まにわにヒーローアカデミア 作:塩谷あれる
「さーて!それじゃあ早速第一種目行きましょう!!」
「雄英ってなんでも早速だね」
猩々の宣誓も終わった矢先、ミッドナイトは鞭をピシャリ、と打って声高々に言った。妥当であれこそ唐突な流れに思わず麗日がツッコむが、気にすること無くミッドナイトは進行していく。
「いわゆる予選よ!毎年ここで多くの者が
コレ!」
軽快なドラムロールの後、ホログラム画面に映し出されたのは『障害物競走』の文字。と同時に、スタジアムのゲートが開く。ミッドナイトによれば、スタジアムの外周、約4kmをぐるっと一周するのがコースらしい。
「我が校は自由さが売り文句!ウフフフ……コースさえ守れば、
ミッドナイトの指示で生徒達がゲートの前に集まる。全員が位置に着いた時点で、ランプが一つ消えた。
「さぁさぁ、位置に着きまくりなさい……」
二つ目のランプ、消灯。スタジアム全体に、張り詰めたような緊迫感が漂う。
そして、三つ目が消える。
「第一種目、スタ────ァトォ!!!!」
ゲートに向かい、生徒達が一斉に雪崩れ込む。今、本選進出をかけた大一番、日本一熾烈な障害物競走の火蓋が切って落とされた。
「第一種目、スタ────ァトォ!!!!」
いやーついにとうとう始まりやしたねぇ!あ、どうも猩々です!混雑地帯から失礼いたしやすね!しっかしまぁ、なんと言いますか……
「スタートゲート狭すぎだろ!!」
お、峰田さんが俺の言いたいことを代弁してくださいやしたね。そう、生徒数に対して、ゲートの幅がまぁ狭いこと狭いこと。こりゃあ混雑しきりになっちまうってもんです。そう言うわけで、いつも通り、忍者らしく忍法使っていきやしょう。
「忍法・足軽」
足軽を使って身を軽くして負担を軽減!パルクールの要領で壁を走ってレッツ爆走!まぁ、壁走りぐらいなら足軽使わんでもできやすがね。まぁ後々見越して体重分の負担はカットですわ。そう言うわけでお先に……とと?
『おォッとォ!スタートゲートから先んじて現れたのはやはりA組!真庭と轟だァ!』
おやおや、轟さんも来てらっしゃいやしたか。どうやらスタート位置もよかったご様子で。
「よっ、と……うし、グッド着地」
「……グッド着地は良いが、後ろ居ると
「はい?」
お、轟さんから後方面に向けてドデカい害意。さっさと走り出した方が良さそうですね。
「ってぇー!!何だ凍った!?」
「動けん!!寒みー!!」
俺が、轟さんの害意を感じた直後、轟さんが後方の皆さん方に向けて、厳密に言えば、後方の皆さん方が居る方の地面に向けて氷結を発動しやした。なーるほど、さっきの『巻き込まれる』はこれでしたか。いやー喰らったら一溜まりもありやせんね。氷結状態から逃れるためにも体力を使いやすし、巻き込まれた方々は大損ですわ。
「甘いわ轟さん!」
「そう上手く行かせねぇよ半分野郎!!クソチビィ!!」
お、我等がA組の面々が、氷結を掻い潜って続々と。まぁ、この程度の妨害でやられる方々が、この前の
「クラス連中は
「まぁそりゃB組の方々もいらっしゃいやすからねぇ……あ、さっきは忠告どうも」
「……これ勝負中だぞ?礼なんか言ってる場合か?」
「お人好しはお互い様でしょう……っと?」
急に前方暗くなりやしたね。いきなり何……っておいおいおい。おいおいおいおいおい!!?
『さぁいきなり障害物だ!!まずは手始め……第一関門!!ロボ・インフェルノ!!』
「入試ん時の0P
ちょっと冗談が過ぎやせんか!?この量はちょっと後先考えてなさすぎって言うか資金源は!?四神一鏡でもスポンサーにいんですかいこの学校は!?
