流星の配信者   作:メテオG

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忘れ去られた頃だと思うのでそっと更新します。あと明けましておめでとうございます、気がつけば四月、春でした。







第十二話

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ロック…これからどうしようか」

『おいおい、過去と向き合うとか言ってたお前は何処行ったんだよ』

 

 

彼の自宅。クーラーと扇風機がガンガンに回った部屋で、彼は自身の布団に寝転がりながら何か悩んでいるようだった。昨日のキメ顔が嘘のようである、彼の真上で浮遊しているウォーロックもそんな彼の姿に呆れているようだ。

 

 

「いやさ、向き合うって言っても具体的にどうすればいいか分からなくない?」

『オレに言うことじゃねーだろ』

「フィーネの情報も特にないしさ、なんだか知らないけど二課のセキュリティも固くなってて入れないし。デンパくんにも手伝って貰ってるけど、進捗は良くなさそうだし…」

 

 

打倒フィーネ、彼とウォーロックの中で共通した目的だ。最近だとウォーロックのやる気が凄い。曰く、負けっぱなしは性に合わないらしい。デンパくんたちにも協力してもらっているのだが、進展は全くといってていいほどに無い。

 

今まで彼はノイズの細かい情報やシンフォギアの情報、他にも様々な情報を二課のデータベースに侵入し閲覧することで得ていた。

 

二課の事だ、もしかしたらフィーネの情報も何かしらあるのかもしれない。そう思い先ほど二人は、いつものノリで二課のメインサーバーの電脳に潜り込もうとしたのだが…どういうわけか、異様なほどにセキュリティが固くなっていたのだ。

 

これを見た彼は撤退、ウォーロックはぶち壊せばいいだろ!などと言っていたが、壊せば確実に侵入がバレる。それは彼としても困るのだ。

 

さて、こうやって二課のセキュリティが固くなっているのには当然理由がある。

 

二課のセキュリティが更新されたのはロックマンがデュランダルを振るう立花と戦った直後だ。デュランダル移送計画、と呼ばれる、文字通り完全聖遺物であるデュランダルを永田町へ移送するための計画。

 

元々デュランダルは特異災害対策機動部二課本部最奥区画にて厳重保管されていたのだが、周辺に頻発するノイズの発生ケースから、政府は移送を計画。しかし移送途中に襲撃してきたノイズとの交戦の際、立花響の歌声によってデュランダルは予想外の起動を果たした。あの時はロックマンにより暴走を抑えられた訳だが。

 

そしてノイズの襲撃よりも不慮の起動というアクシデントに見舞われたため、永田町への移送を一時断念。現在は再度二課本部の最奥区画アビスへと格納されている。そしてそのデュランダルを守るためにも、二課のセキュリティが物理的にも電子的にも上げられた、という訳である。

 

 

「せめてフィーネの情報を知ってる人でも居たらなぁ、あれ以来全く動いてないみたいだし…」

『あ?居るだろ、フィーネの情報を知ってる奴ならよ』

「へ?」

『なんつったか?名前は覚えてねーけどよ。ほら、昨日も見た赤いシンフォギア装者だよ』

「あ、ああっ!!雪音さん!!そっか、あの人フィーネに追われてたんだ!!」

 

 

天啓を得たと言わんばかりに布団から飛び起きる彼。彼の中での雪音は(勝手に)恩人扱いであり、フィーネと関わりが有ったということはものの見事にすっぽ抜けていた。

 

 

「でもロック、それ雪音さんに連絡がとれなきゃ意味ないんじゃないかな」

 

 

そもそも連絡が取れたとしても聞ける様な仲でもないしなぁ、とぼやく彼。

 

 

『んなの知ってそうなやつに連絡とりゃあいいんじゃねーか?』

「居る?そんな人。そもそも僕の持ってる連絡先はバイト先と小日向さんだけだよ」

『その小日向って女だよ。確かあん時に世話してたろ、その時に連絡先交換してるかもしれないぜ』

「…えー、小日向さんに?いや、ちょっとそれはなんというか」

 

 

確かに一理ある、と頷くのと一緒に小日向の名を聞いて少し硬直してしまう彼。顔が青ざめる、とまでは行かないが、どうしても少し困った顔をした。向き合うとは言ったものの、彼は直ぐ様気持ちが切り替えられるような人間ではない。

