気が付いたら前世のアニメの第一部のボスでした〜かませ犬にならないために〜 作:弥生零
目の前で俺を神だと宣言した部下が異端審問にかけられている件について。
いやどういう状況だよ。
「ジル様こそが神。これは揺るぎない絶対の理だ」
いや、確かに教会勢力相手に俺が神に連なる者であると誤認させるよう行動しようとしたし、その為の手札も用意していたが、教会相手にこんなストレートに言われたら計画ご破算するわ。
俺は教会勢力が勝手に俺を神に連なる存在であると誤解するように誘導させたかったのであって、堂々と「俺が神だ」なんて宣戦布告したかったわけではないのである。
相手に指摘されれば激昂するような事も、自分で気付いた場合は案外すんなりと納得してしまうのが人間だ。
パソコンが起動しないと怒り狂う人間に対して「コンセントちゃんと刺してます?」と指摘すれば更なる怒りを買うが、パソコンを箱から取り出す手順から説明してやると「あ、コンセント刺してなかったわ」と自分で気付き怒りが霧散する話は有名だろう。
それと同様のことを、俺はやりたかっただけで。誰も教会相手に真正面から喧嘩を売ろうなんてしてないのである。
(これ、キーランへの怒りが俺に飛び火したら俺も死ぬんだよな……)
そんな俺の内心を知ってか知らずか、キーランは威風堂々としていた。
知らぬが仏とはまさにこの事なのか。
いや、あれでもキーランは優秀だ。流石に熾天クラスになると強すぎて正確な力量を測れないだろうが、少なくとも自分より遥かに強い事くらいは容易に想像出来るはず。
そんな俺の疑問は、脳内に響くキーランの心の声によって一瞬で氷解した。
『まさしくこれは、神を証明する場。これこそが私の使命。そうですよねジル様』
そんな使命を与えた記憶はない。
内心でキーランの言葉を切り捨てていると、教会側の人間───司教が口を開く。
「キーランと言ったな。その戯言のせいで、同志ジルも嘆いていよう。自らが力を与えた配下が、ここまで愚鈍であったという現実に」
お前達の同志になった記憶はもっとない。
「先程から神たるジル様を同志同志と……不敬極まると何故理解しない? 神を
「貴様の国と同一視するなど───」
「双方殺気を抑えい。奇跡的に現れた我等と志を同じくする人間、ジルの前じゃぞ。ジルは真なる信仰を持ってこそいるが、外の人間故に我等との価値観の相違というものがある。ソレは一応ジルの配下じゃし、
不遜な物言いのキーラン。
怒りを
そんな二人に抑えるよう口を開いたのは、教会の最高権力者である教皇の老人だ。
二人を同時に抑える事で中立であるかのように振舞ってこそいるものの、その物言いは完全にキーランを処分する事が己の中で決まっているも同然のそれである。
(同志ジルという言葉は否定しなければならないが、しかしこの場で真正面から否定するのは火に油を注ぐようなもの……下手をすれば教会勢力と全面戦争になりかねない。熾天全員を同時に相手して勝てるわけねえだろ)
だが不幸中の幸いとでも言うべきか、異端審問はある意味、俺が同志であると誤解されている現状を打破する一手を考える為の時間稼ぎとしては役立っている。
『ジル様は私を信じて、敢えて同志ジルという不名誉な言葉を見逃して下さっている。私はジル様が神である事を証明する栄誉を承ったのだ。ご期待に応えねば……!!』
(そうじゃねえ。そんな期待してねえ。お前マジで少し黙れ。……いやこれ心の声だから黙ってはいるのか。めんどくさいな)
キーランに関しては謎の使命感に燃えていた。心の声が聞こえるせいで彼が本気でそう思っている事が分かって、非常に頭が痛い。
……まあジルが同志と呼ばれて何もしない事に関して「臆したか」と思っていないなら別に良いといえば良いが。
しかしこれは最悪の場合キーランとヘクターはここで切り捨てる算段も立てる必要があるかもしれないな。
