【凍結】1st Saga バタフライエフェクト 作:ジュネープ
これからのことを考える
20:40 ラクーンストリート東部
私は「ラクーンストリート」東部に向けて歩いているが一向に生存者と鉢合わせしない。したとしても感染者か無残に食い殺された死体だけだ。
現在の武装はAKの弾倉が8個・・・つまり240発だけ。正直言って舐めてかかったが、アンドリューが言ったように「この世の地獄」・・・頭部以外の攻撃を受け付けない感染者がアリの大群の様に群がってくる。それだけで悪夢だと言うのに私はシチュエーションの出現敵で「B.O.W(1990s)」も追加したことを思い出してゲンナリした。
日本にいた時に見たラクーンシティ事件の資料では、アンブレラがB.O.Wを投入したのがU.B.C.Sの投入数時間後・・・つまり、その数時間以内に脱出しないと難易度が跳ね上がるわけだ。それに、基地司令との面会と昼食の事を加味すると後4時間以内に全てを終わらせなければ行けない計算になる。
パン、パン、パン
ラクーンストリートにいるU.B.C.Sの銃声とは別方向からの発砲音を聞いた私は生存者がいる可能性を持って音のなる方角に歩き出した。
ーーーーーーー
タンゴ小隊第二分隊員ジミー・キャンベラ
20:25 フレンチストリート
目が覚めた時、いきなり全裸の痴女に食い殺され掛けたらどうする?
悲鳴を上げながら食われる?
ーナンセンスだ。俺の性に合ってないー
ジタバタもがきながら抵抗する?
ーカッコ悪い事はしたく無いタチなんでねー
仲間を生贄にする?
ー仲間に撃ち殺される未来しか見えないねー
俺だったらこうする
「クソッタレの雌犬め!死に晒せやおらぁ!」
ホルスターに収納していたハンドガンを向けて躊躇なく撃った。
パン、パン、パン
俺の撃った弾は胸、首、頭の三箇所に命中して、俺を襲おうとした暴徒はピクリとも動かなくなった。
周囲に暴徒がいない事を確認した俺は、墜落したヘリの中にいる仲間を起こしにかかった。
「おい!何時まで寝てるんだよ!パーティの時間はとっくに始まってるんだ!起きろ」
俺は近くにいたダイゴを叩き起こしてヘリのコックピットにいるパイロットのもとに向かった。しかし、彼は折れたヘリの翼が顔面に突き刺さっており一眼見て死んでることの確認が取れた。
「なぁ、ジミー。分隊長とバークの野郎がどこにもいないんだが・・もしかして落ちたのか?」
「落ちたのをこの目で見たぜ・・・取り敢えず俺は通信を試みるからお前は周辺の警戒を頼む」
手早く指示を出して背中に背負っていた無線機を地面に下ろして広域通信を試みた。しかし、返事は無い・・・仕方なくオープン回線にして呼び掛けたが、無線には他の隊員の阿鼻叫喚や絶望的な報告がひっきりなし飛び交っており、無線で話す事が実質不可能となった。
「クソッタレめ・・・特殊訓練を受けてそんなに経ってないだろうが!何も無線越しにさけぶことは無いだろ!」
「おいおいジミー、そうカッカすんなよ。頭に血が上ったアンタの尻拭いをするのは俺しかいないんだからよ・・・取り敢えず人生の先輩からこれからどうすればいいのか御高説賜わりましょうか」
「・・取り敢えず見晴らしのいい此処から撤退して小道沿いに移動するぞ。運が良ければ仮拠点を見つける事ができるかもな・・・・それとダイゴ。帰ったらシバクから覚えておけよ」
俺はそう吐き捨てるとダイゴを連れて此処から離れた。
ーーーーーーー
21:05 フレンチストリート
銃声が聞こえた場所に走って向かった。音の発信源に近づくにつれて。焦げ臭い臭いがするが構わずに向かった。道中音に集まってきた感染者が一塊になって向かっていたが走りながら的確に体上部・・・主に首の鎖骨辺りから上を狙って単発射撃した。
一塊になっている感染者集団に対して命中率が低い方法で射撃をしながら走り抜けるのは自殺行為だ。しかし、相手は回避行動も取らないただの的に過ぎない。しかも外れた弾は敵集団の何処かしらに当たってよろけるので無駄弾など1発も無い。
弾倉内の弾は後17発。銃声が聞こえたであろう場所に着いたがそこには誰も居なかった。墜落したヘリと中でパイロットらしき人物が死んでいたが「それだけだ」念のために注意深く辺りを観察しても手掛かりは見つからず私はポツリと呟いた
「まったく無駄足だった様だな」
私が発泡した音で感染者が集まって来る前に小道から離れた。
しかしここで問題が起きた。ラクーンストリートに出る為の道は何時の間にか増えた感染者で塞がれており、唯一通行可能な道が大回りとなる東からのルートしか無くなっていた。私は即座に銃口を感染者集団の脚部に狙いを定めて射撃しつつ後退した。倒れた感染者に巻き込まれる形で他の感染者もドミノ倒しに倒れていくのは気分がいい。