 

 

『早速聞いてみようぜ』

「え、今!?」

『向き合うんだろ?だったらゼンは急げだぜ、スバル』

「う、そう、だけど」

 

 

しかしそんな彼の性格は二年間付き合ってきた相棒であるウォーロックが一番分かっている。いまいち意味は理解していない言葉を使って、いつもの様に彼のスマホに入り込み、内部から勝手に操作してメッセージアプリを起動する。彼も腹をくくった様だ。スマホを手に取り、早速メッセージを打ち込んで…いかなかった。

 

 

「──大変だロック」

『おう、どうした』

「あの、話の切り出し方が分からないんだ…というかそもそもどんな風にメッセージを打てばいいのかすら…」

『…お前はこう、よぉ…いや、なんでもねーわ』

 

 

彼からしたら切実な問題である。ウォーロックは呆れて何も言えない、と言った感じだ。この現状をかなり面倒に感じたらしいウォーロックは、勝手に内部から彼のスマホを操作し始めて、メッセージを送ることをすっ飛ばして小日向に通話をかける。スマホの画面がメッセージのやりとりから彼の見慣れない通話画面に移行。余りにも躊躇いなく行われたそれは当然彼の度肝を抜いた。

 

 

『も、もしもし?スバル、だよね?』

 

 

電話をかけて十秒も経たないうちに小日向が通話に出た。その声は少し上擦っており、メッセージすらない、いきなりの電話に少し動揺と緊張を感じているらしかった。彼は完全に硬直してしまっている…が、深く深呼吸をして、なんとか冷静さを取り戻す。ウォーロックのお膳立て、無理矢理なものではあるものの、正直ありがたいのは確かだった。

 

 

「う、うん。ごめんね小日向さん、急に電話なんてかけて」

『全然大丈夫だよ!えぇと、それで…何か用があるん、だよね?』

「あ、うん。良くわかったね」

『そりゃもう。幼稚園の頃からの付き合いだから』

 

 

電話の向こうで小日向が胸を張る光景がふと彼の脳裏に浮かんだ。そういえば、彼女とはそんなに昔からの付き合いだったんだな、ということも思い出す。それを思い出せば、不思議と緊張が少し和らいだ、気がした。

 

 

「えっと。雪音さん…って分かるよね。この間、小日向さんにお世話してもらった。その、連絡先とか知らないかな…って」

『クリスの?どうして?』

「うぇ、あー、うーん…その。彼女が僕の家に忘れ物をしてたみたいでさ。大事なものだったらあれだから、届けてあげたいんだ」

『…スバル、変わってないんだね』

「へ?」

 

 

一体どういう意味だろうか?急にそんなことを言われて驚く彼。そんな彼を差し置いて、くすくす、と小日向の楽しそうな笑い声が聞こえた。

 

 

『スバルは昔から優しいなって思って。…でもごめんね、私クリスの連絡先は知らないんだ』

「あ、そう、なんだ。分かった、教えてくれてありがとう」

『うん。えと、用ってそれだけ?』

「?うん」

『そっ、か』

 

 

それっきり小日向は黙ってしまった。正確に言えば、何かを言おうとしてるが言うかどうか迷っている。ただそんなこと彼には一切分からないので、どうして黙ってしまったのか、何か不手際をしてしまったのか?とひたすらに頭を抱えていた。そして、もしかして通話を切るのを待っているのか…!!と彼なりの正解に辿り着いた所で、タイミング良く小日向がまた口を開く。

 

 

『あの!』

「!?う、うん!!?」

『もし良かったら、なんだけどね?その。今日、後で会えない…かな』 

「へ」

『嫌だったら別にいいんだけど…』  

 

 

硬直、彼の時が文字通り止まった。しかし即座にウォーロックが彼の頭を叩いて彼が再起動、助けての視線をウォーロックに送る。

 

 

『まさか行かないとは言わねーよな?スバル』

「うぐ…」

『だ、大丈夫?スバル』

「だい、じょうぶ。………うん。会え、るよ」

『ほんとっ!?』

 

 

本当は今日お詫び配信する予定だったんだけどなー、とか。買い出しに行きたいんだけどな、とか。そんな断るための言い訳を無限に考えていたのだが、頑張ってそれに蓋をして。ウォーロックの一言もあって、彼は小日向のお願いを許諾した。

