明るい筋肉   作:込山正義

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暗躍する者たち

 

 体育祭後の1年Dクラスの教室。

 須藤が池や山内と共に扉を開け出て行く様子を、堀北はやや呆れた面持ちで眺めていた。

 体育祭で優秀選手になれず落ち込んでいた須藤。それ自体は約束であるからどうしようもなく、須藤も苦渋の思いでその結果を受け入れていた。

 しかし、そこに救いの手が差し伸べられる。提案したのは他ならぬ堀北自身。

 堀北は須藤と同じく活躍を期待されている側の人間だった。にも拘わらず結果は散々。個人種目では1度も1位を取れず、推薦競技に至っては参加することすら叶わない有様だ。

 その罰が必要だと堀北は考えた。そして口に出した内容は、須藤が自分を名前呼びすることを許可するというもの。

 これを受け、須藤は飛び跳ねそうな勢いで大喜びした。それこそ優秀選手に選ばれたかのような反応の仕方であった。

 その時も堀北は若干困惑していた。どうしてそこまで名前呼びに拘るのか、その理由をほとんど理解できていなかった。

 

「お前は帰らないのか?」

 

 いつまでも教室に残ったままの堀北を見兼ね、綾小路が声を掛けてくる。

 体育祭で力を使い果たした生徒たちは次々に帰宅し、未だに教室に残っているのは数人だけ。

 その中でも、立ち上がる素振りすら見せない堀北の姿は見る人から見れば奇妙に映ったことだろう。

 

「ええ、ちょっとね……。少し野暮用があるから」

「いつも早く帰るくせに、珍しいこともあるもんだな」

「そういうこともあるわ。それじゃ、今日はお疲れ様」

「ああ、また明後日」

 

 そうして、綾小路も教室を去る。

 それから数分もしないうちに、残っているのは堀北1人だけとなった。

 

 堀北がいつまでも帰らない理由。それは龍園の呼び出しに応じるためだった。

 

 体育祭の昼休憩の際、堀北は保健室に呼び出されていた。

 そこで待ち構えていたのはCクラスリーダーである龍園と、同じくCクラスの生徒である木下。不遜な態度で椅子に腰掛ける龍園と違い、木下はベッドで横になっていた。

 何でも、障害物競走で転倒した時の怪我が痛むらしい。その恨み言をぶつけるだけに留まらず、2人は堀北がわざと木下を転倒させたのだと主張してきた。

 もちろん堀北はこれをきっぱりと否定した。そんな思惑はこれっぽっちもなかったのだから当然だ。その程度の罪悪感や圧力で屈するほど、堀北は弱い人間ではない。

 しかし、ここで問題が発生する。競技の最中、堀北がチラチラと後ろを振り返っていた事実が映像に残されていたのだ。

 その様子は木下に接触するためにタイミングを窺っているように見えなくもない。だがあれは木下に何回も名前を呼ばれたのが原因だ。そう主張するも、もしそうなら勝ちたい気持ちが先行してしまっただけだの、ルール違反ではないだのと適当なことを口々に並べ、堀北が悪いという意見を向こうは一切曲げようとはしなかった。

 これではいつまでも平行線。そう思えたが、堀北には問題を大きくしたくない理由があった。

 それが生徒会長である兄──堀北学の存在だ。

 須藤の暴力事件の時にも使われた妙手。堀北にだけ効果的な回避不可の一撃。

 兄に迷惑を掛けたくないという一心から、最終的に100万ポイントの賠償を払った上で土下座をするということで内密に話は纏まった。

 100万もの金額がCクラスに流れるのは痛手だ。だが龍園にいいようにやられた戒めとして、堀北はこれを受けることを承諾した。

 Dクラスの参加表が流出し、学校や生徒会が介入する規模まで問題を大きくしてしまいそうになった。

 次からは、そんな隙は晒さない。そう心に決め、堀北は真剣な表情のまま席を立った。

 

「お待たせ堀北さん。ちょっと友達と話し込んじゃって。ごめんね」

「いいわ。約束の時間までは少しあるみたいだし。行きましょうか」

 

 龍園の元への案内役を担うのは櫛田桔梗。

 昼休憩の時も、堀北を保健室へと導いたのは彼女だった。

 

 

 

 

 ****

 

 

 

「よう、逃げずにやって来たようだな鈴音」

 

 櫛田に連れられて訪れた空き教室。そこに龍園は待ち構えていた。

 窓から差す光は夕焼け色に染まり、周囲に人の気配は感じ取れない。

 

「ここで逃げ出したら、私は救いようもない人間になるもの。出向きもするわ」

「いい心掛けだ。前よりも魅力的な女になったな」

 

 その褒め言葉を受けて、堀北の表情が変わることはない。

 

「でもあなたとの話の前に……」

 