感染者集団との距離がある程度離れてきたら退却ルートを脱兎の如く駆け抜けた。
「はぁ・・はぉ・・はぁ!!!・・・・次からは・・・・射撃だけじゃなくて運動もしないと・・いけない・・なぁ・・」
100mほど走っただけで息が上がり私の足は棒のようになっていた。適当な物陰に隠れながら息を整え、視界上に展開されているミニマップを確認した。どうやら私は今フレンチストリートのさらに東側・・・対面にラクーンストリートを挟んでグットストリートがあるらしい。現状U.B.C.Sの隊員がラクーンストリートを掌握しているので安心して通る事が出来る。現状南部方面に向かった方が脱出の役に立つと考え「グットストリート」に向かおうとした時にそれは表示された。
『「対」との深刻な接触を確認。訓練を終了します。』
その瞬間目の前が徐々にフェードアウトして無機質な室内・・・訓練場に戻った。困惑している私を他所にアナウンスは続けて放送した。
『「対」ミハイル・ヴィクトールとカルロス・オリヴェイラの直接又は間接接触を確認。使用者の行動により他の「対」の行動パターンに深刻な変化が生じました。シチュエーション訓練を終了します。扉の外にある端末で詳細なデータと再訓練を選択する事が可能です』
そう言って扉が開き私に退出を促した。釈然としない思いでアナウンスされた端末に向かった。
端末の近くに立つと赤いレーザーが目に当たり、私は大いに驚愕した。その間にも目にレーザーは照射されており、時間的には2秒も経ってないうちに「ようこそ立花光雄。訓練データを表示します」と音声が流れた。
レーザーが当たった眼球に多少の違和感を覚えながら端末を操作していくと、色々な項目があり、史実での時系列での出来事が記載されており、それを見て理解した。
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19:45 U.B.C.Sラクーンシティに展開中に現エージェント、アンドリュー・フェルトの搭乗しているヘリが墜落。内パイロット死亡。
20:10 ラクーンストリートに展開していたU.B.C.Sが壊滅。現時点での生存者6人。
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ラクーンストリートに展開している部隊が壊滅していない事によってシンギュラリティが発生。それにより訓練が終了したと思う。時間を見てもまだほんの数十分しかたっておらず、再度挑戦する事が可能と判断して端末に表示されている「リトライ」というボタンをクリックして、再度部屋に入った・・・・史実通りに事を進める為に。
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シチュエーション51:ラクーン事件
操作人物: 立花光雄
日時:1998年9月28日20時00分
場所:ウォーレンストリート
目的:ラクーンシティからの単独又は複数での脱出
状況開始・・・・・
先ほどまでいた訓練場からあの街に戻ってきた私は早速行動を開始した。具体的にはガソリンスタンドに隠れてU.B.C.Sの車列が通り過ぎるのを待ち、ラクーンストリートに移動する所までは一緒だ。
大通りで戦闘中のU.B.C.Sを助けずにゾンビの囮として使い、その間に道路を走り抜けて「アイビーストリート」に到着した。
HUDに表示されている時間を見ると20:15分で状況開始から15分しか立っていない。さらに感染者との交戦もラクーンストリートに展開しているU.B.C.Sを囮に使った事により一度も無く、1発も発砲していない。
「アイビーストリートを右折すればフレンチストリートに入るのか・・・一度見てみるか」
私は前回の挑戦で墜落したヘリの生き残りに興味を持ったので「出来るだけシンギュラリティを発生させず」最新の注意を払いながら道を進んだ。
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タンゴ小隊第二分隊員ジミー・キャンベラ
20:25 フレンチストリート
目覚めたら目の前に痴女がいた。正直正気か?と自分に問いかけたい状況だが、事実だ。
手早く痴女を射殺した俺は近くで寝ているダイゴを叩き起こし、状況確認をした。
・・・残念ながらヘリパイロットは死んでいたが、無線はクリアに通じた。どうやら他の部隊はまともに機能しているようだ。
・・・・・実際は感染者の大群と交戦して壊滅していることはその時の俺には知る由もなかったが。
兎に角無線で分隊長に通信したら「グットストリート」とか言う通りにいるらしい。
「おいダイゴ。ボサっとしてないでいくぞ!」
「俺はお前と違って繊細なんだよ。単細胞のお前の先入観で決めつけるなよ」