 

久しぶりに聞いた小日向の心底喜んだ声、対し顔が真っ青の彼。

 

 

『それじゃあ─────』 

「うん、うん…■■駅の前。だ、大丈夫だよ、うん」

 

 

それからトントン拍子で話は進んでいく。集合は授業終わりから少ししてなので、意外と余裕がある。彼は首の皮が一枚繋がった気分だった。上機嫌になっている小日向と通話を終わらせて、彼は深い深いため息を吐く。ニヤニヤしているウォーロックを無視して彼は立ち上がり、改めて今の自分の格好に目をやる。上下芋臭いジャージ、流石にこれで会うのはダメだろうな…と気付いた彼は自分の持っている服を確認する。

 

 

『ロックマンさん!今大丈夫デショウカ!』

「わ、デンパくん!?」

 

 

タンスを漁りながら自分の持ってる服の無さに困り果てていると、彼の丁度真上からデンパくんが勢い良く降ってきた。一瞬誰なのか、を考えた彼だったが、一瞬で見当がつく。先日の電脳世界での配信でもお世話になった、あのデンパくんだ。これで会うのも数回目、見分けが着くようになっていたらしい。デンパくんは大量の汗をかいており、その様子からして何か、相当焦っているようだ。

 

 

「どうしたの?そんなに焦って…」

『ソ、ソノ!見つけたんデス!』

「見つけた?」

『ロックマンさんが探していたフィーネのアジトデスヨ!』

「…え!?」

『本当かよ!?』

『ハイ!それで、大変なんデス!見つけた時には怪しい外国の人がいっぱい倒れていまシテ!!!』

 

 

身振り手振りで必死にその時の状況を伝えてくれるデンパくん。場所はここから相当放れた山奥にある洋館、そこでデンパくんはフィーネに変身する女性と、その変身したフィーネに殺された人たちを見てしまったらしい。 

 

 

「ロック」

『おう。…けどいいのか?あのオンナとの約束はよ』

「あー…ど、どうにかして間に合わせよう…!」

『じゃ、急ぐぜ!』

 

 

直後、電波変換をした際に発生する特有の、目映い閃光が部屋中を包み込む。そうして、彼の慌ただしい一日が始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

  

 

 

 

『───ここデス!!』

「案内ありがとう、デンパくん」

 

 

デンパくんが彼の家を訪れてから数十分後。デンパくんの案内の元、ロックマンはフィーネが居るらしい洋館まで辿り着いていた。遠目からであるが、一部窓が割れている箇所があるのがわかる。恐らくそこが現場なのだろう。

 

まさかこんなところに洋館があるとは、と驚きを隠せないロックマン。フィーネが目の前に迫っている、その実感が要らぬ緊張を彼に持たせる。ウォーロックの中にいるベルセルクも、復讐相手に迫っていることを理解しているのか、いつも以上に反応を示している。ドクン、ドクン、とウォーロックを通して脈打ち、不愉快な熱をもっているのが伝わってくる。彼はそれを押さえ込み、覚悟を決める。

 

 

『気を付けろスバル、この洋館一帯がビジブルゾーンになってやがる。十中八九フィーネのヤロウの仕業だろうな』

「…そう」

 

 

もし内部でフィーネが構えていたら厄介だ。彼は即座に対応出来るように、洋館上のウェーブロードから飛び降り、ウォーロックアタックを使用して割れた窓から洋館、荒れ果てたホールへと突入する。そして、そこに居たのは──

 

 

「お前は!?」

「…雪音さん?」

 

 

フィーネ…ではなく。彼が探していた人物。雪音クリスだった。辺りには、デンパくんの言っていたように大量の死体。その多くが銃を持っており、どうやらフィーネと敵対していた…ようだ。炭になっていないことから、ノイズは使用されていないのがわかる。咄嗟の犯行だったのだろう。雪音から視線をずらさず、冷静に状況を分析していく。ホールの奥にはモニター、研究室でもあったのかもしれない。

 

 

「ッ、違う!これはアタシがやった訳じゃ…!」

「分かってる。雪音さんはどうしてここに?」

「…!?信じてくれる、のか?」

「そりゃあね。雪音さんがそんなことする人間じゃない、っていうことくらいは分かるよ」

 

