【凍結】1st Saga バタフライエフェクト   作:ジュネープ

13 / 21
ガキと子守戦士

1991年7月20日

人民民主党政府傭兵部隊ダイゴ・フローレンス

ガプール郊外

 

 

「おいクソガキ!新しい任務だ。装備の詰め込みを手伝え!」

 

 

待機室で寛いでいた俺に入室早々そう言ったジミーに文句を言おうと顔を向けた俺は恐怖で言葉を失った。

彼の目に宿っていた心の炎は極限まで凍り、表情は忿怒で満たされた顔でそれを見せられた16歳のメンタルは一瞬でズタボロになった。つい数日前に初めての実戦と人殺しを経験した俺はそれを上回る恐怖とトラウマを植え付けられたのは今考えると良い事だったのかもしれないと思う。

 

 

「どうした?チャッチャと動け!行くぞ!」

「い、言われなくても分かってるよ!」

 

 

若干声音が震えていたがジミーはそれを指摘することなく部屋から出ていき、俺も後を追った。

 

 

俺の名前はダイゴ・フローレンス。16歳で日系三世のアメリカ人だ。俺の家族は両親と弟の4人で酒バーを営みながら暮らしていたが、思春期特有の反抗期ってやつで喧嘩、そして家出だ。

 

ここまでは普通の何処にでもいる少年だと思うだろ?あいつ・・・ジミーに会うまではな。

 

遠くに行くために足が必要だと考えた俺がジミーの乗っている車を盗もうとした時に呆気なく取り押さえられた。なぜ事に及んだのかを話したら「俺と一緒に来るか?」って言われて飛びついた。

 

その瞬間から俺はピッチピチの新人傭兵になった訳だ。

 

銃を持って撃ち合うという事は相手を殺すという事だ。

ここに来て日が浅い時に参加させられた戦闘は・・・・何というか、ヤバかった。

敵の兵士は錯乱して「敵味方関係なく襲っている」し、味方の傭兵は俺らだけ前に立てて自分達は後方でおセッセときた。そんなカオスな状況でも初めて敵兵を殺した時の事は鮮明に覚えている。なんせ、クスリをキメた同い年ぐらいの奴を5メートル以内で射殺したからな。

 

そいつは「胴体を撃っても死なずに襲いかかってきた」もんだから頭に数発撃って汚い花を咲かせてやったよ。

 

 

「ここにあるドデカい銃と、RPG、弾薬・・・取り敢えずありったけの装備を詰め込むぞ」

 

 

ジミーが歩みを止めてそう言った。目の前には武器貯蔵庫があり、中の装備を見渡しながら俺に目配せした。

 

 

「いやいや、いくら何でも多すぎないか?なんでこんなに装備を持っていくんだよ」

「ウルセェ!俺のいう通りにしてろ!ピックアップを入り口に回すからお前は運び出しとけよ!」

 

 

俺の疑問に対してそう吐き捨てるとスタスタと車両の置かれている場所に歩いていった。溜息を一つ吐き、気合を入れて武器の搬出に取り掛かった。

 

 

「よぉ、キット!保護者無しでどうしたんだ?」

「それにこんなに武器弾薬を出して・・・もしかして1人じゃ怖いから万全を期すってか?!」

「ハハハ!!違いねぇ!」

 

 

搬出を開始してから10分後、2人の傭兵が俺に向けて茶化しを入れてきやがった。

最初に喋ったのはGIカットとサングラスがよく似合う自称「ナイスガイ」

次に口を開いた奴はアジア系の男。周囲からは「モンキー」と呼ばれている。

 

 

「ウルセェよ。これもジミーの指示なんだよ。お前が言うように怖いわけじゃないからな!」

「おいおい、必死な顔で否定するからキット(ガキ)って呼ばれてるんだよ。なぁ、キット?」

「はっ!、俺とジミーに戦闘を押し付けて後方で女どもをレイプしてたのは誰だろうなぁ?モンキー?」

「なんだと?・・・キットのクセに言うじゃないか。大人の本気をテメェのケツにぶち込んでやろうか?」

 

