度ハマってしまえばもう止められない。士郎は自分の考えに赴くまま部屋を改造していった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「士郎さんに渡した部屋ってこっちであってたっけ?」

「はい。確かこちらの部屋のはずですが」

 

マシュと一緒にマスターとしての用事を終わらせた私は、新しくカルデアに来た士郎さんの部屋へと向かっていた。

エミヤの案内はもう終わっているだろうし今は部屋にいるだろう。

 

「そういえばあの部屋何もないから士郎さんに何か欲しい家具はあるか聞かないとね」

「そうですね...今まで誰も使っていなかった部屋ですのでベッドしかないはずですし」

 

間違えて彼を召喚したこちらとしては、カルデアでの彼の生活に何ひとつ不自由がないようにしなければ。

 

「おや、マスターとマシュ。君たちも奴の部屋に行くのか?」

「あっエミヤ!エミヤも士郎さんのお部屋に行くの?」

「業腹だがな。案内しているときに、あれにあることを注意するのを忘れていた」

「?注意ってなんかあるの?」

 

私が尋ねると、エミヤはため息をついた。

 

「そういえばマスターはあの小僧の特異性についてまだ知らなかったな。ちょうどいい、教えておこう」

 

エミヤは歩きながら、士郎さんの能力について語る。

 

「マスターは私の投影魔術を知っているだろう?あの小僧も同じだ。投影魔術で武器を作ることができる」

「へぇ、士郎さんも投影で...」

 

そう考えるとエミヤと士郎さんってやっぱり似ているような。どちらもエミヤと名がついてるし、投影魔術を使えるし。士郎さんはエミヤのことをお兄ちゃん(大嘘)と言っていたけど、本当はどういう関係なのだろうか?

 

「そして小僧の特異性こそがその投影魔術だ。私の投影も通常のものとだいぶ異なると理解しているが、奴はその比ではない」

「士郎さんの投影がですか?英霊の宝具を複製できるエミヤさんもかなりすごいと思うのですが...」

 

疑問に思ったマシュがそう呟く。確かにエミヤはベオウルフの赤原猟犬(フルンディング)やフェルグスのカラドボルグなど、英霊の宝具を複製できて充分すごいと思うけど。

 

「奴が言う()()()()を見たらわかるさ。あれはまさしく別格だ」

 

「ヤバい剣...?」

 

随分と抽象的な言葉である。エミヤは苦笑して、頭を傾ける私たちを見る。

 

「まぁ、なんだ。あれをよろしく頼むよマスター。ああ見えて戦闘ではそれなりに役に立つさ」

 

そう呟くエミヤは少し困ったかのような表情を浮かべた。

 

 

 

「さてついたか。小僧、入るぞ」

「入って、どうぞ」

 

士郎さんの部屋の扉を礼儀正しく数回ノックしたエミヤは、部屋の中の士郎さんの了承を聞き扉を開ける。

 

 

「ようこそ、『俺の部屋』へ!」

 

....部屋を開けると士郎さんが腕を広げて待っていた。部屋中にはいつの間にかいろいろな剣が置かれている。

その全てにとてつもない神秘が込められていることがわかり、あまりの存在感に少し眩暈がする。

 

「..........この」

 

エミヤが何かを呟く。私はチラっとエミヤの横顔を見てみると、その顔はだんだんと赤く染まっていき、青筋がくっきりと浮かんでいく。

 

「たわけがッッ!!!」

「あべしっ!?」

 

ゴンッと鈍い音が部屋中に響いた。

エミヤのチョップを頭に食らった士郎さんはその場にうずくまる。

 

「うおぉおお!俺の頭があああ!」

「この愚か者!こんなに剣を投影するとは何を考えている!?さっさと消せ!」

 

すると士郎さんは涙目になり、頭をおさえながらエミヤを見上げる。

 

「に、2度もぶったね...おっさんにもぶたれたことないのに!」

「三発目もいくか?」

「すみませんでした」

 

謝罪とともに士郎さんは土下座する。すると部屋中にあった剣が粒子となって消えていった。

 

少しホッとした私はかがんで士郎さんと向き合い、涙目の士郎さんと目を合わせる。

 

「士郎さん....とりあえずカルデア内で投影は今後禁止ね」

「ヒェッ...わかりました...」

 

士郎さんは私の顔を見て青ざめた。そんなに怖い顔だったかな....

