1.俺スニーキングmission頑張る
俺は今とある小さな建物の傍に来ている。これが、今回俺の狙う獲物か……彼は手元にある資料を見て、声に出さず、心の中で呟
いた。彼が侵入しようとしている建物は一階しかない建物で、狙っている獲物は侵入して右側約5m位先にある。しかし、今の彼がそ
れを手に入れるのは至難の技、いや無理に等しいと言えよう。色々な意味で……
彼……いや、身長150cm位のまだ幼げな表情が残っている少年は、建物に中に入ろうとする男性の後ろを着いて行った。当然の事
だが、少年は気配と足音。息遣いを消して行く。緊張の為か、心臓がバクバク鳴っている。建物内を時折巡回する徘徊兵と敵に聞か
れないかが心配だ。だが、後ろに着いて行ったお陰かどうか分からないが、建物の中で徘徊している徘徊兵にはバレなかった。少年
は直ぐに獲物の所には行かなかった。それは、自分と同じ獲物を狙う敵が多く居たからだ。絶対にバレテはいけない。悟られてはい
けない。決して殺してはいけない。難易度の高いミッションだ!! こうなるんだったら、某蛇さん愛用のダンボールを持ってきてお
けば良かった。そう悔やんでも、悔やみきれない。無い物は無いから仕方が無いとしか言いようが無い。俺はそう割り切った。
建物内の侵入に成功した俺はそのまま獲物に向かって直行せず、少しだけ大回りをして獲物を目指す。そうすれば、同じ獲物を狙う
敵にバレる確率は下がるが、此処を徘徊している奴らにバレる可能性は高くなる。だけど、同じ獲物を狙う敵にバレるより大分マシだ、
アイツらの方が戦闘能力は数段も高い。手に汗を握る。出来るだけ足音を消し、色々な物資を置いている横長の棚に、身を隠しながら
進んでいく。時折、物資を吟味したりする事を忘れない。必要な物があれば必要最低限の数だけ手に入れ、最小限の消費で済ます。そ
れこそ本物の某蛇さんになる為のスニーキングミッションだ。
そんな少年に早速危機が訪れた。shit!! 目の前から徘徊兵が接近してきている。クソ!! 俺と接触まで約2m弱。だけど、まだ徘
徊兵は俺に気づいていないようだ。これはチャンスだ!! 俺は物資が置いてある棚にペタッと張り付いた。棚が揺れない様に慎重に、
だけど素早く。
頼むからばれないでくれよ。俺はそう願い、じっと息を殺し気配を消した。コレでバレない筈だ……自信は無くは無いが、徘徊兵も
バカじゃない。バレル可能性もゼロじゃないんだ。
額に冷たい汗が出て来て、下に向かい流れる。眉毛を伝い、目に入りそうなったが、俺は微動だにしない。するわけにはいかない。
少しでも動けば、完璧に消している気配が揺らぐ。それだけは阻止しなくてはならない。
冷たい汗が目に沁み込んだ。沁みる、目が染みるぅぅぅうぅぅう!! 瞼が動きそうになったが、気合で我慢した。クソ、どんな拷問
SMプレイだ。俺はMじゃないんだぞ。どちらかというと俺はSだ……てそんなアホみたいな事を思案している暇じゃない!! 更なる汗が
少年の目玉を狙う。何ていう事だ!! これでは、バレテしまう。二発目の汗が目に入ろうとした時、徘徊兵が目の前を通って行った。
徘徊兵が俺の視界から消えるまで、一切動かなかった。
危なかった。もう少しで汗が目に入り、気配をかき乱すところだった。
俺は一息を着いた。コレで、第一関門は突破した。だが、関門はここだけじゃない。第二、第三の関門も待っている。安心している暇
なんて一切無い。何とかして、潜り抜ければならないが、容易な事じゃない。見つかったら即the end. 絶対に見つかるわけにはいか
ない戦いが今ここにある!!
