まにわにヒーローアカデミア   作:塩谷あれる

8 / 27
軽率にオリ忍法を開示していくスタイル。


個性把握テストに一人だけ完全に忍法(テク)だけで挑んだ奴がいるらしい

 いやー、初っ端から恐ろしい受難、ってぇ感じですねぇ。あ、どうもこんにちは。久方ぶりの真庭猩々でございやす。好きな調味料は山葵と七味。特に七味は牛丼やらうどんやらに割とドカ盛りで入れたのが大の好物でございやす。おっと余計な話。失礼いたしやした。

 個性把握テスト。とは言っても、個性の無い俺にとっては、身体能力で個性持ちたちと張り合いをつけなきゃならないイベントでございやす。無個性の俺がどうやって“超常”の力を持つ連中に張り合うのか。まぁ答えは簡単。少々ズルをさせていただきやす。

 

「──次、爆豪、真庭」

 

 おっと、呼ばれやしたね。行きやしょう行きやしょう。第一種目は50m走。隣のお相手は

 

「いやぁ、またもや偶然でございやすね。どうぞよろしく」

 

 この金髪トゲトゲ頭のお兄さん、爆豪克己さんでございやす。クラスメイトですし、話しかけたりはしてんですが……

 

「うっせー黙れよモブが」

 

 この通り。髪型だけでなく口調や気性までトゲトゲでいらっしゃられるわけです。まぁそんなことは気にしない話。俺も準備をいたしやしょう。

 

「無駄口叩くなよ、お前ら。……位置について、よーい」

 

 パァン!という空砲の音と同時に、俺も忍法を発動させやす。

 

「真庭忍法・足軽っ!」

 

 重さを消して、一気に直線距離50mを走り抜けやす。はてさて、記録は如何なもんでしょうかね。

 

『記録…3秒26!』

 

 お、中々、ですかね?先月の修行の時よりは多少タイム縮んでやすし。

 とまぁこんな感じで、忍法(ズル)を使わせて頂いてるわけです。まぁ相手は個性持(チート)。死ぬほど頑張れば万人が会得可能な忍法を使うぐらいのこと、実際はズルにもカウントされやしねぇってもんですし。あ、爆豪さんは俺の一秒ほど後に来やした。めちゃくちゃ睨まれやしたが、まぁ気にせずということで。

 


 

 第二種目・握力

 

 まぁこれは忍法じゃあどうにもなりやしませんし、純粋な握力で勝負させていただきやした。てか大体皆そうでは。と思っていたら推薦枠の八百万さんという方が何やら機械をつくって頭のおかしい記録を出してやした。何あれ、え、えぇ…?あ、記録は98kgwでした。これでも四位でございやす。

 


 

 第三種目・立ち幅跳び

 

 足軽を使って重さを消し、飛距離を伸ばす。とまぁスタンダードに。距離はそこそこ延びて800m代まで行きやしたが、ヘソからレーザーを出す青山さんやら、氷で橋をつくってほぼ無限に距離を伸ばせる轟さんやら、爆破のブーストがある爆豪さんなんかには流石に敵いやせんでした。うーん、無個性の限界でございやすね。せめて一吹き風があれば、ってところでしょうか。あ、終わったあと、爆豪さんがこちらにドヤ顔かましてきやした。何がしてぇんでしょうね、彼。

 


 

 第四種目・反復横飛び

 

 こちらも足軽の独壇場でございやす。元より忍は瞬発力が命、しっかり一位をもぎ取ってきやしたとも。俺の後で記録取ってた葡萄髪の峰田さんが何やらやたらとまにもにした球体を使って記録伸ばしてやしたね。あ、爆豪さんにはまた睨まれやした。まぁ手が出ないだけましと言うもので。

 


 

 第五種目・ボール投げ

 

