【凍結】1st Saga バタフライエフェクト 作:ジュネープ
立花光雄
22:05 フレンチストリートセーブハウス
「ロイさんはどうしてここに居るのですか?街に繰り出した警官は壊滅したと思っていたのですが・・・」
アンドリュー達と合流して家の中で待機している私は意を決して聞いてみた。
その質問に30秒間の沈黙の後、ポツリポツリと語り出した。
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ラクーン市警刑事課巡査部長ロイ・キング
1998年9月24日 15時45分
ラクーン市警刑事課オフィス
その日は非番のはずだが、緊急の呼び出しを受けて嫌々ながらオフィスに行ったよ。何でも「スタジアムの試合中にサポーター同士の暴動が起きた」って理由だった。
「まったく。今日は休日だって言うのに・・・」
「この非常事態で呑気な事が言えてるのはお前だけだ。キング」
俺のボヤキを聞いた警部が眼光を鋭くさせてそう言った。俺は直感的に謝罪の言葉を言って彼に状況の説明を求めた。
「現在付近をパトロール中だったパトカー5台を向かわせているが、暴徒は時間が経つ毎に増えている様だ」
「増えている?・・・おかしくないですか?」
「いいや、おかしくないね。どうせ暴動に便乗して略奪や破壊を楽しみたい馬鹿どもが加わってるだけだ。数年前に起きたロサンゼルス暴動がいい例だ」
その後彼は俺に現場に急行しろと言うなりオフィスで陣頭指揮をとりだした。
俺は銃保管庫に行き、ショットガンとハンドガンを受け取り、現場に向かう警官のパトカーに便乗させてもらう形で急行した。
スタジアムに近づくにつれて逃げ惑う人々が多くなり、所々で警官が市民に向けて発砲している光景を目にするようになった。俺は知らないがきっと戦争もこんな感じなんだろうと1人で納得していた。
「巡査。俺はここで降りるから停車してくれ」
「分かりました・・・・健闘を祈ります」
「お前もな」
停車したパトカーから降りる際に交わしたやりとりは短いながらも大量の想いが詰まっていた。巡査から言われた言葉を胸にショットガンを持って市街地を駆け抜けた。
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1998年9月24日 20時16分
エナーデイルストリート
状況は絶望的だ。スタジアムの暴動鎮圧に駆り出されたものの、暴徒の数に押し負けて警官隊は多数の死傷者を出して撤退。暴徒の進行ルート上にバリケードの設置を行った。その作業は現場の警官達が独断で行った事だが仕方がない。何故なら本部に無線連絡をしようにも混線によってまともな通信ができないので現場は孤立した。
後から知った話だが市街地にいる警官は付近の最上級者に従う形で小〜中集団を形成して俺達と同じようにバリケードを設置していたらしい。
俺は現場で指揮を取っていた警部補に付き従う形で各所にバリケードの設置を行なっていた。
「ロイ巡査部長!暴徒共は来てないか?」
「大丈夫ですよ。警部補!」
「何度も言うがゾンビの様な動きで近づいてきた奴は全て敵だと思って射殺しろ!」
この時いた警官は全部で12人。数時間前までその倍の人数が居たが時間が経つ毎に殉職者が続出して現在の人数になっている。
半分がバリケードの設営で残りの半分が防衛に回っている。そんな状況の時、警部補が俺に声をかけた。
「ロイ巡査部長!セントラルストリートで救援要請だ!1人で応援に向かって欲しい」
「1人?!ふざけないでください警部補!最悪でもあと2人此方に回してもらわないと厳しですよ!」
「厳しいのは分かっている!だが、こちらもこれ以上の人員を割くわけにはいかない!・・・分かってくれ」
「・・・分かりました。」
思う所はあったがこの状況で贅沢言ってられないのは一般市民でもわかる事だ。黙ってセントラルストリートに急行した。
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1998年9月24日 20時42分
セントラルストリート
現場に着いた俺の眼前には筆舌に尽くし難い光景が広がっていた。漂う腐臭と火薬の濃い匂いを我慢してバリケード越しで防衛戦を展開している集団に話しかけた。
「エナーデイルストリートから応援に来たロイだ!ここの責任者はどこだ?!」
「責任者なんていない!指揮権限を持っている奴は暴徒共の仲間入りだ!お前は誰だ?!」
俺の呼びかけに答えたのは交通課に所属している若い巡査だった。周りには制服姿の警官しかいなく私の存在が一際際立っていた。
