さぁ、セレナさんVSマリアさんの決戦じゃい!
でもネフィリムも残ってるんじゃい_(:3 」∠)_
神獣鏡のアームドギアを毎回扇型のアームドギアと書くと凄くしつこい感が増したので私の作品では扇刀(おうとう)と表記します。これから神獣鏡が遠距離武器としてアームドギアを使う事はほぼ無くなる予定なので大丈夫だ。問題ない。何か他にカッコいい呼び方を知っていれば気兼ねなく教えてくだせえ_(:3 」∠)_
というわけで今更ですが
ガングニール→大槍
天羽々斬(翼さん)→剣
天羽々斬(未来さん)→刀
イチイバル→銃、ガトリング、クロスボウ等
シュルシャガナ→鋸
イガリマ→大鎌
アガートラーム→短剣
神獣鏡→扇刀
と、基本的に表記します。読み返すと何度か呼び方がごっちゃになっていましたし、四行くらい「〇のアームドギア」が並んでいたりしてややこしくなっていましてので_(:3 」∠)_
これまでのは探すのが面倒ry、時間がかかるので放置になってしまいますが、ちょくちょく修正していきます_(:3 」∠)_
それでは、どうぞ!
マリアとセレナ、未来の激しい戦闘によりフロンティアの荒地部分だった地形が戦争でもあったかのように大きく変化した岩場。
そこでセレナとマリア、血の繋がった姉妹の闘いが再び始まる。
「ハアアアァァァ!!!」
砂煙を巻き上げながらセレナに向かって突撃していたマリアが扇刀を振り上げ、人の身体なぞ簡単に叩き潰す勢いで全力で振り下ろす。
それでも、実の姉から飛ばされる殺気を前にしてもセレナは真正面からその瞳を受け歌を紡ぐ
「命が燃やされ尽きて
灰になるまで 諦めたくない」
セレナはガングニールを纏っていた時にマリアの一撃一撃の重さを嫌という程知っていたため、振り下ろされた扇刀を真正面から受け止めるのではなく、自身の持つ短剣を使って受け流し続けてマリアの隙を確実に狙っていた。
何度もアームドギア同士がぶつかり合って火花が散り、セレナに受け流されたマリアの扇刀が地面を砕くき、既に荒地だった大地に更に傷をつけていく。
マリアの扇刀が地面に叩きつけられた状態からセレナの首を狙って切り上げる。
「絶えず唱えた 願いを込めて
運命の枝道に 彷徨った魂」
『SUAVE†SABER』
セレナの持っていた短剣が淡い白銀のエネルギーを纏って輝き、一メートル程の長さに変わり、迫り来る扇刀を白銀の短剣で防ぐ。
ガングニールであれば腕に相当なダメージを受ける衝撃が走るはずがアガートラームがセレナに力を貸すように受ける衝撃を霧散させ、マリアと真向からぶつかり合える程の力が溢れてくる。
「血が通わずも 分けた心は
優しさと 温もりの
守りの光と変わる」
至近距離で鍔迫り合うマリアの周囲に突然いくつもの宙に浮く鏡が展開され鏡の中からレーザーが放たれる。
マリアの目の前にいるセレナに降り注ぐが、セレナはすんでのところで鏡の存在に気づきマリアから距離を取ることによって回避する。
マリアと距離を取った後も宙を浮く鏡はセレナをしつこく追跡してレーザーの雨を降らせる。それに加えてマリアも扇刀の先端をセレナに向けて光弾を放って追い詰めていく。
「(君の傘に) Ah…愛の盾に
(捧げ祈る)Ah…ずっと
(ずっと) そばにいたい!」
何を思ったのかセレナは走りながら持っていた短剣をマリアの頭上を狙うように斜め上に投げる。
マリアは血走った目で投げられた短剣を一瞬追うがすぐさまセレナに視線を戻す。その判断が戦局を変える。
「今ッ!」
「ッ!?」
『XANA†TEARS 』
先程セレナが斜め上に投げた短剣がマリアの頭上に到達した瞬間、急に直角に曲がってマリアに向かって押し潰さんとばかりに急降下する。
不意をつかれて気付くのが遅かったマリアはセレナの追撃をやめて急降下してくる短剣を扇刀を横にして防ぐが、予想以上の威力だったため地面が大きく陥没する。