 無愛想な顔のまま、隣に立つ櫛田へと向き直る。

 

「いい加減茶番は終わりにしない? 櫛田さん」

「え? 茶番? 一体どういうことかな?」

 

 首を傾げる櫛田。その仕草だけでは、本音なのか惚けているだけなのか判断はつかない。

 しかし自分の考えが正しいと確信している堀北は迷うことなく言葉を続けた。

 

「いいえ、私自身が感じていたことよ。違和感を拭い切れなかったの。今この場には彼以外誰もいない。いい加減向き合うべきじゃないかしら」

「向き合うって……何に、かな?」

「私は最初、バスで高円寺くんに席を譲るよう説得しているあなたを見かけた。正直に言えばあの時はあなたのことが分からなかったの。でも、すぐに思い出したわ」

 

 櫛田の目を真っ直ぐに見据えながら、堀北は告げる。

 

「櫛田桔梗さん。あなたのような生徒が、私の中学にいたってことをね」

 

 いつ何時でも笑顔を崩さない人気者の少女。

 しかしその話題は櫛田にとって最大の鬼門だった。さしもの彼女も自慢の笑みを崩す。

 

 能面のような無表情になった──わけではない。

 櫛田は人あたりのいい笑顔とはまた違う──別種の攻撃的な笑みを浮かべていた。

 

「すぐに思い出しもするよね。私は色々(・・)問題児だったもんね」

 

 目を伏せる櫛田。

 しかし見えない部分で彼女がどんな顔をしているのか、堀北には凡そ想像がついた。

 

「その表現は正しくないんじゃないかしら。あなたは問題児なんかじゃない。今のDクラスでのあなたのように、誰からも信頼される生徒だった。でも──」

「やめてもらっていいかな。それ以上昔の話をするのは」

「……そうね。今更過去のことを語っても意味がないわね」

 

 2人の会話を、龍園は楽しげな笑みを浮かべながら静観している。

 

「話が繋がったならもう分かるよね。私がどうしたいと思っているのか」

「ええ。もういい加減気づいたわ。あなたが私をこの学校から追い出したいと考えていることは。でもそれは、あなたにとっても大きなリスクじゃないかしら。私が真実を暴露すれば、今の地位は失うことになるんじゃないの?」

「私と堀北さん。どっちが人間として信用されているかは明白だし、リスクヘッジってやつだね」

「けれど暴露されればあなたは困ることにならない? たとえ私の話を誰一人信じなかったとしても疑念は残る。少なくとも同じ中学だったことは否定できない材料だもの」

「そうだね。でも、万が一あんたが私のことを誰かに話したら、その時は徹底的にあんたを追い詰めてやる。それこそ、あんたが敬愛するお兄さんを巻き込んでね」

 

 堀北は櫛田の過去を知っている。正確には、彼女が引き起こした事件の一部を耳にしている。

 だからこそ、それがただの脅しでないことが否応なく理解できてしまっていた。

 

 しかし櫛田としても無理な行動はできないのだろう。もし露骨に現生徒会長を巻き込むようなことをすれば、堀北が自暴自棄になる恐れがあるからだ。

 だからこそ、こうして正面から追い出す策略を練っている。

 

「私のことなんて無視すればいいじゃない。私が人と関わらないことも、余計なことに首を突っ込まないことも知っているでしょう?」

「今はね。でも、この先の保証はどこにもない。私が私であるためには、過去を知る人は全部いなくなってもらわないと困るんだよね」

 

 その言葉を聞き、龍園はくつくつと笑った。

 

「だったら、この話を耳にしている俺もお前の獲物ってわけか?」

「場合によってはそうかもね」

「クク、食えねー女だな。ま、そんなところを気に入ったから組むことにしたわけだが」

「一つ宣言するね堀北さん。私はあなたを退学にする。そのためなら悪魔とも組む」

 

 堀北の隣から立ち去った櫛田は、自分の言葉を証明するように龍園の隣に並んで見せた。

 

「残念だったな鈴音。頼もしい味方に裏切られて」

「今回はあなたにやられっぱなしね龍園くん。いえ、もっと前からかしら」

 

 過去の出来事を少しだけ思い起こす。

 自分一人であったなら、二学期を迎えるより前にもっと手酷くやられていた可能性が高い。

 それをギリギリのところで救ってくれていたのは、きっと──。

 

「話を済ませましょう。ポイントと土下座だったわね。あなた()の望みは」

「先に断っておくが、木下とお前の接触は完全に事故だ。そこには他意も悪意もない。世の中もそうだろ。事故をすりゃ示談話の一つや二つ出てくる。そんなもんだ」

「そうね。証拠はないもの。私が加害者になるのは明白だわ」

 