 ここも純粋な腕力勝負…と行きてぇ所だったんですが、たった今飛んでもない記録が出やしたね。∞て。個性持ちの方々のやることはやっぱり今一分かりやせんね。奇想天外すぎやすよ、全く。そんなわけで、ちょいと本格的に頑張ることにしやしょう。あんな記録が出て滾らないのは忍じゃないですわ。

 

「真庭忍法・骨肉細工、と足軽」

 

 あ、そうですね。この際ですから、俺のオンリーワン、専用忍法も一つここでお披露目と行きやしょう。とは言っても、まぁ常時発動型なもんで、御披露目はとっくのとうにしてると言えば、まぁしてんですがね。

 俺の専用忍法のうちの一つ、それは真庭忍法・猿真似稽古でございやす。こいつはどんな忍法か、と言われりゃ、実際のところ読んで字の如し。既存の真庭忍法を、何らかの形である程度見聞きできりゃ、そいつを大体四割から八割の出力で扱うことができる。とまぁ、そう言う技術でございやす。

 とは言っても、狂犬さんの『狂犬発動』、末代の川獺殿の『記録辿り』、人鳥殿の『運命崩し』みたいな本人の性質に起因するものや、歴代真庭白鷺の『逆鱗探し』みたいな仲間内にすら得体の知れねぇもんは流石に模倣できやせんがね。ありゃ一種の超能力(E S P)の類いですから。

 

 とまぁそんなわけで、真庭蝙蝠殿の使ってらした、忍法骨肉細工を発動させやす。今の俺なら、出力は大体四割五分、精々肉体の構造をちょこっと弄んのが関の山です。体重や身長、人相ぐらいならともかく、性別や肌色、みたいなホルモン干渉まではできやせん。声ならまぁ、声帯弄るだけなんで簡単ですけど。

 今の俺は、体内の筋肉量を増やしてパワーをあげる、って所に重きをおいてやす。ついでに足軽でボールの重さを消して、飛距離を伸ばす、ってぇ寸法です。え?握力の時もこれやればよかったろうって?消耗が激しいんで日に一回が限度なんでさ。

 

「んん……いよいっしょぉっとぉ!!」

 

 思いっきり振りかぶり、全力投擲。んー、こういう時やっぱり蜜蜂殿の撒菱爪弾が欲しくなりやすね。術としては比較的簡単なんで、使えないことはないんですが、あれは歴代蜜蜂一族の並外れた眼の良さと強靭な指の筋肉が無きゃ暗殺術、狙撃術としての効果を果たしやせんからね。平均視力の俺じゃあ、普通にハジキやライフルを使った方が早いってもんなんでさ。さてさて記録の方は…

 

「記録、2561m…よし、次!」

 

 あちゃあ、自己ベスト更新ならず…未熟、未熟極まりやすねぇ……まぁ、まだ俺も十代ですし。ティーンエイジャですし。前向きに考えて行きやしょう。え?爆豪さん?さぁ、睨んでたんじゃないですかね?俺の後の緑谷さんに突っ掛かって相澤先生に拘束されてやしたけど。あのお二人、なんか因縁がおありなんですかねぇ。

 


 

 第六種目・上体起こし

 

 まぁ純粋に筋力ですね。記録は83回。これはまぁ皆記録はまちまちでした。あからさまに筋肉があります、って感じの障子さんとか砂藤さん以外は皆大体同じくらいだったかと。

 


 

 第七種目・長座体前屈

 

 腰の関節を外して無理矢理記録を伸ばしやした。以上。

 


 

 第八種目・持久走

 

 足軽使って単独取ろうとしたら、スピード系の個性の飯田さんとデッドヒートになりやした。と思ったら後ろから八百万さんが自動操縦のオフロードバイク引っ提げて追い上げを掛け、と来たら今度は爆豪さんが爆破ブーストで追い上げ追い上げ、時々青山さんが俺達に並び……ともうひどい泥沼レースでございやした。結果的には科学の力が勝り、一着八百万さん二着俺、タッチの差で三着飯田さん、四着爆豪さんとあいなりやした。青山さんは最下位でした。何でもレーザーを連発で出しすぎて途中で腹を下したそうで。持続時間がネックでございやす。ヘソなのに。