「グウウ……アアアァァァ!!!」
叫びと共に顔に浮かんだ血管のように隆起する肌が更に広がり、その代わり力が増したのか頭上の短剣を押し返し始め、そして大きく弾く。だがその間、セレナを追いかけていた鏡の動きは緩慢なものとなっており、今のセレナであればその隙があれば十分接近する事が出来る。
「諦めない強さに ミライは宿る
絶望の闇でも 絆の陽は煌めく」
一直線に扇刀を頭上に掲げたままのマリアに向かって姿勢を低くした状態で接近し攻撃に移行しようとするが、それを阻止すべくマリアは新たにいくつかの鏡を召喚した。
「邪魔しないで!」
「グウッ!?」
『FIERCE†SCAR』
セレナは短剣を空中でX字に斬ると、それはX型の衝撃波としてマリアに向かって放たれてセレナとマリアの間にある十数枚もの鏡を切り裂き、道が開けた。
再び二人の短剣と扇刀がぶつかって火花が散り、二人を中心に周囲の瓦礫が衝撃によって吹き飛んでいく。
「アアアァァァ!!!」
「姉さあああぁぁぁん!!!」
激しく二人のアームドギアがぶつかり合う音が響くが、マリアはそれに混ざってギアによって強化された身体能力を使って蹴りを放つ。元の身体能力差からセレナではマリアの動きについていけないが、身体を貫く程の痛みを受けてもなお両足で踏ん張り、奥歯を強く噛み締めて耐える。
扇刀による斬撃に加えて身体能力に任せた鋭い蹴りがセレナを襲うが、それでもセレナは一歩も引かずに、むしろ前進しながらマリアに追従し始める。
(絶対に助ける……マリア姉さんが生きている限り、私が生きている限り!希望がある限り!私は諦めない!!!)
決して無傷とは言えないダメージを負ってなおセレナの瞳は先程の絶望が嘘のように消え去り、目の前の姉を救い出そうという決意を漲らせて立ち続ける。
幾度もぶつかり合いを超えて、セレナの集中力はセレナ自身の予想を超えていき、とうとうマリアの動きが緩慢になっていくように見えてくる。一瞬のゾーン状態に突入したのだ。
一見セレナが押されているように見えるが、一撃一撃に殺気を込めたマリアの猛攻をセレナはギリギリでありながらも確実に回避又は受け流す。
少しずつ、少しずつマリアの動きに対応し始め反撃の数も多くなり、受け切れなかった強烈な一撃も受け流されるようになっていく。
「此の「今」を 生き尽くしたい」
「オオオオォォォォ!!!」
『残響』
神獣鏡の背部の黒いケーブルが鞭のようにしなり、マリアの扇刀だけでもギリギリだったセレナの両サイドから襲いかかる。
短剣で弾く事で致命傷は避けて大きなダメージは負ってはいないが、全て捌く事は出来ず、僅かでもシンフォギアの装甲に亀裂が走る。それでもセレナは止まらない。
片手で捌き切れないのなら両手でだと言うように、空いていた片手に新たに短剣を作り出して二刀流で応戦する。
最初こそ慣れない手つきの二刀流だったが極限の集中力下でのセレナは恐ろしい程の速度で自分のものにしていき、いつしかマリアの扇刀と二つのケーブルによる連撃を二つの短剣で防ぐレベルまで昇華し、セレナの急激な成長に徐々にマリアが押され始める。
「儚き一瞬だから
命は可憐に燃えて
聖なる力 番う歌へと」
悪足搔きのように一度距離を取ったマリアは再び十枚程の鏡を召喚する。だが鏡が召喚された事にいち早く気づいたセレナは鏡が攻撃を開始するよりも前に行動を開始する。
『INFINITE†CRIME 』
セレナの周囲に数本の短剣が召喚され、マリアが召喚した鏡に向かって全て投擲される。
短剣は攻撃寸前だった鏡を粉砕していき、余った短剣は立ち止まっていたマリアに襲いかかる。だがその短剣をマリアは恐ろしい程の反射神経で自分に命中する全ての短剣を扇刀で弾き落とす。
(このまま行けば……!)
