戦姫絶唱シンフォギアIF 〜陰る陽だまり〜   作:ボーイS

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神獣鏡を纏ったマリアさん……原作未来さん以上に自我が無く、まさに操り人形といった具合を想像していただければ。
ちなみにウェル博士は研究の事のみ考えていたので同人誌のような展開にはならずにマリアさんはまだ処ry(この先は血で汚れて読めない)

今回は少し短め。次からがまた激戦で作者が死ぬのでその前の小休止だ_(:3」z)_

水棲さん。誤字報告ありがとうございます。漢字の変換ミスはともかく変なミスばかりで誠に申し訳ありません_(:3」z)_

それでは、どうぞ!


十四話

 突如ヘリキャリアから投下され現れた黒に近い紫と白のシンフォギアを纏ったまま海面に僅かに浮いているピンクの髪の少女、マリア・カデンツァヴナ・イヴを見て翼は動揺を隠せずにいた。

 

(敵意は感じるが……なんだ、この違和感は?)

 

 警戒しなければならないと思うほどの敵意は感じるが本当に生きているのか、()()()()()()()()()()()()()()()()()ほどマリアの目に光は宿っておらず、ただじっと船の甲板にいる四人を見つめるだけでピクリとも動こうとしなかった。

 

「生きてたんデスねマリア!」

「あ、おい!」

 

 クリスの隣にいた切歌が嬉しさを隠しきれずに笑顔で海上にいるマリアの方へ駆け出す。それをクリスが後を追った。

 

 何故生きていたのか理由は分からずとも本当の姉のように接してくれていた死んだと思っていた大切な家族が生きていた。それが切歌には嬉しく、瞳に涙を溜めながらもマリアとの再会を喜んでいた。

 

 そんな切歌の笑顔を見ても、マリアの表情は一ミリも変わらなかった。

 

『──やってしまいなさい。マリア』

「YES。Dr.」

 

 通信機から聞こえたウェルの命令を聞いたマリアはまるで機械のような返事を返すと先端に鏡のようなレンズが付いた扇と剣が合体したようなアームドギアを持ち上げ、先端を切歌に向ける。すると、先端の鏡から駆け寄ってくる切歌の心臓に向けて紫色のエネルギー弾が発射された。

 

「──えっ?」

「切ちゃん!!!」

 

 突然のマリアの行動に切歌は一瞬惚けた顔になる。

 敵意はあっても殺意は無いという不可思議なマリアの機械的な動きに遠目から見ても完全に虚を突いたエネルギー弾は真っ直ぐ切歌の心臓に向けて近づいてくる。シンフォギアを纏っていても危険を感じるほど、そのエネルギー弾は禍々しかった。

 だが、エネルギー弾が切歌に命中する寸前、前方にクリスが割り込んだ。

 

「ぐうううっ!」

 

 切歌を追ってきたクリスが切歌の前に躍り出て持っていたボウガンの一丁を盾にしてエネルギー弾を受け止める。身体が仰け反るほどの見た目に反した強い衝撃に顔をしかめたが身体にはダメージは無かった。身体には。

 

「んな、アームドギアが!?」

 

 身体の異常もなければアームドギアを格納しようとも思っていなかったはずだというのに、エネルギー弾が命中した持っていたボウガンの半分が消えかかっていた事に気づく。明らかにおかしな現象だった。

 

「マリア……なんで……?」

「…………」

 

 切歌の戸惑いを隠せない顔で信じられないというように震える身体を押さえてマリアに問いかける。だがそんな切歌の顔を見てもマリアは機械のように光の無い瞳で切歌を見返すだけ。

 

『ふむ、神獣鏡の性能自体は問題なさそうですね。では、戦闘能力を試しましょうか』

「YES。Dr.」

 

 再び通信機に入ったウェルの言葉を聞いてマリアは機械的な返答を返した後、その場からピクリとも動かなかったというのにいきなりクリスたち目掛けて海面を滑るように高速で移動を開始した。

 

 

 ──────────────────

 

 ──ヘリキャリアにて。

 

 

