細かい事かと思いますが、今ままでオレンジ色と表記していた奏さんのギアの色を橙色に変更しました。変更忘れがあったら気兼ねなく教えてくだせぇ。
何故か?その方がカッコいいかなーと(浅知恵)。実際朱と表現したらクリスちゃんのギアの色と被るかなーと思いましたので_(:3」z)_
……XD、チケ単発でキャロル来た事に変な声出たのは内緒。
朝日に照らされて紫色の天羽々斬のシンフォギアを輝かせる未来。
そしてその両隣には重傷を負い動けなかったクリスとカ・ディンギルに特攻をかけて死んだと思われた奏が未来の纏っているシンフォギアのように変化させていた。
クリスと奏も未来のシンフォギア同様、インナーとギアの装甲の黒い部分が消えて白く染まり、二人のメインカラーである赤と橙色はより鮮明になり装甲の所々に入ったものに変わっていた。
ただ色が黒から白に変わっただけ、それなのに感じられるエネルギーは元の状態よりも大きく、暴走した未来や命を燃やした奏と同レベルまで膨れ上がっていた。
「──みんなの応援が、歌が、迷っていた私の道標になってくれる。クリスや奏さんにもう一度立ち上がれる力をくれる。
歌は戦う力じゃない。歌は
フィーネが不快な歌と決めつけた歌は傷つき、力を使い果たしたクリスと奏を癒し、過去に縛られそうになった未来の帰り道を照らした。それはシンフォギアやフォニックゲインのせいではなく、未来たち三人と共に戦いたいと思ったみんなの想いがこもっていたからこそ起きた奇跡だった。
「高レベルのフォニックゲイン……これは二年前の意趣返しか」
計器を使っていなくともその身に感じるエネルギーの高さにフィーネは舌打ちをする。今なら一人でも二年前のネフシュタンの鎧の可動実験も成功させる事が出来るであろう。それほどまでに三人のフォニックゲインは高まり続けている。それだけ今の三人の強さは計り知れないほど強い。
『(んなこたぁどうでもいいんだよ!)』
「念話までもか」
普通ではあり得ない頭に響くクリスの声にフィーネは苛々を隠せない。
現在のギアは、本来であれば歌う事でシンフォギア の能力を発揮する性質上口頭による会話は不可能。歌い続けなければ出力が落ちてしまう。そのことはシステム最大の問題点とされてきた。それがまさにその解決策が解放されるのだった。
それに加えて飛行能力まで備わり、純粋にシンフォギアのパワーアップ以上の性能を引き出している。
「限定解除されたギアを纏って、すっかりその気か!」
フィーネは所持していたソロモンの杖を使い大量のノイズを召喚させる。だが、今の未来たちの敵ではない。
『(いい加減芸が乏しいだよ!)』
『(二年前の、いや、世界中で起こってるノイズの被害は全部アンタの仕業なのか!?)』
溢れ出る力に目の前のノイズが小物に見えるクリスは鼻で笑う。それに割いって奏が純粋に今までの疑問をフィーネに投げかける。
ノイズは遥か昔からいるとされているが、それでも人生で通り魔事件に巻き込まれる程度の確率でノイズと遭遇されているというのにあまりにも三人のいる町でノイズの時間が多過ぎたための疑問だった。
『(……ノイズとは、バラルの呪詛にて相互理解を失った人類が、同じ人類がのみを殺戮するために創り上げた自律兵器。バビロニアの宝物庫の扉は開け開かれたままでな。そこから
『(また訳のわかんねぇ事を!)』
奏の疑問にあっさりとフィーネは答えるが、初めて知る情報と余裕を見せる気取った態度にクリスは憤慨する。