「・・・・まぁいい、ついて来い・・・全て終わったら覚えておけよ」
ダイゴに吐き捨てると俺らはグットストリートに向かって走った。
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立花光雄
20:18 フレンチストリート
目的の場所に着くと、ヘリのローターが墜落してもなおクルクルと回っており、周囲にいる感染者の頭部を切り飛ばしている光景を目の当たりにした。昔に見た映画「ゾンビ」に登場したゾンビがヘリのプロペラに躊躇なく歩み寄るシーンを思い出したが、まさに映画のまんまだ。感染者がいなくなったのを確認した私はヘリの内部を見てみるとU.B.C.Sの隊員が2人倒れていた。彼らはまだ息があり、目覚めるのも時間の問題だろうと考え、コクピット席に移動した。
「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・おぃ・・誰かいるのか?助けてくれ!シートベルトが外れないんだ!頼む!!」
「?!生存者・・・今助けます!間違っても発砲しないでください!」
そう言ってコックピット席をのぞいた私は驚愕した。前回のシチュエーションで死亡していたパイロットが生きていたのだ。そんな私を尻目に彼は言った。
「ん?・・・おまえ日本人か?、いや、今そんなことはどうでも良い。何か刃物はないか?シートベルトが壊れてしまって抜け出せないんだ!」
「すいません。今刃物の持ち合わせがなくて・・・近くに使える物があるか探してみます。」
そう言って私はヘリから距離をとって物が切れる物を探した。
(前回は死んでいたのになんで生きてるんだ?・・・たしかヘリパイロットの死んだ時の格好は・・・・は?!)
前回のシチュエーションで彼はプロペラが刺さって死んでいたが、今現在プロペラは破損しておらずクルクルと回っている・・・これが導きかれる答えは一つだ・・・。
「あぶな・・・・っ?!」
警告しようとした私がヘリの方に注視するのとプロペラが折れて辺りに飛び散るのは同時だった。とっさに伏せてプロペラが当たることを回避したのはいいが、助けようとしたヘリパイロットは地面に当たって跳ね返ったプロペラの破片が頭部に突き刺さり即死していた。
(これで前回と同じ格好の死体ができたと言うわけか・・・)
これから助けられる命を助けずに任務優先で事を進めることに若干の抵抗感を覚えたが今更だと思った。ここに来る道中で助けられる命をわざと見捨てた私にこの状況を悲しむ権利などない。それに『仕事だから仕方ない』と割り切って辺りを探索した。
「ウウウウウゥ・・・・」
シチュエーションを開始して何度も聞いたことのある声が聞こえたので慌てて耳を澄ました。
(・・・この声・・・近づいている・・プロペラの破損音で気づかれたのか)
近くに、ヘリの墜落現場を見渡すことのできる二階建ての家を発見していたので、私は極力音を立てずに進入。そして二階に登り窓から墜落現場を見た。
「・・・女性の感染者か・・・あの2人は無事に済むか心配だ・・・」
感染者はゆっくりとヘリに近づいて、少しヒョロめの男に狙いを定めたようだ。どんどん彼との距離が近づいていきそして・・・・
「クソッタレの雌犬め!死に晒せやおらぁ!」
パン!パン!パン!
男の怒号と三発の銃声が聞こえたと思ったら感染者は後ろによろめいて倒れた。遠目から見た感じでは、即死だろう・・・そもそも感染者に即死という概念があるのかは分からないが・・・・・
「おい!何時まで寝てるんだよ!パーティの時間はとっくに始まってるんだ!起きろ」
中背の男が気を失っているもう1人を乱暴に蹴るともう1人・・・アジア系の男がむくりと起き上がると冷静な口調でこう言った。
「なぁ、ジミー。分隊長とバークの野郎がどこにもいないんだが・・もしかして落ちたのか?」
「落ちたのをこの目で見たぜ・・・取り敢えず俺は通信を試みるからお前は周辺の警戒を頼む」
蹴り起こしたのはジミーという名前らしい・・・
彼らは周囲の警戒をしつつ無線で連絡を取った。
「こちらはタンゴ小隊第2分隊通信手のジミーだ。現在地はフレンチストリート。繰り返す・・現在地はフレンチストリート」
この様な通信を何度か試みると通信に反応があった様で2人は携帯している地図を開いて位置を確認していた。
「おいダイゴ。お前が先行してくれ・・・俺は後ろを警戒する。それで異論はないな?よし行くぞ!」
「初めから俺の意見なんて聞いてないじゃないか・・・まぁいい、せいぜい後ろには注意しろよ?」
「・・・冗談を言えるぐらいには意識がはっきりしてる様だな。「グッドストリート」に向かうぞ!」
どうやら、アジア系の男は「ダイゴ」で彼らは「グットストリート」に向かう様だ。
(取り敢えず私も移動するとするか・・・・?!)