 死んだと思っていた姉が生きていた。

 

 まるで夢でも見ているのかと思ってしまうほどの現実離れした出来事にセレナは思わず自分の頬をつねるが夢では無いと痛みが教える。

 嬉しさで涙が流れそうだったが、隣にいたウェルは眼下にいるマリアを見てニヤリと笑い、通信機を手に取った。

 

「──やってしまいなさい。マリア」

『YES。Dr.』

 

 直後、マリアが切歌に向けて紫色のエネルギー弾を容赦なく撃ち込む。辛うじて敵であるはずのクリスが切歌を守ったが、その容赦なさは自分の知る姉とは違いすぎてやはり夢なのかと思ってしまう。それ程までに記憶の中の優しい姉の姿とはかけ離れていた。

 

「ふむ、神獣鏡の性能自体は問題なさそうですね。では、戦闘能力を試しましょうか」

『YES。Dr.』

 

 切歌を守ったクリスのアームドギアが不可思議な消失具合を確認したウェルはそのままマリアに戦闘続行の命令を出す。その命令にマリアは忠実に従い、かつて妹のように接していた切歌や調に向かって無表情のまま突撃していった。

 

「──これはいったいどういう事ですか、Dr.ウェル」

「マ、ム……」

 

 茫然としていたセレナの背後の操縦席の扉が開き、ナスターシャが入ってくる。既に別室のモニターで現状を見ていたナスターシャも今起きている現実を信じられていないのか、顔をしかめていた。

 

「……まぁ、ここまで来たなら種明かしをしても良いでしょう」

 

 ウェルは眼鏡をクイッと持ち上げて不気味な笑みを浮かべたまま語り出す。

 

「彼女、マリア・カデンツァヴナ・イヴは六年前の実験で目覚めたネフィリムと抗戦し、絶唱の力をもってネフィリムを再度封印。ですが絶唱を使用したバックファイアにより身動き出来ない状態で火災に飲み込まれた。それが貴女たちの知る彼女の最期ですね?」

「ええ。私もセレナもその瞬間をこの目で見ていましたので」

「では勿論死体の確認もしたのですね?」

「……」

 

 ウェルの言葉にナスターシャは言葉を詰まらせた。

 

 あの日の出来事は目に焼き付いて離れないほど鮮明に覚えている。

 ナスターシャは自分たちを守るために自分を犠牲にしたマリアの勇姿を、セレナは姉の最期の姿を忘れるはずがなかった。

 最愛の姉が居なくなったショックは大きく、数日はまともに食事をしなかったセレナを負傷したナスターシャが手厚く介護もしていた。

 だがウェルの言うようにマリアの死体の確認を二人はしていない事に今更気づいた。

 

「実はあの時、かなり危険な状態でしたが彼女は生きていたのですよ。しかしバックファイアによるダメージもあったのかその後彼女は目覚める事なく植物状態となっていましたが」

「そんなはずがありません。マリアが生きているのなら私が知らないはずが──」

「貴女だからですよ。ナスターシャ」

 

 話に割り込むようにウェルは少し興奮気味に声を上げる。不気味な笑みが更に歪み、ウェルの、狂人としての本性が少しずつ表に現れていく。

 

「貴重なシンフォギア装者候補であったセレナが姉が目覚めないと知るとどうなると思いますか?甲斐甲斐しく世話をするでしょうが、一生目覚めない姉の介護に精神を病むでしょうねぇ。そうなれば装者候補としては外れてしまう。これ以上補填が効かない貴重な装者の損失は避けるためにあえて彼女には話さずにマリアを忘れて自分で立ち上がる方に切り替えました。そしてその役目が貴女なのですよ、ナスターシャ」

 

 当時はまだシンフォギアを纏える装者は日本の風鳴翼しか存在しておらず、フィーネの魂を受け止められる器として集められた沢山の〝レセプターチルドレン〟の中で実際にシンフォギアを纏ったマリアのみ。セレナ、切歌、調は候補であったがまだ纏う事は出来なかった。

