本当はG編終わった後に奏さんと翼さん祝った回みたいにマリアさん共々祝う話を作っていたのですが、終わらなかったので諦めて新たに作りました!
ほのぼの回……のはず
時系列は……気にするな(゚∀゚)!
──十月十五日
それはツヴァイウィングの奏と翼とのコラボが決定してセレナたちが日本に到着してからまだ日が経っていない、まだ太陽が高い位置にいる時間のある日の事だった。
「ちょっと調と買い物に行ってくるデス!」
作戦決行の日が近づくにつれて緊張と若干の後悔によって中々眠る事が出来ず、眠る事が出来てもその眠りが浅いせいで寝不足であまり頭が働いていないセレナに向かって切歌は元気よく笑顔で話しかけてきた。
もうすぐ自分たちが人類の命運を左右するような大事を行うというのに、その緊張感の欠片も無い切歌の眩しい笑顔が重過ぎる重圧を感じていたセレナの緊張を解きほぐしていく。
「ふふ。行ってらっしゃい。気をつけてくださいね?」
「はいデス!」
「お夕飯までには帰って来るね」
そう言って二人はセレナに背を向けて部屋から出て行く。
セレナたちは現在、コラボ予定地である会場がある町から少し離れた、町を一望出来る山の中のあまり人が来ない森の中で拠点としているヘリキャリアを待機させており、切歌と調は手を繋いでヘリキャリアから出て町の方へ向かって楽しそうに歩いていく。二人の後ろ姿が楽しかった昔の頃のままで、セレナは自然と微笑みを浮かべていた。
「体調はよろしいのですか、セレナ」
「マム……」
二人を見送っていると後ろの扉から車椅子に乗ったナスターシャが現れる。最近のセレナの様子と与えてしまった重荷の重さを理解しているナスターシャだったが、セレナはナスターシャに見えないように深呼吸をして寝不足を悟られないように無理矢理笑みを作った。
「緊張でまだ少し疲れがありますが全然平気です。それに、こんな事で立ち止まっていては計画に支障が出ます。今のうちに少しの疲れくらいでは倒れないようにしないといけません」
「……その結果、貴女が倒れなければそれで良いでしょう。それで、切歌と調は何処に?」
「二人は丁度今買い物をしに町に向かいました。マムは聞いていなかったのですか?」
「そうですね。私は何も……ああ、そういう事ですか」
何か心当たりがあるのかナスターシャは納得したかのように何度か頷き、車椅子を綺麗にUターンさせて部屋から出て行こうとした。
自分には何の心当たりも無いセレナはナスターシャの行動に疑問を持ち、話しかけようとしたがその前にナスターシャが車椅子を止めて頭だけ動かしてセレナの方に向き直った。
「セレナ、貴女はまだ疲れが取り切れていないのでしょう?今日はもう少し睡眠を取りなさい」
「え、でもまだお昼を少し過ぎたところですが……」
「作戦の日に体調を崩すよりかははるかにマシです」
それだけ言い残してナスターシャは部屋から出て行く。少々急ぎ気味に立ち去るその後ろ姿を見て疑問が増えたが、まだ疲れを取り切れていない上に強い眠気もあって頭が働いておらず、ナスターシャの言葉に甘えてもう少し眠ろうと思い自室に向かった。
「そういえば……今日は何かあったような……」
何か頭に引っ掛かりを覚えたがその正体が分かるよりも先に眠気が勝ってきた頭では深く考える事が出来ず、自室に入ると着替えもせずにベットへダイブしてそのままセレナは深い眠りについた──
──────────────────
それからセレナは予想以上に疲れが溜まっていてのか、目が覚めたのは既に陽が沈み辺りが暗くなり始めた時だった。
(少し眠り過ぎましたね)
今日は特に何か予定があった訳ではなかったとはいえ一日を無駄にしたような気がしてあまり良い気分はしなかったが、久しぶりに長く眠れたためか完全ではなくとも身体の疲れはかなり取れていた。
「こういう何もしない日も、偶にはあって良いかもですね……と、お夕飯の支度をしないと」
久々に軽くなった身体を起こして厨房に向かうと既に明かりがついており中も騒がしかった。
少し遅れてしまったと思ったセレナは早歩きで近づき、扉に手をかけた。
「すみません。少し遅れ(パーン!)な、なんですか!?」
最後まで言う前に部屋に入った瞬間、大きな音と頭に沢山の紙が降りかかり、まだ少しぼぅっとしてしていた頭が一気に覚めていった。
「「セレナ、誕生日おめでとう(デス)!」」
「おめでとう、セレナ」
部屋は綺麗に飾られており、扉から対角の位置には大きく手書きで「セレナ 誕生日おめでとう!」と書かれた垂れ幕が張ってあった。
切歌と調は笑顔でクラッカーをセレナに向けており、ナスターシャにいたっては真顔で鼻眼鏡と妙にカラフルな帽子を被っていた。
「あ、今日は私の……」
