まにわにヒーローアカデミア   作:塩谷あれる

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今回最初はちょっと(とは言っても数分)時系列を戻して爆豪視点からお送りします。


講評

 蹴りをいれる。避けられる。殴る。交わされる。さっきからこんなんだ。クソ、クソ、クソ!一体何がどうなってやがる!!あのデクに、クソナードに、無個性のこいつにこんな動きが出きる筈がねぇ!それに何より

 

「………っデクてめェ!いい加減使えや!!」

 

 この野郎、何舐めてやがんのか知らねぇが、一向に個性を使ってこねぇ。今までさんざ騙してきやがったくせに、まだ馬鹿にするつもりかあの野郎……!

 

「さっさとこいや、てめェじゃ俺に勝てねェと証明してやる……!!」

 

 くそ、さっきからちょこまかと逃げやがって……!一体どこにいやがる!クソチビもだ!あの野郎、未だに姿を見せやしねぇ。そう思った時だ。デクが目の前に現れやがった。

 

「ハ、ようやく逃げんのやめたかクソナード」

「うん。もう逃げる必要は、無くなったから……!」

 

 必要はなくなった……?まァ良い。どんな理由だろうが関係ねェ。やっとこさコイツを、真正面から叩き潰せるってだけの話だ!

 

「死ねやデク!」

「もう君を…怖がるもんか!」

 

 そう言ってデクは俺を睨み付ける。あの目、あん時と同じ……!その目を、俺に……!

 

「向けてんじゃねぇよ!」

 

 爆破を使ってブーストをかけ、デクをぶん殴る。ハ、さっきまでちょろちょろしちゃいたが、やっぱりだ!個性を使わなきゃ、結局運動神経は今までのデクと変わらねぇ!

 

「オラ!どうした!俺を!怖がんねぇんじゃ!無かったのかァ!?」

 

 その後の攻撃も、ハハ、見ろよ、まるで俺に攻められねぇ!防戦一方、ざまぁねぇ!デク、やっぱりてめェは

 

「俺より!下だァ!」

 

 勝った。そう確信した。もうデクは立ち上がれねぇ。そうだよ、これで良いんだ!当たり前だ!俺がデクに勝つのなんざ!だって、俺は、他の誰よりも──

 

「待……て……!」

「……………………あ?」

 

 デクはまだ、そこに立ってやがった。

 

「……な、デク!」

「まだ…負けてない!」

 

 もうボロボロになってんのに、たった今、完膚なきまでにブチのめしたのに、まだ俺に、その目を……!まるで折れてねぇと言わんばかりの、そのうざってぇ目を……!

 

「何なんだよ……てめェは……!」

「僕はもう……!“雑魚で出来損ないのデク”じゃない……!」

「いつもいつも……俺の気に入らねぇことばっかしやがって……!」

「今の僕は……!」

「ムカつくんだよ、クソナードォオ!!」

「“頑張れって感じのデク”だ!!」

 

 もういい。直に当たっちまったら死んじまうかもだが、もうなんだって良い。デクを今、この場で駁負かすことができたら、何だって……!

 そう思い、俺は右手の籠手のピンに手をかける。もう容赦なんざしねぇ。吹っ飛ばしてや──

 

『……ヒーローチームッッWIIIIIIIIN!!!!!!』

 

 ………………………………は?

 

「あ……や、やった……!」

 

 何が、どうなって、いやがる。…………負けた?俺が、負け、たのか?

 

「お疲れさんです、緑谷さん」

「あ、真庭君!よかった、作戦通りにいったよ!っでもどうやってここに!?」

 

 作、戦だと……?まさか、コイツら、デク、てめェ、最初っから……!

 

「お気になさらず。……しかしすいやせん。結果的に囮なんて任せちまうことになっちまいやした。おっと、どこかお怪我はございやせんか?」

「あ、それは、大丈夫。とくに大きな怪我とかはしてないよ」

 

 俺と、戦うつもりすら、無かったのか。俺なんざ、眼中にすらいれてねぇと、そういうことかよ……ふざけんな、ふざけんじゃねぇ……!ふざけんじゃ──

 

「戻るぞ、爆豪少年。講評の時間だ。勝ったにせよ負けたにせよ、振り返ってこそ、経験ってのは活きるんだからな」

 

 ──────。

 

 


 

「さて、講評に移るが、その前にまず、真庭少年に聞きたいことがある」

 

 生徒達の集まった訓練用建造物の地下。大量に設置されたモニターの前に立ったオールマイトは、猩々へと向き直った。

 

「はいはい、なんでございやしょう」

「うん。訓練が始まってから数分の間、君の姿が建物内のいかなる監視カメラにも映し出されなかった。あれはどういう理由かな?」

「え?普通に壁よじ登って屋上まで行ってただけでございやすけど?」

 

 あっけらかんと言ってのけた真庭に、事前に作戦として知っていた緑谷を除くクラスメート達は揃って

 

(((えぇ…普通に…?)))