奏も話を聞いたところで全て理解する事は出来なかったが、それでも最近のノイズ関連の事件はフィーネの仕業である事は少ない情報から分かった。
まだ聞きたい事がある奏ではあったが、それを拒むようにフィーネが召喚したノイズが身体をドリル状に変形させて未来たちに襲いかかる。しかし限定解除されたギアによりノイズの突撃を余裕を持って回避する。それが大きな隙となった。
「堕ちろ!」
天に向かってソロモンの杖を掲げたフィーネが叫ぶ。ソロモンの杖はその声に反応するように緑に光だし、その光を空高く撃ち放つ。そして光広く拡散して雨のように避難が済んでいる町に降り注いだ。
そして現れるのは陸も空も埋め尽くし、町を覆い隠すほどの無数のノイズ。
「おいおい、多過ぎだろ……」
「ハッ!上等だ!全部まとめてぶちのめしてやる!」
頭が痛くなり、目にも悪い程の数のノイズを前に奏は面倒くさそうに呆れたため息を吐き、クリスはそんな奏とは逆にやる気が満ち溢れていた。
「奏さん、クリス」
今にでも飛び出そうとしていたクリスと奏は後ろで今まで静かだった未来に呼び止められる。神妙な顔つきの未来に二人も真面目な顔で未来に身体を向けた。
「今までごめんなさい。私のせいで二人には沢山迷惑を……」
過去からやっと一歩進め、頭にかかっていたモヤのようなものが晴れたからこそ、今までの自分の行いは決して許されるものではない。脳が正常に働き出したからこそ、二人を傷つけておいて仲良くしようとしていた自分のおこがましさに未来は申し訳なさを感じていた。
いきなり頭を下げる未来に二人は一瞬目を見合わせて、そして笑った。
「いいよ。小日向も大切な人の仇を打ちたかったんだろ?あたしにはその気持ち、わかるよ」
「というより、この場合フィーネに騙されてたあたしが一番悪いだろ?」
「確かに。クリスがしっかりしてたらこんな事になってねぇな!」
「そこはフォローするところだろ!?」
奏のボケに漫才のように反応するクリス。いつの間にか仲良くなっている二人を見て今度は未来が目をまたたいた。
「……あたしは未来をこんな目を背けたくなる世界に連れ込んだ」
「あたしも、小日向のことよく知らずに襲った。ついでにクリスを信じてやらなかったし」
「ついでってなんだよ!……人の事言えねぇけど」
奏はそっと未来に向かって右手を差し出す。左手は目を逸らし油断していたクリスの右手を取る。急に奏に手を握られ顔を赤くするが恥ずかしがりながらも握り返し、クリスも左手を未来に差し出した。
「みんな互いに迷惑をかけたんだ。だから全部帳消し。そんでみんな仲良く握手!」
未来に向かって奏は笑顔を向ける。その笑顔はもうこの世におらず、それでいて自分の背を押してくれた親友と同じような明るい笑みに未来は涙が出そうになりながらも二人の手を取った。
「──ありがとう」
耐えきれず一筋の涙を流しながら小さな声で、そして気持ちのこもった感謝。
クリスも奏も照れながら掴んだ未来の手を強く握り返す。その温かい手に未来は二人に笑みを見せた。
「んじゃ、ちゃちゃっと終わらせますか!」
「ああ!あたしらの力、目にもの見せてやる!」
「行きましょう。奏さん、クリス!」
気合十分の奏とクリス。それに負けじと未来も声を出して気合を入れてギアの翼を羽ばたかせる。
そして向かう先には町を覆い隠すほどの大量のノイズ。今までなら苦戦を強いられる数だというのに三人の顔は絶望に染まっていない。
「ぎゅっとほら、怖くはない」
「分かったの、これが命」
「後悔は、したくはない」