壁に飾ってあったカレンダーには十月十五日に大きく丸が付けられており、それを見て今日が自分の誕生日だと初めて気がついた。これから始める世界を相手する大事の前に浮かれるほど神経が太くないセレナが自身の生まれた日を忘れてしまうのも仕方ない事だ。
「ささ、座ってくださいデス!」
「今日はセレナが主役」
切歌がテーブルの椅子を引き、セレナは戸惑いながらもそこに触る。そして調はセレナの後ろに回って肩を揉み始めた。
「ん、凄く……んん、堅い、ね……」
「月読さん?もう少し言葉を選んでくださいね?」
肩こりが酷くなっていたセレナの肩をマッサージする調の妙に艶かしい声に、セレナは焦ってやんわりと注意している間に切歌が冷蔵庫の中にあった苺のショートケーキ五切れを出して配り始める。
セレナとナスターシャと調、そして自分の席の前にケーキを置いたが一つだけ誰も座っていない、余っている椅子の前に置かれていた。
「暁さん、一つ多いようですが」
「……マリアの分デスよ」
少し俯きかげんで呟いた切歌の言葉を聞き、ハッとし顔を浮かべたセレナは誰も座っていない椅子に目を向けた。
「本当は大きなケーキを買いたかったのデスけど、私と調のお小遣いじゃ小さいのしか買えなかったデス……」
セレナの誕生日のためにサプライズでパーティーグッズと垂れ幕用の布等によって本来予定していたワンホールのケーキを買う事が出来ずに急遽用意したのがセレナとナスターシャも合わせた四切れのショートケーキだったのだが、セレナが一番に愛し、そしてセレナを一番愛していた切歌と調にとっても本当の姉ような存在だったマリアを除け者にする訳にはいかないと残り少ない予算でもう一切れ買ったのだ。
誕生日が大切な物だと思っている切歌は予定していたものよりも地味なものになってしまい、残念そうに俯いていたがセレナは自分の前に置かれたケーキを見て微笑んだ。
「暁さん……ふふ。ありがとう」
俯いている切歌と後ろにいた調の頭をセレナは優しく撫でる。二人はまるで子犬のように気持ちよさそうになすがままに撫でられて幸せそうにしていた。
「さて、料理が冷めてしまう前に頂きましょうか」
「マムが作ったのですか?」
「ええ。料理をするのは久々でしたが腕は忘れていないものですよ」
そう言ってテーブルに並べられた料理(主に肉)を見てセレナは今月の予算の事を考えると少し頭が痛くなったが、今日は三人が祝ってくれているのだから深く考えないようにしようとそんな邪推な考えを捨てた。
というよりも、下手をすればモヤシ生活が始まるかもしれないという恐ろしい考えが頭に浮かんだため、それを振り払うように考えるのを辞めただけではあるのだが。
(姉さん。私、頑張るからね)
セレナは誰も座っていない椅子の前に置かれたケーキに向かって微笑みかけていた。
自分たちのやろうとしている事はこの幸せな光景を守る為だと思い、これから起こる大事件を考えればこんな浮かれた事をしている場合ではないと分かっていてももしかしたらこれが最後の祝いになるかもしれないと思う気持ちもある。そのためセレナたちは沢山笑い、今日の事を忘れないようにと心に強く刻む。
そして、また来年も四人で祝う事が出来ると信じて騒ぎ明かすのだった。
世界の命運を賭けた作戦決行までの日は近い──
「マム……その鼻眼鏡気に入ったのデスか?」
「ええ。意外としっくり来るのですよ」
「「「ええ……」」」
「嘘に決まっているではないですか」
そう言って少し残念そうに鼻眼鏡を外したナスターシャの横顔が三人の頭から離れなかった。
後日切歌が別に鼻眼鏡とカラフルな帽子をナスターシャにプレゼントしたのだが、その時は余計な事に大切な資金を使った切歌を叱っていたものの自室で嬉しそうにつけていたナスターシャの姿を目撃した調とセレナがいた事は、また別のお話である。
……誕生日回、なのかこれ?
短いのは許してください。日付変わる一時間前に思いついた内容を整理する時間が無かったのデスよ……
時系列はG編プロローグの前日くらいですね。だから変顔眼鏡と合流前ですね。それくらいしか誕生日で当てはめられる事出来なかったのよ……現在絶賛修羅場中ですし。
物語の月感覚は気にしたら負けです(目逸らし)。てかヘリキャリアの中めっちゃ広いような……
さて、次は未来さんか。残機の確認しとくか……ビッキーが後ろで指ポキポキ鳴らして殺気放ってるような気がするけど気のせいだよね!ついでにクリスちゃんも射撃訓練用の人形の頭と心臓を的確に打ち抜いてるように見えるのも気のせいだよね!?
……あれ、未来さんがハイライトOFFでめっちゃにこやかに笑ってるんですけど……誰か助けて!
セレナさん。誕生日おめでとう!!!
マリア「私の誕生日は?」
作者「出番があるだけ感謝してください(ビッキーを見ながら)」