まにわにヒーローアカデミア 作:塩谷あれる
いや、本当にありがとうございます。皆様のご愛顧あってのこの小説ですので、読んで、面白いと思ってくれる方がいらっしゃって本当に嬉しいです。これからも頑張らせていただく所存ですので、よろしくお願い致します。
(9位…9位ですか……んー、まぁ、あの爆風で、よくまぁ保った方ですかねぇ……)
ゴールゲートを抜けて、スタジアムに戻ってきた猩々は、先程の期待を孕んだ表情から一転、苦々しげな表情を浮かべる。
(……まぁ、こっから挽回していくといたしやしょう。幸い、温存して動けてたお陰で、すぐにでも動ける分の体力はあることですし)
順々に生徒達がゴールしていく中に、猩々は見知った顔を見かけた。金春色*1の艶やかな長髪と血のように赤い瞳を持つ少女。真庭喰鮫こと、雨垣鎖露女だった。順位にして23位。猩々の知る彼女ならば、絶対にあり得ないであろう順位でのゴールだった。
「あら、頭領さん。お疲れ様」
「えぇ、お疲れさんです、雨垣さん。……随分遅い到着ですね?お前さんならこんなレース、単独一位までとはいきやせんが一桁台の順位は狙えるでしょうに」
猩々を見つけた雨垣がにこり、と微笑み、彼の方へ向かって話し掛ける。それに応えるように猩々も彼女の方へ歩み寄った。同年代の女子の平均程度の身長ではあるものの、猩々よりは背が高いためか、猩々は見上げる形で彼女と接することになった。
「あら、それを仰るなら、頭領さんこそこの程度の
「まぁ、そりゃそうですし、いまお前さんが言った通りの理由なんですがね……」
「ふふ、でしょうね。でなければ頭領さんがこんな
──私が手を抜いた、もとい、少し低い順位でゴールしたのはクラスの方針よ。ウチの作戦担当さんからのお達しでね。いきなり高順位をとるのではなく、安定を狙え、と」
そう言って雨垣は、彼女よりも更に後にゴールした金髪の少年を見る。どうやら、彼が件の作戦担当らしい。
「へぇ、成る程……お前さん達の──
「えぇ。皆
「そうこなくっちゃ煽った意味がねぇってもんです……まぁ、その感じだと煽る前から対抗意識バッチバチって感じなようですが」
しかしまぁ中々面白い人材が揃ってやがる、と猩々はゴールゲートから出てくる生徒達を、観察するように横目に見て言う。その姿を見て雨垣は、呆れたように一つ、小さなため息をついた。
「頭領さん、
「まぁ、俺も四六時中んなことしてる訳じゃねぇですがね……狂犬さんからの頼み事でもあるんですよ。どうやらあの人、本格的に軍拡を狙ってるらしい」
「へぇ、初耳……お祖父様からそんな話は聞かなかったけれど」
雨垣の言葉に猩々は眉を潜める。表情や声色から察するに、彼女が嘘を言っている、という訳ではない。しかし現状、仮にも真庭忍軍の全権統括を担う狂犬が、各組の指揮官相手に報連相を怠るとは思えなかった猩々は、念のため、後で確認しておきやすか、と、一旦思考を切り替えた。
「ようやく終了ね。予選通過者は上位44名!違和感を覚えたメディア諸兄は雄英ガチ勢の方よ!大丈夫!ちゃーんと説明するわ!」
ミッドナイト曰く、例年は、ヒーロー科の生徒数である40名に、他クラスの分である2枠分を足した上位42名が予選通過枠だったが、今年は例年とは比較にならない程ヒーロー科の志望生徒数が多かったため、特別にヒーロー科の枠を一つ増やし、生徒数を42名としていたらしい。結果として、ヒーロー科の生徒数42名に、他クラス枠2名が足された44名が予選通過者となったわけである。
「
言ってる側からから──コレよ!!」
再来するドラムロールの後、ホログラム画面に『騎馬戦』の三文字が写し出される。再び開始されるミッドナイトの説明を要約すると、通常の騎馬戦に、予選結果を参考して割り振られたポイントを奪い合う要素を足したもの、と言った風になるようだ。騎馬の組み合わせによって一騎のポイントが変化することに加え、このゲーム最大の特徴が一つ。