「さあ!世界に光を!」
ノイズの放つ耳障りな異音と建物が崩壊する音をかき分けて未来とクリスと奏による地獄と化した町には不釣り合いな心が温かくなる優しい三人の歌が騒音の中に響き渡る。
「止めどなく」
「溢れてく」
「この力!」
「これが想い合うシンフォニー!」
未来が目の前の大型のノイズを切り裂く。刀が振るわれた衝撃波は未来の予想を超えて強力で、刀が振るわれた際に起きた風圧が斬撃となり切り裂いた個体の背後にいた数体の大型ノイズも切り裂いた。ついでとばかりに風圧だけでも小型のノイズは耐えきれず灰となる。
「闇を裂き」
「輝くよ」
「聖なるフレイム」
奏も別の大型ノイズに目掛けて大槍を投擲する。今までの奏なら大型ノイズ一体を相手するのにでも負担は大きはずなのに、投げられた槍はまるで薄紙を破るかのようにノイズの身体を貫通した。
「全身全霊」
「いざ行かん」
「ありのまま」
『(やっさいもっさい!)』
『MEGA DETH PARTY』
空を覆うような数の空中ではクリスが腰部のアーマーを戦闘機のように変形させ、長年乗り慣れいる相棒のように空を自由自在に動き回る。そして戦闘機のようになったアーマーの前面の装甲が展開し、その隙間から何本ものレーザーが発射されて飛行型ノイズを一掃。それだけに止まらず、次はホーミング機能の付いたレーザーでレーザーの範囲外に流れようとするノイズを一匹たりとも逃しはしない。
「すべて放とう!」
「届け!一人じゃない」
『(凄いよクリス!あの数を一人でなんて!)』
『(あたし様を舐めんなよ!まだまだいくぜ!)』
『(ふふ、私も負けてられないね!)』
念話により笑顔を見せる未来とクリス。今の二人は世界を守るため、目の前のノイズを殲滅する事を考えているのと同時に純粋に歌う事を楽しんでいる。それ故に、三人のフォニックゲインはまだ上がり続けている。
「紡ぎ合うそれが LOVE SONG!」
『天ノ堕トシ』
飛行型ノイズはクリスに任せて未来は地上にいるノイズに向かって飛ぶそして身体を一度縮め、そして身体を大きく開く。すると未来の周囲に幾つもの白紫の刀が現れて全方位に拡散する。だが今までのそれとは違い、拡散した白紫の刀は建物に当たる事なく、全て意思があるかようにノイズのみを狙って軌道を変えて飛来し、小型大型問わず広範囲に殲滅していった。
「伝え!胸の鼓動 原初の音楽よ」
『SAGITTARIUS∞ARROW』
奏も空を飛ぶ飛行型の大型ノイズより高い位置から地面に目掛けて大槍を投擲する。今までの奏なら大型ノイズ一体を相手するのにでも負担は大きはずなのに、投げられた槍はまるで薄紙を破るかのようにノイズの身体を貫通してそのまま地面まで勢いは衰えなかった。
本来であればLiNKERがあってもそこまでに至ることは不可能なのだが、それほどまでに今の奏の纏うガングニールは彼女と共鳴し合っているのだろう。貫通力と威力が増大しているのが証拠とも言える。
「幾度でも!」
「いくらでも!」
「何度でも!」
「永遠に」
「青空に奏で!」
「う た う !」
今までが嘘だったかのように想いを力に変えたシンフォギアの圧倒的な力で目の前に広がる地獄を払い除けていく。今この場所を支配しているのはノイズではなく、三つの光のが重なり合った歌であるのは間違いない。
「遥か今」
「創るんだ」
「勇気の火」
「みんなで」
「繋ぎ合おうこの手を!」
「信じて……」