 そんな貴重な()()()()をこれ以上減らさないために、実の姉であるマリアが死亡した事にしてセレナが自力で前に進ませる事を決定。そして乱れた精神を安定させるためにセレナと仲の良かったナスターシャが選ばれたのだ。

 その際、ナスターシャからマリアの事がバレないように秘匿されたためナスターシャが知らなかったのは仕方のない事だ。

 

「本来ならマリアは()()される予定でしたが、貴重なシンフォギア装者という事でこの僕が実験の()()として貰い受けました。その後入手された神獣鏡のシンフォギアとの適性があったため今まで調()()して来たのですよ。その途中で意識が無いのも何かと面倒なので例のシステムで脳を活性化させたんですよ」

 

 ウェルの言うシステムとは〝ダイレクトフィードバックシステム〟という、かつてウェルを中心にした研究チームによって開発された、人間の脳に直接介入するシステムの事だ。

 あらかじめ用意されたプログラムをインストールさせる事によって実際に脳を動かす事をしなくても外部から動かす事が可能になるが、本来なら薬物や特殊な機械等でじっくり調整しなくてはならなかった。

 しかし、植物状態のマリアは常に休眠状態だったため調整は容易。そこからよりシステムの進歩の為の実験台としてセレナたちの知らないところでマリアはシステムの調整を受けていた。

 

「結果はご覧の通り。システムのアシストがあるとはいえ食事も運動も睡眠も思いのままに行わせる事が可能となりました。戦闘も予めインストールさせたプログラムによって合理的かつポテンシャルの底上げも実現したのですよ!」

「貴方は命をなんだと思っているのですか!」

「ですがこの処置をしなければ当の昔にマリアは処分されていましたよ?感謝はされても貶される理由は無いと思いますが」

「貴方は……!」

 

 何も言えなくなるナスターシャを見てウェルは気分が良くなり眼下でこれから始まる調整されたマリアの戦闘に興味を移す。貴重な実験の成果のお披露目であるためウェルも興奮を抑え切れていない。

 

「姉、さん……」

 

 昔の面影が無くなってしまったマリアを見たセレナは二人の会話が耳に入っておらず、目の前で起こっている奇跡と絶望に頭がついて行かずにただ茫然と眺めている事しか出来なかった。

 

 ──────────────────

 

 突如現れてから緩慢な動きしかしていなかったマリアが敵意を強め、クリスたちに向かって急に驚くほどの速さで海上を移動し始めるのを見て翼は白銀の剣を構え、クリスは一度半分以上が消失したボウガンを一度捨てて再度作り出し、向かってくるマリアに向かって構えた。

 

「んのやろう!」

 

 甲板からクリスの高い射撃能力でマリアを狙い撃つ。だがマリアはクリスの放つ矢の全てを余裕を持って回避し、先程切歌を狙ったエネルギー弾で反撃を開始した。

 走り回るクリスと海上を移動するマリアの撃ち合いは続くが、射撃能力はともかく身体能力に大きな差があったため距離はすぐ縮まってしまった。

 

「くそ!近づかれた!」

「下がれ、雪音!」

 

 翼の声と同時にマリアは甲板に向かって高く跳躍。そして着地後近くにいたクリスに向かって扇と剣が合体したようなアームドギアを振り下ろすが既の所で翼が受け止めた。

 

「雪音、援護を頼む!」

「分かってらぁ!」

 

 鍔迫り合う翼とマリアから距離を取ろうと離れるクリスだったが、それをマリアはそれを見逃さなかった。

 背中の黒い二つのケーブルが急に動き出し、鞭のような風切り音と共にぶつかり合っていた翼の死角から遅いかかり、シンフォギアの装甲を大きく砕いた。

 

「ぐう!?」

 

 突然の奇襲により大きくのけ反った翼を二つのケーブルで迎撃させ、マリアは距離を取ろうとしていたクリスに向かってアームドギアを構えてエネルギー弾を放つ。クリスのアームドギアが謎の消失を起こした事から直撃すれば戦闘続行は不可能になる可能性は高かった。

 

「しまった!?」

 

