流星の配信者 作:メテオG
毎話投稿する度に誤字報告もらって申し訳なさと感謝が溢れてます。自分で読んでるとマジで見つからないんですよ…
日が傾き始めた、夕暮れの河川敷。小さな戦場と化したそこは今、おおよそ常人が見れば絶句してしまうような、おぞましい戦いが繰り広げられている。
「ハハハハ!!そうか!?お前は二年前のライブの生き残りという訳だっ!復讐を望むベルセルクにお誂え向きの奴を選んだものだなァ!?」
「ベルセルク、ソードッ!!」
ソードの様に片手だけを変えるのではなく、両手を実体剣に変えていつも行っている突進染みた加速など非にならない、瞬間移動でもしてるのかと疑いたくなるほどの速さでフィーネの背後を取り、その首をはねるために右腕を振るう。
「ハァッ!」
しかしそれは失敗に終わった、背後から来ることを予め読んでいたフィーネは彼が振るう剣に強引に拳を当てて、あり得ない膂力で剣を砕いてしまう。だがそれで諦める彼ではない、むしろ残った左腕の剣で彼の剣を砕いた腕を鎧ごと切り落としてやると言わんばかりに、フィーネの腕に刃をぶつける。
普段の彼からは想像がつかないほどの戦闘への前のめりっぷりは、ウォーロックから見れば質の悪い自殺の様に見えてしまう。それほどまでに、今の彼には復讐以外がどうでもよくなっていた。
「ネフシュタンがそんななまくらで切れると思ったかッ!?」
「黙ってろッ!」
バチバチ、と剣と鎧の間に火花が散り、剣にヒビが入っていくが彼はお構いなしだ、此方も強引に剣を押し、ついには金色の鎧に傷を負わせる…が、フィーネが蹴りでこれ以上のダメージを受ける前に突き飛ばす。その後傷を負った鎧はまるで生きているように、その傷を再生させていく。
「が、ぐっ…」
地面を転がりフィーネから10mほど離されながら、なんとか頭から着地する彼だが直ぐ様体勢を立て直し、また同じ実体剣を両手に出現させる。強く強く地面を踏み締めて、再度の瞬間移動顔負けの動きでフィーネに離された距離を取り戻さんとしていた。小細工が通用しないなら、真っ正面から詰めていく。フィーネも彼が踏み込んだのと同時に、金色の鎧から生える水晶が連なった様な二振りの鞭を、彼の歩みを止めるように伸ばしていた。
「ベルセルクソードォッ!!!」
交錯し重なる二つの鞭と二つの剣。今度は、彼の振るう剣がフィーネの鞭を切り落とした。流石のフィーネもこれは予想外だったようで、咄嗟に鞭を引き手元に戻す。その最中に鞭は鎧と同じように再生していき、瞬く間に元の長さまで戻ってしまう。
それをもう一度振るおうとするフィーネだが、そんなことをするよりも速く彼はフィーネの目の前に現れた。彼はたった二歩で距離を零に戻したのだ。胸部に迫る二つの刃、しかし今度のフィーネは防御の構えすらとろうとしない。
「ッ、だが近づいた所で攻撃が通らなければなァ!」
「それはどうかなッ!?」
フィーネの不気味なまでの自信を打ち破るために弓の様に引き絞られた両腕が放たれる、それは吸い込まれる様にフィーネを切り裂いた。確かに先程の様な抵抗はあったが、今度の剣は砕けるどころかヒビすら入らず、鎧ごとフィーネの肌に深い傷を与える。その手応えから、刃は骨にまで傷を与えた筈だ。
それもその筈。今彼が使っているのは《ベルセルクソード》は《ベルセルクソード》でも、先程使ったものの強化版、《ベルセルクソード2》である。切れ味も強度も段違いの代物だ。そしてさっきの意趣返しなのか、今与えた傷めがけて渾身の蹴りを繰り出し、フィーネを吹き飛ばす。
そしてまだ彼の攻撃の手は緩まない、吹き飛ばしたフィーネを追いかけ、追い付けばベルセルクソードを解除、スタンナックルを使用し、巨大な拳をフィーネに叩きつける。地面にめり込むフィーネ、このまま止めを、そう思う彼だが、次のバトルカードを使用する前に彼を眩い閃光と衝撃が襲う。どうやらフィーネは握っていた鞭からエネルギー弾の様なものを零距離で彼に打ち出したらしい。威力こそ控えめであったが、フィーネが彼から離れカウンターの攻撃を仕掛けるには充分な時間を稼いだ。