無数のノイズ相手に三人は何度も切り裂き、穿ち、撃ち抜く。今の未来と奏とクリスにとってノイズは有象無象にしか過ぎなかった。
終わりの無い地獄に見えた世界に、三つの光が明るい照らしていく。
「太陽にかざして」
「信じて!」
「ひ び け き ず な !」
「願いと共に…」
普通であれば完全に町は終わったであろう大量のノイズをものの数分でそのほとんどを殲滅する。まだ残っているはいるが今の未来たちであれば探す時間の方が長くなるだろう。
フィーネが悪足掻きとして召喚したノイズを退かせ、勝機はこちらに傾きつつある。そう思った三人ではあるがフィーネはまだ諦めてはいなかった。
カ・ディンギル跡地から三人の戦いを眺めていたフィーネはおもむろに自身の腹部にソロモンの杖を先端を深く突き刺した。
「なっ!」
自決行為に見えるその行動をたまたま視線を向けた奏が驚きの声を上げる。だが驚くのはまだ早い。
フィーネの腹を貫いたソロモンの杖に向かってネフシュタンの鎧が変形し絡みついていく。それはまるでネフシュタンがソロモンの杖を吸収しているように見えた。
突然のフィーネの行動に呆気にとられた三人を他所に、残っていたノイズが動き出す。しかし狙いは未来たちではない。
残った全てのノイズが体を変形させてフィーネの元に向かい、ネフシュタンの鎧を纏ったその身体に色の付いた粘土のように張り付いていく。
粘土のような塊から空に向かってノイズを召喚した一筋の緑の光が飛ばされる。今度はノイズを生むよりも早くその光がフィーネだった物に向かって収束されていく。
「ノイズに取り込まれて……?」
「……いや、ありゃ違うな」
「アイツがノイズを取り込んでやがる!」
粘土のような塊は制限なくノイズを取り込みどんどん大きくなっていく。さまざまな色が混ざり合い何処か血のような赤になっていく塊から幾つもの大きな触手のような槍が三人目掛けて放たれた。
「ちっ、無駄な足掻きを!」
「いい加減諦めやがれ!」
振り払えないほどでもないが直撃すれば無傷ではいられないであろう槍にいまだ大きくなる赤い塊に中々近づけない。
三人が襲い掛かる触手のような槍を回避している間に赤い塊はビル程の大きさとなり、今度はスライムのように不定形だったその身体を変形させていく。そして現れたのは……まさに赤い龍。
「なんだよ、あれ」
「馬鹿でけぇバケモンかよっ!」
「ッ危ない!」
悪態をつく奏とクリス。その声が聞こえたかのように赤い龍は未来たちに向けて頭部らしき場所を動かし、口のような先端から一筋の光が放たれる。
未来の声に間一髪回避に成功する。そして赤い龍から放たれた光は真っ直ぐ町の方に向かい、そして大きな爆発が起きた。
爆風は爆心地から遠く離れているはずの未来たちにも届く。それほどまでに大きな爆発だった。
「町が!」
爆発により大きな炎と煙が町を覆う。一撃で先程の大量のノイズよりも大きな被害が出ている事から目の前にいる赤い龍は見掛け倒しではない事は明らかだった。
『(──
赤い龍の中、まるで玉座の様な場所でフィーネは赤いドレスと化したネフシュタンを纏い未来たちを嘲笑した。
『(こんのぉ!)』
赤い龍の中にいるフィーネに向かってクリスはノイズを紙の様に貫いたレーザーを幾つも発射する。だがフィーネは笑みを見せると今まで外からでも見えていたフィーネのいる場所を隠す様にシェルターが展開されて全てのレーザを防いだ。
「んな!?」
全てのレーザーを防がれた事に驚くクリスに今度は赤い龍が翼を広げる。その翼からお返しと言うようにクリスの放ったレーザーのような光線がクリスに襲い掛かる。