「そして……一位に与えられるポイントは──ッ!!なんと!!1000万!!上位の奴程狙われちゃう!下克上サバイバルよ!!!!」
うーむ、中々面白くなってまいりやしたね。……いやまぁ、はい。緑谷さんは不憫と言うか御愁傷様と言うか、まぁ、頑張れとしか言えやせんが。あ、どうも。猩々ですよ。
しかし、9位と言う順位は中々良い塩梅かもしれやせんね。高くもなく、低くもなく。ポイントも率先して狙われる量でもありやせん。さてさてと、俺も目当ての方を誘うといたしやしょう。
「雨垣さん。ちょいと良いですかい」
雨垣鎖露女。否、真庭喰鮫。こいつを他の陣営に廻すのだけは本当に不味い。真っ先に捕まえとかねぇと。
「あら、頭領さん。良かった、話が早いわね。私も頭領さんを誘おうとしてたところよ」
よし、これでとりあえずコールドゲームは回避できやすね。うっかりミスってスタジアムが血の海とかシャレになりやせんから、しっかり手綱握っとかねぇと。
「あと二人、どうしやす?」
「頭領さんが足軽で騎馬、まぁ機動と防御を担当、私が妨害、攻撃……となると、ハチマキを回収するポイントゲッターが欲しいわね。心当たりはいらっしゃる?」
「まぁウチのクラスなら三人、ってとこですかね。雨垣さんは」
「んー……協力してくれそう、というのを加味した場合一人、かしらね。ほら、
あー、成る程。そういう問題がありやしたか……となると、A組から人手を見積もった方が良さげですね。まだチームを組んでなさそうなメンツで、尚且つ雨垣の
「あ」
これなら行けやす、かね……?いやでもめっちゃギスりそうというか、空気がよろしくなる感じはしなさそうと言うか……いや、でも……俺の頭ではこれが限界……あ、雨垣に相談を……あ、ダメだ、全任せするつもりでいやがりやすねコイツ!いやしかし……時間もない……あ゛~~……も~~~ッ!!!
えぇい!ままよ!!
「……と、まぁ、そういう作戦でさ」
「えぇ……何それ……何それ」
「……ヒーロー科のお前らがする作戦じゃねぇだろ、それ」
「御託は結構ツッコミ上等。そもこうでもしてより高いところに這い上がらにゃヒーローとして見てもらえさえできねぇんですよ?無茶苦茶しねぇでどうしやす」
「あら、私は良いと思うわよ?いつもの頭領さんらしくて」
「えっ」
「真庭っていつもこんな感じなの!?て、てかそれを知ってるってアンタらどんな関係……」
「茶番は後々!さぁ、お時間なんで行きやすよ!」
スタジアムの騎馬戦用コートの一隅で円陣を組み、作戦会議をするは四人組。悲喜も呆れも何もかも、雑多に交々袋小路。
「このメンバーなら勝てやす。なんなら一位さえ狙えるでしょうよ。もしここで次に進めなかったら思いっきりグーを頂いても構いやせん……あ、すいやせんやっぱちょっと弱めで」
「「「締まんなっ……」」」
思惑胸中多々あれど、さりとて今、この四人の目的は一つ。『勝つ』、ただそれだけである。
『よォーし組み終わったな!?準備は良いかなんて聞かねぇぞ!?さァさ上げてけ鬨の声!!血で血を争う雄英の合戦が!!ァ今!!狼煙を上げる!!』
そこにあったのは、極めて異例の騎馬構成。小柄な小兵の騎馬一人、その背の上に騎手三人。しかしそれは完全に成立し、完璧なバランスを保っている。
『いくぜいくぜェ!?残虐バトルロイヤル、カウントダウン!!』
「雨垣さん」
「えぇ」
『3!!!』
「耳郎さん」
「うん」
『2!!』
「心操さん」
「……あぁ」
『1…!』
「気張っていきやしょう」
『STAAART!!!』
雄英体育祭本選、A組、B組、普通科まで揃った究極の異色、雨垣チーム、485ポイントでスタート。
予選通過者人数は勝手な想像なのでどっかで理由とか明言されてたら感想で教えてあげてください。塩谷が喜びます。(どうでもいい)
感想、評価、よろしくお願いします。