「オオオオォォォォ!!!」
「なッ!?」
段々と不利だった状況が逆転しつつある状況でセレナはもう少しでマリアを救い出せる所まで来たことに一層の気合を入れようとしたが、その前にマリア突然の雄叫びを上げたことに一瞬動きを止めてしまう。
神獣鏡のシンフォギアから紫のオーラのようなもの浮かび上がるのと同時に跳躍し、空中で停止するとギアの脚部の装甲から鏡のようなパネルがいくつも連なって円形を作り、背中から伸びていた黒い二つのケーブルを接続する。更に先程セレナに破壊された倍の数の鏡もマリアを囲むように円形に展開される。そして中央にいるマリアは扇刀の先端をセレナに向けた。
『凶星』
接続されたパネルから得たギアすら分解する膨大なエネルギーを巨大なレーザーとして放ち、そのレーザーに合流するように展開された鏡から照射されたレーザーが合わさり、セレナがガングニールを纏っていた時に受けたレーザーよりも出力が跳ね上がった禍々しい黒色に近い紫色のレーザーがセレナに襲い来る。
例え何かしらの防御手段があってもそれすら破壊する程の出力であり、シンフォギアを纏っていても神獣鏡の能力からその防御性能は当てにならない。まともに受ければ肉体ごとの消滅するのは想像出来ない事じゃない。
そんな絶対絶命を目の前にしても、セレナの瞳に絶望の色は無い。
マリアのようにセレナのシンフォギアも白いオーラが浮かび上がり両手に持っていた短剣の一刀を消して残った短剣を迫り来るレーザーに向けた。
『ASTRAL†GARBER』
セレナの背後に花のような紋章が浮かび、目を覆いたくなるほど眩しく光り輝くとその光を背部の花弁をモチーフにしたパーツが吸収し、シンフォギアを通じて構えた短剣の先端に収束していき、そしてマリアの放ったレーザーと対極に暖かさを感じる限りなく白に近い淡い桃色のレーザーが放たれた。
空中で二つの超高出力のレーザーのぶつかり、生じた力場によって周囲の瓦礫が吹き飛ぶだけでなく、残っていた岩場も粉々に砕けていく。
僅かに拮抗するが命の灯火が消えていく代わりに力を得続けているマリアの黒いレーザーが押し勝っていく。
セレナの足元も大きく陥没していき踏ん張る事すら難しくなっていく。
それでも、セレナはまだ諦めない。
「諦めない 強さに アシタは宿る」
セレナの脳裏に浮かぶのはマリアや切歌、調と共に笑った幼き日々。
無理矢理F.I.Sの研究所に連れて来られて辛い日々を送る毎日に涙を流していたセレナに優しく微笑みながら伸ばされる暖かいマリアの手。
一人で立てない時でも隣にいてくれた優しい姉。
気高く、自身よりも巨大に立ち向かう勇気を持った幼いながらも大きく見えたその背中はセレナにとって目指すべき到着点の一つ。
(まだ私は姉さんに追いついてない。姉さんの隣に並び立てるまで、こんな所で姉さんを失うわけにはいかない!!!)
「姉さんを……助けるんだからああああぁぁぁぁ!!!」
「肩を寄せ合い 完全じゃないからこそ!」
マリアを助けたいという純粋な想いがセレナの背後の花のような紋章に反応し光の強さが増す。それに伴いシンフォギアを通じて得られていたエネルギーの量が増えてセレナの放っていたレーザーの出力が増大する。それにより少しずつ押し勝っていく。
「此の今を生き尽くしたい!」
「ッウオオオオォォォォ!!!」
負けじとマリアも神獣鏡の出力を無理矢理上げるがセレナのアガートラームのエネルギーの上昇率に追いつけずに徐々に押し返す事が出来なくなる。
「儚き一瞬だから
命は可憐に燃えて
聖なる力 番う歌へと
輝く夢に」
「ウウ、グ、アアアアァァァァ!!??」
セレナの白い光がマリアの黒い光を打ち破り、光のレーザーがマリアを飲み込んだ。
「っく、はぁ、はぁ、はぁ」
「セレナさん!」
セレナとマリアの激しい戦いの余波によって荒地だった大地が多少の陥没はあるが綺麗に整地された中で、フラつき倒れそうになるセレナを岩陰に隠れて成り行きを見守っていた未来が駆け寄って支えた。