「俺は刑事課のロイ・キング巡査部長だ!この数の暴徒共から防衛するのは不可能だ!遅延戦闘で奴らの進行速度を遅くするぞ!」
「待ってくれ!この通りは大量の爆薬が仕掛けられている!俺らの仲間が起爆するために別行動をしてるんだ。撤退をするなんて事は出来ない!!」
俺はそれを聞いた後、近くで応戦している警官からショットガンの弾を受け取り、1発だけ装填すると慣れた手つきで奴らの眉間に打ち込んで言った。
「オーケー大体のことは理解した!全員気張っていけ!!!」
こうして短いながら濃密な時間の幕が開けた。
「左側面の弾幕が薄いぞ!そこのお前!もっと狙いを付けて撃て!弾は無限にあるわけじゃねぇぞ?!」
「・・・?!全員前方だけじゃなく裏路地から暴徒が来てるぞ!」
防衛戦は苛烈を極めた。バリケード越しから噛まれたり引っ掻かれたりする者が出たが死者は依然として出ていない。そんな時に裏路地を経由して此方に攻撃をしようとした暴徒を見つけた。
俺は裏路地一帯を制圧するために数人の警官とともに突入して射殺した。暴徒共は映画に出てくるゾンビの様に頭部以外の攻撃を受け付けない。だからショットガンで頭部を吹き飛ばしているわけだが、弾が残り少ない。いちよう支給されたグロックは持っているが、相手が相手だ。戦おうものなら一瞬で押し潰されるだろう。
『巡査部長!正面の奴らが後少しで突破してきます!!そちらに回した人員を少しだけ戻してください!!』
「無茶を言うんじゃない!・・・・いや、分かった。この通りは俺1人で防衛する。がんばれ!」
「巡査部長!正気ですか?!」
「あぁ、至って真面目だ・・・お前ら!!全員正面に迎え!!」
無線を横で聞いていた警官からの質問に答えた後にそう言った俺は孤独な戦いを繰り広げた。
時間にして数分だろうか。突如として無線からこんな声が聞こえた。
『巡査部長!爆発の準備が整いました!今から爆破するので衝撃に備えてください!』
その声を聞いたと同時に俺はその場でしゃがみ込み、爆発の振動に備えた。直後に大爆発が起きて強烈な揺れが自身の体を襲った。爆発音は何重にも重なっており、音が鳴るたびに強烈な揺れが発生する。そんな時にパリパリっという不吉な音を聞いた。
音の発生源は近くにある老朽化した建物からだった。
老朽化した建物に爆発の振動・・・それが意味する事は。
「うそ・・・だろ?!」
建物がパリパリっと言う音と共に崩れ落ちてその下敷きになった。
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立花光雄
22:10 フレンチストリートセーブハウス
「崩落した建物から這い出た後はグロック一丁で何とか生きていたってわけさ
「これはまた・・・よく生きてましたね」
彼の話を聞いた私が言ったセリフは月並みの物だが彼はその言葉に対してひとしきり笑った後に言った。
「悪運と幸運は人一倍あると自称してるんでね」
そう言う彼の瞳はうっすらと潤んでいた。それが笑いによる涙か、はたまた別の涙なのか私には分からなかった。
「光雄、ロイ。そろそろここから出発するぞ」
「ダイゴさん・・・どちらに向かうのでしょうか?」
少しの間黙って彼は「本隊と合流するためにラクーンストリートに向かう」と言った。
「3分後に出るから支度はするんだぞ?」
そう言って彼は私たちがいる部屋を出て行った。
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U.B.C.Sタンゴ小隊第二分隊分隊長アンドリュー・フェルト
22:03 同場所
俺にとって奴は異様だった。日本人と言っていたが銃の扱いに慣れすぎている。どこかの組織のスパイかと思ったが体型や動作に所々無駄な箇所がありその可能性はない。しかしそれは俺にとって些細な問題だ。目下の目標は如何にして彼らを無事に救出することが出来るか・・・それに掛かっている。
俺たちは市内で救出した2人とは別の部屋でこれからの事について話し合っている。物々しい装備の男達が一つのテーブル席に着いている光景は側から見たら滑稽に映るだろう。沈黙が支配している空間で俺は口を開いた。
「本来ならラクーンストリートで隊長達と合流する予定だが、予定時刻を大幅にオーバーしている。そこで全員に聞きたいが今後どうすればいいか意見を聞きたい」
「いちよう言っとくが、ラクーンストリートは車のバリケードで分断されている。小隊長と合流するには大幅な回り道が必要だ。」