「ったく、足疲れるからできれば使いたくなかったんですが……」
一旦足軽解除。んでもって別の忍法発動です。
「真庭忍法・無垢の両翼」
『1-A真庭、飛んだァー!?』
思いっきり地面を連続で蹴って跳躍、んでもってそのまま
っとと、現在の状況は……と。おおっ、轟さんが氷結で0Pと他の生徒を一網打尽にしてやすね。流石は推薦合格者。無駄がねぇ。いやしかし轟さん、かのエンデヴァーの息子さんな訳ですし……個性の登録的にも炎も使えるはずなんですがねぇ。そっちも使えばもっと上手く立ち回れるのに、なーんで使わねぇんでしょう?
「ま、今は自分のことですね」
現在の順位は一応轟さんが一位で二位に俺が着けてる感じです。このまま急ぐといたしやしょう。もうそろそろロボゾーン突破しやすね。いやほんと、なんでこんなバカみたいな量の大型ロボ兵器を製造できんですかね……?そのための資金はどこから……?その金使ってセキュリティ強化と情報面の強化した方がいいんじゃねぇですかね…?
『オイオイ第一関門チョロいってよ!!んじゃ第二はどうさ!?落ちればアウト!それが嫌なら這いずりな!!
ザ・フォール!!』
ふむふむ、要は綱渡りだと。じゃあ無垢の両翼続行ですかねェ……
「オラ退けやクソチビ!!追いついたぞテメェエ!!」
「……!爆豪さん」
おんやまぁ、どの道そうなるだろうたァ思ってやしたが、意外とお早いお着きで。スロースタータータイプですねぇ。
「おらテメェ前寄越せや!!」
「いやー、そう言うわけにも行かないんですわ」
俺が無垢の両翼で離そうとすると、爆破の威力を上げて追い抜こうとする。んーむむ、中々にしぶとくいらっしゃる。しゃーなしですね。少々馬力強めで行きやしょう。
「ッ!!待てやテメェゴラァ!!」
「……これでも撒けやせんか」
やーっぱ無垢の両翼もっと鍛えた方がいいですねぇ。負担もさることながら、多少蹴りの威力を上げたところでこの有り様じゃあ俺はまだ実戦で使えやせんわ。
「追いつきやしたよ、轟さん」
「待てや半分!!!」
「………!」
ほいほい、第二関門突破。流石に温存考えてもう無垢の両翼はやめときやしょう。いくら全力じゃないとは言えこれ以上は足が吊る。足軽を再発動して持久+高機動モードと参りやす。
『さぁ現在!先頭が一足抜けて下はダンゴ状態!!上位何名が通過するかは公表してねぇから、安心せずに突き進め!!
そして早くも最終関門!!斯くしてその実態は──…
一面地雷源!怒りのアフガンだァ──ッ!!』
ほうほう、地雷と来やしたか。型は見たところ旧き良き重量感知式……重さ的に火薬の量もまちまち、人が死ぬような威力じゃありやせんが……まぁ軽く人が吹っ飛ぶ程度ではありそうですね。まぁなんにせよ──
「俺には関係ありやせん」
重量感知式だってんなら足軽の独壇場ってもんです。いやーこの種目、あらゆる点で俺向きですね。つか、そういや喰鮫……雨垣の奴は何処に……?このレース、あいつもまぁまぁ有利に動けるはずなんですがね。
「そう言う訳でお二人さん、お先を失礼いたしやす」
『ここで先頭が変わった──!!喜べマスメディア!お前ら好みの展開だああ!!真庭が地雷ガン無視の大爆走──!!命が惜しくねぇのかコイツ!?』
「なッ待てやテメェ!」
「ちッ……後続気にしてる場合じゃねぇか……!」
おっとと、お二方もなりふり構わずきてやすね。後続も段々スパートかけて来てらっしゃいやすし、これは逃げ勝負になりそうだ。
「まぁ、忍が駆け足で負けるわけにはいかねぇんですがね」
『真庭加速ゥ──!!忍者は急に止まれないィ──!!』
『何言ってんだお前』
このままうまく、
──と、そんなことを思ってしまった──つまり慢心しちまった、その時でございやした。
BOOOOOOOOM!!!!!
