戦姫絶唱シンフォギアIF 〜陰る陽だまり〜   作:ボーイS

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いよいよ本編。そして始まるF.I.S vs 未来さん!

最初に言います。これは二次創作ですから。二次創作ですから!(大事な事なので二回言いました)

未来さんが少し正気に戻ったため軽いジャブレベルのギャグを入れていく予定です。デスソースの中に砂糖ひとさじ程度と思っててくれれば良いかと。

ついでに……マリア・カデンツァヴナ・イヴ推しの方々。申し訳ありません_|\○_


一話

 欠けた月が夜を照らす時間。一台の堅牢な列車が周りには何もない夜の線路を走っている。これがただの列車でなんの変哲もなければそれだけで済んでいた。

 

 列車の上空で夜中でも認識出来るほど異彩を放つ物体がいくつも飛んでいる。人間サイズもいれば車や大型トラック並みの大きさも混ざるそれはふざけた見た目と違い、人々を死へ誘う地獄の使者である〝ノイズ〟であった。

 

 数体の飛行型ノイズが身体をドリル状に変形させて列車の最後尾の車両に向かって急降下する。ノイズがただの物体であれば外敵からの襲撃に耐えられるようになっている装甲列車の外壁で留められるのだが、そんな簡単にはいかない。

 ノイズは列車の外壁にぶつかる、事はなく、まるで壁も何も無いかのようにするりと通過し、中にいた武装した人間数人にまとわりつくと自身と共に無情にも灰に変えてしまった。

 

 装甲列車の外では列車に取り付けられた武装でノイズを迎撃しようとするが、相違差障壁と呼ばれる、本体は別の空間におりその相違によってエネルギーを減衰又は無力化させるノイズの特性によりほぼ意味はなく、ただ一方的に人間が灰に変わっていくのみだった。

 

「こちらです!ウェル博士!」

「は、はい!」

 

 列車内のランプが爆発の警告音と戦闘態勢に入ったため赤く染まる。その中を友里あおいと大きなスーツケームを持ったウェル博士と呼ばれた眼鏡をかけた白髪の研究者の男、ジョン・ウェイン・ウェルキンゲトリクスは装甲列車の中を走る。

 

「お早く、きゃ!?」

「あっ、と」

 

 大きな音と共に列車が大きく揺れる。恐らく後方の車両が爆発したのだろう。

 突然の揺れにバランスを崩したあおいが前のめりに倒れそうになる。だがその前に誰かに受け止められた。

 そっと目を開ければそこには少し小柄で黒髪に白いリボンをした一人の少女があおいを優しく受け止めていた。

 

「大丈夫ですか、あおいさん?」

「え、ええ。ありがとう、未来ちゃん」

「どういたしまして」

 

 倒れそうになったところを颯爽と現れたて受け止めた黒髪の少女、小日向未来に少々顔を赤く染めるあおい。その光景に未来の後ろにいた綺麗な銀色の髪に、未来より若干小柄な身体に対しては育ちすぎなたわわな果実を持った雪音クリスの顔が歪んだのをあおいが早々と気づき焦りながら離れた。

 

「そ、それで後方の方はどうですか!?」

「……ものすごい量のノイズが追ってきています。このまま目的地に向かうのは危険すぎます」

「ああ、連中明らかにこっちを獲物と定めていやがる。まるで何者かに操られてるみたいだ!」

 

 話しながらウェル博士と共に未来とクリスとあおいは車両を移動する。外は雨が降っており夜というのもあって視界は悪い。

 

 クリスの言葉に未来はそっとウェル博士が持つスーツケースに目をやる。その中身はかつて月を破壊しようとした今は亡き犯罪者フィーネが扱い、そして未来の大切な親友の命を奪った忌まわしき聖遺物、ノイズを使役する事が可能と言われる〝ソロモンの杖〟が入っている。

 

(ソロモンの杖以外にノイズを操る聖遺物があるなんて……)

 

 今回未来たちはソロモンの杖を破壊するのでなく、有効利用する為に日本とアメリカの共同研究所でもある米軍基地に搬送任務についていた。

 道中は特に何も無く、基地までもうすぐという地点と言うところで急にノイズが何者かに操られているかのように列車を襲い始めたのだ。

 これが偶然で無いとすれば考えられるのは可能性はソロモンの杖のみ。何者かがソロモンの杖を強奪を目論んでいるのはほぼ間違い無いだろう。

 