 潔白を証明するにはそれなりの覚悟と力がいる。

 今の堀北にはそのどちらもが不足していた。

 

「でも、その上で言い切っておくわ。今回の事件はあなたが仕組んだことだって。あなたが木下さんに命令して私を転倒させた。そう確信している」

「被害妄想だな」

「妄想でも構わないわ。だからせめて聞かせてくれないかしら。あなたがこの体育祭で、一体どんな罠を仕掛けたのか」

「せっかく土下座するんだ。お前の妄想がどんなものか想像するならこうだろうな」

 

 楽しそうに笑いながら、龍園は語り出す。

 

「俺は体育祭が始まる前、櫛田にDクラスの参加表を全て入手させた。そして適材適所の人材をぶつけた上で、Dクラスを潰すことだけに全てを注いだ」

「それが理解できないわ。私やDクラスを無視していれば、もっと上の成績を取れた可能性はあったんじゃないかしら。少なくとも、私にエース級を2人も当てる必要はなかった。しかもその内の1人は怪我でリタイア。とても釣り合っているようには思えないわね」

「お前を潰す。それだけで十分ってことだ。総合点で勝つことなんざ端から興味なかったからな」

 

 それはAクラスを目指している堀北としては、とても納得できるような内容ではなかった。

 

「でもあなたの作戦は運に頼ったものだったわ。良かったわね。木下さんに私を転倒させるように命令して実行させた時、2つの偶然に救われて。私が続行不可能な怪我を負ったこと、木下さんが自分から転んで大怪我したこと、どちらも狙って出来るようなことじゃないもの」

 

 もしも木下の怪我が軽いものだったら、ここまで深刻な事態になることはなかった。

 

「確かにお前の怪我の度合いは偶然の産物だ。狙って怪我をさせるとなるとどうしても露骨になる。下手に接触すれば痛い目を見るのは木下の方だ。だから俺は木下に1つのことを徹底的に練習させた。相手と接触し自然に転倒するように見せる練習をな」

 

 その命令に木下が従っているあたり、龍園の持つ力の異常性──支配力の高さが窺える。

 

「それから木下の怪我だが……あれが偶然なわけあるかよ」

「えっ……」

「あいつは確かに転んだ。だが当然、大怪我なんぞ簡単には出来ない。だから痛がる素振りだけさせて体育祭からドロップアウトさせた。あとは簡単だ。治療を受ける前に俺があいつに直接傷を負わせてやったのさ。──こうやってな」

 

 言いながら、龍園は思い切り床を踏みつけた。

 バン、という恐ろしい音が廊下に響き渡る。あの蹴りを脚に直接受けるなど、想像するだけで痛々しい。

 

「あなたが傷つけた……? 彼女を……?」

「50万分け前をやるって言ったら承諾したぜ? 金の力ってのは恐ろしいよなぁ」

 

 勝つためなら本当に何でもやる。その心意気が伝わってくるようだった。

 こんな手段を臆面もなく採用できるクラスなど、1年Cクラス以外には存在しないだろう。

 

 しかし──。

 

「そんなことを問われるまま、ペラペラと喋ってもよかったのかしら」

「なに?」

「私が今の話を録音していたとしたらどうするつもり?」

 

 問い掛けながら、堀北は懐から携帯を取り出した。

 

「今思いついたハッタリだろ?」

「最後の賭けとして誘導くらいするわ。思いの外話してくれて正直驚いているけれど」

 

 堀北が携帯を操作する。

 

『俺は体育祭が始まる前、櫛田にDクラスの──』

 

 そこから流れてきたのは、確かに先程まで話していた龍園の声だった。

 

「あなたが私を訴える、あるいはポイントと土下座を要求するのなら、私はこの証拠を持って戦うわ。そうなれば困るのはどちらかしら?」

「クッ……!」

 

 ここに来て、初めて龍園の顔から笑みが消える。

 

「鈴音……お前……」

「私としても事を荒立てたくはない。だから今回はこれで──」

「クク、ク……ハハハハハ!」

 

 肩を震わせていた龍園は、唐突に大きく笑い声を上げ始めた。

 愉快さを吐き出すような、人の神経を逆撫でするような、そんな笑い方だった。

 

「本当に楽しませてくれる女だな、お前は。俺は最初に言っただろ。あくまでも今のは架空の話。被害妄想に付き合っただけだ。お前が脳内で勝手に作り上げた物語を、俺が想像しただけだってな」

「だとしても、その想像が本当かどうか確かめる術はあるのかしら。あなたが妄想や想像だと告げた部分だけ削除して、音声を加工することだって出来るのよ?」

 

 堀北の主張にも、龍園は動揺する様子を見せない。

 動揺する必要がどこにも無いからだ。

 

「もしそうなれば、俺は元のオリジナルを提供するだけだ。問題なんて起きねえよ」

 