 


 

「ちなみに除籍は嘘な」

「はぁああああああああああ!!!?」

 

 相澤先生のカミングアウトで、またもやグラウンドが混乱の嵐に包まれやした。俺達の全力を引き出すための“合理的虚偽”……いやー、どうでしょうかねぇ。ありゃ確実に落とすつもりだったでしょ。まぁ一先ず、誰も落ちなかったことを喜ぶべきか、競争相手が減らなかったことを惜しむべきか……いや、ここは素直に喜んどきやしょう。えぇ。野暮なこと考えねぇ方が良いってもんです。

 

「じゃ、今日の日程はこれで終わりだ。教室にカリキュラム等の書類があるから、目ぇ通しとけ。それと、配布された教科書は、まぁ置き勉しても構わんが、最低限のものは持って帰るように。それじゃあ解散、気ぃつけて帰れよ」

 

 お、終わりやしたね。そんじゃあ俺もさっさと撤退いたしやしょう。確か今日は駅前のスイーツ店で数量限定の新作あんみつが食べられた筈。手早く済ませて急がなくちゃあなりやせん。

 

「おい」

 

 と思い教室に直行しようとしたら、何やら止められやした。え、何です?

 

「デクが何かあったのも気に入らねえが、てめぇもだ……!いつか潰す。覚悟してろよクソチビ!」

 

 ……おぉう。宣戦布告と言う奴ですかね?いやぁ、一般人から受けたのは流石に初めてですね。というか潰すて。ホントにヒーロー志望ですかい、この人。まぁとりあえず、適当に返しておきやしょう。次の電車間に合わなくなったら在庫切れになる可能性もありやすよ、これ!

 

「えぇ。そのいつかが、なるだけ早くなること、期待していやすよ」

 

 はい返答終わり!撤収!あんみつ!売り切れて食べられないだけは阻止しなくちゃあなりやせん。流石に今の俺の脚力じゃあ、電車と早さ比べして勝てたりはしやせんからね!あぁ急げぇえええええ!

 ────と、まぁそんなわけで、入学初日。てんやわんやで何とか終わりやした。え?あんみつ?次の日曜にでも食いに行きやすよこんちくしょう。




忍法録・その①
忍法・猿真似稽古(にんぽう・さるまねげいこ)
使用者:真庭猩々
分類:常時発動■■(■■■)
射程範囲:可視範囲全域
捕捉人数:不定
備考:既存の真庭忍法をなんらかの形で見聞きすることで、その忍法をある程度の練度で扱うことができるようになる。常時発動型忍法。
 多少の制限があり、その人の思考回路や人格を構成する記憶が根幹となっている忍法や、本人やその家系の持つ特性そのものが忍法発動の起因となっているものは会得不可。

例:忍法・断罪円…他者を攻撃するための“技術”であり、修練によって会得可能(鳳凰の他にも原作で右衛門左衛門が使っていた描写あり)なため、猿真似稽古で模倣可能。
  忍法・骨肉細工…肉体の構造を組み換える、気功や肉体改造のハイエンドとも言える“技術”のため猿真似稽古で模倣可能。
  忍法・記録辿り…末代真庭川獺の『触れたものの記録を読み取る』というサイコメトリーに近い“異能”のため、猿真似稽古で模倣不可。
  忍法・逆鱗探し…白鷺一派のほぼ理解不能な精神性が根幹にある(と思われる)ため模倣不可。そもそも原理が完全に不明のため精神性が根幹でなくとも模倣不可。同様の理由で真庭狂犬の忍法・狂犬発動も模倣不可。

※忍法・足軽は猿真似稽古を使わずに普通に会得。真庭忍軍における割と標準装備とも言える忍法のため会得そのものが比較的容易い。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。