<Infinite Dendrogram>~クソゲーハンター、クソゲーに挑まんとす~ 作:折本装置
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『これ、イケるな』
駆け上がりながら、ぼそりと呟く。。
《配水の陣》を作り出して足場にしながら、的を絞らせないように縦横無尽に超音速機動で動き回る。
口に出すと難しそうに思えるが、実際にはさほど苦でもない。
慣れればこのくらいは誰でもできると思う。
やっぱり、レイのアシストが大きすぎるな。
炎弾で、氷槍や水弾を吹き飛ばしてくれる。
広範囲の、避けようがないない攻撃を部分的に破壊して、穴をあけてくれる。
その隙をかいくぐって、上り詰める。
ほんの数秒で、俺は人型の傍までたどり着いた。
『距離をとるってことは接近戦が苦手って言ってるようなもんだよな』
直後、《豊穣なる伝い手》を起動。
本来人の手には余るほどの数の武器を展開、人型を切り刻む。
(見えた!)
【符】で作られた、張りぼての人型。
その内部に、
球体は、サッカーボールサイズで、亀の甲羅のような文様があった。
そして、一か所だけ、穴が空いていた。
まるで、
この球体が俺の狙いだ。
バリアに、隠蔽効果のある装備品。
それはつまり、攻撃されたくはないと言っているようなものだ。
ここまでして、守っているのが単なる囮とは考えにくい。
どういう<エンブリオ>なのかは、わからないが。
ともかく、こいつが守っていたのが、その球体。
攻撃をするための、兵器か。
あるいは、モンスターのコアのような弱点か。
いずれにせよ、これを壊せばこいつは無力化できるはずだ。
【双狼牙剣 ロウファン】を振るう。
だが。
『《
それは、誰かの声。
まるで、電話越しに話しているような、少しだけずれたような声で。
人影が、現れる。
ごく普通の、これと言って特徴のない青年だ。
《看破》をすると、そこには奴の情報が映っていた。
◇
水流影
職業:【
レベル:723(合計レベル1223)
◇
ジョブの名称を見る限り、やはり迅羽同様道士系統超級職である。
改めて、奴の格好を見てみる。
彼は、インナーを着ていた。
そして、それしか着ていなかった。
……変態だ。
「“怪鳥”サンラクか……。ペンシルゴンの情報にあった人物だね」
どうやら、向こうは俺のことを知っていたらしい。
『一応聞いとく。何でこんなことしてる?』
「さあ、答える義理はないね!」
『だよなあ!』
俺のAGIは<エンブリオ>のスキルなども込みでおよそ五万。
速度型の超級職であろうとも、まず対応できない。
ましてや、魔法系の超級職であれば、手も足も出ないはずだ。
距離が、縮まらない?
やつは一定距離を開けたまま、魔法を行使してくる。
魔法系超級職が俺と同速?
いや、ありえない。
いくらなんでも、そんなことがあるはずはない。
デンドロのジョブはステータスがどの職業に就くかで決まる。
魔法職なら、鈍足であるはずなのに。
『これが、お前の<エンブリオ>のスキルか?』
「ご名答」
■ある<マスター>について
黄河の準<超級>の中に、一人の特殊な<マスター>がいた。
彼の名は、水流影。
”流れ者”の二つ名を持つ男である。
曰く、傭兵である。
曰く、報酬を用意すればどんな仕事でもうける。
曰く、正体不明で、職業も、見た目も、<エンブリオ>も不明である。
曰く、個人戦闘型で、個人生存型で、広域制圧型で、広域殲滅型である。
曰く、その総合的な戦闘能力は<超級>に匹敵する。
そのように謳われる彼の戦闘スタイルの鍵を担っているのが、彼の<エンブリオ>である。
銘を【時限収納 ウラシマ】という。
浦島太郎という御伽噺をモチーフにしたこの<エンブリオ>は、カテゴリー上TYPE:キャッスル・テリトリーに分類される。
その特性の一つは、格納。
普段、<マスター>である彼自身と、アイテムボックスなど彼の所有物を野球ボールサイズの【ウラシマ】内部に収納できる。
また、必殺スキルである《ようこそ我が、城内へ》は、【ウラシマ】の半径二メートル以内にいる生物を一体だけ強制的に収納するというスキル。
付け加えれば、本人を収納した際、【ウラシマ】を介して彼は外界に干渉できる。
サッカーボールサイズの【ウラシマ】さえ無事なら、水流影にはどうしようもない
これが、バリアと組み合わせた、彼の防御面における絡繰りである。
無論、制限はある。
まず、彼はスキルの効果で<エンブリオ>の
さらにいえば、<エンブリオ>の破損などで出ざるを得なくなってしまった場合、<マスター>である水流はデスペナルティになる。
外の世界を<エンブリオ>を介して見ることは出来るが、知覚できる範囲は大きく制限される。
竜宮城を出た浦島太郎が、一瞬で年老いてしまう。
ゆえに、【ウラシマ】もまた外に出たものを生かすことはしない。(なお、必殺スキルで引きずり込んだ生物はこの限りではない)
そして第二の特性は、時間操作。
【ウラシマ】内部限定で、時間の流れを早くしたり遅くしたりと、自由に操作できる。
彼が超級職に至ったのも、この特性があるからだ。
道士系統は、コストである【符】の蓄積がものを言うジョブ。
当然、時間はあればあるほど有利である。
【符】を大量に生産し、他の<マスター>に抜きんでて魔法を行使した。
ここで、【功夫仙】という職業が問題となる。
【功夫仙】は道士系統の超級職であり、【尸解仙】に近い。
【尸解仙】が、火属性魔法という火力に秀でた魔法を操り、アンデッドとしての耐性、そして高いENDとHPによる高火力高耐久の超級職である。
それに対して【功夫仙】は海属性魔法を主体とした耐久型の魔法職だ。
さらに、ステータス配分も【尸解仙】とは異なる。
HPはアンデッドでもある【尸解仙】には遠く及ばないが、ENDとAGIは、ともに五桁に達する。
つまり、【功夫仙】は高速高耐久の職業であり、超音速機動が可能である。
逆に、物理的な攻撃力はさほど高くないが、サンラクのような紙装甲にはあまり関係がないことだ。
<エンブリオ>のスキルによる時間加速によるAGIの実数値は、およそ五万。
すなわち、今サンラクと水流はほとんど同じ速度で動いている。
加えて、水流には一万を超えるENDも存在しており、魔術的な防御もある。
いかにサンラクといえど容易く突破できる相手でもない。
さらに言えば、ここは水流のホームグラウンドでもある。
ウラシマ内部に格納してある多数のアイテムボックスが開いて、中から大量の【符】と水が飛び出してきた。
(ガンガン大魔法ぶっ放してるとは思っていたが、あらかじめ貯めてたやつを使ってたのか!)
水属性や氷属性の魔法はその性質上、水上でしか全力を発揮できない。
だがその一方で、水さえあればその本領を発揮できる。
水流はグランバロアにおいて、海水を大量にアイテムボックスに詰め込んでいた。
その量は、超級職の奥義を使ってもなお、まだ有り余っているほどだ。
『さて……』
サンラクは、考える。
この限定された空間の中で、広域殲滅魔法を使ってくる相手。
並みの使い手ならば、接近戦を挑んで勝てるはずだが、そもそも速度に差がないので距離を詰められない。
戦えば、戦うほど不利な相手。
加えて、《修羅場》も無意味。
【凍結】させられれば、動けなくなる。
つまり。
『これなら、勝てるな』
To be continued
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Vtuberを主題にした作品です。
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