動こうとした私の気配に気付いたかの様にダイゴと呼ばれた隊員が私のいる方向をジッと見つめた。気づかれてないだろうが動いたらバレる様な気がする。状況は少し違うが、蛇に睨まれたカエルとはまさにこの事を言うのではないかと感じた。
「おいダイゴ。ボサっとしてないでいくぞ!」
「俺はお前と違って繊細なんだよ。単細胞のお前の先入観で決めつけるなよ」
「・・・・まぁいい、ついて来い・・・全て終わったら覚えておけよ」
ジミーがダイゴに話しかけたことで彼の視線が外れ、私は緊張感から解放される事が出来た。仮にこのまま見つめ続けられていたら見つかっていたと思う様なあの視線にはもう二度と関わりたくないと思った。
気を取り直して私は彼らに気づかれない様に背後から尾行した。
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第2分隊隊長アンドリュー・フェルト
1998年9月28日20時30分
グットストリート南部
「とりあえずは、20:50分に本隊が集結する予定の「ラクーンストリート」に到着するよう行動する。ジミーの言った通りならラクーンストリートを挟んだ対面側の通り・・・「グットストリート」にいるはずだ。」
「ジミー達との合流はどうするんだ?」
バークの質問に「出会い頭に遭遇するはずだ」と言った。正直ヘリから投げ出された時はどうしようかと思ったが、携帯無線と自身の体が無事に動作したのは不幸中の幸いだ。
現在、俺たちのいる一軒家の裏庭から裏路地に入りお互いをカバーし合いながら目的地に向かった。
「分隊長!・・・足音がします、それも複数」
「本当か?・・・こちらに近付いてるようだな。近くの家に隠れるぞ。俺に続いて援護しろ」
大人1人が少し余裕を持って通れる程度の裏路地でこちらに向かってくる複数人の足音・・・こんな状況で暴徒共ではない保証はどこにも無く、戦闘になった場合のリスクを考えると、隠れるという選択肢に至るのには充分だった。
木製の柵に取り付けられた勝手口から侵入(幸運な事に鍵がかかってなかった)した俺達は家の裏口を蹴破りクリアリングを行った。
「・・・一階オールクリア!。バークは二階のクリアリングをしろ、その後は何か使えそうな物を探してくれ。俺は一階部分で使えそうな物を探すから」
「了解。取り敢えず窓のある部屋を見つけたらそこに陣取る事にするぜ。」
「・・・俺の話を聞いていたか?」
各々が決められた行動通りに動く。家の中は良く片付けられており、対暴徒用になり得る物を見つける事が出来なかった。俺はバークの「窓を発見した」と言う言葉を聞いて二階に上がった。
「これは暫く待ちぼうけを食らうな」
「そうみたいだな・・・提案なんだが、いつ奴らが雪崩れ込んでくるかもしれない場所にいるのはやばいと思うんだよ。家を何かでコーティングすれば安全に待機できると思うが?・・・」
「それは良い考えだ。この家にある物を適当に持っていってバリケード代わりなするぞ。決まれば早速行動だ。」
バークの提案を受け入れた俺は家にある木製の家具を「少し」壊して窓を塞いだ。
ドン、ドン、ドン、ドン
ドン、ドン、ドン、ドン
小刻みに響く釘を打ち付ける音が気持ち良いぐらいに響き渡る。
ドン、ドン、ドン、ゴト、ドン
「?・・・おいバーク、一旦手を止めろ。何か音がしなかったか?」
「分隊長、俺は近くで釘を打ち付けていたんだ・・・銃声や悲鳴でない限り聞こえるわけがないだろう」
そう言ったバークは耳をすませた。
ゴト、ドコ、ガコ
「?!・・・分隊長、一階はオールクリアじゃなかったのか?」
「『一階は』な・・・どうやらこの家には地下室があるみたいだ。暴徒が隠れていないとも限らない。警戒しながら入り口を探すぞ」
内心の焦りを何とか顔に出す事なく俺は先陣切って地下室探索に乗り出した。地下室探索と言っても(アメリカの家にしては)狭いフロアで、戦闘のプロ2人が探すと容易に見つける事ができて少し拍子抜けしたが・・・・
「俺が先に突入する。バークはサブウェポンで突入してくれ」
「了解」
ドアノブに手をかけた俺はベルトに銃を吊るして自由になった反対の手でカウンドダウンを行った。俺自信の焦りが一本一本折れていく指の感覚が何時もより早めなのにバークは気づき俺をニヤニヤと笑って見ている。イラついた俺は指が全て折れた後バークに見えるように一瞬だけ中指を立てて突入した。その後ろからはムッとした顔のバークが入りスムーズにクリアリングを行った。
一見、地下室の中には誰も居なかったような感じになっているが、俺の感が告げている
ーーー誰かいる、とーーー
バークも俺と同じように感が働いたのか視線をキョロキョロと周囲に向けている。
ゆっくりと辺りを観察している俺の目が地下室に設置されているロッカーに向いた。そのロッカーに向けて神経を尖らしていると中からゴソゴソという音がわずかに聞こえた気がした。
バークにアイコンタクトでロッカーを開くように指示すると彼は音を立てずにロッカーに近づき取手に手を掛けた。
バン!!