死人に口なし。いっそここでは清々しいまでの信徒ムーブをかまし、現世に戻った途端キーランとヘクターを殺害し、信徒ムーブという名の黒歴史を闇に葬り去る……ダメだ、それなりに使える手足を切り捨てるのは惜しい。そちらに思考のリソースを回すのは今ではないだろう。
そして何より、ヘクターを切り捨てると俺の心の安寧が無くなる気がする。
「何故貴様らは理解できん? 見ろ、ジル様のお姿を。あの
「儂が言うのもなんじゃがな。お主は黙っておいた方が良いと思うぞ」
熱弁を始めるキーランを、教皇が
それは先ほどと違い、本気で喋らない方が良いという彼なりの優しさだった。
教皇の目を見れば分かる。あれは完全にキーランをやべえ奴認識している者の瞳だ。
彼は優しさをもってして、キーランに言っているのだ。これ以上生き恥を晒すのはやめておけと。
今この瞬間だけ、俺と教皇の心は完全に一致していた。
故に俺は教皇の言葉に激しく同意する。お前は喋らない方がいい。
「熾天ソフィアよ。その者は突然そのような世迷言を口にしだした。違いないか?」
「仰る通りです、教皇殿。確かにこれまでも突然服を脱ごうとするなどの奇行は見えましたが、まさかこれほどまでに狂っていたとは……」
あり得ない者を見ているような視線を、ソフィアはキーランに送っていた。
かの熾天相手にそのような目で見られるなんて、普通に偉業である。こんなに嬉しくない偉業は初めて見たが。
今この場にいるのは、こちら側は俺とキーランにヘクター。教会側はソフィアを含めた熾天が三人に加え、教会の頭脳──上層部である司教四名。そして、教会最高権力者である教皇。
司教達は今すぐキーランを処刑すべきだと訴え、教皇は結末自体は異論がないものの、今はまだ早計であるとその言葉を拒否。
熾天勢はおそらくソフィアはほぼ教皇と同意見。そして残る二人はというと。
「……まっ、外の人間ですしね。外には外のルールってもんがあるんじゃないですかい? 同志ジルはオウサマなんでしょう? しかも、元々おかしな行動自体は取っていたんだから、まあ一種の異常事態ですよ異常事態。オウサマのジルの臣下であり、異常事態に陥ってる彼の言動にはある程度目を瞑ってやるのが、慈悲ってやつでは?」
熾天の一人、ジョセフ。
彼は教会の中では割と外の人間に対して寛容的な考えの持ち主であり、比較的外の世界の人間に近い価値観を有している。
実のところ熾天は神の血を引いているというその性質上、教会の考えに即していない行動をとることもしばしばある。人間より神に近い存在であるが故に、彼らは教会の教えとそれと異なる価値観の混ざった存在になる事もあるらしい。
それで良いのか最高戦力と思うかもしれないが、幾ら寛容とはいえ神を絶対視しているという点においては彼も他と変わらない。
「……否。……ここは……教会だ。……であるならば……教会のルールに……従うが道理……即、殺す」
静かに、されど鋭利な瞳をもってキーランを睨む目元以外を隠しフードを纏った青年の名はダニエル。
物静かな口調と態度でありながら、熾天で最も過激な存在。当然ながら実力も高く、俺が今回非常に警戒心を抱いている存在だ。
「とはいえ、ようは彼らはお客さんでしょ? しかも、向こう側にはこちらの常識は痕跡さえも無いときた。情状酌量の余地はあると思いますけどねえ」
「……そのような事情は……考慮に値しない。……そもそも……奴らは不法侵入者……同志の素質を持つ……ジルは例外として……残る二人は……抹殺……それが……一番良い……教皇の言葉を……待つまでもない……我が……殺す」
そう言って、ダニエルは一歩踏み出した。
それを見て流石に何かしないとまずいと判断した俺が口を開くより先に、ソフィアが横目にダニエルを睨む。