次に彼を襲うは鞭による連撃、ベルセルクソードならばもう一度無力化出来たが、スタンナックルではどうあがいても高速で迫る鞭は防げない。
「ガアアアァッッ!?」
命中した鞭は彼に高出力の電流を流し、更に次々と身体の肉を削いでいく。電波体であったが故に流血はしなかったが、それでも深い傷が彼の身体に刻まれる。
『スバルッ!コイツには勝てねぇ、逃げろ!!このままじゃ死ぬぞ!!?』
「五月蝿い!まだ戦える…ッ!」
『くそッ!ベルセルクが何かスバルにしやがったのか!!?』
確かにフィーネにはダメージは与えたのだから五分五分のはず、攻撃が入るなら勝つ見込みはある。そんな彼の希望はあっという間に捻り潰される。切り裂いた筈のフィーネの胸元が、鎧だけではなく肉ごと再生しているのだ。
「ククッ、言ったろう?攻撃が通らなければ、と。いくら切れ味を、威力を、速さを上げようと…ネフシュタンの再生能力の前には意味を為さない」
フィーネの不気味なまでの自信の源は鎧にあった。その名をネフシュタンの鎧。完全聖遺物であり、青銅の蛇の名を冠するその鎧は、驚異的なまでの再生能力を持っている。それこそ、身に纏う人間の肉を巻き込むほどに。しかしネフシュタンに纏う人間を回復させる力は本来存在していない、ならばなぜフィーネの身体は再生したのか?
その答えは至極単純で、ネフシュタンの鎧はフィーネの身体も鎧の一部だと認識しているからだ。鎧の一部であるフィーネが傷ついたのなら、ネフシュタンはそれを再生させる。そんな、裏技染みた手段。しかしそれはフィーネの身体を人から遠ざける。フィーネはこの戦いの中で、人を捨て始めている。
「バトルカード」
『おいスバル!!話を聞け!!!』
「ウォリアーブラッド」
それでも彼は諦めない、ついに彼は奥の手を使う。前回とは比べるのもおこがましい速さで
荒れ狂う感情の波に飲まれぬ様に堪えながらも、鞭を目で追いかけることすらせず二つの鞭を一発で掴みとる。そのまま力任せに鞭をこちら側に引っ張り、フィーネを強引に引き寄せた。しかしここまではフィーネも予想していたようで、次に鞭を通して彼の身体に電流が流れる。
だがそれも効かない、むしろ流れる電流を自らの力に変え始めた。彼の身体が点滅し始める、何かが変わる予兆の様に。
「スタンナックル!」
鞭から手を離し、引き寄せたフィーネの顔面に拳の一撃がクリーンヒットする。スタンナックルの他にも、威力上昇のバトルカードをこれでもかと詰んだ、彼の持つ最高最大火力、顔面を跡形もなく消し飛ばせる一撃は、フィーネの顔から鮮血を流させることしか出来なかった。
それすらも本人は気にする様子もなく、冷静に彼の手から離された鞭を彼に巻き付けた。
「私に滅ぼされた一族の力を借りて復讐を誓う…ハッ、良くできた話だな。だが相手が悪かった」
そこからは、圧倒的だった。今まで本気を出していなかったのか?そう聞きたくなるほどに。縛り上げた彼を地面に何度も叩きつけ、彼が高速から脱出したとしても時には拳で、時には蹴りで。
彼の攻撃の一手一手の初動を確実に、徹底的に潰し、攻撃するときは最大火力をぶつける。いかにウォリアーブラッドを使っていて怯まず倒れないと言っても、そのダメージは彼の身体に残るし、回復手段があるわけでもない。正確に言えば、回復手段はあるが彼が回復をしようとした隙をついて攻撃され、回復さえ出来ない。ボロボロにされ、それでも諦めない彼は時折反撃に出て、普通なら倒せるようなダメージをフィーネに与えたとしても、攻撃をくらった側から回復するのであればその攻撃になんの意味もない。ただ寿命が数秒延びるだけだ。
着実に、彼の命の灯火は消えようとしていた。