回避しようにもその数はあまりにも多く、限定解除されたギアでも全て回避するのは困難だ。
「いけぇ!」
「やあ!」
『SAGITTARIUS∞ARROW』
『蒼ノ断頭』
奏の大槍の投擲と空中でも出せる様になった未来の衝撃波が赤い龍を襲う。二人の攻撃が赤い龍の防御能力を上回って槍は貫き、衝撃波は大きな傷を作る。しかしその傷はネフシュタンの鎧の再生能力を使いすぐさま完治してしまう。
諦めずに未来の斬撃と奏の槍、クリスのレーザーの雨と絶え間なく赤い龍を攻撃し続ける。攻撃が当たった場所が崩れたり爆発している事からダメージ自体はあるようだがそれすら嘲笑うかのようにすぐさま修復されていく。
『(いくら限定解除されたギアであっても、所詮は聖遺物の欠片から造られた玩具!完全聖遺物に対抗出来ると思うてくれるなよ?)』
悠々と必死に赤い龍を止めようと奮闘する未来たちをフィーネは見下ろす。調子に乗っているように見えるがそれも仕方のない事だろう。今のフィーネはそれだけの力を手に入れている。未来たちの攻撃が効かないためそれも情調していた。
『(くそ、ぶっ壊したとこから再生しやがる!)』
『(このままじゃあたしらの方がもたねぇぞ!?)』
僅かな希望に賭けて絶え間なく何度も限定解除されたギアで赤い龍を攻撃する。そして赤い龍は何度も受けた傷をすぐさま修復していく。
『(はっはっはぁ!無駄だ無駄だ!貴様らでは私には勝てぬ!)』
フィーネの高笑いが三人の頭に響くがそれを否定出来ない。言葉を通す事が出来る程力は対応ではないのだ。
攻撃の予備動作が大きく、回避不可能では無いため大きなダメージは受けていないが、それは攻撃がまともに通らないフィーネにも言える事であり、むしろ無限とも言える再生能力に未来たちは少しずつ押されていく。
『(ダメだ、攻撃が全然効いてねぇ!)』
『(こっちには決定打がない。何かアイツを倒せる一撃があれば……)』
どれだけ攻撃を与えてもネフシュタンによって再生するフィーネ。限定解除によってパワーアップしたギアでもその再生能力を上回る一撃で倒せる程のパワーは無い。
それでも、まだ挫けるのには早い。
「──私に任せてくれませんか」
「……何か作戦はあるのか?」
「作戦と呼べるものではありませんが、このままではジリ貧です。なら一か八かに賭けるしかありません」
奏とクリスの後ろにいた未来の真剣な声と眼差し。そしてフィーネに聞かれないように念話を切って肉声に変えた事にその真剣さが伝わる。
奏も未来と同じく念話を切り肉声で話をきく。まだ要領を得た答えでは無かったが、それでも何処か確信を持っていた。
「んじゃ、任せるわ」
「あたしらは時間でも稼げばいいか?」
「……いいんですか?」
「いいも何も、あたしらじゃあれをぶっ倒すのは無理だ。なら可能性に賭けるっきゃねぇだろ」
「未来ならやってくれるって信じてるから任せるんだぜ?」
まだ未来が何をするか何も言っていないと言うのに奏とクリスは未来に任せる気でいた。自分たちでは火力不足と分かっているからだ。
その中で未来は並みの攻撃では傷を負っても再生するネフシュタンの鎧を破壊寸前まで追い込んだ実績がある。何より戦った事のある二人は未来の一撃一撃の破壊力を身に染みて分かっていた。
それにどの道ちまちま攻撃してもフィーネを倒すことは不可能。ならば僅かな可能性があるのならそれに賭けるのは仕方のない事であった。
「……少しだけ、時間稼ぎをお願いします」