 

彼のその返答にポカン、とした顔をする雪音。あっさりと信じてもらった事が相当に意外だったようで、少し黙りこんでしまった。しかしすぐ平静を取り戻し、酷い惨状の辺りを見渡しながら口を開く。

 

 

「けじめをつけに来ただけだっ…そういうお前は何でここに居んだよ」

「フィーネに用があったんだ、もう居ないみたいだけとね」

「…復讐か?」

 

 

復讐、その二文字に彼が少し反応を示す。雪音は彼とフィーネと戦いの際に話を聞いていたし、そもそも彼は彼女に両親についても軽くではあるが話している。そのどちらもが二年前に関連していた、気付かないほうがおかしいくらいだ。あの時の彼の狂戦士のような戦い方も、彼女に復讐のために戦っていると思わせる要因になっていた。

 

 

「別に、復讐とかじゃないよ」

「はあ?じゃあ何の為にフィーネを追ってんだよ」

「あれのやろうとしてることを止めたいだけ。フィーネを放っておいたら、僕みたいに家族を失う人が増えるかもしれないんだ。それは、止めなきゃ駄目だと思うから」

「何だよ、それ。正義の味方のつもりかよ」

『ハッハッハッ!正義の味方だってよスバル!お前には全く似合ってねぇな!』

「それはロックもでしょ。僕らは別に正義の味方とかでもないよ。…そういう雪音さんは、どうしてフィーネとけじめをつけようとしてるの?」

「それ、は…」

 

 

また黙ってしまう雪音。雪音自身にも、その理由は分かっていなかった。最初は何故自分を捨てたのかを問い詰めるつもりだった、しかしそれだけではない、もう一つ大きな理由が、言葉としては表せない、不確かな何かが彼女の中にはあったのだ。

 

その何かについて考えていくうちに漠然と、けじめをつけなくてはならない、と彼女は思った。結果、彼女は明確にその答えを出せず、この場に来ていた。今も考える、しかし答えは見つからない。代わりに浮かぶのは、大嫌いな筈の、夢想家で臆病者の両親の顔。

 

 

「聞いちゃいけないことだった、かな。ごめん」

「別に、そういうわけじゃねぇよ」

「…けじめってことはさ。フィーネと敵対してるってこと?」

「どう、なんだろうな。アタシにも分かんねぇ」

「そう」

 

 

少しの沈黙の後、何かガラスを踏み抜いた音がホールの中に響く。咄嗟に二人が視線をやれば、そこに佇んでいるのは、あの風鳴弦十郎だった。そして直後、十数人の、拳銃を構えた人相の分からない黒服の男たちがホールを占拠する。トッキブツ所属のエージェントかなにかなのだろう。ここはビジブルゾーンというのもあり、全員がロックマンの存在に少なからず驚いていた。ただ黒服たちは、彼ら二人に銃口を向けるようなことはしなかった。ホール内をくまなく調べているようだ。

 

居心地の悪い、重い空気がホールを満たす。身構える彼に対して、鋭い相貌の風鳴弦十郎が近づく。

 

 

「勘違いされたくないんだけど、これは僕らがやった訳じゃないよ」

「分かっている。君が居るのは少し予想外だったが…全ては俺やその子の側に居た、彼女の仕業だ」

「彼女?フィーネについて、何か知ってるんですね」

「!驚いたな、君も彼女を追っているのか」

「トッキブツには関係ないでしょう」 

「…どうして君はそう喧嘩腰なんだ」

 

 

どうしても風鳴弦十郎を警戒せざるを得ない彼、この場で風鳴弦十郎が彼を取り押さえようとすれば何の抵抗も出来ずに捕まる、というのが分かっているからだ。相手はそんなつもりは一切無いのだが、彼は立花響の誘いを断ってしまったことから、それを理由に相手が強行手段に出るのではないか、と疑っていた。

 

 

 

「司令!」

 

 

 

黒服の一人の、風鳴弦十郎を呼ぶ声、そしてそれをかき消す程の轟音と爆発、そして大きな揺れが、一瞬のうちに発生。何かを切っ掛けに、ホールに仕掛けられていたのであろう爆弾が起動したのだ。