「最初の威勢はどうした?それとも貴様の復讐とやらはそんなものなのか?」
フィーネに足蹴されている彼。身体を起こそうとしても、ウォリアーブラッドのサポートがあるはずなのに起き上がらない。意識が闇に沈みそうになる、そんな時だった。
「─■ッ」
ベルセルクの意識が、彼の身体を無理に起こす。主導権が変わろうとしていた。
「今さら貴様が出てこようと無駄だ」
立ち上がった彼の、ウォリアーブラッドの出力がまた上がる。しかしそれでもフィーネには届かない。フィーネの再生能力を越える何かは手に入らない。
「■■ッフィーネェェェェェ!!!!」
ベルセルクが彼の身体を通して叫ぶ。千年もの憎悪の籠った叫び。一族、仲間、全てをフィーネというたった一人によって奪われた復讐者たちの慟哭。
人の身を捨ててまでも仇をとろうとして、やっとそのチャンスを掴むことが出来たのだ。なのにこの様はなんだ?そんなベルセルクの思いが、彼の意識に余すことなく伝わり、その記憶の一部が逆流していく。
ベルセルクとは、今の人の歴史が紡がれるよりも前に存在したとされる種族である。実在したかどうかは不明、ただ、彼らが滅んだ原因は敵対種族との争いによってではなく、ベルセルク同士での争いによるものとされている。
ここまでは、彼が知っているベルセルクの歴史。彼は歴史の真実の一端に触れる。確かにベルセルクは同種族間での争いによって滅んだ、これは真実だ。だがフィーネは自分が一族を滅ぼした、と漏らした。本来なら矛盾してしまう所だが、今回に限ってはどちらも正しいのだ。
フィーネは先史文明期から特殊な方法を用いて、
その無念と恨みを彼は追体験する。ベルセルクたちは、何も出来なかった。いきなりの仲間の裏切りに、どうも出来ず滅ぼされた。許せるか?そんな理不尽が。ベルセルクがそう問いかけてくる、答えは当然否だ。
きっと、いつもの彼ならその理由をフィーネに聞いていただろう。何か理由があったのかと、どうしてそんなことをしたのかと。だが今の彼にそんな考えは浮かばない、復讐に囚われた心は揺れ動かない。
彼がベルセルクの過去を見ている間にも、彼の身体は戦っていた。意地汚く、チャンスを伺っている。ベルセルクの意志と彼の意志がお互いに鬩ぎ合う。
「■ィ■ネェッ!」
「存外しぶといな、だがもう終いだ」
フィーネが宙に浮かぶ。鞭を天に向かって伸ばせば、鞭の先に白い球状の高密度のエネルギーが発生していく。既にボロボロの彼がそれを食らえば、確実に死んでしまうであろう一撃。それが彼へと放たれる。
「────っ」
どう足掻いても打つ手はない。あれに対抗出来るバトルカードは持ち得ていないし、足も既に動かない。ウォーロックが何かを叫んでいるが耳鳴りでよく聞こえない。それでも彼は諦めない。その心が、一つの奇跡を起こす。
今まで彼はベルセルクを使いこなせないでいた。彼自身があまり闘いを求めない質というのが致命的なまでにベルセルクと相性が悪かったのだ。それをウォーロックがカバーすることで、ウォリアーブラッドという形で、低出力ではあるが力を引き出していたのだが…今は違う。彼と、ベルセルクの復讐心が共鳴しあっている。お互いがお互いを復讐のために利用し、他者を拒絶しながら力だけを求めている。
二者の心は、最低の形で
そして最後に、死にたくないという思いが重なる。それが命運を分ける鍵になった。彼らの体内に眠るベルセルクの力を、今の彼が引き出せる最大まで引っ張り出す。一回きりの、白紙のバトルカードという形で出力される。
そして、彼の精神に本来は小さかった復讐心を増大させるために作用していたベルセルクの力も出力のために回され、一瞬ではあるが理性を取り戻す。
「──ロッ、ク。ごめん、最後に、力貸して。」
『やぁっと目ぇ覚ましやがったかこの大馬鹿野郎ッ!あとで話じっくり聞かせてもらうからなァ!』