 

モンキーと俺の間で一触触発の空気になってるのを察したナイスガイがにこやかな笑顔でこう言い放った。

 

 

「2人ともやめろ。仲間同士で喧嘩して傷を負っても誰も手当てしないからな。それにモンキー。お前は大人としての冷静さを持ったらどうだ?キットの言っている事だって事実なんだし。だからモンキーなんて言われるんだよ。それにキット。モンキーがこんな奴だってことぐらいお前もわかってるだろ?ここはお互い振り上げた拳を収めてくれ」

 

 

そう言った彼の顔は笑ってるが、サングラスの奥から覗く瞳は有無を言わさない迫力がにじみ出ていた。それに気づいたモンキーも「確かにそうだな」と言って俺の元から、やや早足で歩き去った。

 

 

「すまんなキット。先に話しかけた俺にも責任がある」

 

 

そう言い残してモンキーを追ったナイスガイの背に向けて俺は言った。

 

 

「ずる過ぎるんだよ・・・・大人は」

「何がずるいんだ?」

「ジ・・ジミー?!いつから此処にいたんだ?!」

「お前がモンキーとナイスガイに絡まれている時からだよ。分かったらサッサと荷物を詰め込め!やる事は車の中で説明するからトットと済ませろよ!」

 

 

人使いの荒いバディもとい保護者が居るととても窮屈に感じる。

 

車に荷物を詰め終え、発進してから俺は作戦・・・と言うより死にに行けと言わんばかりの内容を聞いて怒鳴り散らした。

 

 

「駐屯兵がいるとしても何で防衛戦にたったの2人なんだよ?!こうゆうのに詳しくない俺でもヤバイって分かるぞ?!」

「・・・ウチの大将は部下に丸め込まれて全面的に信用している。俺らは傭兵だからいつでも逃げる事はできるぞ?。でも契約不履行でいくら請求されるか分かったもんじゃない。ここは嫌でも従うしか道はないんだよ」

 

 

そう吐き捨てるようにいったジミーの表情は普段通りの顔に戻っているが瞳はいまだに冷たかった。俺は一言だけこう言って黙り込んだ。

 

 

「狂ってやがる・・・・」

 

 

ーーーーーーーーーーーー

数時間後

補給基地指令所

 

 

 

補給基地に到着した俺達は積み荷を下ろして、駐屯している兵士たちに事情を話した。おかしなことに兵士たちに襲撃の情報が行き渡っておらず俺たちが1から説明する羽目になった。

本来であれば襲撃の情報はとっくに行き渡っているはずだが・・・俺は司令部に対して不信感を募らせていた。そう思っているのはジミーも同じ様で明らかにイライラと貧乏ゆすりをしていた。

 

「なぁジミー、いつまでもトラックの運転席にいないで武器の設置を手伝ってくれよ。じゃないと俺の腕がポッキリと折れてしまうよ」

「泣き言言うな。そんなんだからお前はクソ餓鬼(キッド)呼ばわりされるんだよ」

「はいはい、どうせ俺はいつまで経ってもクソ餓鬼だよ。それで?次は何をすればいいんですか?・・ママ」

 

 

俺がそういった瞬間ジミーはギョロっと睨みつけた。慌てて謝罪の言葉を口にしたが既に遅く、鉄拳制裁を食らったのはいい思い出だ。

 

 

 

「おいお前、ここの責任者は誰だ?」

「・・・・あいつなら屋上の日陰になってる所で寝ているだろうよ」

「マジかよ・・・よく回していたな?」

「実質ここの責任者は俺だよ。あいつは名前だけのお飾りさ。俺の名前はオマール、階級は軍曹だ。周りからはハードワーカーって呼ばれてるよ」

 

 

礼儀もへったくれも無い俺が年上の・・・それも初対面の人に話しかけた。彼は疲れ切って死んだ魚の様な瞳を優しく細めて自己紹介をした。正直俺の苦手なタイプだ。

 

 