 放たれたエネルギー弾に気付いたクリスだったが僅かに気付くのが遅くれ直撃は免れず、防御しようにも間に合わない。

 そんなクリスの目の前に、突然黒とピンクの謎の物体が割り込んできた。

 

「盾?」

「なんと鋸」

「デェェス!!!」

「!」

 

 突如割り込んだ調がツインテール型のアームドギアの巨大鋸を盾にする事でクリスをエネルギー弾から防ぎ、更にその後ろから切歌が跳躍して大鎌をマリアに向かって振り下ろした。

 マリアの扇と剣が合体したようなアームドギアを横にして構えて切歌の大鎌型のアームドギアを防ぎ、大きな火花をが散った。

 

「マリア!目を覚ますデス!マリアがこんな事するなんて間違ってるデスよ!」

「……」

 

 切歌の必死の呼び掛けにもマリアは反応せず、淡々と隙だらけの切歌の腹部に強力な蹴りを放った。

 

「がっ!?」

「切ちゃん!」

 

 マリアの蹴りは切歌に深々と刺さり、勢いよく調の方に向かって飛んでいく。それを調は身体を張って受け止めたがそれが大きな隙となってしまい、マリアはすぐさま追撃しようと身を屈めたがそれを許すほど防人は甘く無い。

 

「私を無視するとは、舐められたものだ!」

「ッ!」

 

 二つのケーブルの合間を縫って翼はマリアに向かって白銀の剣を振り下ろす。それをマリアは僅かに髪を切られるほどギリギリで回避して翼から距離を取るが、すぐさま地面を蹴って身体を大きく捻りながら翼に向かって鋭いハイキック放つ。

 

「くっ、体術まで玄人の域か!」

 

 白銀の剣と神獣鏡のギアの脚部装甲がぶつかり火花を散らす。僅かにマリアのギアの脚部装甲が砕けるが、それよりも蹴りの威力が凄まじく翼は耐え切れずに大きくバランスを崩す程後ろに仰け反ってしまう。

 更に追撃と黒い二つのケーブルで襲い掛かろうとしたが、直前でマリアの目の前を赤い矢が通過した。

 

「油断してんじゃねぇよ!」

「そのようなつもりはないのだが、な!」

 

 クリスの援護を受けて今度は翼が攻勢に出る。

 赤い矢と共に白銀の剣と扇の剣のぶつかり合いが三度起こるが、それでもマリアの勢いは衰えず、むしろその苛烈さは増していくばかりで翼のギアの装甲もどんどんヒビ割れていく。

 

(このままでは……やられる!)

 

 まともに反撃できずに焦りが出てきた瞬間、マリアの扇の剣とぶつかった翼の白銀の剣が大きな音を立てて刀身の半ばから折れてしまった。

 

「なっ!?」

「……」

 

 思いもよらぬ出来事に隙を見せてしまった翼に、二つの黒いケーブルが鞭のようにしなって襲いかかり、無防備になった翼に強力な一撃が入った。

 

「かはっ!?」

 

 許容量を超えた一撃により翼のギアは大きく砕け、甲板に叩きつけられるようにクリスたちのいる方へ吹き飛ばされてしまう。

 

「マリア!」

「戦いをやめるデスよ!」

「……」

 

 レベルの違いすぎた翼とマリアの戦闘をただ見守ることしか出来なかった切歌と調がマリアを止めようと吹き飛ばされた翼と交代するように前に出て大鎌と鋸をマリアに向けて構える。クリスも二人を追ってゆっくり歩いて翼を庇うような位置に立った。

 翼レベルで無くともクリスの援護を受ければ切歌と調でも太刀打ちできるかもしれない。そう考えれば三対一となるのだが、それでもマリアから戦闘の意思は消えていない。

 

「くっ、すまない雪音。納得いかないかもしれないが、今はあの二人と連携して」

「その必要はねぇよ」

 

 肩を抑えて息の上がった翼の提案をクリスは冷淡に切り捨てる。翼からはクリスの顔は見えないが、その後ろ姿を見て嫌な予感を感じた。

 