 

 

瞬間、動けたのはロックマンと───風鳴弦十郎のみ。二人の視線がかち合う。風鳴弦十郎は咄嗟に状況を把握できていない雪音と近くに居た黒服たちを、彼は風鳴弦十郎の手の届かない範囲にいる残りの黒服全員を、ほぼ同時に助けに動く。

 

 

「…大丈夫ですか?」

「あ、ああ。すまない、助けられたよ…ありがとう」

 

 

崩れた天井をロックバスターで打ち砕き、崩れた壁からの瓦礫もどかし、最後にモニター付近で尻餅をついていた黒服に手を差し出す。黒服は恐る恐るその手をとって彼に礼を告げた。横目で風鳴弦十郎が雪音クリスを抱えて落ちてきた巨大な瓦礫を片手で受け止めているのが見える、あちらは何の問題もなさそうだ。

 

 

(…そういえば、こうやって面と向かって助けた人にお礼を言われるのって初めてだ。…いや、立花さんのは数に入らない、よね)

「君に助けられるのは、二度目だな」

「へっ?」

「俺は三度目だ」

 

 

面と向かって礼を言われるのに慣れていない彼がこそばゆさを感じてると、助け起こした黒服が予想外の事を告げてくる。追随するように、彼の背後の黒服も。

 

 

「ははっ、やっぱり覚えられていなかったか」

「流石になぁ」

「え、あ、ごめん、なさい」

「君が謝ることはないさ。いつも配信を見させて貰ってるが、あんなに人を助けてるんだしな」

「み、見てるんですか」

「そりゃあもう。最初の宇宙配信から欠かさず、毎回見させてもらってるよ」

「俺も俺も」

 

 

思わずロックマンではなく星河スバルとしての素のリアクションが漏れてしまっている。あの視聴者の中の何処かに彼らがいる、というのが受け止められてないらしい。それに加えて、守った命なのだ、という実感も彼を動揺させている一因だ。今まで感じたことの無かった感覚、改めて助けたことで礼を言われて、会話をして。助けた命の重さを理解する。

 

 

「私たちの立場でこういったことを言うのはあれなんだが…配信、応援してるよ」

「ありがとう、ございます…?」

「聞いたか?ロックマンのありがとうだ、言われたの俺たちが初めてじゃないか?」

「そう考えるといい貰い物だな」

「え」

 

 

なんというか、思っていた反応と違う返しをされて対応に困ってしまう彼。そんな彼を尻目に、黒服たちはもう一度ロックマンに礼を言ってホールの捜査に戻っていく。暫く放心していた彼だったのだが、雪音の大声が聞こえ、頭を振って思考を戻した。

 

 

『あっちはあっちで色々あったみてーだな』

 

 

そこには、風鳴弦十郎の胸で泣いている雪音クリスの姿。ただ視線に気付いたようで、咄嗟に風鳴弦十郎を突き飛ばすように離れた。突き飛ばされた風鳴弦十郎はその巨体故かピクリとも動いて居なかったが。

 

 

「ロックマン。部下を助けてくれたこと、感謝する」

「別に。誰かが死ぬのはボクとしても嫌ですから」

「そう、か。…ここはもう危険だ。爆破があった後だ、いつ崩れるかも分からん、出たほうがいいだろう」

 

 

風鳴弦十郎の言葉に無言で頷く。着いて行くつもりは特に無かった、のだが。

 

 

「時間はあるか?君と話したいことがあるんだ」

  

 

そう言われてしまっては、去るには去れない。向き合う、と決めてしまったからには余計に。素直にその提案に乗れば、風鳴弦十郎は意外そうな顔をしていた。

 

 

洋館の外。黒服たちは全員車に乗り込み、既にこの場を離れた。この場に残るのはロックマンと風鳴弦十郎、そして雪音だ。

 

 

 

 

「君は、どうして戦う?何のために、その力を使っているんだ」

 

 

 

 

 

「───僕みたいな人間を増やしたくないから、かな」

 

 

雪音にフィーネを追う理由を聞かれた時も、彼は自分のように家族を失う人を増やしたくない、と答えた。彼の原点はそこにある。

 

 