ラクーンストリートを横断して来たダイゴがそう言うとジミーもそれに同意するように黙って首を縦に振った。
「分隊長。一つ提案なんだが、俺らは簡易的な基地を作る必要があると思う」
そう言ったのはバークだ。彼は何か確信を持った目線で訴えて来たので俺は黙って続きを促した。
「俺らは時計台に防衛線を築いて市民を暴徒達から守りながら脱出させる目標を持っているが、この広い街で一点だけに戦力を集中させたら部隊全体に多大な負担をかける可能性がある。そこで俺達は道中で出会った部隊の生き残りと武装した市民を使って防衛に適した場所を確保したいと思う」
「ちょっと待ってくれ。そんな決定を分隊内だけで決めて良いのか?」
バークの言葉にジミーが反対した。ジミーの気持ちは痛いほどわかる。傭兵のような立ち位置だとしても俺たちはアンブレラに雇われたプロフェッショナルだ。
部隊内で決めた事で今回のミッション全体の予定が狂ってしまうのは避けたいという気持ちが伝わってくる。
2人は暫く自身の意見をぶつけ合っていたが最終的に分隊長である俺に委ねられることになった。
「俺としてはバークの意見を採用する。理由としては、長距離無線の混線、暴徒の特異な性質、役に立たない地図・・・戦線が維持出来ているのかさえ分からない状況下での組織としての最適な行動はジミーの案だろう。しかしそれを厳守したらチームの命が幾つあっても足りない」
「・・それが分隊長の決定と言うのであればそれに従うぜ」
「助かる。それとダイゴ。別室で待機している奴らに声掛けをしといてくれ」
「了解分隊長。」
ジミーは何か言いたそうだが腐っても俺はジミーの上官だ。何も言わずに窓辺に寄り添って煙草を一本咥えた。
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立花光雄
1998年9月28日 22:30
ラクーンストリート
「ったく、何で俺がお前らのお守りなんだよ・・」
「いちよう俺はここの警官だからな?自衛程度ならお茶の子さいさいだ」
「まぁ、ロイに関してはそんなに心配してないが・・・問題はミツオ、お前だ。物騒な武器を唯ぶら下げてるだけなら俺らで有効活用するから覚えとけよ?」
今私がいる場所はセーフティハウスがあるフレンチストリートから南下したところにあるラクーンストリートだ。西から東に横断するように引かれたこの道路はラクーン市民や、外部から来る人が往来する主要道路だ。
この道路には本来U.B.C.Sの大部分がヘリから降下または陸路での侵入で防衛戦をしていたが、感染者の数に押されて壊滅、生き残った隊員は散り散りになった場でもある。しかし、それをアンドリュー達は知らない。
地図上で見たラクーンストリートは一直線の道路ではなく何度か緩やかに折れ曲がったような形状をしており、アンドリュー達がいる地点から西側の端を見ることはできない。
それに加えて事故車両や炎上している車、所々に点在する感染者の存在によって彼らはU.B.C.Sが壊滅した証拠に目を見つける余裕はないのである。
「おいお前ら!敵の動きは鈍重だからって気を抜くなよ」
「分隊長〜俺らはいちようプロなんだぜ?そんな新人みたいなヘマなんてしないってーの」
「・・・少しは仲間の事を信頼したらどうだ?」
「確かにそうだな・・・気分を害したならすまなかった」
アンドリューの言葉に対してジミーとバークが苦言を呈し彼は素直に謝罪した。彼のその言葉、声音、態度には本気で言っていることが分かりやすく好感が持てる。
この分隊のリーダーに任されたのもこの様な面を評価されてのことなのかと私は考えた。
「ヴァガァぁダァ!!」
「・・・?!当たれ!」
ドン!
考え事の最中に近づいてきた感染者をAK-47の弾丸で撃ち抜いた。
AK-47の7.62弾はU.B.C.Sや警察組織が標準装備している武器の口径よりも大きいので彼らの頭部に撃てば1発で倒すことが可能だ。しかしこの町で流通している(連射できる)銃はどんなに大きくても5.56弾しかなく私の銃は弾が無くなったら鈍器にしかならない。
よって彼等、U.B.C.Sの隊員に感染者集団の対処を任すしかない状況になっている。
「アンドリューさん。私たちはどこに向かってるのですか?」
私は外に出てから疑問に思っていた事を聞くと彼は周囲に鋭い目線を放ちながら言った。
「ラクーン高校に向かう」
ここまで書いたのに小説内では数時間しか経過してない。
一気に進めたいものです・・・
話は変わるのですが・・・雛見沢症候群とプラーガって似てません?