 不敵に笑いつつ、ポケットから携帯を取り出す。

 

「こいつが何か分かるか? 一部始終を録音──いや、撮影している動画だ」

 

 音声以上に確実な証拠は、最初から龍園の手の中に収まっていた。

 堀北が最後の賭けに出ることなど、彼には想定の内だったということだ。

 

「認めるか鈴音。お前の完敗だって現実をよ」

 

 龍園の横で、櫛田も不敵に笑っている。

 思い付きの策など通じるはずもない。ここに来て、堀北は自分と龍園との差を改めて思い知らされていた。

 

「プライドを捨てて土下座して見せろよ、鈴音」

 

 万策尽きた。もはや逃れる術はない。

 

「……分かったわ」

 

 死刑宣告を受けた堀北は、ゆっくりと膝を折っていった。

 

 私は負けた。

 敵わなかった。

 彼我の力量差は明白だ。

 言い訳のしようもない。

 

「私は、負けを認め──」

 

 と、その時。

 ピロン──と、その場に似つかわしくない音がすぐ近くから聞こえてきた。

 

 堀北の動きが止まる。何事かと視線を上げれば、龍園が自分の携帯を覗き込んでいた。

 その表情に、先程までの楽しげな笑みは存在していない。

 

『いいかお前ら。Dクラスの堀北鈴音を罠に嵌め、潰すにはどうすればいいか、その策を授けてやる。面白いものを見せてやるよ』

 

 その声は龍園のものだった。

 先ほど堀北にも聞かせた作戦の内容を、事細かに説明している。

 

『障害物競走でお前は鈴音と走って接触しろ。何でもいいから転倒するんだ。あとは俺が怪我を負わせてあいつから金をぶん取ってやる』

 

 恐らくCクラス内で交わされたと思われる会話。

 しかし堀北に理解できたのはそこまで。実際に今何が起きているのか、その詳細はさっぱり掴めずにいた。

 

「……どういうことなのかな、龍園くん。その音声は何?」

 

 そしてそれは、櫛田にとっても同じことらしい。

 

「……なるほど、なるほどなるほど。なるほどなぁ」

 

 唯一、龍園だけは納得した面持ちで口元を吊り上げている。

 現状を正しく理解し、その上で愉快だと考えている様子だった。

 

「クク、面白いじゃねえか。これがどういうことか分かるか? 裏切り者はCクラスにもいるってことだ。そしてそいつは、陰でお前らだけじゃなく、俺も手のひらで転がしたってことだ。桔梗の裏切りも、鈴音が俺の前に敗れることも、全て計算していたってことさ。ククク、ハハハハ! 面白ぇ! 面白ぇなオイ!! お前の裏で糸を引いてやがる奴は最高だぜ!」

 

 傑作だと言わんばかりに、龍園は髪をかきあげつつ腹の底から笑い声を上げた。

 

「利用されたんだよ桔梗。お前が裏切って、俺たちに参加者リストの情報を流すことも計算してやがった。何もかも読んでやがったんだ」

 

 無人島試験の時に片鱗を見せた、Dクラスに潜む存在X。船上試験では動きを見せなかった奴が、この体育祭で手を打ってきた。

 それも、こんな最高のタイミングで。

 やはり、考えや手段がどこか自分に似ている。龍園は満足気な表情のまま、早くも頭の中で次の策を考え始めていた。

 

「裏切り行為を、最初から想定してた……? 誰がそんなこと出来るっていうわけ? もしかして綾小路くん? あの足の速さは知らなかったし……」

「まぁ奴も候補の一人だけどな。決めつけはしねぇ。こんな録音を用意できる奴が、そう簡単に尻尾を出すかは別だ。鈴音も綾小路も、場合によっては平田をも動かす奴がいるかもな。それをこれからじっくり探し出すんだよ。鈴音からポイントと土下座を引き出すことには失敗したが、収穫があっただけよかったとするか」

 

 誰がDクラスの陰の支配者なのか。考えを巡らせる龍園と櫛田。

 その横で、堀北だけは暗躍者の正体が綾小路だと確信していた。

 彼が体育祭で本気を出した理由も、あえて目立つことで真の黒幕候補から自分を外す狙いがあったのだと納得する。龍園が正体を絞れずにいる様子を見るに、他にも見えないところで色々と手を打っているのだろう。

 

「今回はこれで終わりだ。このメールの差出人も、これ以上は追及して来ないだろうさ」

「それでいいの? もしその録音を基に脅されたら?」

「学校に出すつもりならもっと後で出す。俺らが訴えた後の方が効果的だからな。土下座こそさせそこなかったが、俺としては目的の半分は達成できた。上出来だ」

 

