まにわにヒーローアカデミア   作:塩谷あれる

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だから頼れと言ったのに(言ってない)

──オールマイトの授業はどんな感じです?

「え!?すいません校門閉まっちゃうんで急いで良いですか!?」

 

──“平和の象徴”が教壇に立っていると言うことで様子など聞かせて!

「様子!?えー…と、筋骨隆々!!です!」

 

──教師オールマイトについてどう思ってます?

「最高峰の教育機関に自分は在籍していると言う事実を殊更意識させられますね。威厳や風格はもちろんですが他にもユーモラスな部分など我々学生は常にその姿を拝見できるわけですからトップヒーローとは……」

 

──オールマイト…あれ!?君『ヘドロ』の時の!

や め ろ

 

──オールマイトが教師として……ってあれ?今ここいたのに!?

「…………(やってられるかってんですよ……)」

 

──オール…小汚っ!!何ですかあなた!?

「……教師です。彼は今日非番です。後日アポ取ってお越しください」

 


 

「「「はぁ……」」」

 

 いやー、皆さん朝っぱらからお疲れのご様子でございやすねぇ。まぁ無理もありやせん。あんな感じにもみくちゃにされんのなんかそうないでしょうし。お、そんなこんなしてるうちに相澤先生来やしたね。その瞬間にピシィ…っと空気が張り積めて、ダラけてたのが嘘みたいに皆背筋伸ばしちゃって……初日の脅しが効いてるんですねぇ。

 

「昨日の戦闘訓練お疲れさま。Vと成績見せてもらった。各々自分に足りないもの、改善点、色々わかったと思う。各自しっかり改善できるところはしていけ。……それと爆豪。お前もうガキみてぇな真似すんな、能力あんのに持ち腐れだ」

「…………わかってる」

「よし。さて、HRの本題といこうか。急で悪いが今日は……学級委員長を決めてもらう」

「「「「学校っぽいの来たーーーーー!!」」」」

 

 相澤先生の言葉を聞いて、安堵の溜め息と共に大歓声が撒き起こりやしたね。もう今までに無い大歓声ですよ。何かのライブかと思うくらい。そっから先はもう立候補の嵐です。前も後ろも左右もどこも、俺やります、私やりますの大喝采。最終的に飯田さんの提案で投票式になりやしたが、ご自身も相当やりたかったようで、立候補そのものはしっかりしておられやした。よくも悪くも素直なお方で。

 そんでもって結果は……

 

「僕三票ーー!?」

 

 緑谷さんが学級委員長に、八百万さんが副委員長になりやした。これは意外でしたね。主に緑谷さんが。え?俺ですかい?一応自分に入れやしたよ。誰でも良かった、とは言いやせんが、一番波風立たなそうだったので。票が入ってないのは麗日さん、轟さんと……飯田さん。自分でやりたかったならせめて自分に入れりゃあよろしいのに……難儀な性格してらっしゃいやすねぇ。ありゃあ今後も、色々苦労なさりそうです。

 


 

 どうも、真庭猩々でございやす。好きな文学作家は森鴎外と芥川。海外ならラヴクラフトやカフカも読みやすね。早速ですが今俺は、雄英のやたらと広い食堂に来ていやす。何故か、と言いますと

 

「いやー、ホント美味ぇよな食堂の飯!流石雄英って感じでさあ!」

「作ってんのランチラッシュだってな?そりゃ美味いって!」

「くぅ~!もう毎日のお昼がいっそう楽しみになっちゃうよね!」

「確かに……でもこうも美味しいと食べ過ぎちゃいそうで怖いわ」

「おい席取り急いだ方がいいぜ。早くしねぇと座るとこ無くなりそうだ」

 

 ……とまぁこんな感じで、切島さんたちにお昼に誘われ、同行してる感じでございやす。ちなみに喋った順番は、上から切島さん、上鳴さん、芦戸さん、耳郎さん、瀬呂さんですね。

 いやーしかし、賑やかでございやすね。うちも年末年始は日本各地に散ってる真庭の忍達が集まってこんな感じになりやすけど、それを思いだしやすよ。まぁ狂犬さんが真庭の忍を集めだしたのって、俺と会ってから割と間もない位の頃なもんで、まだ数は十やそこらしかいないんですけどね。それでも、家族ってこんなんなんだ、ってのがわかる感じがして個人的には楽しいんですこれが。

 っと、そんなことを思い出しているうちに俺達の番が来やしたね。

 

「よっしゃ俺カツカレー!真庭はどうすんだ?」

「そうでやすねぇ……じゃあ冷うどん一つ、揚げ玉つきでお願いしやす。あ、そうだ。七味って貰えやすかね」

「揚げ玉うどんね了解!七味はテーブル席に瓶でおいてあるから使って良いよ!」

 

 そんなこんなで皆さん料理をもって、近場の席に座りやす。そんでもって七味をこう、サッサッ、とね。いやー、この香辛料の香り。これだから七味はやめらんねぇんですわ。

 