 クリスはゆっくりとアームドギアをマリアに向かって構えている切歌と調の背中に向かって二丁のボウガンを構え、そして()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「ぐっ!?」

「あうっ!」

 

 完全に油断していた場所からの一撃に切歌と調は一瞬で意識を刈り取られて力無く崩れ落ち、そしてシンフォギアが消失しまった。

 

「な、何をやっているのだ、雪音!」

「見て分かんねぇのか?あーでも、この二人は別に味方じゃねぇんだから仕方ないのか」

「何をやっているのか聞いている!」

 

 切歌と調と協力してもマリアに押し負けていたというのに、二人を気絶させた上に動けない自分がいる今、クリスだけでは太刀打ち出来ないはず。それなのに、クリスは躊躇なくそのような方法を取った事に翼は理解出来なかった。

 

 クリスは戸惑う翼を無視していまだ余裕を見せているマリアに向かって向き直り真っ直ぐ光の無い瞳を見つめた。

 

「どうせ聞こえてんだろ。ウェル博士」

『──ええ、勿論聞こえていますよ』

 

 クリスの言葉にマリア、ではなく神獣鏡に取り付けられた通信機からウェルの声が聞こえてくる。ウェルの声を確認したクリスは目を瞑りそして真剣な面持ちで目を開いた。

 

「あたしはアンタの側につきたい」

『──ほほう?つまり二課を裏切るというわけですか』

「ああそうだ。こいつらの甘っちょろい考えにはいい加減飽き飽きしてたんだ。それに力を叩き潰せるのは更に大きな力だけ。あたしの望みは、これ以上戦禍を広めない事。無駄に散る命は一つでも多くしたい。だが二課じゃそれは無理だ。あいつら力を叩き潰せるくらいの力があるのに、叩き潰さないんだからな。いつまで経っても争いは止めらねぇよ」

 

 今まで見てきたクリスからは考えられないほど淡々とした口調に翼は何を言えば良いのか分からず言葉が出ない。

 自分や奏、未来と共に笑っていたの嘘だったのか。不機嫌そうな顔でも楽しそうに笑みを浮かべていた毎日は偽りだったのか。そう思ってしまうほど、今のクリスは冷淡としている。

 

『なるほど。ですが簡単には信じられませんねぇ』

「だろうな」

「っ!?」

 

 一瞬背中に走った悪寒に従って翼は傷む身体に鞭を打ってその場から跳躍する。その直後、今まで翼がいた場所に赤い矢が突き刺さった。

 

「チッ。余計な手間かけさせんなよ」

「何をやっている!?貴女、本当に……」

「だからそうだって……言ってんだろ!」

 

 

BILLION MAIDEN

 

 負傷した翼に向かってクリスはボウガンを二門の四連ガトリング砲に変形させて容赦なく負傷している翼に向かって放つ。

 ふらふらになりながらも必死に走って襲いかかる銃弾の嵐から逃げるが、既にボロボロの身体で長く逃走することなぞ不可能だ。

 

「っかは!?」

 

 回避し切れずに銃弾を何発かくらい、とうとう限界に来たのだろう。切歌と調同様力無く倒れ、シンフォギアが消失してしまった。

 

「さて、これが証明書がわりでいいか?」

『──良いでしょう。貴女を歓迎しますよ、雪音クリス君』

「ああ」

『と、その前に……マリア』

「YES。Dr.」

 

 ウェルがなんらかの命令を下したのか、マリアは戦闘態勢を解いてクリスに背を向け、海の方に向く。そして大きく手を広げると脚部の装甲から鏡のようなパネルがいくつも連なっていき円形を作る。そして背中から伸びていた黒い二つのケーブルを接続した瞬間、全てのパネルが発光し始めた。

 

 海の方ではヘリキャリアから展開されたアンテナのような物をつけた大量のドローンが規則正しく整列していき、海面のある一点に照準を合わせていた。

 

『ドローンの展開完了。目標への座標を送信。外さないでくださいよ、マリア』

「YES。Dr.。行動に移ります」

 

流星

 