「俺の名前はダイゴ・・・・周りからはキットって呼ばれているよ」

「キットか・・・若々しくていいね。所でもう1人の連れはどうしたんだい?積荷の積み下ろしが終わったら指令所の作戦室で今後の事について話し合いたいけど」

 

 

ハードワーカーがそう言った途端屋上から怒鳴り声が聞こえてきた。

 

 

「それでもアンタ責任者か!!!!!」

 

 

声の主はジミーである事は間違い無いはずだ。誰に言っているかは何となく察しがついた様で俺はハードワーカーに視線を向けた。彼も察しているような瞳で苦笑いをした後にこう言った

 

 

「あちらから作戦室に来るっぽいね。俺達は地図の用意と人集めに勤しもうか?」

「なんで疑問形なんだよ・・・俺は外にいる奴らを集めに行くからお前はここで準備をしといてくれ」

 

 

俺がハードワーカーにそう言って部屋を出て行った。

 

 

「・・・というわけで作戦を説明する」

 

 

部屋にはダイゴ、ジミーと駐屯兵9人全員が机の周りを取り囲んでいた。その中にはここの責任者である男が頬に新しくついた青痣を痛々しげに触っている。そんなメンツの中会議の音頭をとったのはジミーで、責任者はこちらを睨みつけている。

 

 

「先ず、情報の共有をする。司令部に届いた報告ではイスラム党の大部隊がここを占拠するために進軍中との事だ。司令部も応援を寄越したいがジャララバードに釘付けでこちらに寄越してきたのは大量の武器弾薬とたった2人の傭兵・・・つまり俺とこっちのガキだ」

 

駐屯兵はそれぞれ不安、疑問、怒りの瞳を宿らせ俺達を見つめている。それを意に介さずジミーはこう言った

 

 

「俺達はここの拠点について詳しく無いから防衛線構築はそちらに任せる。ちょいちょい横からアドバイスをするから全員ドシドシ意見してくれ」

「・・・諸君らも聞いた通り、今回の防衛線構築はこの基地の存続に関わる重要な案件だ。私は自室で夜の見張りに備えて睡眠を取るが、諸君らの作戦立案に期待している」

 

 

ジミーの言葉に続いて責任者から告げられた言葉は有り得ないものだった。言うだけ言うと彼は足早に作戦室を出て行った。

 

ジミーに視線を向けると傍目からも分かる様な青筋が浮かんでおりプルプルと肩を震わせていた。

 

 

「さ、さて、これから作戦を練っていきましょうか!。」

 

 

全員で話し合って決めた作戦はこうだ。

 

 

基地外を見渡せる城壁の4方向にマシンガンを設置して人員を北以外2人ずつ付ける。北は1人だけで基地から50メートル以内に地雷を設置してリソースを節約。

基地中央部にスナイパー(ジミー)を設置して全方位から来るであろう危険度の高い敵を射殺する。残りの5人を弾薬の補給や、各エリアの遊撃要員として使う。という感じに纏まり、各々が遮蔽物になりそうな物を集めて基地の強化に努めた。

 

 

「なぁジミー?何でこんなところに地雷を埋めてるんだ?」

「ここは敵が接近した時に遮蔽物として使う可能性が高いからな、万が一の保険だ・・・・ほら、ボサっとしてないで地雷を埋めた場所を書きこみやがれ!」

 

 

俺達は基地外に出て地雷を埋めては地図に記す作業をしていたが・・・周りが暗くなってきて寒気が襲いかかってくる状況だと印をつけるのも一苦労だ。こんなんだったらハードワーカーと一緒に防衛線構築をした方がよかったのでは無いかと思った。そう考えても時間は進んでいき、全ての作業を終えたのは21:00時だった。正直ヘトヘトだが、これから1週間にかけて24時間敵の襲撃に怯えないといけないと考えると気が滅入る。

 

 

「なぁ本当に来るのか?」

「司令部の命令だから分からんが、近いうちに来るだろう」

 

 

そうジミーと話していたが予想に反して敵の襲撃がないまま5日が経過した。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーー

タンゴ小隊第二分隊員ダイゴ・フローレンス

21:03 フレンチストリート

 

 