「待ちなさいダニエル。この場はあくまで審問です。である以上、彼を殺すのは審判が確定してから行うのが筋というもの。もう一人に至っては何も処刑する理由がない。確かにキーランという男は目に余る。ですが私は、彼らにこれ以後嵌めるような真似はしないと口にした。故に貴方が道理なく彼らを害すると言うのならば、私は彼らを守護する為に貴方の前に立ちふさがろう」
「……正気……か? ……少なくとも……その人間の……処刑は確定だろうに……。……もしや……お前は……神の意志に……逆らうと? ……それは……不遜だ」
「ほう。では聞くが貴公はいつ、神の代弁者になったのだ? 神の意志は神にしか語れない。貴公のその発言は不遜がすぎるぞ。この場にいる人間は誰も神では無い。私は勿論、貴公もそこは変わらない。貴公が神を
「……」
「……」
直後、二人の体から神威が放たれた。
初めて受ける自分以外の神威に内心で顔を
即席、無詠唱とはいえ仮にも超級魔術の結界なのだが……ギリギリか。
「……」
こいつらマジか? 口喧嘩だけでめちゃくちゃ神威放ってるんだけど。この神威だけで現世にある結界の類を貼っていない建造物は殆どが半壊するんじゃないか。
それでも空間が震える事すらないこの教会を褒めるべきか、口喧嘩だけでこれだけの神威が漏れるこいつらの理性の無さに呆れるべきか、どっちだ。どっちなんだ。
「へえ。ジルさんはお二人の神威を受けても動じないんだな」
「そよ風を受けた程度で、山が動く訳が無かろう」
「あの二人の神威をそよ風、ね」
意味深な笑みを浮かべるジョセフを見て、自然と眼が細まる。
熾天の実力は一人一人が最終決戦におけるジルとほぼ同格であり、現在の俺はこの空間のおかげでかなりブーストされているとはいえ、最終決戦でのジルには及ばない……と思う。最終決戦のジルがどれほどの全能感を抱いていたのか俺は知らないので、なんとも言えない。
一部において最終決戦でも主人公勢には敗北しなかったラスボスとほぼ同格の存在が生えてくるくせにそいつらは別にボス格では無いって、流石にインフレ激しすぎる。
「……そもそも……偽りの信仰を抱いている存在が……この神聖なる地……ここに足を踏み入れる……それ自体が……万死に値する……」
「何を───」
「……教皇」
「なんじゃ?」
「……我は……求める……アレの使用を……」
……アレ? なんだそれは。
聞き覚えのない。しかしどこか不穏な響きを感じさせる単語に眉をひそめる俺を横目に、ソフィアから放たれる神威が更に強まった。
「外の者にアレを使うだと? 貴公はジルの配下を不当に殺すつもりか?」
「……笑止」
「なんだと」
「……あの男の言葉が真ならば……アレを用いても……死ぬ事はない……」
「だがそれは───」
「……そもそもこの場は……神の御前……であれば……偽りの言を口にした者が死ぬのは……当然の理屈……」
「……」
「……ソフィア……お前も……異論はなかろう……」
「……ええ、ありません」
そう言って、二人は神威を収める。
神の前では、あらゆる事情は些事。それが教会勢力の絶対の理屈であり、である以上ソフィアが自らの意志を捻じ曲げるのも当然なのだ。
ソフィアは一瞬だけこちら側に視線を送り。そして、力無さそうに逸らした。
「……」
もしかすると強引にソフィアを巻き込んで力技でゴリ押せるか? と思ったが、まあ不可能か。
ソフィアは義理堅い人物だが、しかしそれでもやはり神を第一として考えている。
教会という外界から隔絶された箱庭の中でだけ過ごしている以上、神に近い存在とはいえ価値観が固定されるのは当然であった。
そんな事より、アレとはなんなのか。偽りの言葉を口にした者が死ぬ……嘘探知機のようなものでも使うつもりか? それでキーランの言葉を偽りと認定し、その後処刑になる流れか?