 発光していたパネルの光が目を覆いたくなるほどのものになると、円形に展開したパネルの中心にエネルギーが集まり人一人飲み込むほどの高出力のレーザーが空を飛ぶドローンに向けて放たれた。

 レーザーがドローンに取り付けられたアンテナのようなパネルに直撃するとレーザーが屈折して他のドローンのパネルに向かって反射していく。そして、最終的にレーザーは海のある一点に向かって真っ直ぐ下に放たれた。

 

 レーザーが海の中に消えて数秒後、その場所を中心に広範囲に青い光が空に向かって立ち昇った。

 

『作戦は成功です。封印は解除されました!さあ!〝フロンティア〟の浮上です!!!』

「あれが……」

 

 青く光る海面が急に大きく波打ち始める。すると米国の船が玩具に見えてしまうほど巨大で古い遺跡のような建造物が姿を表していく。その光景を見てクリスは驚きを隠さず茫然とその光景を眺めていた。

 

『では行きましょうか』

「……分かった」

 

 マリアの通信機から聞こえていたウェルの声が切れると同時に、いつの間にか船の側面まで近づいていたヘリキャリアが姿を表し、後部の扉が開いた。

 マリアが先に搭乗するとクリスも後を追うようにヘリキャリアに乗ろうと歩き出した。

 

「ま、まて……」

「……まだ意識があんのかよ」

 

 既にシンフォギアは消失して戦闘不能な上に負傷している右手を庇うように顔を上げた翼にクリスは不機嫌そうな顔を向けた。

 

「本当に、私たちを裏切るというのか……?」

「……はぁ、おんなじ事を何度も言わせんじゃねぇよ」

 

 ため息を吐きながら興味が失せたように翼に背を向けて再び歩き出す。その歩みに迷いは無く、自分の居場所を捨てるような覚悟があるように翼は見えた。

 

「なら小日向は!小日向はどうする気だ!貴女を支えてきたあの子さえも裏切るというのか!」

「……」

 

 翼の言葉に一瞬立ち止まるクリスだったが、強く拳を握るだけで振り返りも、言い返しもせずにすぐさま歩き出してヘリキャリアに乗り扉が閉じていく。その際に一瞬だけ見えたクリスの顔は何かを我慢するような顔で、悲しそうな目をしていた。

 

「待て、待ってくれ!雪音!」

 

 悲痛な翼の声を無視し、ヘリキャリアはマリアとクリスを回収するとすぐさま飛び立ち、浮上した謎の遺跡のような建造物に向かう。その姿を翼はただジッと見つめるしかできなかった。

 

 その場に残された負傷した翼と気絶している切歌と調が二課に回収されるまでのほんの数分間、翼は自分の無力さに涙を流すのだった。




この時点のうちのマリアさんと原作未来さんが戦った場合、原作未来さんを余裕で倒すくらいの強さはあると思っていただければ良いかと。その代わり未来さんと違って大技はポンポン出せない感じですね。
……マリアさん強すぎますね。なんなら単純な戦闘能力はGXでも通用するレベルっすよこれ(゚∀゚)

そして予想以上にウェルがクソ野郎に……まぁいっか!

セレナ「……」
作者「……ごめんなさry」(無言のアガートラーム)

マリア「やっと出番だというのに「YES。Dr.」しか台詞が無いのは何故かしら?」
作者「会話増やしたら理性ある感じがして絶望感が薄まったので同じ言葉を繰り返す事でより機械感を出そうと思ったんですよ。その結果がこれです」
マリア「ふぅん。そうなのね」
作者「そうなんですよ……なのでアガートラームをチラつかせないでもらえますかねぇ!?」

響「……」
作者「……出番はない。諦め……ちょっとまて。それはグレビッキーの方だろry」(エレクライト スイッチオン)

この先の展開への思いついた伏線の為、G編七話を少し改変しました。別に文章を増やしたわけでは無いので確認しなくても大丈夫です。何故こんな改変した?と思うかもしれませんがそれが伏線です。勘の良い人ならすぐ気づきますね……



次回! 届かぬ思い

「私は、クリスの事を信じていますから」
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