「おう!」
「任せとけ!」
二人の返事を聞き、未来は空を見上げてギアの翼を羽ばたかせ空高く高速で飛翔していった。それを黙って見ているフィーネではない。
『(何をするか知らんが、逃すと思うな!)』
再び赤い龍の頭を動かす。そして空高く飛翔した未来に向かって先程の大口径レーザーの狙いを定めようとするフィーネ。そこに襲いかかるのはいく筋も重なり合った無数のレーザーだった。
「おいおい。あたしらを無視すんじゃねぇよ」
「てめぇの相手はこっちだぜ!」
『(ちっ、まだ諦めないか)』
舌打ちをするフィーネを無視して奏は大槍を、クリスは戦闘機型のアーマーの銃口を構えた。
「「さあ、最終ラウンドと行こうか(行くぜ)!!!」」
ギアの翼を一層強く輝かせて奏とクリスはフィーネに向かって突撃する。
奏は槍を構えたまま真っ直ぐフィーネの元に向かい、クリスは奏より後方を飛び、ミサイルとレーザーの弾幕で奏を援護する。着弾した時の爆発により視界を遮った。
「うおらあああぁぁぁ!!!」
フィーネの死角から速度を上げた奏の大槍を構えた突撃が赤い龍の皮膚に深々と突き刺さる。
『(無駄だと言っている!)』
「ちっ!」
奏のいる場所に向かい自身が傷つく事を
襲って来たレーザーをギリギリで回避した奏を追撃するため再度レーザーを発射しようとしたフィーネにミサイルの雨が降り注ぐ。
「フィーネエエエェェェ!!!」
『MEGA DETH SYMPHONY』
『MEGA DETH PARTY』
絶え間なく赤い龍に全力のミサイルとレーザーの嵐が襲う。
ネフシュタンの再生能力で完全に倒す事は出来ずとも足止めは十分出来る程のクリスの全力の攻撃。だがそれは相手が何もしなければの話。
『(小賢しい!)』
「くあっ!?」
ミサイルとレーザーの嵐を物ともせずに赤い龍は飛び回るクリスの方に頭を動かし、そして大口径のレーザーを放つ。動作に気付いて回避行動を取ったため直撃は避けられたが衝撃は完全に回避する事が出来ず、大きくバランスを崩す。そこを狙ってフィーネはクリスに向かって追尾機能付きのレーザーを放った。ただのレーザーなら回避出来ただろうが追尾機能により何発か被弾してしまう。
被弾するクリスを見て笑みを見せるフィーネだったがそこでいつのまにか奏の姿の無い事に気付いた。
「いっっっけえええぇぇぇ!!!」
『SPEAR∞ORBIT』
クリスにばかり目が行っていたフィーネの隙をつき、上空まで待避していた奏が赤い龍目掛けて大槍を投擲する。大槍は奏の手から離れた直後巨大化し、赤い龍の頭部と同等の大きさになり、巨大化した取手に強化されたギアを全力で加速させ片足で蹴りを繰り出す。その際脚部のユニットと巨大化した槍の取手がドッキングされ更に加速する。
『(その程度でえええぇぇぇ!!!)』
大槍に向けて赤い龍は大口径のレーザーを放つ。今度は先の二発よりも大きく、大槍すら飲み込もうとする勢いだった。
大槍とレーザーがぶつかり合い、大きな火花が散る。槍の先端でぶつかったレーザーは拡散し遥か上空の雲を穿った。
「ッんのおおおぉぉぉ!」
『(無駄だ!このまま消えろ!)』
奏は気合を入れて叫ぶがレーザーの勢いは強く、奏の全力の一撃でも徐々に押され始め、巨大化した槍の先端からヒビが入り始める。
少しずつヒビは大きくなり最早槍全体に行き渡る。崩れ去るの時間の問題だろう。
(くそ!これがあたしの限界か?これがあたしの全力なのか!?あたしには自分の手で何も守れねぇって言うのかよ!)