「神々への信仰を測る神代の魔術」
そんな俺の内心の疑問を見透かしているのか、ジョセフは飄々とした様子のまま口を開いた。
「元々教会は、神々への信仰を確たるものとする為に設立されたものでな。教会へ志願する連中に使っていた、神が編み出された神代の術だよ。現世と隔絶されてからは一切使われてない術だけどな」
……成る程。俺は戦力的に神代の魔術を絶対視していたが、そんなしょうもないものもあるのか。記憶しておこう。
いや、しょうもないとは言えないか。裏切り者やスパイを遮断できるのは有用だし。てかそれ俺達にピンポイントで刺さってるじゃねえか。マズイな。
キーランの俺に対する信仰心は本物だが、しかし俺はそもそも神じゃない。俺が神であれば俺への信仰心は即ち神への信仰心とイコールだが、俺が神でない以上その信仰は神への信仰ではなく、その術には一切の信仰が示されない結果になる。必然的にキーランは偽りの言葉を述べたことになり、神の前で嘘を吐いたキーランは殺す、という寸法か。
「ちなみに信仰がない奴は自動で死んでくれるっていう素敵な機能付きなんですわ。同意がないと使えないけどな」
いや強すぎるわなんだそれ。嘘八百を並べて使えば信仰ない相手には無敵の術じゃねえか。
……いや待て、千年以上も使われていない術式なんだ。であるならば準備に手間がかかるかもしれない。それまでに打開策をなんとか考え出せば……!
「……では……始める……」
ダニエルの手元とキーランの足元に、黄金色の魔方陣が展開される。
そんなに直ぐ出来るのかよと毒吐く間もなく、信仰心を持たないキーランが───。
「……………………………………………………………………………………………………………」
それは、俺の予想した数秒先の未来とは異なる光景だった。
目を見開き、絶句しながらキーランを見るダニエル。
対して、ゴミを見るような視線をダニエルへと送るキーラン。
両者の間にあった力関係のようなものが……キーランの優勢に傾いている……?
「……バカ……な……」
「……そのようなものがあるならさっさと出していればいいものを。教会。真の信仰を持つとの事だったが、期待外れだったか。真の神に気付くことさえ出来ないとは」
待て。待て待て待てどういう状況だ。
「……バカ……な……この術は……神々に対する信仰にのみ……反応を……示す……神々以外への信仰は……対象外である……はず……」
「貴様はまだ分からんのか? 最初から言っている。───ジル様こそが、この世界に降臨せし神であると」
クワッと、目を見開きこちらを注視する教皇と司教。
その視線の色に、俺は見覚えしかない。完全に、完全にキーランが俺に向ける視線と同一である。
「……神、なのですか」
待って……じゃない落ち着け。
変態を幻視したからといって、目的を見失うな。なんの因果か知らないが、当初の思惑通りに軌道が修正されたんだ。これに乗らない手はない!
「……フッ。ようやく気付いたか教皇よ。然り、私は人間の身体を借りることで初めてこの世界に降臨した
「お、おお……! 貴方様がここへ来たのは初だというのに、現世から天界への変化を把握している……! ま、まさに……!!」
「こ、このお方が……神……!!」
「こ、これまではとんだご無礼を……!」
「なに許そう。こうして貴様らを試していたのは私なのだからな」
一体どの口が言っているんだ案件だが、俺は神々しさすら感じさせるであろう笑みを浮かべながらつらつらと嘘を並べまくる。原作知識で本来神々と教会しか知り得ない情報を把握しているからこそ、為せる業である。
相手を寛容に許す事で神としての余裕を演出するのも大事だ。変に話が拗れて嘘がバレても困る。大事なのは迅速に、俺にとって都合が良い方向で話を終わらせる事である。
「かつて地上を去る際、神々はある細工を施した。それは知っているな?」
「はい。言い伝えによりますと、一人の人間に『権能』が目覚めるよう───」
そう、権能。
名を、『
それこそが一部において猛威を奮ったジルの固有能力であり、神々ならデフォルトで備えている異能。神々と人間を隔てる絶対的な力。
「その通りだ。だがな教皇。仮に人間が権能を得たとしても、それを活用する発想に至らねば意味を成さんとは思わんか?」
「……!!」
「犬の群れで育った猫が自らを犬と認識し、猫としての習性を失うのと同じだ。人間社会の中で権能に目覚めただけの人間は自らをただの人間と定義し、権能を扱えない。であればそもそも封印が解かれないという可能性が当然浮上するであろう。……故に、私がいるというわけだ」