 

 

 

 

 

「イタタタ...頭が割れたかと思った。へこんでない?俺の頭」

「うーんちょっとたんこぶができてるような」

 

あの後エミヤが士郎さんを激しく叱り、私の代わりにカルデアでの規則を細かく教えてあげた。

士郎さんは正座をして、「はい....はい....」と頷きながら真面目に聞いていた。

 

そしてエミヤの長い説教がすむと、ちょうど夕飯の時間となったので私は士郎さんを食事に誘った。

私たちは現在食堂へと歩いている。

 

「それにしても、あの剣の山には驚きました。どれも超一級のものでしたね」

「確かに....」

 

脳裏に先ほど見た光景を思い浮かべる。どれも見たことのない剣だったが、一目見ただけでそのどれもが()()()ことがわかった。エミヤが言っていたのはあのことなのだろう。

 

「投影なしの実力ではこのカルデア最弱だがな」

「おっと、心は硝子だぞ」

 

エミヤの馬鹿にするような物言いに士郎さんは歯ぎしりする。

 

「そういうアーチャーはムキムキのくせに筋力Dランクじゃん」

「おっと、心は硝子だぞ」

 

士郎さんがエミヤに反論すると、エミヤは一字一句同じ言葉を口に出した。やっぱり本当に兄弟なんじゃないかなこの二人。

 

「あっそうだ、マスター」

「ん?どうしたの士郎さん」

 

エミヤと口論していた士郎さんがこちらへと振り向く。

 

「俺のことはさん付けで呼ばなくてもいいよ。というかさん付けされるのに慣れてないからな」

「わかった、じゃあ士郎って呼ぶね!」

「いいぞーこれ」

 

士郎はうんうんと頷く。こうしてみると、意外と接しやすい人なのだろうか。

 

 

 

「ここが食堂だ。それではマスター、私は厨房に向かうよ」

「今日もご飯楽しみにしとくね!」

「ついに俺もアーチャーの飯を食す時が来たか...」

 

士郎はエミヤの作るご飯に心を弾ませているのか、グヘヘと口から笑みを漏らす。

 

「エミヤとは親しそうだけど、士郎は一度もエミヤのご飯を食べたことないの?」

「そうなんすよ。あの人、俺が必死に頼んでるのに馬鹿にして一度も食べさせてくれないんだよ」

「エミヤがそんな態度をとるなんて珍しいね」

 

エミヤは誰かに自分の作った食事を食べてもらうことに喜びを感じているはずなのに、どうして士郎に食べさせないのだろうか。

 

「でも俺はまだマシなほうよ。前までのあの人なら、隙あらば殺しにかかるような人もいるし」

 

まぁそいつも衛宮士郎なんだけど...と士郎は誰にも聞こえない声でつぶやく。聞き取れなかった私は首を傾げながらも、気にせず士郎を席へ案内する。

 

時間帯のせいかサーヴァントの皆で食堂が少し混んでいるが、4人掛けのテーブルが開いていたのでそこに名札を置いて場所取りをする。

私が名札を置くと、周囲を見回す士郎が視界に入る。

 

「どうしたの?」

「知り合いの英霊とかいないかなと思って」

 

辺りをキョロキョロと見回す士郎。エミヤとも知り合いらしいし他にも知っているサーヴァントがいるのだろうか。

 

「ちなみに知り合いの英霊って誰がいるの?」

「うーん、真名を言えばアーサー王、クーフーリン、メディア、メデューサ....あと英雄王とシトナイ」

「け、結構知ってるんだね。うん、言われた人たちならクラス違いも含めて全員いるよ!たぶんそのうち出会うと思うけど」

「おっ、皆いるってことはマスター結構課金してるね~」

「課金って何...?」

 

意味の分からないことを士郎が言ってきたので、首を傾げる。士郎は気にしないでと言って笑う。

そして彼はウキウキとした表情でエミヤのいる厨房を指さす。

 

「よし!それじゃあアーチャーの飯をもらいにイクゾー!」

「らじゃー!」

「は、はい!」

 

名札を置いた席を離れて、エミヤたちがご飯を渡している場所へと向かう。

ご飯を受け渡している人の姿が見える。今日はあの人も厨房にいるんだ。

 

「おっ、君が新しく来た新人かい?」

「オッスオネシャス!」

「ははは!映像で見た通り面白そうな人だね!あたしはブーティカ!よろしくね」

 

腰まで伸ばした赤い髪と長身が特徴のブーティカが何かを思い出したのかクスクスと笑う。

 

「君が来たときのエミヤの焦り具合といったらもう!勢いよく飛び出していった彼に食堂の皆が騒然としたものさ!」

「からかうのはやめてくれブーティカ...」

 