気を失わないだけで相当な体力と短時間で何時間もの戦闘をしたと思えるほどの錯覚を感じるほどの集中力に精神が限界に来たのだ。
「ありがとう、ございます……それより、姉さんは……?」
「──あそこで倒れています」
未来の指差す方向に目を向ければ、そこには遠目に見ても戦闘続行が不可能と判断できるほど装甲のあちこちが砕け、インナーもボロボロになったシンフォギアを纏ったマリアが倒れていた。胸の辺りが上下しているところから死んではいないし、血が流れている事もないので心配しなくても良いだろう。
「セレナ!」
「大丈夫デスか!?」
マリアが生きている事に安堵して胸を撫で下ろすセレナの背後から聞き慣れた声が耳に入り、未来に手を貸してもらいながら振り返ればそこにはシンフォギアを纏った切歌と調が走り寄ってくる姿が目に入った。
「二人とも無事だったんだね」
「はいデス!少し危なかったデスけど」
「あの人達が助けてくれた」
二人が振り返り、視線の先を追えば翼とクリスが周囲を警戒しながらゆっくりと歩いてくる姿があった。
切歌と調が未来と別れたあと、大量のノイズ相手に二人は善戦したが時間制限がある中で百を有に超える数を休みなく相手にする事は難しく、苦戦していたが途中でクリスと翼がノイズと戦う二人を発見して加勢する形で共闘に持ち込んだ。
シンフォギアの適合者であるクリスと翼が加わった事により二人で戦っていた時とは嘘ようにあっさりと全てのノイズを駆逐する事に成功してのはほんの数分前のことだ。
クリスが視線を彷徨わせながら未来に近づく。未来も自分で立てるくらいには落ち着いたセレナを切歌と調に任せてクリスの前に堂々と立った。
「──やりたい事はすんだ?」
「いいやまだだ。でも、一人でやらなくても良いって気づいた」
「そっか」
怒りも貶すこともせずにクリスの言葉を聞いた未来は優しく微笑みギアを纏ったままのクリスの頭に手を伸ばして撫でる。
「ちょ、先輩が見てッ!」
「ん?私は別に構わない。既に見慣れた光景であるからな」
「あたしが気になるんだよ!?」
(いつから翼さんの事先輩って言うようになったんだろう?」
ひと段落して緩い雰囲気を醸し出す未来たちの空気に当てられて、先程まで自分が死ぬかもしれない程の激戦をやっていたセレナも久方ぶりに作った笑みではなく、本当の笑みが漏れた。その瞬間を見逃す切歌と調ではない。
「セレナ、今笑ったデス!」
「え?」
「うん。笑ったよ。久しぶりに」
「そう、ですか」
自分でもそんな笑みを作っているでは思っていなかったセレナは本気で驚いたが、すぐさま失ったものが戻って来たという事実に気づかずに今までの重圧によって抑えられた感情が戻って来たのだと悟ったセレナはもう一度二人に笑みを見せた。
(そうだ。私の罪の贖罪はあるけど、姉さんを助ける事が出来たんだ。姉さんが……帰って来たんだ)
まだ身体の節々に痛みはあるが、それよりも得られた成果に躍り出したい気分のセレナは笑みを浮かべたまま急いでマリアを治療できる場所に運ぼうと振り返る。だが、そこには驚くべき光景があった。
「そ、んな……」
ありえないと思いながらも目の前の光景が嘘ではないとハッキリわかってしまう。
セレナの視線の先には、立っているのもやっとだと言うように息も絶え絶えながら扇刀を杖代わりにして立ち上がり、ボロボロになったシンフォギアを纏ったたま額から少量の血を流したマリアが血走らせながらもまだ戦闘の意思が消えていない瞳でセレナたちを睨んでいた。
「あんなボロボロなのにまだ立ち上がれんのかよ!」
「これ以上は彼女の命に関わるか。だがそう簡単には止まりそうにないな」
「そんな……」
「マリア!目を覚ますデスよ!!!」
セレナに遅れてマリアに気づいたクリスと翼は迷いながらもアームドギアを構え、切歌と調は悲痛な表情でボロボロのマリアに目を向ける。
「お願いです!もうやめて!姉さん!!!」