まあジルはそんなの知らんとばかりに権能を扱うのだが……よく考えたら凄いな。
しかし、普通に考えたら俺の言っているようにただの人間として埋もれる事の方が自然だろう。現に、「なるほど」「確かに」「流石神」などの声が彼等からあがっている。
(分かってはいたが、チョロい)
神々を絶対視している。それは本来非常に難儀な話なのだが──こちらを神に連なる存在と誤認してくれれば、これ以上なく扱いやすい。
(……懸念事項は神代の魔術で俺が神として認識されている点だが)
おそらくこれは、神の力に反応したのだろう。
神の力。それは純然たる神の力であるが故に、神そのものとも言える代物だ。
前世において、神とは自然現象に人間性を付与したものであるという説があった。雷が怖いし人間にはどうしようもない現象だから、神様ということしようみたいなやつである。
その説を逆手にとり「神が雷を操るものであるならば、同時に雷を操るものであれば神」という風に捉えることが出来る。それと似たような理屈だろう。
神が神の力を扱うものならば、神の力を扱うものは神である。言葉遊びみたいなものだが、つまりはこういうことである。
その術式。ぶっちゃけ神の血を覚醒させてる熾天に対して信仰を抱いてる連中相手にも、反応するんじゃないだろうか。
(千年単位で術を使ってなかったからガバを知らなかった、というオチだろうな。なんともまあ……)
まあ俺にとって都合の良い結果が転がり込んできたので、良しとしよう。
(なんだ、役に立つじゃないかキーラン)
初めて、俺はキーランを見直した。狂信者なんてなんの役に立つんだと思っていたが、中々いい仕事をしてくれたじゃないか。
表に出すつもりはないが、しかし俺はキーランを内心で褒め称え───。
「……何をしているお前達。ジル様に信仰を捧げろ」
直後、服を脱ぎだしたキーランに絶句する。
「お前達に教えてやろう。真の信仰とは、信仰心とは神に対して全てを
お前は何を言っているんだ。
「『何故、赤子が神の
発言と心の声が完全に一致している。
こいつ、本気で言っている。
絶句する俺。
ヘクターに至っては信じられない者を見たというような目で俺とキーランを見ている。待て、俺をキーランと一緒に括るんじゃない。
「……なんという、事じゃ」
内心で恐怖心すら抱いている俺の耳に、教皇の静かな声が入ってくる。
間違いなく、キーランの世迷言に怒りを覚えて───。
「確かに……これ以上なく、理に適っている……」
お前は何を言っているんだ。
「……」
「か、神に対して秘め事など……」
「あ……ああ……」
蒼褪め始める司教達。お前達教会の頭脳なんだよな? 知能指数大幅に低下してないか?
「…………自、害を」
やめろ。俺は熾天討伐RTAなんてしていない。
「……わ、私は。神に対してや、槍を……」
おい何故槍をへし折ろうとしている。その槍も神の秘宝だろうが。これ以上無く不敬だろうが。
「────」
気絶してる……。
「お前達! 今すぐ神への信仰を捧げるべくその身に纏っているものを脱ぎ捨て───」
待って。
・ジル
主人公。
一時はどうなるかと思ったが、キーランのファインプレー(?)によりなんとか軌道修正された。ほんまか?
キーランが量産された彼の未来はどうなる。
・ヘクター
戦闘狂のくせにこの場で多分一番現代日本人に近い価値観を有している。自分より劣るとはいえ強者であるキーランは勿論、遥か格上の連中も頭おかしいので「強い奴はこうなのか…? なら俺は田舎で畑でも耕すべきなのではないか…?」と検討し始める。おそらくジルに全力で止められる。
・キーラン
自らの誤ちを認めジルに信仰を向ける教会の連中を多少見込みはあるか、とは思っているが教育の必要性を考えている。
・ソフィア
キーランの服を脱ぐ行為にそのような意味があったのか、と奇行扱いしていた自らを恥じている。
・教会の方々
新たな神の存在を察知していたキーランに尊敬の念を抱くと同時に、キーランではなく自分達の頭がおかしかったのだと誤ちを認める。
キーランのおかげで誤ちを認める柔軟性とジルに対する真なる信仰を抱けたので、もう頭おかしい事はしないという確信を抱いている。
・神々への信仰を測る神代の魔術
同意がないと使えない。
また、ジルは「嘘八百付いて同意させれば最強じゃねえか」と言っていたが、嘘ではこの術は発動しない。(正確には効力を発揮しない)