 未来は自分の人生を破壊したソロモンの杖を今すぐにでも破壊したい気持ちを抑えて今回の任務についていたが、やはり今からでも破壊した方が良いのではと考えるが頭を振って否定する。

 

「三ヶ月前、世界中に衝撃を与えたルナアタックを契機に日本政府より開示された櫻井理論、そのほとんどが謎に包まれていますが回収されたこのアークセプター、ソロモンの杖を解析し、認定特異災害〝ノイズ〟に対抗しうる新たな可能性を模索する事が出来れば!」

 

 軟禁状態から解放され、正式にニ課に戻ってきた櫻井了子の話によればソロモンの杖を上手く使えばノイズをこちら側の世界に現れなく出来る可能性があるらしく、今回の作戦は上手くいけば未来のような悲しい思いをする者がいなくなるかもしれないという希望があった。

 

 ここで曖昧にも「可能性」という言葉が出てくるのは、櫻井理論が実質櫻井了子による物ではなく、フィーネが作り上げたものだからである。だが不思議な事にフィーネが了子の中から居なくなった時、フィーネの中の聖遺物の記憶が綺麗さっぱり消えているらしい。

 幸いにも了子の精神を乗っ取ってから消えるまでの間の記憶はあるらしいが、肝心な聖遺物に関してのフィーネの記憶がない為ソロモンの杖の詳しい事は再びに謎に包まれている。

 

 未来には既に手遅れでどうでもいい事であっても、いまだにくすぶる心の中の闇を消し去る方法があると言うのであればそれに託そうと思ったから今回の作戦に参加しているのだ。

 であるなら、ここで破壊する事は早計という物だろう。例え既に早くに破壊しなかった事に後悔していても。

 

「……あたしがとやかく言う資格はねぇけど、そいつは、ソロモンの杖は簡単に扱っていいもんじゃねぇよ」

 

 ウェル博士の言葉を聞いてクリスは立ち止まり、強く拳を握る。

 クリスにとってもソロモンの杖は大切な友人を狂う程の不幸のどん底に落としてしまった物であり、下手をすればもっと沢山の人間が不幸になる物だった。

 誰かと手を繋ぐ優しさを知った今のクリスには、自分が起動させてしまった呪いの杖をいくらノイズから人類を守る為とはいえ簡単に受け入れる事は出来なかった。

 

 歯を食いしばり、かつての自分の過ちを思い出して苦しそうにするクリスに未来は近づき、そっとその手を優しく握り安心させるように微笑む。

 

「大丈夫だよ、クリス」

「未来……」

 

 たった一言だが、その言葉にクリスの心は幾分か軽くなる。

 完全には元に戻っていないとはいえ、許しを乞う対象である未来の言葉がまだ罪の意識が強く残っているクリスにとっても救いの言葉だった。

 

「はい、はい……多数のノイズに紛れて高速で移動する反応パターン?……了解しました。迎え撃ちます!」

「出番ですね?」

「ええ、ノイズは任せます」

「任せろ!」

 

 未来は自分の胸元に手をやり、クリスは首にかけた赤いクリスタルのペンダントを握る。そして頭に浮かぶ歌を二人は心のままに口ずさんだ。

 

 

 ──Fellthr amenohabakiri tron(例え先に滅びが待っていようとも)──

 

 ──Killter Ichaival tron(銃爪にかけた指で夢をなぞる)──

 

 聖詠という名の歌を歌うと共に未来は紫の光に、クリスは赤い光に包まれる。

 

 未来の身体に紫色と白色の帯が張り付き、その帯が紫と白のインナーに変化するとすぐさま同じ明るい紫と白の装甲が現れ自動的に身に纏う。そして首からは薄い紫色のマフラーが生えるように現れて巻かれた。

 未来が右手を空に向けて伸ばすと紫色のラインが入った白紫の刀が現れその手に収まり、刀は更に強い紫色の光を放つ。

 

 クリスも未来と同じく赤色と白色の帯が身体に張り付き、そして赤と白のインナーに変化すると未来とは形の違いドレスアーマーのような装甲を見に纏う。

 そして両手に現れたボウガン二丁を華麗にキャッチした。

 