明らかに限界を超えて身体だけではなくシステムの制限を切られたせいで精神も危ういはずのマリアにセレナも止めようと近づくが、セレナが動いた瞬間、吐血して今にでも倒れそうになりながらもマリアは扇刀を持ち上げてセレナに向けた。
「──しが、──を、きり──」
「え?」
視点が合っているかも怪しいほど瞳が揺れるマリアの口からポツリと、だが何処か理性のある声が漏れた事にセレナは気付き、耳をすませた。
「私が、……マムを、……きり、かを……調を、……セレナ、を……守る、んだ……」
「ッ!」
戦意を失っていないマリアから漏れた言葉にセレナは動揺を隠さずに瞳を大きく見開く。隣にいた切歌と調もセレナ同様驚いていた。
セレナに扇刀を向けるマリアの瞳には敵を殲滅すると言う強い意志以外にも、かつてネフィリムに立ち向かう時に見せた大切な者を守ろうとする意志、そしてセレナを安心させるために見せた優しい瞳をしていて事に、昔からマリアをよく見ていたセレナだけが気がついた。
「……暁、月読。どう言う事だ?」
「わ、分からないデスよ!」
「んなわけあるかよ!今確かにあいつはお前らの名前を呼んだんだぞ!?」
「でも本当に知らない。それに今の言葉が本当なら私たちを攻撃してくる意味が分からない……」
その場にいた全員がマリアの口からはセレナたちを守るという言葉が出た。であるなら切歌と調に敵意を向けるどころか、セレナと戦う理由が無い。それにクリスだけだがマリアがセレナを殴りつける瞬間も見ている。守るのであれば今までの行為に疑問しか残らない。
「──もしかしてあの人の、マリアさんの中では六年前から時が止まっているのかもしれません」
「えっ?」
ポツリとつぶやいた未来の言葉にセレナは振り返る。
未来は切歌たちと移動中、簡単にだが六年前の事故とマリアの事、セレナが戦う理由を聞いていた。
「暁さんと月読さんから六年前の事は聞きました。今のマリアさんには自分の後ろにセレナさんたちがいて、私たちは敵に見えているのかもしれません」
マリアがどんな人物だったのかは短い話の中でしか組み立てられなかったが、それでも今は亡き親友のように優しい人物だったという事は容易に想像出来る。それほど、マリアの話をしている時の切歌と調が嬉しそうだったのだ。
ウェルの作ったダイレクトフィードバックシステムにそのような機能は存在していない。ただ戦闘プログラムを脳内にインストールさせて電気信号として人間の身体を動かすためのシステムなため、人の記憶に干渉する事はない。だが、なんらかの偶然で記憶や意識を変化させた事はあり得ない話では無い。
なんの根拠も証拠も無い、マリアという人物を切歌と調からしか聞いていない未来のただの推測でしかない。的の当たるどころか全く違う方へ射抜いたかもしれない希望的な可能性を考え。
だが、それならばマリアが立ち上がる説明はつく。
「大切な者を守るために、巨悪を前にしても立ち上がる……」
「フィーネん時にあたしらが勝つ事を諦めなかったのと同じだってのかよ!」
ただ大切な人を守るために己がどれだけ傷つこうとも諦めずに立ち上がる。
翼はその攻撃を目の前で見ていて、クリスは一度自分で経験しているため、その時に発せられた自分たちの諦めない心の強さを十二分に分かっている。それ故に、今のマリアがどれだけ厄介なのかも。
「う、ああアアァぁァぁぁ!!!」
普通の人間では耐えられない程の肉体と精神に多大な苦痛が走っているはずだというのに、マリアは倒れる事なく未来たちに向かってシンフォギアのブースターを全開にし、吐血して通った道に己の血を撒き散らしながら扇刀を振り上げて突撃する。セレナや未来と戦った時ほどの勢いは無いが、退く様子は全くない。
「来るぞ!」
「ちいっ!やるっきゃねぇのかよ!」
「待ってくださいデス!」
「これ以上はマリアが……!」
突撃してくるマリアを前に迎撃しようとアームドギアを構える翼とクリス。そんな二人止めようとする切歌と調。
いくらダメージを受けて弱体化していても神獣鏡の恐ろしさを知っている四人は気を抜くことが出来ないはずだが今のマリアを攻撃する事を躊躇してしまう。