「あの時まじで何もこなかった時は肩透かしを喰らったが・・・問題は5日目の夜だな」

「あぁ、俺もあの夜のことは忘れられねぇよ。何てったって今の状況と【似ている】からな」

 

 

 

 

 

1991年7月24日

人民民主党政府傭兵部隊ジミー・キャンベラ

21:56分 補給基地

 

 

「敵だーーー!!!!全員起きろ!」

 

 

ぐっすりと寝ていた俺の意識は警戒中の仲間の怒鳴り声と直後に響き渡ったマシンガンの騒々しい連射音によって浮上した。1秒以内に意識をはっきりとさせて武器を手に取り隣でオドオドしているダイゴに向かって怒鳴った

 

 

「いつまで寝ぼけてやがる!敵だ!お前も配置につけ!!」

「えっ?!・・・敵?!!!」

 

 

混乱していた頭に響き渡る銃声と俺の「敵」というワードに即座に反応したダイゴはふらつく足取りで外に飛び出していった。正直心配だがそんな気持ちは表情に出さずに中央の会議室に向かった。

 

 

「おい傭兵!何がどうなってる?!この音はなんだ?!」

「聞いて分からんのか?!このボンクラ責任者!敵襲だ!さっさと準備しろ!!」

 

 

会議室にはこの基地の責任者の男が寝巻き姿で慌てふためいてやがった!。5日前に1発良いのを喰らわせてやって性根を叩き直したと思っていたが、どうやら簡単に治るものではなかったようだ。彼以外の駐屯兵は全員が即座に応戦可能な状態で仮眠をとっていたのに対しコイツは寝巻き姿ときたもんだ!

 

奴に精一杯の蔑んだ視線を喰らわせてやって二階の高台に向かった。

 

 

「サーマルスコープは・・・キチンと作動してるな・・・・なんだこの数は?!」

 

 

俺が驚くのも無理はない。大量の小さい点がまるでアリのようにチョコマカと動いているのをみるとそんな反応をするはずだ。数は憶測で100以上。正直こんな補給基地一つを攻める数ではない。動揺している俺をよそに敵兵はどんどん距離を詰めていき所々で爆発と悲鳴が響き渡った。数日前に仕掛けた対人地雷が効力を発揮しているようだ。

 

爆発と悲鳴が響き渡った後の敵兵の動きは目に見えて遅くなっており、俺は無線で全員に言った。

 

 

「奴らの進軍速度は鈍ってるぞ!テメェの弾を奴らにぶちまけてやれ!」

「言われなくてもやってるよ!ジミーこそしっかりと働いてるだろうな?!奴ら減る気配すらないぞ?!」

「そんなこと考えなくていい!取り敢えず動く奴が居たら弾をぶちまけろ!絶対に当たるはずだからよ!!」

 

 

俺はそう言い放って無線を切り、スコープを覗き込んで射撃を行なった。

 

 

ドン、ドン、ドン

 

 

3発立て続けに放った銃弾は敵の胴体を捉えており、敵兵は糸の切れた人形のように地面に倒れ込んだ。俺には元々狙撃の才能があったようでオーストラリア軍にいた時も上官から一目置かれていたものだ・・・・最も日頃の行いが悪いから傭兵家業なんてのに手を出してるわけだが、それはそれだ。

 

 

 

数時間後・・・・

 

8月26日 5:48分

 

 

朝日が昇ると同時に敵の襲撃はパタリと止み当たりには静寂が支配した。まるで何事も無かったかのようだが、濃厚な火薬の匂いと辺り一面に散らばる物言わぬ屍が夜の戦闘の激しさを物語っていた。

 

 

「全員聴け・・・敵は一時撤退したみたいだ。今から死体漁りとトラップを仕掛けた後に作戦室に集合してくれ。今後の対策を立てたい」

 

無線を切りトリガーに掛かりっきりの指を何とか引き剥がした俺はぐったりとした足取りで作戦室に向かった。

 

 

「全員集まったようだな・・・死んだ責任者以外は」

「傭兵さんよ・・・いちよう言っとくが俺らはあのポンコツ責任者と一緒にしないでもらいたいね。虫唾が走る」

 