 去っていく2人の後ろ姿を見ながら堀北は思う。確かに今回は綾小路に助けられ、実質的な損害は被らずに済んだかもしれない。

 だが、櫛田という爆弾を抱えたままであることに変わりはない。

 それはAクラスを目指す上で、この先も幾度となく障害として立ち塞がるだろう。

 Dクラスの前途は多難だった。

 

 

 

 ****

 

 

 

 夕方。日も沈みそうな頃合い。

 自室で筋トレをしていた俺の下に、1人の客人がやって来た。

 

「よく来てくれた。遠慮せずに入ってくれ」

「お邪魔する」

 

 客人──というより、正確には依頼人だろうか。

 

「で、どうだった?」

「葛城の言う通り、DクラスにはCクラスへ情報を提供している密告者がいた」

 

 淡々と、事実だけを鬼頭は口にする。

 

「Dクラスの裏切り者、それは櫛田という生徒だ」

 

 そうか。やはりそうなったか。

 

「すまない。助かった」

「礼を言う必要はない。他のクラスの状態を把握することも、Aクラスにとっては大事なことだ」

 

 俺は櫛田が裏切り者であることを知っていた。だが一応の確認として、俺は鬼頭に堀北を見張るように頼み込んでいた。

 体育祭の疲れもあるだろうに、鬼頭は文句も言わずに従ってくれた。

 結果は原作通り。人気の無いとある空き教室で、堀北、櫛田、龍園の3名が密会していたという。

 

「そうだな。だが、鬼頭の持ち帰った情報を知れて俺が助かったのも事実だ。ほんの気持ちだが、どうかこれを受け取ってくれ」

「そこまで言うのなら、ありがたく貰い受けよう」

 

 俺が愛用している未開封のプロテインを渡せば、鬼頭は少しだけ嬉しそうな表情を垣間見せた。

 

 しかし、櫛田はやはり堀北を退学させたいらしい。

 まあ、それもそうか。櫛田が本当に知られたくないのは裏の顔ではなく、それが原因で引き起こされた過去の事件の方だ。

 

 櫛田の在り方は今も中学生時代も変わらない。つまり、表では誰からも愛されるキャラを演じながら、裏でその鬱憤を吐き出すという生き方をしていた。

 問題はその方法。櫛田は匿名のブログにて日々のストレスを発散させていた。

 そしてある日、不運にもそれがクラスメイトにバレてしまう。高校に入学して割と早い段階で綾小路に秘密が露見してしまうあたり、演技なしでもドジっ娘の性質を持ち合わせているのかもしれない。

 とにかく、櫛田の裏の顔はクラス全員の知るところとなった。一変する周囲の視線。投げ掛けられる罵倒の声。それに対し櫛田が取った行動は、他人の抱える秘密を全て暴露するという壮絶なものだった。

 たかが秘密と侮ることなかれ。櫛田の秘密がバレて周りの態度が一変したように、その爆弾は想像以上の効果をクラスに齎した。

 誰しも他人への不満や恨みは抱えているもの。それが暴き出された時どうなるかは、改まって想像するまでもない。

 ましてや多感な中学生。櫛田への悪感情を募らせていた生徒たちは、その想いを他の者にも向け始める。変化と増殖を繰り返す矛先。クラスの全員が我を忘れて感情的に行動してしまえば、罵り合いを超えて殴り合いに発展しても何もおかしくはなかった。

 そうして、クラスの中は一瞬で地獄と化した。櫛田が抱えてきた秘密の分だけ、各所で数多の争いが引き起こされた。

 みんなから信頼され続けてきた少女の手によって生み出された、永続的な学級崩壊。心の内を知っている状態で、もう一度仲良くなんて出来るはずもない。

 

 これが櫛田の隠しておきたい過去であり、Dクラスに配属された最大の理由。

 櫛田は犯罪を起こしたわけではないため処罰が下るようなことはなかったらしいが、それでもその事実を知って周りがどう思うかは明白だった。

 

 もちろん、本性を見せたくないというのも本当だろう。だが事実を塗り替えられない過去の出来事に比べれば、その優先順位は少しだけ下に来るはずだ。

 櫛田は秘密を知った綾小路を脅しはしたものの、積極的に退学させようとまではしていない。

 一方で、同じ中学に通っていた堀北のことは全力で退学にさせようと動いている。

 これには天と地ほどの差がある。俺が突拍子もない理由とはいえ過去を知っている事実に気づいたら、たぶん矛先はこちらにも向くことになるだろう。

 

 そういえば、堀北を退学にさせるために、櫛田が俺に協力を求めてくることはなかったな。その兆候すら見られなかったと思う。

 まあ、俺が誰かを退学させるために動くことなんてあり得ないから正しい判断なんだけどな。

 それでも、櫛田は堀北を退学させるためならどんな小さな可能性にも賭けたかったはず。

 