マリアとの距離が十メートルを切った時、マリアを止めるために銃の引き金を引こうとしたクリスだったが真横を横切る影に驚いて動きが中断された。
「セレナさん!?」
未来の声を無視して痛む身体に鞭打って、短剣を持たずに突撃してくるマリアに向かってセレナゆっくりと歩を進める。このままマリアの一撃を受ければ、マリア程でなくともかなりのダメージを負っているセレナの身体では当たりどころが悪ければ命に関わるだろう。
それでもセレナは恐れずに歩みを進め、そしてもう数秒後にはマリアの扇刀の射程範囲に入る直前で手を祈るように胸の前で組んで目を瞑る。
既にマリアは扇刀を振り下ろそうと腕を動かしており、その狙う場所は勿論セレナの首。シンフォギアを纏っていても下手をすれば十分首から下とおさらばしてしまう程の一撃を込めてマリアは扇刀を──
「リンゴは浮かんだ お空に……」
「ッ!?」
風斬り音すら聞こえる程の速さで振り下ろされていた扇刀はセレナの首に到達する数センチ前で止まる。
「リンゴは落っこちた 地べたに……」
「あ、ぐうう……そのう、たは……?」
セレナの歌う歌を聴いてマリアは急に頭が割れてしまいそうな程の痛み出した自分の頭に手をやって強く押さえる。しかしそんな事で痛みが消えるはずもなく、セレナが歌えば歌うほど頭の痛みは大きくなっていく。
「星が生まれて 歌が生まれて
ルルアメルは笑った 常しえと
星がキスして 歌が眠って」
「ああ……くう、ああああぁぁぁぁ!!!」
自分の頭を掻きむしり、扇刀を考え無しに滅茶苦茶に振り回しながら、だが何故か涙を流しながら一歩ずつ後退ってセレナから距離を取る。
セレナは歌いながらゆっくりと、離れていくマリアを追うように振り回される扇刀に恐れを見せずに一歩ずつ前に出る。
「かえるとこはどこでしょう…?
かえるとこはどこでしょう…?」
「わた、しは……私はああああぁぁぁぁ!!!」
何かに抗うように苦しみながらマリアは大声で叫ぶ。
今にでもマリアの扇刀が近づくセレナの身体を傷つけようと何度も襲い掛かるが何故か掠りもしない。むしろ近づけば近づくほどマリアの動きは鈍くなり、まるで棒切れを振り回す小さな子供のようだった。
「リンゴは落っこちた 地べたに……
リンゴは浮かんだ お空に……」
「私は!マムを!切歌を!調を!セレナを──」
頭を掻きむしりすぎて少し血が流れ、出鱈目に振り回したアームドギアが付近の地面を砕く。だが、そこにはもう先程のような苛烈さもなければ戦う意思も何故かなくなっていた。
今にでも命の炎が燃え上がり、尽きてしまいそうな程の叫び続けて暴れていたマリアだったが、そんなマリアに近くまで来ていたセレナは優しくマリアの背中に手を回して、もう離さないというように力いっぱい強く抱きしめた。
「もういいんです。全部終わりましたよ」
子供をあやしつけるように落ち着いた暖かい声でマリアに語りかける。その途端、今まで叫び暴れていたマリアの動きがぴたりと止まった。
セレナの優しい声に、ゆっくりとマリアは顔を動かして自分に抱きつくセレナに目を向けるその光の無かった瞳には若干ながらも光が戻っていた。
ほんの数秒の沈黙。
事を成り行きを見守る未来たちはその場で何も言わず、辺りは風の音しか聞こえない。その中で先に口を開いたのはもう叫んでいないマリアだった。
「……ほん、とう……に?」
「はい。マムも切歌ちゃんも調ちゃんも私も、マリア姉さんのおかげでみんな無事です。ネフィリムもいません。姉さんが戦う理由は……もう無いんですよ」
「そう……なのね……」
「ッ姉さん!」
セレナの言葉を聞いた途端神獣鏡の扇刀が消失し、マリアの身体から少しずつ力が抜けていく。そしてセレナに体重を預けるように倒れこんだ。完全に力が抜ける頃にはシンフォギアが解除されて一糸纏わぬ姿になった。