 シンフォギア。櫻井理論により聖遺物の欠片を使った対ノイズ専用の装備にして人々の希望になりうる光。

 それを身に纏った二人はすぐさま列車の上部に上り、そして列車を囲むように上空を飛行する飛行型ノイズを前に恐れる事なく立った。

 

「群雀どもがうじゃうじゃと!」

「大丈夫。私とクリスなら負けないよ」

「へっ!んなの当たり前だ!」

 

 少し顔を赤くしながらクリスはボウガンを上空に向けて構え、未来はクリスとは反対の方向に身体を向けて刀を構えた。

 

「後ろは任せたぜ、未来!」

「うん、任せて!」

 

 そして真夜中の列車の上でノイズを観客に未来は歌を歌う。その歌に反応しシンフォギアが起動し、ノイズの相違差障壁が消え去った。

 

 上空のノイズに向けてクリスはボウガンを放つ。かつてのイチイバルよりも連射速度と威力の上がったボウガンはノイズをいとも容易く貫き次々に灰へ変えていく。

 

 クリスの背後から別のノイズの群れが身体をドリル状に変形させて飛来する。だがクリスは振り向く事も反撃する事もしない。それは必要がないからだ。

 

空ノ断閃

 

 クリスの背後を取ったノイズの前に未来は跳躍しながら近づき、そこから空中で刀を持ったまま横に一回転する。そこから未来を中心に円形の真空刃が生まれ近づいてきたノイズを切り裂いた。

 一瞬にして列車の周りにいるノイズを撃破する。だが上空にはまだまだノイズが頭が痛くなるほど飛行していた。

 だが広域殲滅特化型のイチイバルなら問題ない。

 

GIGA ZEPPELIN

 

 クリスの持っていたボウガンが変形し、大型クロスボウになる。そしてクリスタル状の巨大な矢を空中に向けて放ち、その矢が遥か上空で空を覆い尽くす程の無数の小さな矢に分裂後、それら全てがエネルギー状の矢に変化して一斉に雨のように降り注ぎ上空のノイズを殲滅させた。

 

「凄いね、クリス!」

「これくらい朝飯前よ!」

 

 自身満々に胸を張るクリス。そしてその強調されたたわわな果実を見て未来の目が一瞬濁ったのだがクリスは気付かなかった。

 

 まだ余裕を見せる二人の視界に、飛行型のノイズを掻き分けて一匹の異彩を放つステルス機のような形をしたノイズが高速で移動するのが見えた。それは他のノイズとは一線を画する程速く、そして今までのノイズのデータには無かった姿をしていた。

 

「あいつが取り巻きを率いてやがんのか。だったら!」

 

MEGA DETH PARTY

 

 ドレスアーマーの後部の装甲からミサイルが展開されその全てを新型ノイズに向けて放つ。だが今までのノイズとは違いまるで理性があるかのように高難易度マニューバーによってミサイル全てを回避する。

 

「だったらあああぁぁぁ!!!」

 

BILLION MAIDEN

 

 再びボウガンを変形させて今度は四門の三連ガトリング砲に変化させる。そして新型ノイズに向けてガトリング砲を放った。

 しかしそれすらも新型ノイズは回避し、ガトリング砲の弾幕の中で身体を変形させ、前面部を硬化させてクリスに向かって突撃してくる。するとシンフォギアによって作り出されたガトリング砲の弾が貫通せずに全て弾かれてしまった。

 

「クリスッ!」

 

 クリスに向かってくる新型ノイズに向かって未来は跳躍し、刀を振り下ろす。だが天羽々斬の刃ですらノイズの装甲を破壊する事はできず、大きな火花を散らして軌道をずらす事しか出来なかった。

 

「ッ大丈夫、クリス!?」

「ああ。すまねぇ。にしても硬すぎんだろ!」

「私でもあれの撃破は難しそうだね」

 

 決定打に欠ける今の状況で新型ノイズを相手にするのは厳しく、他の飛行型ノイズも共に列車を狙って襲いかかってくる。いくらクリスのイチイバルでもジリ貧だった。

 

「あん時みたく空を飛べる限定解除(エクスドライブモード)なら、こんな奴に一々おたつく事なんてねぇのに!」

 