ブーティカの笑い声を聞いたのか奥からエミヤが出てくる。

 

「アーチャー!飯もらいに来たぞ!」

「フン、貴様の分はしっかりと用意してある」

 

自分の配膳トレーをエミヤの前に置いた士郎はエミヤのご飯を今か今かと待っている。

エミヤは再び厨房の奥へと戻り、何かを手にして戻ってきた。

 

「受け取れ」

 

そして士郎の配膳トレーの上に適当に乗せる。

 

「....一応聞くけどこれは?」

「見てわかるだろう?カップ麺だが」

 

士郎は青筋を浮かべながら、配膳トレーの上にあるカップ麺を掴む。

 

「頭にきますよぉ!いい加減飯食わせろこの朴念仁(ぼくねんじん)野郎!」

「失礼な奴だ。言っておくがカップ麺は補充できないから結構貴重なんだぞ」

「だったら普通にお前の飯食わせろ!」

 

....仲がいいのか悪いのか。この二人の口喧嘩に私は苦笑する。

 

「もーエミヤったら新人いじめしちゃだめだよ。ほら新人さん、こっちがエミヤの作ったご飯ね」

「ありがてぇ...」

 

二人の口喧嘩を見かねたブーティカが士郎のトレーの上にご飯を置いていく。士郎はブーティカに手を揃えて感謝の言葉を告げた。

 

「貴様の飯はいただいたアーチャー!次も頼むぞ!」

「さっさとどっか行け」

 

シッシと手を払うエミヤを気にせず、士郎はカップ麺とトレーを手に笑顔で席へと一足先に戻っていく。

私とマシュも自分が持ったトレーをエミヤの前に出す。

 

「エミヤはなんで士郎に厳しいの?」

「あいつにはこれぐらいがちょうどいいさ。甘やかすと調子に乗るからな」

「うーん、否定できない...」

 

自室であんな剣を勝手に投影した件があるし、そのうちもっとヤバい問題ごとを起こすかも。

 

「安心しろマスター。奴が問題ごとを起こさないように監視しておくさ」

「ふふ、じゃあよろしく頼むねエミヤ!」

 

監視じゃなくて世話焼きだろうに、素直じゃないんだから。

 

 

 

料理を受け取った私とマシュは先ほどの席へと戻る。士郎が先に料理に手をつけずに私たちを待っていた。

 

「ごめん士郎、待たせた?」

「もう待ちきれないよ!はやく食べようぜ!」

「それじゃあ食べようか」

 

三人でいただきますと声に出し、手を合わせる。

今日のご飯は和食。お米に味噌汁、お魚などの栄養を重視したものとなっている。

 

「士郎はさっき言った英霊の皆とどういう風に知り合ったの?」

「ん?」

 

美味しそうにご飯を食べている士郎に私はそう尋ねる。士郎は手に持つ箸を一度トレーの上に置く。

 

「あーそうだな。昔俺は聖杯戦争に参加していたんだよ」

「聖杯戦争にですか?」

「そう、英霊を呼び出して戦う戦争ね。まぁ戦争って言うけど、実際は一回しか戦闘してない」

「?一度の戦闘で決着がついたの?」

 

すると士郎は自らが経験した聖杯戦争について細かく説明してくれた。聖杯の汚染、この世すべての悪、英雄王のことなど全て話してくれた。

 

「へぇ、てことは英雄王に全員で挑んだんだ」

「いや、王様と直接戦ったのは俺一人だけだよ」

「えぇ!?英雄王相手にサーヴァントを連れずに一人で戦ったの?!」

 

あまりの衝撃的な事実に大声で驚いてしまう。周りにいるサーヴァントたちもなんだなんだとこちらを見てくる。

 

「本当死ぬかと思ったよ....もう二度とあの人と戦いたくねぇ」

 

「ほお、ならばこの場でもう一度戦うか雑種」

 

「!?」

 

ビクッと肩を震わせて、士郎は恐る恐るその声が聞こえてきた背後をゆっくりと振り向く。

 

「お、王様...」

「貴様が召喚されるとは驚きだったぞ。だが最初に我を謁見しなかったことは万死に値するな」

「そんな!?まず王様がいるなんて知りませんでしたよ!?」

 

突如現れた英雄王に、恐れおののく士郎。戦ったと言っていた割には仲が良さそうだけど。

 

「だが、我がくれてやったその腕輪を肌身離さず付けていることに免じて此度は許そうではないか。あとで我の部屋に来い雑種」

 