相棒の帰還を素直に喜ぶウォーロック。目前まで迫ったフィーネの必殺を尻目に、彼の手に生まれたバトルカードを使用する。
「サンダー、ボルトォ!ブレイドッ!!」
それこそ、ベルセルクの力を彼が正しく引き出した時にのみ許される必殺技。刀身まるごとが雷によって形成された両手剣、二年前のロックマンが振るった最強の武器。そこから繰り出されるは雷鳴の三連撃。威力だけならフィーネの技も凌駕できる。
ぶつかり合う必殺と必殺。結果は相討ち、彼は力の全てを出し切り今にも倒れようとしている。このまま倒れれば電波変換が解除され、折角の生還のチャンスが不意に消えてしまう。
『女ァ!!!スバル抱えて逃げろォッ!!』
ウォーロックが、今の今までこの戦いを見ていることしか出来なかった雪音に叫ぶ、ウォーロックからしても苦肉の策だが、今はそれに賭けるしか無かった。当然雪音は咄嗟に反応できなかった。
「な…ッ!?」
雪音がこの戦いを眺めているだけだったのには理由がある。体調不良の中戦闘を行ったせいで身体を思うように動かなかったのに加え、どちらに味方すればいいのか分からなかったのだ。フィーネは雪音からすれば親代わりだ、しかしフィーネは雪音を裏切っている、それが雪音の足を止めさせた。彼に関しては助ける理由は無かったが、邪魔をする理由もなかった。
ほくそ笑んだフィーネが鞭を振るうが、その攻撃を彼は運良く倒れることで回避した。電波変換が解除される、ロックマンの姿から、星河スバルの姿へと戻っていく。
「あい、つは───」
雪音は彼を知っている。そして雪音の中で何故ロックマンが自分を助けに来たのか、その理由が組み立てられていく。こいつはまたアタシを助けようとしたのだ、と。そう彼女が思ったときには既に、身体は彼を助けに行っていた。
少し休んだおかげで身体はよく動く、彼の元に辿り着くまでそう掛からない。フィーネはさせじと追撃を仕掛けに行くが、雪音がそれをボウガンを当てて弾く。そのまま彼の身体を米俵の様に担いだ。
「って、逃げるたってどこに逃げりゃいいんだよ?!」
『おめぇがさっき居たとこだよ、ほら急げ!!』
「ど、どこから喋ってやがる!?」
『スバルのスマホだ気にすんな!いーから行け!!』
ウォーロックもウォーロックでなんとか雪音に指示を出すために、彼のスマホに入ることで声だけを届ける。目的地はまずは彼の家、それまでにフィーネを撒ききれることを願うしかない。
「逃がすと思うかッ!?」
フィーネも諦めない。地面に降り立ち追いかけようとするが、そのタイミングでフィーネの持っている連絡端末が振動する。それは、二課からの通信だ。気づいたフィーネは舌打ちをする、最悪のタイミングであった。フィーネは表の顔のせいでこの通信に出ないわけにはいかない。だがわざわざ出向いてまで殺そうとした相手を見過ごすのは戦いの意味が無くなる。
「!フィーネの動きが止まった!」
雪音はその隙を見逃さない。ウォーロックの音声案内に従って、この河川敷から離れていく。雪音が抱える彼の身体は、男の身体と思えないほどに軽かった。おかげで逃げるスピードが遅くならずに済んでいる。どうやらフィーネは、二課の通信を取ったようだった。
「チッ…!」
フィーネはネフシュタンの鎧のその姿から肉体を櫻井了子のものへと変貌させ、通信に応える。どうやらそれが表の顔らしい。これ以上深追いするつもりは無いようで、二課の職員と通信を交わすその顔は、明るげな声とは裏腹に歪んでいた。
◆
雪音とウォーロックは逐一後ろを確認してフィーネが追っているのかを気にするが、その心配は無さそうだった。河川敷からもある程度は離れることができ、ホッと一息つく。
「なんでこんな遠回りすんだよ」
『逃げてる途中でトッキブツにでも会ったら悲惨だろうが』