 赤い龍と化したフィーネの強固な装甲にも傷を付ける程の威力と新型ノイズに引けを取らない速度で飛行出来た限定解除(エクスドライブモード)であれば簡単とはいかずとも今よりも楽に撃破出来るだろう。だが、フィーネとの戦いからシンフォギアの基礎的なパワーアップは果たせたが未来たちの意思で限定解除(エクスドライブモード)になる事は依然出来ずにいた。研究者からは何か発動条件があるとは予測されているがそれはまだ謎のまま。

 故に未来もクリスも今の状態で新型ノイズを撃破せねばならなかった。

 

「何か方法が……ックリス!」

「あん?……ってうおわっ!?」

 

 未来の焦る声にクリスは振り返る。そこには目の前まで迫るトンネルの入り口があった。このままでは二人はトンネルの入り口上部にぶつかってしまうだろう。

 

「クリス、ごめん!」

「ふぇ?」

 

 未来は驚くクリスの腰辺りに左手を回して自分に抱き寄せ、足元の列車の天井部を白紫の刀で切り裂く事で間一髪の所で二人は列車の中で待避する事が出来た。

 

「セーフ……大丈夫、クリス?」

「……」

「クリス?」

「ふえ!?あ、ああ!大丈夫だ!ありがとうな、未来!」

 

 顔を赤くして未来の腕から離れるクリス。離れた後にもう少しあのままでも良かったと後悔して肩を落とすクリスの背中を見て未来は首を傾げた。

 

「それにしても、厄介だね」

「そ、そうだな!攻めあぐねるたぁこの事だな」

 

 まだ顔が赤いクリスも今の状況が悪いものだとしてすぐさま頭を切り替え真面目な顔になる。未来もクリスに釣られて真面目に思考し始めた。

 

(軽い攻撃じゃあの装甲は貫けない。かと言って重い一撃を入れようにもあの速度だと当てる事自体が難しい。動きを制限出来れば……あれ?)

 

 ふと何か思いつき自分で切り裂いた列車の天井を見上げる。そこで勝つための作戦が閃いた。

 

「クリス、私に任せてくれる?」

「何かいい方法が浮かんだみたいだな」

 

 クリスは未来が何をするか分かっていない。それでも自分の信じる未来が自信有り気な顔で頷く姿を見ればその方法に賭けない選択肢はクリスにはない。

 

 すぐさま動き出す未来の後を追って今いる車両から次の車両に移る。もうそこが先頭であり、それ以上の被害は任務失敗を意味していた。

 

「車両連結部を壊してくれる?その後クリスは列車の護衛を続けて。もうすぐ目的地だから私もすぐ合流する。心配しなくても大丈夫だからね」

「ああ、未来の事信じてるから何の心配もしてねぇよ!」

「ふふ。ありがとう」

「れ、礼なんていらねぇよ!」

 

 再び顔を赤くするクリスに未来は微笑みを向ける。この時すでにクリスの心臓の鼓動が少し心配になるくらい速くなっているのだが未来が気付く事はない。

 

 クリスが列車の連結部を破壊し先頭の車両と切り離した後に未来も少し時間を置いて列車から飛び降りる。着地した地点は丁度トンネルの終わりだった。

 

 切り離した車両がどんどん近づいてくる。だが未来はそこから逃げる事はせず、その場で深く腰を落とし右手に持った白紫の刀の切っ先を前方に向け、その峰に軽く左手を添えて静かにその時を待つ。

 

 近づいてくる車両を目の前にして動かない未来だったが、突然車両の前面から異様な突起が生えるように現れ始めた。あの新型ノイズの突出した前面装甲だ。

 

「ここだ!」

 

 強く一歩を踏み出すと共に脚部の装甲が僅かに開かれそこから紫色の炎のブースターを吹き、さながら紫の流星というような速さでまだ身体の半分も外に出ていない新型ノイズに向かって突撃する。そして強固だった新型ノイズの前面装甲に刀の先端が深々と突き刺さり、突撃した衝撃波を刀に伝わらせ中から破壊する。衝撃は車両まで届き耐える暇なく爆発したその際列車を追いかけてきた別の飛行型ノイズはシンフォギアによって相違差障壁は消えているため全て爆炎の中に消えていった。

 

「閉鎖空間で相手の機動力を封じた上に、遮蔽物からの必中の重い一撃……どこまで強くなるんだか」

 

 先頭車両の後部から爆炎を前にする未来の後ろ姿を見ていたクリスはまだまだ強くなっていく未来に苦笑いしか浮かべる事が出来なかった。

 

 

 

 