「お、おい真庭……!?」

「お前……え?何やってんのお前!?」

 

 ん?あれ、なんだか皆さん、異様な目でこちらを見てやすね。

 

「どうかなさいやした?」

「いやそのうどん!お前それ七味かけすぎだろ!?」

「かけすぎて一面真っ赤になっちゃってるぞそれ!?」

 

 ん?……あぁ、どうやら皆さん、七味をかけすぎだと仰ってるわけですね。

 

「確かにちっとは多いかもしれやせんが、んな驚くもんですかい?これ」

「「「「「ちょっとの量じゃない(ねぇ)よ!!!!?」」」」」」

 

 あらら、全員から突っ込まれちまいやした。んな多いですかねぇ……?狂犬さんとか、他の連中も大して言ったりしてなかったもんで、これが普通だとばっかり……でもこれで慣れちゃってやすし……

 

「……ズルッ」

「結構麺持ってった……っ!」

「馬鹿やめろ絶対辛いって!」

 

 ……ふぅ。普通に美味いですからねぇ。

 

「け、けろっとしてる……!」

「お前マジか……マジか……!」

「え?実はそんな辛くなかったりすんの?……俺もやってみようかな」

「やめとけ上鳴絶対ちゃんと辛い奴だ」

「あれ真庭が忍者だからできる奴だよ?ウチらがやったら腹壊すって!」

 

 一気に空気が戦々恐々としてきやしたねぇ。……うん、美味い。と、そんなこんなで皆さん食べ始め、俺も辛さと喉ごしを味わいつつうどんを食べ進めていたときです。

 

「う、うわっ!?」

「な、なんだぁ!?警報!?」

 

 けたたましい警報が鳴り響きやした。セキュリティ3突破……雄英のセキュリティシステムからして、何らかの方法で敷地内に侵入者が現れた時の奴でしたかね。雄英は物理的にも電脳的にもセキュリティランクはかなり高い筈。それを突破してくるなんてどこのビックネームヴィランですかね?

 

「うわ、人、人が!?」

「ぶおっ、ちょ!やば、飲み込まれる!」

「皆さんストップ!ゆっくり!ゆっくり!」

 

 ヤバイですね。異常事態に皆混乱して我先にと移動しまくってるせいでごった煮みたいになってやす。まずは原因の確認、教師陣の指示を待った方が良い筈……って

 

「えぇえ………!?」

 

 もみくちゃ状態になった俺の目には、偶然にも、食堂の窓から校門の景色が見えやした。そこにあったのは、この騒動の主犯と思われる人だかり。それは……

 

「マスコミィ!?」

 

 マイクとカメラを携えて、獲物をみる目で対応している相澤先生立ちに詰め寄る、報道陣の面々でございやした。

 

「え、ど、どうした真庭!?」

「侵入者……マスコミみてぇです」

「「「「「はァ!!!?」」」」」

 

 俺と一緒に昼飯を食べていた切島さんたちももの見事に唖然状態。そりゃ当然です。明日のおまんま稼ぐためとは言え、白昼堂々こんな馬鹿みたいな真似してくるとか流石に理解に苦しみやすよ!?

 いやこれはちょっと笑い事にならねぇっていうか雄英ィ!!オールマイトが教職に就くなんていうトンデモ事態を引き起こした以上、()()()()()()は予想できてた筈ですよねェ!?なんでこう、ヒーロー畑の連中はそういうとこ雑なんです!?“窓口”使って俺達に情報操作依頼するでなくとも、ある程度未然に騒ぎを抑えられるよう手を打つとかできたでしょう!?

 

 皆パニック状態。このままでは怪我人も出るやも知れない。そんな時でした。

 

「大ッッ丈──────夫ッッ!!!」

 

 凄まじい回転と共に、ビタァン!と食堂出入口の上に張り付いた何か、いえ、飯田さんが現れやした。何やってんです!?

 

「ただのマスコミです!何もパニックになることはありません大丈ー夫!!ここは雄英、最高峰の人間にふさわしい行動をとりましょう!!」

 

 飯田さんの言葉で、食堂の皆さんは侵入者がマスコミであることに気づいたご様子。成る程、注意を引くことで安全を伝える。シンプルではありやすがそうできるもんじゃありやせん。それを実行できる飯田さんの胆力に天晴れ、ってとこでざいやすね。

 


 

 その後、マスコミはなんとか先生たちの必死の対応でなんとか押し返すことに成功いたしやした。あと、この騒動は『マスメディアのモラル低下』とか、『賃金のために法を犯すマスゴミ』とか、色んなテーマでメディアを彩りやした。ざまぁねぇですね。

 それと、緑谷さんの推薦によって、新しく飯田さんが委員長のポストに就きやした。二票獲得して副委員長になってた八百万さんが不憫でございやすが、まぁ、ひとまずは一件落着、というかたちで。




七味ジャンキー猩々。
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