時間稼ぎもままならず、守りたいものを自分で守る力すらないのかと涙を流す。それに伴いシンフォギアの装甲の色が少しずつ薄くなっていく。
実際は十分時間稼ぎは出来ているのだが、それ以上に自分の命を賭けたでも守ろうとした未来やクリスたちが再び戦い、そして誰よりも傷付いているはずの未来に全てを賭けさせた事に不甲斐なさを感じていた。
結局のところ自分は何も出来ない。それをまざまざと見せつけられ身体から力が抜けて涙で前が見えなくなっていく。
「奏ええええぇぇぇぇ!!!」
何処から響く自分の名前を呼ぶ声。それはただの声では無く、奏が聞きたかった大切な相棒の声。
涙で濡れた瞳を動かして声にした方に目を向ける。視線の先にいたのはシェルターから出てきた弦十郎たち二課のメンバーと避難した一般市民たち。
そして、慎次に肩を借りながらも奏を見上げる翼の姿。
「頑張れええええぇぇぇぇ!!!」
限定解除される前の奏の命を賭けた歌。それが眠っていた翼を刺激し、奇跡的に目を覚ましたのだった。
『(ふん。大人しく眠っていれば楽に死ねたものを。ただ一人の声援が増えただけで何も変わるまいて)』
翼がシンフォギアを纏えば事態は好転したかもしれない。だが実際は翼は二年間眠りにつき、いくら医療が発達していようともすぐさま戦闘が出来る程の体力を維持する事は不可能。フィーネにとって耳障りな声援が一つ増えただけで何の意味もない。フィーネにとっては。
「……違うね」
『(なに?)』
静かな奏の呟き。その呟きにはフィーネですら違和感を感じるほどの力がこもっていた。
「確かにあんたにとってはただの応援なのかもしれない。でもな、あの声援はな、翼の声援はなぁ!あたしにとって!誰よりも、何よりも力をくれるんだよ!!!」
レーザーとぶつかり合っていた大槍が砕け散る。そしてその中から現れたのは太陽のように輝く光の槍。
「貫けええええぇぇぇぇ!!!」
奏の生きる意味が目を覚ました事により再び魂に熱い炎が灯る。それにギアは答え、先ほどよりも輝き始めギアの装甲が開きブースターのようになって光り輝く槍を押し込める。
『(バカな!?)』
勢いの増した輝く槍に負けて大口径レーザーはどんどん押されていき、そして赤い竜の頭部を貫き大きく破壊した。
「クリィィィス!」
「任せろ!」
奏の声に応じるように追尾機能のついたレーザーによりダメージを受けて傷を負ったクリスが破壊された頭部から赤い龍の内部に侵入し、そしてフィーネの目の前にたどり着いた。
「貴様!」
「これでもくらいやがれえええええぇぇぇ!!!」
『MEGA DETH SYMPHONY』
『MEGA DETH PARTY』
ここは赤い龍の中、全方位が標的であり破壊する対象。狙いをつけなく良い事を逆手にとっていつものクリスとは思えないほどめちゃくちゃに限定解除されたイチイバルの全砲門を放つ。
内部から赤い龍は破壊され、フィーネのいる場所辺りから大きな爆発が起きる。その爆煙からクリスは脱出して空を見上げた。
「いけ、未来ううううぅぅぅぅ!!!」
遥か上空でキラリと何かが光る。その光は徐々にクリスたちのいる場所に向かって高速で降下してくる。その正体は先程空に飛翔した未来だった。
高速で降下する中、未来は持っている白紫の刀を振り上げる。すると刀には光が集まり始め大きな紫色に光る大剣となった。
「やああああぁぁぁぁ!!!」
『
紫色に光る大剣は赤い龍の頭部があった場所に接触し、紙を切るようにそのまま地上まで真っ二つに切り裂く。そして地上に着地した未来は着地した衝撃で陥没した地面から再び上空へ飛び上がるように大剣を空に向かって全力で振り上げた。
赤い龍の身体に大きな白紫のVラインが入る。その傷はネフシュタンの再生能力を大きく超えており再生する事なく、大きな爆発となって赤い龍を飲み込むのであった。
ハーメルンで小説書いて、そして色付けする人なら三人の歌がハモる場所を色変えしてる苦労分かりますかね(遠い目)。結構めんどくさい……やってしまったからにはやりますが各部のラストバトルだけで挿入歌全部はゆるしてください_(:3」z)_
空中で出せる『蒼ノ断頭』は完全に『蒼ノ一閃』じゃないか……その前に奏さんとクリスちゃんの一人称がどっちも「あたし」な上に口調も何処か似てるところあるで中々区別をつかせにくい……。
それとなんか詰め込みすぎた感ありますね。上手い人がやればもう少し緊迫感とか出せるんだろうなぁ……私の文書力、呪われてるかも_(:3」z)_
次で無印編最終話!残る敵はあれのみ!
次回! 雪の音奏で、未来へ鳴り響き渡れ