「お疲れさん」

「ありがとう、クリス」

 

 ノイズを倒して遅れて基地に到着した未来をクリスは暖かく迎える。未来もクリスに笑みを向けて答える。

 既にソロモンの杖の譲渡は終わっており、帰投用のヘリも既に用意してある。未来の帰還を待ってからそのままニ課仮設本部に帰投となっていた。

 

「────確かめさせてもらいましたよ。皆さんがルナアタックの英雄と呼ばれる事が伊達ではないという事を」

「「ウェル博士!」」

 

 未来とクリスに柔和で優しそうな顔をしたウェルはソロモンの杖が入ったケースを持って近づく。護衛対象でもあったウェルに特に大きな怪我がなく、未来は安心した。

 

「世界がこんな状況だからこそ、僕たちは英雄を求めている。そう!誰からも信奉される英雄の姿を!」

「そんな大袈裟な」

「……」

 

 先程の柔和な顔はどこに行ったのか。何処か遠くを見ている目で未来たち向かって言う言葉にクリスは呆れたため息を吐く。その横で未来はただジッとウェルを見つめていた。

 

 

 

 その後任務を終えた未来とクリスとあおいはウェルと別れ、その場から離れた場所にあるヘリポートまでの道を並んで歩いている。

 

「これで任務も無事終了だ!青髪と赤髪の二人のライブも間に合いそうだな!」

「うん、そうだね」

 

 二ヶ月前のツヴァイウィング復活ライブにより翼と奏の歌が気に入ったクリスは若干テンションが高くなる。今日も任務で行けなくなったがライブ会場まで足を運ぶ予定ですらあった。

 だがツヴァイウィングのファンであった未来は反応が薄い。

 

「どうしたんだ、なんか心配事か?」

「ううん。そんな大きな事じゃなくてね……今回の襲撃、もしかしたら」

 

 真面目な顔になる未来が続きを言う前に後方で大きな爆発音が響く。振り向けば基地内のビルを破壊して大型のノイズが姿を現していた。そしてその足元には複数の小型ノイズの群れが軍人たちを襲い始めている。

 

「なんでノイズが!?」

「ッ今は救助に向かおう!」

「分かってらぁ!」

 

 そして二人は再びシンフォギアを纏い、急に現れたノイズに向かって走り出すのであった。

 

 ──────────────────

 

 ──ライブ会場 ステージ裏にて

 

 

「──はい、では翼さんをそちらに」

『無用だ。ノイズの襲撃と聞けば今回のステージを投げ出しかねない。それに未来君とクリス君でも十分対応出来ている。翼と奏君には目の前の自分たちの戦場に集中しろと伝えてくれ』

「分かりました」

 

 眼鏡型の通信機で弦十郎と会話していた慎次は通信機を切り眼鏡を外す。そして着ているスーツを整えて後ろで控えている翼と奏の元に戻って来た。

 

「ダンナはなんて?」

「向こうは未来さんとクリスさんで対応出来ているようです。お二人には目の前の自分たちの戦場に集中しろとの事です」

「伯父様らしいな」

 

 翼と奏は今日のソロモンの杖の輸送作戦の事は知っていたがライブの日と重なってしまったため、現場には未来とクリスの二人が行く事に決まっていた。

 翼もその事自体は反対していなかったが今はあまり顔が優れない。

 

「あの二人が心配かい?」

「ううん。小日向と雪音ならきっと大丈夫。でも、私だけここにいて良いのか迷ってる」

 

 仕事とノイズの殲滅。人類のためにどちらを優先すべきか、そして風鳴家で防人として育った翼は戦場に出ずに呑気に歌を歌っていいのかまだ悩んでいる。そのため翼にとって後輩二人に任せる事はあまりよろしく思っていない。

 

「ここで観客の皆さんを笑顔にする事も防人としての立派な仕事だと思いますよ」

「そうそう。緒川さんが言うようにみんなの笑顔を守るつーのは仕事であり戦場。ならあたしらはマイクと歌を武器に戦わなくちゃね!」

「意味が分からないけど、でもそうだね。今の私の戦いはライブで歌う事だものね」

「そーいうこった!」

 

 奏の少々意味の分からない理論に翼は何故か納得し、今は悩む事よりも目の前の事に集中しようと気合を入れる。若干力が入り過ぎていると慎次は思ったが、逆に奏が力を抜き過ぎているため丁度良い塩梅になっているためとくに口に出す事はなかった。