周りの音の全てが消え去るような、『
『後方で大爆発!?何だァあの威力!?偶然か故意か──A組緑谷、爆風で猛追──!!!?』
腹の底に響くような爆音と、強烈な熱と光。それらと共に後方から緑谷が現れる。掘り起こし、積み上げた地雷によって巻き起こった爆風は、緑谷をぐんぐんと運んでいく。そして──
『抜いたぁああああ!!!!!』
先を走っていた轟を、爆豪を、そして猩々さえも追い抜いて、緑谷をトップへと登らせた。
(反動の多い個性の使用を控えるためにステージギミックを活用──ッ!なんつー発想!!)
「だが、敗けるわけにゃいきやせん」
緑谷の発想力に驚いた猩々だが、すぐに持ち直し、抜かれた分を取り戻すように加速を再開する。
「ッラデクぁ!!!俺の前行くんじゃねぇ!!!」
自分よりも下であると、文字通り見下していた緑谷に越された怒りを起爆剤に爆豪も追い上げを始め、轟もその後ろから更にスパートをかけている。対する緑谷は、爆発のブーストこそあれどあくまで一時的なもの。次第に失速していく。加えて着地のタイムロスを考慮に入れれば、再び三人を追い越すのは不可能だと言えるだろう。
(──いや、ダメだ、放すな!トップに出られた一瞬のチャンス──!掴んで、放すな!!!追い越しが無理なら──)
しかし、緑谷は諦めていなかった。
(抜かれちゃダメだ!!)
二度目の爆発。それは緑谷が意地で振り下ろした0P敵の装甲が、直下の地雷群の上に乗り、その重量によって作動したものだった。不幸なことにか、幸いにか、その爆発はまさに、緑谷を追い越さんとしていた猩々、轟、爆豪のすぐ近くで発動。再び緑谷を加速させるだけでなく、後続の妨害にまで成功していた。
(爆風──!!まずいですね、
猩々が使っている忍法・足軽は、自身や触れているものの重さを消すことができる忍法。優れた技であるのは確かだが、同時に弱点も存在する。重さを消すと言うことは、風のような力の流れに対する抵抗力が下がると言うことになるのだ。さながら北風に煽られる落ち葉のように。
真庭の忍として訓練を受けた猩々は、爆発の閃光に眼をやられることもなければ、この程度の熱に皮膚を焼かれることもない。しかし爆風は別だ。今この状態、忍法・足軽を使っている猩々にとって風は天敵。前から襲いかかる強力な突風が、猩々を後方へと吹き飛ばした。
「──ちィッ!!」
猩々はすぐさま忍法・爪合わせを使い伸ばした爪を地面に突き刺し持ち直す。そして再び加速。しかし最前線には追いつけず、すでに緑谷はゲートの中へ入っていった。
『さァさァ!序盤の展開から誰が予想できた!?今一番にスタジムへ還ってきたその男────…!!!
緑谷出久の存在を!!』
プレゼント・マイクの劈くようなアナウンスと共に、スタジアムから歓声の波が溢れ出る。続々とゲートから帰還していく生徒達の中で、その歓声を聞いていた猩々は思った。
(あのタイミングで後続を潰すための爆破……発想力は正しくプレイヤー並みですね……他にも、轟さんに爆豪さん、その他にも優秀なのが粒揃い……)
「……こりゃあ、選手宣誓の時のあれ、方便とは言え訂正しとかねぇと不味いなぁ。とびっきりの黄金期かもわかりやせん」
──ちょっと本気で楽しくなってきたじゃあねぇですか──そんな言葉を飲み込み、猩々はゲートを潜っていった。
第一種目『障害物競走』、真庭猩々、最終順位9位。
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あ、次回か次々回あたりで喰鮫ちゃんの設定公表するかも