英雄王は士郎の右手に輝く青い宝石の腕輪を見て、踵を返す。さっきから気になっていたあの腕輪は英雄王が士郎にあげたものだったのか。

 

「えっ、めんどくさ___わかりました!わかったからゲート開かないで!」

 

自らを囲むようにして開かれたゲートオブバビロンに士郎は手を合わせて謝る。英雄王はフハハと笑いながら食堂の出口を出ていった。

 

「相も変わらず嵐のような人だ」

「英雄王と結構仲いいんだね」

「奴隷みたいに扱われてるけどな」

 

士郎はテンションだだ下がりで再び箸を手に持ち、食事を再開する。

 

「大人の僕がすみませんねお兄さん」

「ん?あっ!子ギル先輩!」

 

またもや士郎の背後から声をかけたのは紅顔の美少年、英雄王の若かりし頃の姿、子ギルである。

彼はニコニコとした笑顔を浮かべている。

 

「子ギル先輩もいたんすね。どうです?カルデアでの生活は」

「居心地のいい場所ですよここは。たぶんお兄さんも気に入ると思います!」

「それならよかったです」

 

どうやら士郎は子ギルとも仲が良さそうだ。楽しそうに会話を続けている。

 

「別にあの人の言うことなんて聞かなくてもいいんですよ?」

「いやでも無視したら後が怖いし...」

「顔真っ青だよ士郎」

 

英雄王の誘いを無視した後を想像したのだろうか、士郎の顔が真っ青に染まる。

 

「あはは。それなら早くご飯を食べたほうがいいですね」

「?どうしてですか?」

「大人の僕を待たせすぎたら、お兄さんに何するかわかりませんよ」

「!?」

 

士郎は子ギルの忠告を理解し、ご飯を猛スピードで平らげていく。

そして最後に残ったお米を口いっぱいに放り込んで、コップの水で押し流す。

 

「それじゃあマスター!先行くわ!」

「いってらっしゃーい」

 

空になった食器を乗せたトレーをもって、士郎は早歩きで去っていった。彼が英雄王にいじめられないことを願うばかりだ。

 

「英雄王も子ギルも、士郎と親しそうだね」

「お兄さんと戦った大人の僕の心情は知りませんけど。僕は結構好きですよお兄さんのこと。マスターも見ました?彼の投影した武器」

「うん。すごかった」

 

上手く言葉で言い表すことはできない。けど言葉で言い表せないほどあの剣はすごかったのだ。

 

「そうですよねー。お兄さんの『底』は僕の()でも見えづらいですし、本当に面白い人です」

 

すると子ギルは片手の指を三つ上げた。

 

「あの人の持つ剣でも特にすごいものが三つあるらしいのですが、まだ僕は二つしか見てないんですよね。いつか残りの一つも見てみたいものです」

 

フフッと笑う子ギルはそう言うと、食堂の出口へと向かっていった。士郎の後について行って様子でも見に行くのだろうか。

 

「士郎の三つの剣かぁ」

「いったいどういうものなのでしょうか?」

 

うーん。子ギルはそのうちの二つを見たらしいし、私も見てみたいな。

 

「めちゃくちゃ大きい剣だったりしてね」

「ふふ、そうかもしれませんね」

 

私は幼心に戻り、かっこいい剣を想像し続けていた。

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

「コーナーで差をつけろ!」

 

カルデアの曲がった廊下を颯爽と駆ける俺。

一秒でも早く、先ほどすれ違ったサーヴァントの人に教えてもらったギルガメッシュの部屋へとたどり着くのだ。

 

 

 

もちろん。大勢のサーヴァントや職員がいるカルデアで注意もせずに走り続けたら、誰かとぶつかることは必然である。

 

「おわっ!?」

「きゃあ!?」

 

曲がり角から出てきた人とぶつかってしまう。

 

「おわっーーーー!?」

 

直前に急ブレーキをしたことで衝撃は少なかったが、足がもつれて地面へとヘッドスライディングしてしまう。顔の皮が剥けるかと思った。

 

「わわわ!大丈夫ですか!?」

「何?どうしたのよ?」

「イリヤ...大丈夫?」

 

床に倒れ伏す俺の耳に三人の少女の声が聞こえた。ていうかこの声は!!