倒れるマリアを抱き止めたセレナの元に遠くで見ていた未来たちが駆け寄ってくる。特に切歌と調はつまづて倒れそうになりながらもいち早くセレナとマリアの元にたどり着いて心配そうに泣きながらマリアの名前を呼んでいると目を瞑っていたマリアの目が少しだけ開いた。
「……どうしたの、セレナ、切歌、調?」
「姉さん!」
「「マリア!」」
記憶が混乱しているのか視点が合っていないが、先程までの正気では無かった時のような虚無な瞳ではなく、その瞳には確かに光がありセレナのように優しい輝きがあった。
セレナに支えられたままのマリアはゆっくりと片腕を上げて切歌と調の頭をまるで妹のように撫でる。
「二人とも……大きくなったわね。セレナも、とっても美人さんよ」
「姉さん、私……私……!」
「もう、泣き虫なのは変わらないん、だ、か……」
「姉さん!!!」
「──大丈夫だ。脈は安定している」
少し話をしたあとマリアは再び眠りにつくように力が抜けて項垂れる。それに焦ったセレナだったが近くまで来ていた翼が倒れているマリアの首筋に手を当てて脈を見たところ安定はしていおり、若干衰弱している様子ではあったがすぐに命に関わる何かがあるわけでは無いと慌てふためくセレナと切歌と調を宥める。
「セレナ……マリアが、マリアが生きてたデスよ!」
「私たちの所に帰って来てくれた……!」
「はい……はい……!」
大切で、もう会う事が出来ないと思っていた最愛の家族が生きて戻って来てくれた事に三人は笑顔を見せながらも大粒の涙を流す。
嬉しさでポロポロと涙を流して抱きしめ合う三人を未来たちは気を利かせて少し離れて見ていた。
「良かったですね。セレナさん」
「まったく、これじゃ捕まえたくても捕まえられねぇじゃねぇか」
「まぁ良いではないか。今の彼女たちなら抵抗もしないだろう。あとはこのフロンティアを……むっ!」
全ては終わり一件落着したと思って気が抜けていた未来たちだったが、突然地面が大きく揺れ動きだす。
いきなりの事に狼狽えていた未来たちはだったが、すぐそばの地面が異様に隆起して動き出した事に、シンフォギアを纏う翼とクリスは未来を庇うように前に出てアームドギアを構えた。
「どうやら、まだ終わっていないようだな」
ポツリと翼がつぶやいたのと同時に隆起していた地面がどんどん盛り上がってき三人の身長を遥かに超えて巨大化していき、やがてただの土塊だったはずの地面が変質していく。
そして現れたのは巨大な黒い魔物。
『──────!!!』
魔物の咆哮がフロンティアに響く。その巨大から発せられる威圧感は、かつてルナアタックと呼ばれた事件にて首謀者だったフィーネの最終形態であった赤い龍の時と似ていた。
戦いは、まだ終わらない。
んー……ますますあの畜生英雄(笑)眼鏡を生かしておくの難しくなったなぁ(遠い目)。F.I.S組から全力絶唱受けても仕方ないね!
……ん?なんでブーメランが飛んでry
え?セレナさん強すぎだって?それはあれです。
愛です!以上!
原作orXDのマリアさんの技が使えるのは何故だって?
この世界のアガートラームの装者はセレナさんであるためという事と、愛です!!!
どうやってマリアさんはシステムから抜け出せたかって?
鬼畜英雄(笑)眼鏡が制限解除した事によって脳に壊れてしまう程の強い刺激を与え、なおかつセレナさんの歌を聴いた事により記憶も刺激した事と強い愛!によってですね!!!
マリア「やっと解放される……」
作者「でももう少しとはいえ本格的に出てくるのはGXですし、原作と違いアガートラームはセレナさんの物なのでかなり脇役になりますよ」
マリア「それでも役があるだけマシよ」
作者「そうですね。(やっべ、魔改造&結構なキャラ崩壊するなんて言えねぇ)……ん?誰だこんな時間にry」
ビッキー「(ニッコリ)」←役が無い人
作者「……へへ、良いぜビッキー。武器(ガングニール)なんて置いてかかって来い!てめぇなんか、てめぇなんか怖かねぇ!ヤロウブッコロシャアアアア!」
※その後大きなパイプが腹部を貫通しました。
次回! 神獣鏡と陽だまり
やっぱり未来さんは神獣鏡だよね!