 カラオケルームで黒髪ツンデレ美少女最高とか叫んだのがいけなかったのだろうか。

 

 

 

 ****

 

 

 

 閉会式のすぐ後、綾小路は1人の女子生徒に声を掛けられていた。

 何でも少し話があるらしい。しかしその時は具体的な内容は伝えられず、5時に玄関前で待つとだけ言い残して足早に去ってしまった。

 異性からの呼び出し。まず最初に思い浮かぶのは告白だ。けれど少女からそのような気配は感じ取れなかった。

 葛城曰く、足が速くてモテるのは小学生までらしい。

 高校生ともなれば、一番大事な要素は肉体の美しさ──すなわち筋肉。モテるために最も効果的なのは筋トレであると彼は力説していた。

 それを聞いた綾小路はとりあえず頷いておいたが、信憑性の程は定かではない。

 

「それで、話って?」

 

 約束通り玄関に赴くと、件の少女が仏頂面で待ち構えていた。

 早速要件を聞き出す。

 

「ついてきて」

「ついてって、どこにだ?」

「特別棟」

 

 説明もなしに歩き出した少女の背中を少し遅れて追い掛ける。

 綾小路の見間違えでなければ、彼女は確か1年Aクラスの生徒だったはずだ。騎馬戦では伊吹と接戦を繰り広げ、男女混合二人三脚では葛城のペアだったと記憶している。

 そんな人物がどうして自分なんかを呼び出したのか。いくつかの推測は浮かぶものの、どうも確信が得られずにいた。

 

 やがて、2人は特別棟の3階へと辿り着く。

 校舎内では数少ない、監視カメラの設置されていないエリアだ。

 

「一体──」

「ちょっとここで待ってて」

 

 綾小路をその場に待機させ、1人歩き出す少女。

 彼女は振り返ることなく廊下を進み、角に差し掛かったところで小さく呟いた。

 

「もう帰ってもいい?」

「はい、ご苦労さまでした真澄さん。またよろしくお願いしますね」

 

 返事もせず、頷くこともなく、静かに曲がり角の向こうへと姿を消す真澄と呼ばれた少女。

 それと入れ替わるようにして、1人の人物が姿を現した。

 綾小路も彼女のことは知っている。1年Aクラスのリーダーを務める──坂柳という名の女子生徒だ。

 

「あんたがオレを?」

 

 綾小路が問い掛けるが、坂柳はすぐには答えなかった。

 無言のまま見つめ合う両者。

 綾小路から見た坂柳の笑みは冷たく、しかしそれでいて熱を帯びているようにも感じられた。

 

「最後のリレーは大注目を浴びていましたね。綾小路清隆くん」

 

 ようやく返事をくれたかと思えば、坂柳が口にしたのはそんなことだった。

 話題としてはあまり意外性のないその切り口に、少しだけ拍子抜けする。

 

「あー悪い。ちょっと先に一通だけメールを送ってもいいか? 待っている人がいるんだ」

「どうぞ」

 

 嫌な顔一つせず、笑顔のまま頷く坂柳。

 綾小路は携帯を取り出すと、予め用意しておいたものを手早く送信した。

 

「……それで、お前でいいのか? オレを呼び出したのは」

「はい」

 

 改めて投げ掛けられた問いに、今度は即答する。

 

「それで、何の用だ? 出来れば早く本題を切り出してほしいんだけどな」

「あなたの走りを見ていてあることを思い出したんです。その時の衝撃を共有したいと思ってつい呼び出してしまいました。まるで告白の前触れみたいですよね」

「何のことだがさっぱりだ」

 

 カツン、カツン、と杖をつきながら、坂柳は綾小路の隣へと並んだ。

 

「お久しぶりです綾小路くん。8年と243日ぶりですね」

「冗談だろ。オレはお前なんて知らない」

「ふふ、そうでしょうね。私だけが一方的に知っていますから」

 

 カツン、カツン。

 横から背後へと抜けた音が、段々と遠ざかっていく。

 一体何がしたかったのか。これ以上付き合う意味は無さそうだ。

 そう判断し逆方向へと歩き出した綾小路の耳に、その単語は聞こえてきた。

 

 

「ホワイトルーム」

 

 

 無意識に、足を止めてしまう。

 それは綾小路が抱える中で最大の秘密だ。

 なぜ、どうして、という疑惑が広がっていく。

 さしもの彼も、予想外の不意打ちに少しだけ動揺していた。

 

「嫌なものですよね。相手だけが持つ情報に振り回されるというのは」

 

 まるで経験でもあるかのように、実感を込めて少女は呟く。

 

「……お前は……」

「懐かしい再会を果たしたのですから、挨拶をしないわけにもいかないと思ったんです」

 