 

「それにしても人気だね、彼女」

 

 翼は近くにあった今日のライブの宣伝ポスターを見る。そこにはツヴァイウィングである奏と翼、そしてもう一人が写っていた。

 

「はい。僅か一ヶ月程で人気が急上昇中のようですね」

「あたしでも聞き惚れる歌だっていうのに今までなんで名前も出なかったのかねぇ?」

 

 ルナアタックの事件から一ヶ月経った時に行われたツヴァイウィング復活ライブ。その後一週間もせずに二人に負けないレベルの歌唱力を持った新たな歌姫が誕生した。

 勿論世界的に有名なツヴァイウィングよりかはまだまだ人気は下だが、それでもそう長く無いうちに隣に並ぶだろうと言われるほどの人気さだった。実際奏も、そして翼も彼女の歌が気に入っている。

 

「おや、噂をすれば」

 

 ステージ裏の出入り口を見ていた慎次の言葉に奏と翼が反応し、同時にその方向を見る。そこには今話していた件の新たな歌姫であり、少々童顔ではあるものの背筋を伸ばして出る所はきちんと出ており、理想的な大人の女性のような凛々しい女性が立っていた。

 

「すげぇ美人。あれであたしと同い年とかふざけてんだろ……」

「そうだね。奏よりも大人らしい」

「……それってあたしが子供っぽいって事か?」

「ハッ(゚Д゚)!ち、違うのよ、奏!今のは言葉の綾で」

「翼。後でお仕置きな?」

「か、奏ぇ……」

 

 翼に向かってニッコリと眩しい笑顔を見せる奏。しかしその目は笑っていなかった。

 いつもは件の女性に負けないくらい凛々しい翼も奏の前になると年相応の少女となり、今は可哀想なくらいオロオロしている。

 

「お二人とも、この機会にご挨拶でも」

「そ、そうですね!ね、奏も行こう!」

「ちょ、翼!?」

 

 さすがの慎次も助け船を出し、これ幸いとその話に乗った翼は有無を言わせず奏の手を取り女性の元に急ぎ足で歩く。奏は何か言いたそうにしていたがその前に目的の人物の前に立った。

 

「初めまして。ツヴァイウィングの風鳴翼だ。今日はよろしく」

後でお仕置き追加な。同じくあたしは天羽奏。今日は最高のステージにしような!」

 

 翼に向かって小声でお仕置きの追加を宣言されて翼の頬がピクピクと動く。慎次の助け船は効果を成していなかった。

 

 奏が握手を求めて右手を出す。それに気づいた目の前のオレンジ色の髪に大きめの花をイメージした髪飾りをした、優しそうに微笑む女性は出された右手を握り返した。

 

「今日はよろしくお願いします。風鳴さん、天羽さん。あ、申し遅れました。私は──

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ──セレナ・カデンツァヴナ・イヴと申します」




コメント返し等で作者がG編についてマリアさんの名前を一切出さなかった理由がこれだ。伏線は物語の中だけではないのだ!

基本的には未来さん同様マリアさんの立ち位置をセレナさんに変えただけです。それでも性格が違うので難航しそうですが。それにマリアさんでないからこそ救える命と救えない命があると思いますので。

めっちゃ迷いましたよ。過去のトラウマ的なのが原因で謎の成長障害からG編に出てきた幼い時のままのセレナさんか、マリアさんと同じ遺伝子という事でアダルトセレナか!アンケートしようと思いましたが分かる人は私のやろうとしている事をすぐ理解してしまうなと思ってできませんでした!もしロリセレナの方が良かったと思う方は誠に申し訳ない_(:3」z)_

何故こんな事をしたか?ただセレナさん好きなので活躍をあげたかったからさ!決してマリアさん嫌いではありません。それにマリアさんとセレナさんの二人揃っての姉妹愛を超えた愛を育むような関係とか想像して……セレナさんや、鼻血出しながらガングニール構えても説得力皆無でry((貫通)

原作のセレナさんは何故絶唱をあんな半端で終わらせたのでしょうかね?全部歌えばマリアさん達巻き込むからセーブしたのか、それとも実際は全部歌ったけど運営の事情で省かれたのか……

次回! 新たな敵 

名前は出した以上、セレナさんには働いてもらうぜ(゚∀゚)
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