また俺は、気配と足音。息を殺して少しずつ時間をかけて徘徊兵の行動パターンを先読みしながらゆっくり進む。此処の角を右に曲が
れば目の前、要は一直線だ。しかし、この一直線には二か所だけ右に曲がる所がある。そこから徘徊兵、または俺と同じように獲物を狙
う敵が来る可能性が無いわけじゃない。どちらかというと相当高確率で出現する。接触は避けたい、先ほども言ったが徘徊兵に見つかれ
ば即the end.お縄頂戴されてしまう。
俺は今まで以上に警戒心を強くし、緊張感を高めた。
一発目の曲がり角。そこに差し掛かる前に一度止まり、周囲を確認してからその通路から徘徊兵または敵が来てないか顔を少しだけ出し
て確認した。良し、大丈夫だ。俺は静かに素早いロールをして先に進んだ。スグに二回目の曲がり角に差し掛かった。此処を抜ければ、目
の前に獲物……今日のターゲットがある。そこまで行き、無事に手に入れる事が出来ればミッションコンプリートだ。
だが、獲物を手に入れる=敵兵に確実にバレテしまう。その時の為に、撤退する時の退路も確保しておかなければならない。なんという
鬼畜ミッションだ。これならまだ、敵を亀甲縛りをすて吊り上げる方が楽だ。
俺は二個目の曲がり角の部分から少しだけ顔を出して確認……徘徊兵が持ち場からこちらの方へやって来るな。さて、どうしようか?
このまま出て行ったら確実に見つかる。だからと言って、引き返すわけにもいかない。だが、獲物は目と鼻の先にある。選択迫られる。
どうすれば良いんだ?! 仕方ないな。焦れば事を仕損じるからな、此処は一旦下がって立て直すか……何!? 後ろからも来ているだと!!
そんなバカな!! 予測はしていたが、まさかのこういう時に来るとは思っていなかった。俺は、焦りのあまりに冷静な思案が出来なくなっ
ていた。
クソ! このままでは、アウトだ!! 此処まで来て徘徊兵に見つかる訳にはいかない……クソ、仕方ない。本当はやりたく無かったがこ
うなったら最終手段だ。今になって思う、何で最終手段なんて馬鹿な事をしたんだろうな。戻れるなあの時に戻って自分をぶん殴りたいよ。
もっとしっかり冷静に周囲を見て、判断していれば良かった。今更後悔しても遅い俺。
俺は床を力強く蹴り上げ、動いた。一般の人が初動を目視する事は出来ない早さで動く、気付けば既に獲物の前に立っていた俺。だが敵は
そんな俺の動きをキチンと捉えていた同じ獲物を狙う敵。やはり只者じゃ無かったか!! だが徘徊兵には気づかれていないし、敵からの距離
も1m位は離れている。これなら、何とかなる。俺の勝ちだ!!!!!
「貰ったぁぁぁああぁぁぁぁぁぁあああぁ!!!!!」
俺はターゲットに手を伸ばした。
しかし、ターゲットを手に掴む事が出来なかった。誰かが俺の肩を力強くガって掴んで、俺の進行を止めた。誰だ?! 俺はユックリと首を後
ろに回して姿を確認した。俺の顔が某名画の叫びの様な顔になった。
「また、お前か。懲りないな。」
「HA! NA! SE! HA! NA! SE!」
「何度言ったら分かるんだ。お前にはまだ早い。」
「あああぁぁぁぁあああ、俺の、俺の!!!!!」
「エロ本んんんんんんんんん!!!!! 我がバイブルぅぅぅぅぅううぅぅぅう!!!!!」
「コレハ店の物で、未成年に売るわけにはいかない。」
「クソォォォオオオォォオ!!!!!」
俺の悲しみの声が店内に響き渡った。
そう、俺のターゲットは成人雑誌。ザックリ言うならR18物の雑誌。世間一般ではエロ本に分類される物だ。ただし、只のエロ本では無い!!
クラナガン10冊限定のエロ本だ。それを手に入れる為に俺はここの店長が非番の日を狙って来店したというのに、どういう事だ。話が違うじゃ
ないか!! 店長に掴まり事務室に連行された。クソ、またダメか!!
三島一也。
13才。
St.ヒルデ魔法学院中等科一年生。
管理外世界97『地球』出身。
父親と二人暮らし。
mission failure