 再会、と坂柳は言った。

 だが、綾小路にその記憶はない。

 過去に記憶を喪失したという事実も存在しない。

 間違いなく、彼女と会ったのはこの学校が初めてのはずだ。

 

「無理もありません。あなたは私を知りませんから。でも、私はあなたを知っている。これも不思議な縁、なんでしょうね。このような場所であなたに再会するなんて。正直言って、二度とお会いすることは無いと思っていましたから。しかし、これで謎が解けました。今まで不可解だったDクラスの行動。その裏で糸を引いていた人物はあなただったのですね」

「何のことだか。うちには何人か参謀がいるからな」

 

 惚ける綾小路。

 

「参謀とは、堀北鈴音さんのことですか? それとも平田洋介くん? どちらにせよ、あなたの存在が出てきた以上、誰がいても関係はありませんけどね」

 

 しかし、綾小路のことを知る坂柳にその手は通用しない。

 

「安心してください。あなたのことは一先ず、誰にも言うつもりはありませんから」

「話せば楽になるんじゃないのか?」

「邪魔されたくありませんし。偽りの天才を葬る役目は私にこそ相応しい」

 

 カツン、という細く高い音が廊下に響く。

 

「この退屈な学園生活にも、少しだけ楽しみが出来ました」

「一つ聞いてもいいか?」

「あなたから質問を頂けて光栄です。どうぞ聞いてください。私があなたを知っている理由を聞きたければお答えしても構いませんよ?」

「いや、そんなことに興味はない。ただ一つだけ知りたい」

 

 坂柳の瞳を真っ直ぐに見つめながら──。

 

「お前にオレが葬れるのか?」

 

 綾小路は言う。

 

「……ふふ」

 

 それに対し、坂柳は愉快そうに小さく笑みを零した。

 

「ふふふ。すみません、笑ってしまって。でも、あなたの発言を侮辱したつもりはありません。私はあなたがどれだけ凄い方か、よく知っていますから」

 

 綾小路の表情は変わらない。

 しかし胸の内に秘める想いは、恐らく坂柳のそれと同種のものだった。

 

「今から楽しみになりました。あなたのお父様が作り上げた最高傑作を破壊してこそ、悲願も達成できるというものです」

 

 物心ついた時から、綾小路は勝利を義務付けられてきた。

 最終的に自分が勝っていればそれでいい。その思考が心の深いところに染み付いている。

 

 しかし自分が敗北するということは、同時に綾小路をこのような在り方にした男の野望を打ち負かすことも意味していた。

 それを、綾小路は求めている。

 

 内に抱えた悲しき矛盾。

 それを誰かに壊してほしいと、綾小路は心のどこかで願っていた。

 

 

 

 

 ****

 

 

 

 

 場所は変わらず特別棟3階。坂柳が帰った後も、綾小路はその場に留まり続けていた。

 そんな彼の元へ、1人の女子生徒がやって来る。

 同じクラスの少女──佐倉愛里だった。

 

「はぁ、はぁ……お、お待たせ」

「悪いなこんなとこまで。別に急がなくてもよかったんだぞ?」

「う、ううん、待たせたら悪いし」

 

 片手で額を拭いながら、佐倉は肩で息をしていた。

 体育祭の疲れも積み重なっているのか、かなり辛そうに見える。

 

「ここに来るまでに、誰かに見つかったりはしていないか?」

「う、うん。大丈夫だと思う……たぶん」

 

 人気がなく監視カメラも設置されていない。だからこそ密会の場所として流用したのに、目立つ行動を取られては本末転倒だ。

 そう思い質問したのだが、佐倉の答えはどうも自信が無さげだった。

 だがまあ、大丈夫だろう。佐倉がそう言うのなら、目撃はされていないはず。

 こと影の薄さにおいて、彼女は無類の強さを発揮する。

 

「とりあえず、ゆっくりと息を整えてくれ。話はそれからでいい」

「うん、ごめんね……」

 

 以前葛城は、佐倉がアイドルとしての姿を晒せば人気者になれるだろうと言っていた。

 それに関しては綾小路も同意見だ。しかしそれ以上に、勿体ないという気持ちが大きく先行していた。

 佐倉の才能。それはひとえに影の薄さにある。

 影が薄いと言うと悪い意味に聞こえてしまうが、それはつまり隠密性が高いという言葉に置き換えられる。

 隠密能力。それは普通の学校生活では必要なくとも、この実力主義の学校で生き抜くには利用価値の高い能力だ。

 情報とはすなわち武器である。今までの特別試験を思い返せば分かるように、他クラスの秘密を暴くことによって得られる利益は計り知れない。試験の内容によっては、それだけでほとんど勝利が確定してしまうこともあり得るだろう。