 

1人の兵士が大袈裟に身震いするジェスチャーをして周りの雰囲気が多少和んだのを感じた。責任者の野郎は部下からも好かれてなかったらしい。人間死んだ後に評価されると考えていたが、これ程とは・・・・。

 

 

「全員聞いてくれ、本隊からの増援は今から約24時間後に到着する予定だ。それまで俺らがこの場所を死守しなければジャララバードガプールを繋ぐ補給線が破綻してしまう。みんなが嫌いだった責任者が死んだ事だし、この場の最高責任者である俺がこの部隊を指揮する。昨晩の敵の構成を見る限り今夜はとても長い夜になりそうだ。だから全員で有意義な意見を言い会おうじゃないか。君たち傭兵は何か意見はあるか」

 

 

オマールは全員に向けてそういうと俺に向かって意見を求めた。俺はそれに対して「対人地雷を増やすと良いだろうなと俺は思う」といった。

 

 

「おいジミー。昨日であんなに来たんだ。今日はその倍くると考えた方が良くないか?」

「それは私も思っていたよ。今日の防衛線は誰1人として撤退は許されない。敵にしても捕虜をとろうなどと考えないだろう。全員この場で死ぬ覚悟を固めておいてくれ、その時になってからじゃ遅いからね」

 

 

ダイゴの言葉に続いてオマールも同調するように言った。この場にいる兵士は各々違う反応をしたが兵士になった段階で覚悟はしていたのだろう。兵士たちの覚悟を決めた漢の瞳を爛々と輝かせて闘志がまるで熱気の様に俺の肌に当たったかの様に思えた。

 

 

 

 

 

俺はその瞳が嫌いだ・・・・

 

 

「ダイゴ・・俺は見張りをする。後で作戦の概要を教えてくれや」

 

 

醍醐の言葉に耳を貸すことなく足早に退出した。

 

 

 

ーーーーーーー

 

1991年7月25日

人民民主党政府傭兵部隊ダイゴ・フローレンス

22:48分 補給基地

 

 

「・・・・ったくジミーの奴・・いったいどうしたんだよ」

「ジミーにはジミーなりの考えがあるんだろう。大人っていうのはそういうもんだ。君も大人になったら嫌でもわかるよ・・・嫌でもね」

 

「だとしてもあそこまで言う事は無いでしょう?せっかく作戦の概要を知らせようとしたのに」

 

 

口をすぼめてそういう俺の言葉にオマールは苦笑いで反応した。これが大人の余裕なのか分からないでも、1つだけ確かな事がある。

 

ジミーの瞳は俺と同じ瞳をしている

 

 

 

ーーーーーーー

 

7月26日

0:14

 

 

日付が変わったが未だに敵は俺たちを攻めてこない。今日は攻撃をしないのではないか?と考えていた俺の予想は一分後に覆された。

 

 

「敵襲!!この数は・・・・昨日の日では無いぞ!総員気張っていけ!」

 

 

上で見張りをしていたジミーの声が聞こえたと同時にヒューと言う風を切る様な音がした。瞬間、基地の内部で小規模な爆発が発生した。どうやら敵は迫撃砲を用意しているようだ。

 

 

「こちら北側!!ジェリーがやられた!!至急援護と衛生兵を頼む!!」

「泣き言言ってるんじゃねぇ!衛生兵なんて居るわけねーだろ!お前らがやる事は敵を殺すか死ぬかの2択しかねーんだよ!分かるか?!分かったらちゃっちゃと殺しまくれ!!」

「すまないサム。彼に対して適切な処置を施すことができない。敵に機銃掃射をしながら緊急手当を施してくれ」

 

 

ジミーの乱暴な言葉をマイルドに言い換えたオマールのフォローはこの場ではとても有難い。彼の様な人材をこんな所で燻らせている事に対して思う事があるが、今はそれを考えてる余裕はなく弾丸の雨を敵に降らせまくった。

 

 