 

 と若干引いていた。なんなら緑谷も、まぁそうなるよね、言うような表情を浮かべている。

 

「『屋上から侵入してはいけない』なんてルール指定されてやせんし、別に問題はありやせんよね?」

「ま、まぁ確かに……問題はない、のかなぁ?……では!改めて今回の講評に移ろう!」

(((話反らした!)))

 

 およそ思考放棄そのものではと思わなくもないような話の切り替え方に生徒達はまたもや揃って心の中でツッコミを入れる。

 

「今回のベストは…緑谷少年だ!何でかわかるかな~?わかる人!」

「はい、オールマイト先生」

 

 ピシ、と八百万が手を挙げる。それをオールマイトが指名すると、八百万はすらすらと話し始めた。

 

「それは、今回の訓練の状況設定に緑谷さんが一番適応していたから、ではないでしょうか。

爆豪さんは、戦闘を見た限り私怨丸出しの独断専行が目立ち、飯田さんは真庭さんとの戦闘を見ても、動きが固かったように思われます。真庭さんは……少々判断材料としては欠けるかもしれませんが、飯田さんを倒したあの飛び道具が原因かと。例え殺傷能力の低い代物であったとしても、ヒーローチームの勝利条件が『核の奪取』である以上、飛び道具はご法度ですから。

その点で鑑みると、目立つ減点箇所の少ない緑谷さんが今回のベストとなった、と言うように考えましたが、いかがでしょうか、オールマイト先生?」

 

 息を呑むような静寂がその場を包む。しかしそれは、マイクが受験のガイダンスで引き起こしたような冷ややかなそれでは決して無く、寧ろ驚嘆から生まれるものだった。

 

「(思ってたよりガッツリ言われた!)ま、まぁ…真庭少年の減点に関しては、監視カメラで捉えられなかった分の不足事項を加味した点もあるが……概ね正解だよ、くぅ…!」

「常に下学上達!一意専心に励まねばトップヒーローになどなれませんので!」

 

 オォー…!と言う歓声と共に拍手が起きる。八百万百。彼女は何を隠そう、推薦入学者の一人にして、全推薦枠受験者の中でも、筆記試験においてトップの成績を誇った猛者なのである。

 

「さ、さぁて!次の組み合わせに移ろう!次の組み合わせは──」

 


 

 そんなわけで初の戦闘訓練も終わり、放課後でございやす。いやー、またもや流石は雄英、と言うべきですか、粒揃いでございやすよ、全くもって。えぇ。特にたまげたのはあの轟さんでございやすね。ビル一つ氷で覆うってのは、流石に真庭で忍として活動している間でも見たことがありやせん。親御さんの個性教育がよろしいんですねぇ。

 ……あぁ、轟。聞いたことがあると思えば、轟ってのはNo.2、エンデヴァーさんとこの姓でございやすね。成る程道理で。

 

「──で!真庭の個性は何なんだ!?」

「……はい?」

 

 あぁ、いけない。聞き逃してやした。現在A組の教室では、訓練の反省会を兼ねた意見交換会の真っ最中でございやしたね。

 

「あぁ、あぁ、個性、でしたね。失礼いたしやした」

「そうそう、お前の個性、何なんだよそれ!?」

「壁上ったり、俺お前と入試の試験会場同じだったけどさ、あの馬鹿デカい0Pぶっ壊したりとか、ヤベェにも程があるだろ!?」

 

 あ、上鳴さん試験会場同じだったんでしたね。そういや見かけやした。さて、どう説明したもんか……

 

「俺の個性は『忍法』です。簡単に言うと、忍者っぽいことができやす。……としか言えやせんね。以上です」

「「「忍者ァアアア!!!?」」」

 

 うおっ、男子一同から歓声が。割りと近かったもんで耳キーンってやりやしたよ。

 

「マジ!?忍者!?すげェ!」

「忍法見して!手裏剣!影分身!」

「変わり身の術とかやって見せてくれー!」

 

 うわわ、スゴい反響。……あんま忍法は見せるな、とは言われてやすが…………こうも言われちゃあ仕方ありやせんねぇ。ええ。

 

「それではご期待に答えやして……簡単かつ安全なものを一つ二つ……」

「「「イエーイ!!」」」

 

 このあと滅茶苦茶忍法をせがまれやした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「な、なぁ真庭ぁ……お、おいろけの術的な奴とかは……」

「できたとして中身(おれ)ですけど良いんですかい?」

「アッハイ」




某海パンサイボーグ「男は皆…忍者が大好きなのさ!」
やっぱり忍者は男の夢。

爆豪ってこの戦闘訓練、VS八百万、VS轟のどっちでも絶望フェイスしそうだし、普通に原作通りのマッチアップになってもデクが個性使おうが使うまいが敗けの時点で絶望フェイスしそうですよね。勝っても個性使われたら同じことになりそう。
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