「大切な何かを失うのは、本当に苦しいことなんだ。あの痛みを感じる人を、僕は減らしたい。…前まではこんなこと考えてなかったんだけどね。ノイズ狩りだって憂さ晴らしみたいなものだったし。でも少なくとも今は、そう思ってる」

「立花くんみたいな考え、だな」

「げ。やめてよ、彼女の事を出してくるのは卑怯でしょ」

「そうか?だが解せん、なら何故立花くんの手を取らなかったんだ?そもそも、何故彼女をそこまで苦手とする?」

 

 

風鳴弦十郎の疑問はそこだった。その思いがあるなら、彼女の手を取っていてもおかしくない、と考えている。時折感じる彼の中の怯え、その正体を、風鳴弦十郎は知りたかった。

 

 

「言った筈だ。僕にはその資格がないって」

「そんなことはないと俺は思うがな。人ってのは、自分で思っているほど自分の事を客観的には見れんものだ」

「…そんなに二課に僕がほしいわけ?」

「それもある、が。一番は君が子供で、俺が大人だからだ!そこの彼女にも言ったがな。それに俺たちは君に何度も間接的に助けられている、その礼だってしていない」

「…頼りになるね、大人は」

「君の気が向いたらでいい、俺たちを頼ってくれ!それに今は同じ敵を見てるんだろう?」

 

 

風鳴弦十郎は豪快な笑みを浮かべてそう告げる。少し前までの彼であったら直ぐ様断っていただろう。しかし。

 

 

「じゃあ。気が向いたら頼らせてもらうよ」

「ッ!そうか!その答えが聞けただけでも十分だ」

 

 

予想していたよりも前向きな彼の答えに風鳴弦十郎はその笑みを深める、何処か嬉しそうだった。困ったように彼がその頬をかいていれば、風鳴弦十郎は車から何か機械のようなものを取り出して、彼と雪音に投げ渡す。

 

 

「通信、機?」

「そうだ、限度額内なら公共交通機関が利用できるし、自販機で買い物が出来る代物だ!便利だぞ。発信器ってわけでもない」

 

 

風鳴弦十郎は、車に乗り込みながら言葉を続ける。

 

 

「君たちは、君たち自身が思っているほどひとりぼっちじゃない。ひとり道を往くとしても、その道は遠からず俺たちの道と交わる」

 

 

その言葉に、彼はついポカンとした顔をする。まるで彼の心を読んでいるかのような言葉だった。同時に、自らの父のことも思い出す。そういえば、父もこの男のように、明るく豪快に笑う人だったな、と。彼は既に、風鳴弦十郎の事が嫌いになれなくなっていた。

 

 

「カ・ディンギル!フィーネが言ってたんだ、カ・ディンギルって。そいつが何なのかは分からないけど…そいつはもう完成している、みたいな」

「カ・ディンギル…」

 

 

そうして、風鳴弦十郎は先手を打つ、そう言い残してこの場を後にした。彼もそれに乗じて帰ろうとする、が…今度は雪音が彼の方を見ていた。彼はなんとなく察する、彼女は自分に何かしらの用があるのだと。今日はこういうのばかりだな、と内心愚痴るものの、気づいてしまっては無視するわけにはいかず。

 

 

「ええと、どうしたの?」

「ああ、その、だな」

 

 

妙に歯切れが悪い。もしかして風鳴弦十郎に告げてないフィーネの情報でもあるのだろうか?

 

 

『んだよ、言い淀んでないで早く言えっての』

「うるっせーな左腕!!」

『テメェッ!!またオレのこと左腕って言いやがったな!?』

「何も間違ってねぇだろうが!!」

『んだとォ!?』

 

 

ボソッと呟いたウォーロックの文句を雪音が拾って。唐突に始まった二人(?)の口喧嘩。話が脱線したと思い彼が止めにはいるのだがどうしてだか二人(?)に黙ってろと言われ。結局その喧嘩が終わったのは、数分後のことだった。

 

 

 

 

 








文章を書く、文章を書くってなんだ…?なんて思いながら書いてました、ほぼ半年ぶりに文章考えてます。後々手直し入れる気がします。

向き合うって決めたスバル君はどう動くんだろう?とか考えてて楽しかったです。果たしてスバルくんは未来ちゃんとデートに行けるのか…?ヒントは1期10話!!!!
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