「こちら東側!なんかおかしぞ・・・俺らの弾が全く聞いてない?!・・・・く、来るなーーー!・・・・」

「・・・?!こちらオマール、どうした?何があった応答しろ?!・・クソ!!」

「オマール東側で何かあったんじゃないのか?俺が見てくるからオマールはここの防衛を頼む!!」

 

 

そう言って俺は1人東側のバリケードに向かった。

 

 

「なんなんだ・・・これは!」

 

 

東側のバリケードに到着した俺の目の前には、味方である仲間を一心不乱に敵兵と一緒に『喰っている』所だった。よく見てみると首の部分や心臓に小石程度の穴が空いていてとても生きているとは思えない状態だった。この光景に圧倒されていると唐突に2発の銃声が響き渡った。

 

「おいダイゴ何をやっているんだ?!こいつらはもう味方じゃねぇ!!死にたくねぇなら武器を取れ!」

「お、おい!ジミーさっき撃ち殺したのは味方だぞ?!これが仲間にバレたら裁判にかけられちまう・・・っていうかリンチに合いそうな予感がするんだが?!」

「そんなことを考える暇があったら銃を撃ちまくれ!!」

 

 

ここから先は地獄だった。奴らはクスリをキメてるのか心臓を撃っても少しよろけるだけで死ぬ事はない。

俺達の方向に這いずって向かって来た。『初陣で殺した兵士と同じ』ような瞳で俺達の方向にじりじりと距離を詰めていっている。

 

そんな時に南側と東側から無線が届いた

 

 

「こちら南側!!。な・・・何発撃っても死なないぞ?!・・・駄目だ!距離がどんどん・・う、うわぁーーーーーーー!!!・・・・」

 

「こちら東側!。奴らの勢いが強すぎる!さっきドミーが奴らに耳を喰いちぎられてしまった。今からドミーをせよって撤退する・・・ドミー?どうしたんだ?・・・や、やめろ!!痛い!痛い!助けてく・・・・・・」

 

 

「ジミー!!!南側と東側はどうなってるんだ?!」

「おおジーザス!!お前がいる所と同じだ。この戦場は何かおかしいぞ!ジミーは牽制射撃をしつつ建物内に撤退して最終防衛ラインに就け!」

 

 

東側と南側の無線が突然途切れたのを不審に思った俺は高台でスナイパーと化したジミーに状況の確認をしてもらった。結果は最悪の事態になりつつあるようだ。牽制射撃をしつつ本部に撤退した俺らを待っていたのは北側で防衛についていたオマールだった。どうやら生き残っているのはジミー、俺、オマールの3人だけのようだ。

 

 

「ダイゴ、どうやら俺らの命はここにいる俺含めて3人で勝ちとらないといけないようだ。まだ18歳にもなっていない君には辛い思いをさせると思う。でも信じてる。絶対に生きて美味い飯でも食べようじゃないか!」

「おい、オマール。楽観的すぎないか?現実を見ろ!とりあえずこの基地に対人地雷を仕掛ける。その後奴らが入って来れないようにバリケードを設営するぞ!時間は有限だ、奴らもすぐにここに来るだろう。全員ベスト以上の成果を出せ!」

 

 

俺が3名は酸味一体、one for all all for oneの信念を感じさせるような動きでバリケードをすぐに作ることができた。これが火事場の馬鹿力と言うものだろうか、この時の行動を真似しろと言われても出来ないだろう。

 

ドン!、ドン!、ドシャ!!

 

扉が破れた音の後に対人地雷が作動した音が鳴り響いた。

 

 

「オマール聞きたいことがある。敵はまだ見えないのか?」

「奴らはゆっくりと歩いて多いを縮めていったんだ…絶対に走る事はしない。こんな銃声が響いてる中まともな神経のやつだったら走って隠れ場所に逃げ込もうとするはずだ。でも奴らはそんなことを一切せずに銃弾をその体に叩きつけられながら近づいて来たんだ。それで生きている事自体がおかしい。生命の冒涜を感じたね・・・?!敵と接敵!機銃掃射に入る!」

 

 