 

「わっー!!!」

 

「わっ!?ってお兄ちゃん!?どうしてここにいるの!?」

「「!?」」

 

勢いよく飛び上がり、少女たちと向かいあう。

 

うむ。イリヤ、クロエ、美遊の魔法少女トリオですな。

 

「今朝ぶりだなイリヤ!ところで後ろの二人はどなた?」

 

俺は知ってるけど、一応尋ねてみる。三人とも穂群原学園の制服を身に着けているが、魔法少女の服じゃないんだな。まぁさすがにあの服装でいたら恥ずかしいか。

 

驚いている目の前の少女たちは、俺を尻目にお互いに顔を合わせコソコソ話を始めた。

 

 

「クロと美遊を知らないってことは私たちの知るお兄ちゃんじゃない...?」

「そうなのかも、ここはいろんな世界の人が集まる場所だから」

「てことはあのお兄ちゃんは並行世界のお兄ちゃんなの?」

 

小さい声で話し合ってるせいかイリヤ達の話が聞こえない。

するとイリヤがこちらへと振り向く。

 

「あの!お名前を聞いてもいいですか!」

「愚地独歩です...」

 

 

「やっぱり私たちの知らないお兄ちゃんだよ!」

「いや、あれはからかってるだけでしょ....」

 

イリヤの慌てようにクロエは呆れたような顔を浮かべる。

 

「ごめん嘘、本当は衛宮士郎。ところで三人はどういう集まりなんだっけ?」

 

「どうしようクロ、美遊。私このお兄ちゃんのテンションについていけないよ...」

「やっぱり別人よね」

「私もそう思う」

 

またコソコソ話を再開した三人。俺も仲間に入れてくれよ~。

 

あっヤベ、そういえば王様待たせてるんだった。

 

「それじゃあなイリヤとそこの二人とも!俺はちょっと用事があるから急ぐわ!ぶつかってごめんね!」

「あっ!待ってお兄ちゃん!」

 

走り去る俺に静止の声がかかるが、罪悪感よりも英雄王のお仕置きへの恐怖が勝ったので心を鬼にして駆ける。

あとでちゃんと埋め合わせするから....

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ひどい目にあった....」

 

あの後英雄王の部屋へとたどりついた俺は、見てわかるほど不機嫌な王様のゲーム相手をさせられた。一番最初はレースゲームだったので何とか粘れたものの、英雄王の持つ巧みな運転技術によって全て負けた。

その次にチェスや将棋などのボードゲームもやったが、当然俺が勝てるわけがなく、そこでも全て負けた。

英雄王から解放されたのは夜遅く。

全負けした俺の精神はボロボロだ...

だがまぁ肉体的なお仕置きがなかっただけマシか。

 

「眠い、眠くない?」

 

お風呂に入ってないけど、もう夜も遅いのでベッドで寝ることにする。それにしても今日一日は劇的すぎた。

 

靴を脱ぎ、ベッドに寝転がる。軽いストレッチをして、薄い布団をかぶる。

電気を消す。俺しかいない部屋に夜の静寂が満ちる。

 

「今日はすぐ眠れそう」

 

明日のことを考えながら、俺は夢の中へと飲み込まれた。

 

 

 

 

 

 

士郎が寝静まったころ、士郎の部屋の扉が静かに開く。そして一人の少女が部屋に入ってきた。

その少女は忍び足で士郎の眠るベッドに近づき、士郎を起こさないようにその布団を静かにめくる。

 

そして士郎に抱き着くように寝転がる。

 

「...んぅ?」

 

士郎は自分に触れる何かに気づき目を覚ます。重い瞼をこすりながら、抱き着いてきた張本人を見る。

 

「起こしちゃった?士郎」

「ファッ!?」

 

自分の腕に抱きついていたのは、真っ白な女の子。士郎のよく知るシトナイその人だった。

彼女はむぅーと怒ってるような表情を浮かべる。

 

「シトナイ!?なんでここに!?」

「士郎がいつまでたっても私に会いに来てくれないからこっちから来たよ」

 

士郎の腕に抱き着く力を強める。シトナイは先ほどの怒り顔をなくし、にこやかにはにかんだ。

 

「シトナイは『俺』を知ってるのか?」

「うーん、私の知る『士郎』じゃないそうだけど、士郎は士郎じゃん!」

「ははは、そうか」

 

頭を掻く士郎は、飛び上がった体を再び布団に沈める。

 

「それじゃあ一緒に寝るか」

「うん!」

 

仲良くベッドに並ぶ彼ら。それは士郎君にとっていつも通りの日常であった。

 

 

 

 

 

 




アンケート通り、次は聖杯戦争その後でも書きたいと思います。
たぶんここから話数が飛び飛びになるかと思います。お手数おかけします。



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