 ならば、その才能を活かさない手はない。

 人気者になってしまえば、それと反比例して影の薄さは失われてしまう。

 人と関わらず、普段から目立たない佐倉だからこそ十全に力を発揮できるのだ。

 たとえばアイドル属性を解放し注目を集められたところで、そこには一之瀬や櫛田といったライバルが存在する。

 そんな慣れない土俵で強敵としのぎを削るくらいならば、突き抜けた特異性を極めた方がよほど建設的だ。

 綾小路をもってして存在を感知できない程の隠密性。

 それはすでに、一つの強力な武器として成り立っているのだから。

 

「それじゃあ、話を聞かせてくれるか?」

「……うん」

 

 佐倉が落ち着いたタイミングを見計らい、綾小路から促す。

 

「櫛田さんたちが集まっている教室を、外から見張っている人がいたの」

 

 今回綾小路が佐倉にお願いした内容。

 それは櫛田や堀北たちの密会現場を、別の第三者が盗み見ないか確認しておいてほしいというものだった。

 

「人数は?」

「えーと……たぶん、1人だけ」

「誰か分かるか?」

「……ごめん、名前は分からない。でも、確か二人三脚で葛城くんとペアだった気がする。騎馬戦で騎手をしてたし……そういえばリレーにも出てたかも……」

 

 そこまで分かれば十分だ。

 葛城は、確か彼のことを鬼頭と呼んでいたはず。

 少なくとも、櫛田がCクラスに情報を流しているという事実はAクラスも知るところになったと思った方がいいだろう。

 

「……ねえ」

「ん?」

「……みんな仲良くって、無理なのかな……」

 

 ぽつり、と佐倉が呟く。

 学校のシステムくらい、佐倉も理解しているだろう。しかしその上で、彼女は理想を求めてしまっていた。

 

「こんな、裏でこそこそして……。私たち、友達なのに……友達の、はずなのに……」

 

 どうしていいか分からないと俯く佐倉。

 監視をお願いするにあたって、櫛田の裏切りはすでに伝えてある。

 そこに加え、それを探るAクラスの動き。その指示を出したのが葛城なのではと疑っているのだろう。

 あとは、綾小路の隠していた実力を垣間見たのも原因の一つかもしれない。

 

 一度に理解するには多く、そして重い情報の数々。

 それを前触れもなく知ってしまえば、混乱してしまうのも無理はない。

 

「佐倉」

 

 そんな彼女に向かって、綾小路は優しく声を掛ける。

 

「何も言わず、裏で手を回すのを、みんなに対する裏切りだと思っているんだろ?」

「そ、それは……」

「だが、ここは実力主義の学校だ。能力の無い人間は生き残れない。何も行動を起こさないなら、待っているのは退学だ」

 

 あえて厳しい言葉で、佐倉に現実を突きつける。

 

「だが、オレは佐倉に退学になってほしくないと思っている。だから声を掛けた。櫛田の裏切りを教え、協力してくれるよう頼み込んだ」

 

 それから、救いの手を差し伸べるように、甘い言葉を口にする。

 

「たぶん、葛城も同じなんじゃないか? 佐倉が葛城の裏をかけるような人間になれば、あいつはきっと喜ぶと思うぞ」

「……そう、かな?」

「ああ。葛城は誰かが退学になることをとにかく嫌っていて、いつも佐倉のことを心配している。言い方は悪いが、あまり実力を信用されていないんだろうな」

「うっ……けど、それも仕方ないよね……」

 

 どよーん、と落ち込む佐倉。

 彼女はとにかく自分に自信がない。最近は少しだけ改善の傾向が見られるが、とても及第点とは言い難いのが現実だ。

 

「葛城を安心させる。そのためには、Dクラスにとって必要な人間に成長するしかない。だからこれは裏切りじゃない。自分の力を証明するための、大切な機会だと考えるんだ」

「大切な、機会……」

 

 これは何も、全てが口からの出任せというわけではない。

 佐倉がAクラスを脅かすほどの人間になれば葛城は本当に喜ぶだろう。綾小路にはその確信があった。

 

「オレに従ってくれれば悪いようにはしない。佐倉だって、葛城の驚く顔が見てみたいだろ?」

「う、うん……見てみたい」

 

 そこまでの人間になれるのか。

 最終的には佐倉次第だが、綾小路がサポートすればそう難しいことでも無いだろう。

 

「櫛田の方も、一先ずはオレに任せてくれ。……保証はできないけどな」

「う、ううん、大丈夫! 綾小路くんならきっと何とかしてくれるって、そんな気がするから……」

 

 純粋すぎる眼差し。疑うという概念の介在しないキラキラと輝く瞳が、綾小路にはとても眩しく見えた。

 

 

 

 





これにて体育祭編は終了です。
次回の更新はまた暫く期間が空く予定です。ご了承ください。

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