コンクリートを挟んだ1つ先の部屋から風を切るような習性が鳴り響いた。その音を合図に俺とジミーがそれぞれ守っている部屋にも敵が侵入しようとした。ヤク中共の息の根を止めるには頭を狙うしかない。それがここに来てからの初陣で学んだ事だ。モードをフルオートからセミオートに変更して1発1発を確実に奴等の頭にぶち込んでやった。無線でジミーとオマールからの報告では2人ともどういうやり方でやったかは知らないが敵を食い止めてるようだ。

 

 

「こちらオマール!固定機銃の弾薬がもう残り少ない。弾薬が切れたら後退しつつ階段前に移動する!」

「おいオマール!。消費が早くないか?!せめて俺らが階段に来れるスペースを確保しといてくれよ!!」

「大丈夫だよジミーさん。ここの責任者の補佐をしていたのは私だよ。これぐらいどうと言う事はない!私を信じてくれ!!」

「オマール!!絶対に死ぬじゃないぞ?!。お前が死んだらそのしわ寄せが俺たち2人に来るからな!!」

「そう心配しなくても大丈夫だよダイゴ。俺は絶対に死なないから君たちは安心して目の前の敵を倒してくれ」

 

 

オマールそのようなやりとりをしている間にも敵はどんどん侵入してくる。敵を抑えることが困難になり俺は置き土産に手榴弾1つ投げ込んで階段前に撤退した。背後で手榴弾が爆発して俺の目の前に親指らしきものが飛んできた。爆発をもろに受けた奴の部位だろうかと考えたがすぐにその考えを引っ込めて階段前で銃撃を行なっているオマールと合流した。

 

それから少し後にジミーも交流して俺らはジワリジワリと階段を上がりながら敵を殺していった。

 

「おいジミー!!弾を節約したとしてももうマグは残り5個しかないぞ!!どうするんだ?!」

「その時は覚悟しとけ!!生きたままあいつらに食われたくなければ壱発だけでも銃弾を確保しとけよ!これで楽に死ねるからな!」

「死ぬ前提かよ!」

「俺についてきたことを後悔する事だな!傭兵っていうのはこういうもんなんだよ!」

「君の言うことがもっともだ。洋平なんていくらでも替えの利く駒だからな。金さえ払えば何でもやってくれる便利屋。死ぬときにはきちんと覚悟を決めて死んでくれよダイゴ?」

「オマール・・・信じていたんだけどね」

「傭兵なんぞに心を許すと思っているのか?俺は絶対に生き残る。てめえらが先に死ねばいいんだよ」

 

 

人は死に際に本性現すと言うがあの時見せたオマールの本性は俺の精神をバキバキにへし折って強靭なものにするには充分だった。

 

とうとう階段を登り切り二階に追い詰められた俺達は窓の外を見て絶望した。

周りを覆い尽くすほどの敵兵、敵兵、敵兵

それを見て硬直した俺とだいごの背中を強い衝撃が襲った。衝撃で窓から落ちた俺は何が起きたか分からないうちに衝撃の大元を見た。そこには口をゆがめて人間ではない顔をしているオマールの顔があった。

 

 

「俺は絶対に生きてやる!!せめて俺が生きる時間はてめえら2人の命で賄ってくれ。あばよ」

 

 

背中に強い衝撃を受けて一瞬息が詰まったどうやら1階部分に投げ出されたようだ。横を見るとジミーも同じような姿勢で苦痛にもがいているが彼の瞳は面白く歪んでいた。

 

「お前が裏切ることなんて予想はできていたんだ。俺が何も対策をとっていないと思ったら大きな間違いだ!!」

 

 

そう言うと懐からボタンを取り出して、ためらいなく押した。瞬間、建物が大爆発を起こした。

 

どうやら自民は建物内に爆薬を設置して奴らを一網打尽にする計算だったようだ。もっとも奴らだけではなく味方も爆殺してしまったのは予想外だと思う。多分




解析編のキャラ紹介に挿絵を入れました!よければ見てください。
簡単にキャラを作ることが出来るのでとても良いサイトでした。ただ問題点があるとしたらミリタリー系が少ない事かな?
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。