転生騎士の英雄譚 リメイク   作:謎のコーラX

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原作10巻以降のネタバレ注意
まだ見ていない人は見ないことをおすすめします。


18話 悪者 更なる悪者 

《傀儡王》 オル=ゴール、解放軍(リベリオン)に属する人格破綻者、人の不幸は蜜の味が彼の性であり、世界でも数十の魔人の一人、霊装(デバイス)は《地獄蜘蛛の糸(ブラックウィドウ)》、糸の霊装であり、それで死体すらも生きてるように操ることが可能。

 

実力は魔人故に高く、自他が認めるモノだが、彼は今、ある場所にいる、草木が生えない、岩石だらけの荒野、今彼の相手には相性の悪い場所、負けるはずがない、コイツも人形にしてやろう、と、息巻いていたオル=ゴール……それも5分ほど前のことではあった。

 

「がっ――ごほっ!」

 

膝をつくオル=ゴール、身体が文字通り痺れ、今にも倒れそうな様子。

 

「あんれぇ?、どぉしたのかぁなぁ?」

 

暗い白の花のブローチを身につけ、岩山の上で、オル=ゴールを見下ろす男、カンに触る言動と、余裕に満ちた表情からは性根の悪さがうかがえる。

 

「こんな……ボクが……!」

 

オル=ゴールは糸を放つが、それは男の目の前で焼き切れる、彼は指一本動かしてはいない、ただ彼の纏う電気が強いのだ、本来どんな炎でも攻撃でも切れることなどなかった糸が、切れてしまうほど。

 

「何故だ……クソ!」

 

想定外すぎる、今まで隠れて、まずバレることなく暮らしていた、数百の人形で世界を操っていたが、今はそんなことよりも自分の命、人形を停止させ、彼と対峙することにすべての力を行使している、それでも、遠い、まるで《暴君》、解放軍のリーダーのようだが、彼よりは弱い、だが、現実問題、勝てない、逃げようにも、電気の檻によって閉ざされ、空からでも不可能だ、地中は固く、選んだ場所が相手に悪いはずなのに今は自分に振りかかる。

 

「……もういいや、なんかもう飽きたよ」

 

子供が玩具を捨てるかのように、欠伸をしながら、男は指先から高電圧の雷の弾丸で、オル=ゴールの頭を貫いた。

確実に死んだ、だが、オル=ゴールには、それは反撃の狼煙とも言うべき最強最悪の伐刀絶技(ノウブルアーツ)の発動が可能となった。

 

死霊遊戯(ダンスマカブル)

 

伐刀者(ブレイザー)の市によって発動する伐刀絶技であり、効果は限界を超えた力、並大抵の攻撃では切れない糸、頭を潰されてなお動く身体、まず使うまいと思っていたが、背に腹は変えられない、今こそ、コイツを殺すのだ。

 

「お前なんて!、この姿になったら、負けることなんてないんだよぉ!」

 

オル=ゴールは跳躍、その限界を超えた膂力で、男を殴りかかる。

 

「……あっそ」

 

それでも男の興味は既に失せていた、オル=ゴールをその一撃は片手で防がれる、彼からは骨と肉が潰れ砕ける音が聴こえはするが、何の反応を示すことはない。

 

「あぁあ、せっかくの()が駄目になったよ、ま、いいか」

 

男はオル=ゴールの頭を掴みとる。

 

「ぐっ、くそ!、離せ!、離せっていってるんだ!」

 

その膂力でも、骨を砕いても、その手は離れない。

 

「――あ?」

 

電気が流れてくる、そして、自分が徐々に消えていく感覚がしてくる。

 

「人格を持ってるなら少なからず、電気信号はある、頭を潰されても、それは変わらない、よねぇ?」

 

「やめろ……やめろやめろやめろやめろやめろ!」

 

「けひ、かひ、きひひひひひ」

 

男は下卑た笑い声をあげ、オル=ゴールの命乞いに愉悦する。

 

「やめてく――」

 

――オル=ゴールは完全に消え去った。

 

「……駄目だねぇ、やっぱり魔人はどうあっても人格は消去はできるが、洗脳はできない、強いお人形は作れないのが私のこの《}電脳魔眼《ラプラス》》の不満点かな」

 

男は義眼型の自らの霊装の右目に触れる。

 

「――《心変雷波(マインドボルト)》ぉぉぉぉ!!」

 

「んー?」

 

突如、起き上がったもう一人ここにいた魔人、アイリスに殴りつけられる、頭の半分が吹き飛んだが、倒れる様子はない。

 

「あはは、こわぁいこわぁい、もう私の麻痺雷波(パラライズボルト)から回復するなんてお見事ぉ」

 

大量の血液が流れても、彼は何ごとなく喋り続ける。

 

「私の、私の弟をよくも!」

 

涙ぐんだアイリスの声に、男は嗤う。

 

「あは、けひ、これは生かしておいたほうが楽しめそう、じゃあねぇ、この身体は棄てるし、転がっているのもあげるぅ」

 

「待て!」

 

瞬間、男の身体は力なく崩れ落ち、残されたのは、アイリスのみになった。

 

「――私は、私は……!!」

 

アイリスは一人、悲しみに悶える、護れなかった、魔人になった理由の大切な弟の亡骸を見ながら。

 

 

「……やはり、エイブラハムの坊主や暴君、アーサーほど楽しめないな、これは」

 

炎を拳に纏い、ローブの者は、《同盟》の死体の山の上で一人、立ち尽くし、欠伸をする、まるで()()()()という感覚が無い、改めて思う、強くなりすぎたと。

 

「エーデルワイスのお嬢さんも行方が不明だし……なんだかなぁ、俺はもっとやりたいなぁ……はぁ」

 

また別の場所に放浪しようとした時、携帯に着信が入る。

 

「んー?なんだ……はぁ、日本、故郷だな、そこに行けと」

 

その者はメールの内容を流し読みする、命令だから仕方ない、つまらないかと思っていたが、ある一文が興味を引く。

 

「……ほう、七星剣舞祭、そうか、そんな時期だな」

 

その者は笑みを浮かべ、身体が燃え盛る。

 

「楽しませてくれるだろうなぁ、わが故郷の戦士達!」

 

その者は火の玉となって、目的の場所へと向かっていく、強者と戦うために、それだけのために

 

 

 

 

 

 

 

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