「ウォォォォ!!!」
開いた扉から男が雄叫びを上げて襲いかかってきた。手には折れた木片を逆手に持ち、銃を構えようとした俺に飛びかかってきた。
片腕で男の武器を持った手首を掴み、もう片方で彼の溝付近をドンと押して引き離した。
「動くんじゃねぇ!俺らは市民救出のために出動したU.B.C.Sだ!」
「U.B.C.S?・・・・アンタ達をゾンビ共と勘違いしていた・・ごめんな」
興奮していた様子の男はバークの言葉で正気を取り戻して申し訳なさそうな顔で謝った。
「そっちのあんた。さっきは殺そうと飛びかかってすまなかった・・・・俺の名前はロイ・キングだ。ラクーン市警交通課に所属している。そっちは?」
「俺はバーク・スペクターだU.B.C.Sタンゴ小隊第二分隊の衛生兵だ・・・・おい、分隊長」
さっきの揉み合いを根に持っている俺はバークに声をかけられるまで仏頂面でそっぽを向いていたが、仕方がないと言わんばかりに喋った
「・・・・アンドリュー・フェルト。第二分隊の分隊長だ・・・・まだ許したわけではないからな」
「それについては本当にすまないと思っている。ここ数日、外にいるゾンビ共の相手をしていたもんだから精神が参ってしまっていたようだ・・」
弱々しく答えた彼に視線を向けて観察した。年は俺と変わらないようだが身につけているトレンチコートは所々焦げた痕や血が付着しており、酷い有様だ。何日も風呂に入っていなかったのか体からは異臭が漂い、綺麗な色をしていたであろう髪は血が染みているのか元の茶髪がくすんだ色に変色している、ツーブロックヘアに至っては元の髪型がわからないぐらいカピカピになっていて外の暴徒共と遜色ない状態だった。
「・・・とりあえずこの家の風呂に入ったらどうだ?避難誘導しようにもこんな異臭を放っていては敵わんからな」
「・・・感謝する」
こんなになるまで町を駆けずり回った哀れみと同情を禁じ得ない。それと同時に俺達も元は市民を救出する為にここに来たが、ロイとか言う警官と同じ状況に陥りかけている。それに加えて助けようとしているのは、同じ目的を持つはずの警官。
「なんだかなぁ・・・」
「?・・どうした」
「いや・・・何でもない。バークは一階で見張っていてくれ。俺は二階で暴徒共の動きを見張っとく」
「了解・・・分隊長。気を張り詰めすぎるなよ?」
胸が飛び上がるような感じがした。6歳も年下の、それも20の青二才に心を見透かされたような気がした。自分自身SASでの経験でポーカーフェイスは得意だと自負しているが彼も同じような経験を積んだ仲間だ、ばれたとしても仕方がない。その時の俺はこの言葉を言うので精一杯だった。
「大丈夫だ、問題ない」
取り敢えず何が変わったかを簡単に書きました。
「映画『ゾンビ』に登場したゾンビがヘリのプロペラに躊躇なく歩み寄るシーンを思い出したが」という文ですが、これはジョージ・A・ロメロ監督作品の『ゾンビ』ディレクターズカット版に出てくる、ヘリのプロペラに自分から頭を削られに向かってくるゾンビの事です。映画「ゾンビ」はディレクターズカット版しか見ていないのですが、その他にも色々なバージョンが存在しているらしいので、暇があったら見てみたいと思います・・・・・・・・・・・・・暇があったら・・ね?