言葉の通り、あえて最短距離で商店街を抜けず遠回りで彼の家へと向かっていた。商店街はノイズが現れたら場所のため、二課が居る可能性が高いのだ。その道中ウォーロックが雪音にそろそろシンフォギアを解除しても大丈夫なんじゃねぇか、と言えば、雪音は言われなくても解ってんだよ、と返す。
「っと、こいつは背中に担ぐしかねぇか」
『おう、そうしてくれや』
「…なんで何もしてねぇのに偉そうなんだよ左腕!!」
『ア"ァ"?!誰が左腕だテメェ!!道案内してやってんのは誰だと思ってんだ!?』
「んなの無くても充分なんだよ!!つーか、なんでアタシがこいつを家まで送ってかなきゃいけねぇんだ!?」
『けっ、二度も助けてもらった恩を仇で返すのか?』
「っ、誰も送らねぇとは言ってないだろ!」
『んだよ面倒クセェ女だなテメーは!ぴーちくぱーちくよ!喋らずに歩けねぇのか!?』
「お前が話しかけなきゃいいんだろうが!!」
あれほどの戦いがあった直後だと言うのに、ウォーロックと雪音の二人は元気に怒鳴りあっていた。相当に相性が悪いというか、別の意味で似た者同士というか。結局少し黙っていてもどちらかがボソッと余計な事を言うせいで、また口論に発展している。
それから大体三十分くらい歩いただろうか。雪音の元々少ない体力が尽きて、途中で休憩を挟んでいた。
『お前体力ねーな。まだ家まで距離あるぜ?』
「うる、せぇ!…というか、お前はお前で何者なんだよ」
『あ?俺か?電波体の…つっても分からねぇか。まあ聞きてぇならスバルにでも聞けや』
「起きてないだろ」
『起きたときに聞けばいいだろ?』
「…そりゃ起きるまで面倒見ろってか?」
『そうは言わねぇよ、ただ聞きてぇならそうするしかねーかもな』
「嫌な奴だなお前」
雪音が心底嫌な顔をする。苦虫を噛み潰したような、といった表現が良く似合う。ウォーロックは声色でそれを感じてケラケラ笑っていた。
「…あとどんくらいで着くんだ?」
『五分もしねえだろ。なんだ、また疲れたのか?』
「別にそんなんじゃねえ」
気がつけば完全に日が沈んでいた。街灯が点き始めて、空気が夜独特のものに変わっていく。相変わらずウォーロックと話す雪音の顔は嫌がっているが、ウォーロックは何処か楽しそうでもある。
というのも、ウォーロックがこうやって彼以外と話すことがまずないからだ。だからなのか、本人も気づかない内に会話を楽しんでいるのだろう。雪音も顔こそ嫌がっているが心の底ではどう思っているか分からない。ただ、ずっと歩いているのを見て暇しないように話しかけているのだろう、ということはなんとなく察していた。
雪音にとってウォーロックは得体の知れない何かではあるが、彼女の毛嫌う存在よりは少しはマシだな、くらいには思えている。ウォーロックは孤独な人間の心を開かせるのが上手いのだ、伊達に彼と二年間を過ごしていない、ということだろう。
『おら、着いたぞ』
「ったく、やっとかよ…おい、鍵閉まってんぞ」
『スバルの野郎、律儀に閉めちまったのか』
「どうすんだよ?」
『スバルの服のどっかに鍵が入ってると思うから探してくれ』
「は、はあ!?あ、アタシに男の身体まさぐれってのか!!?」
『急に叫ぶんじゃねぇよ!お前やっぱ面倒くさい奴だなァ!!うぶかよ!?』
「う、うるせぇ!!」
因みにこのあと雪音は彼の家の鍵を探すのに二十分以上もかけてしまう。その間に彼が起きそうになったのを雪音が強引にまた気絶させたり、隣の住人から変なものを見る目で見られたり、気付いたら彼のスマホに小日向から大量のメッセージが来ているのにウォーロックが気付いて絶句する、と色々あるのだが、それはまた別の話である。
こんなフルシンクロは嫌だなーと書いてる最中に思いました。あと地味にフィーネのネフシュタンとの融合が原作より早めになってます。
あと、クリスちゃんが疲れて休んでるのは一期8話最後でクリスちゃんが居る辺りです。原作だとあんな悲しい顔ですけどこっちは多分ウォーロックと喧嘩してます。