<Infinite Dendrogram>~クソゲーハンター、クソゲーに挑まんとす~   作:折本装置

14 / 137
番外編です。
五万PV突破しました。ありがとうございます。



双狐奇譚 其の一 無闇の始まり

 □■天地 征都

 

ここ、天地の国とは修羅の国である。

常に内乱を起こしており、名目上【征夷大将軍】がトップに立っているものの、ほんの少し何かがあれば、それすら取って代わられかねない。

 数多くの戦闘系超級職を、常に国のどこかで誰かが持っている。

 殺し合いになり、超級職に入れ替わりが特に多いのもこの国の特徴である。

 かの【覇王】でさえ、天地を落とすのは難しかったのではないか、と言われているほどだ。

 さて、そんな血の気の多い天地だが、常に戦闘ばかりしているわけではない。

 生きるために、食料やアイテム、装備品を生産したり。

 --諜報活動をしたりする。

 

 

「ご注文は?」

「伊達巻一つ」

「酒はいるかい?」

「いらないよ。水をおくれ」

「……よし、一番奥の席にどうぞ」

 

 

 彼女ーー柚葉も、その一人だった。

 とある大名家の子飼いの忍者団、その一員。

 すでにカンストした身であり、一部の超級職に就いたものを除けば、絶対的な強者である。

 ただし、天地でなければ、という枕詞が付くのだが。

 

 

 そうして彼女は席に座ると、壁を押した。

 直後、いわゆるどんでん返しといわれる仕掛けが発動し、彼女は隣の隠し部屋へと移動する。

 普通に考えれば気づきそうなものだが、隠蔽の魔術やスキルがふんだんに使われており、看破や探知に秀でた超級職でもなければまず見つけられない。

 加えて、仕掛けが発動している姿を見られることもない。

 彼女のメインジョブは忍者系統派生上級職【女忍(クノイチ)】。

 女性であることに加え、【忍者】と【隠密】を極めることが、条件であるレア上級職。

 偽装や幻惑による諜報と、強力な忍法による奇襲を得手としている。

 

 

 この隠し部屋は、彼女をはじめとして隠形を修めた者たちが作り上げたもの。

 これを突破できるものはいないと、柚葉は考えていた。

 

 

「きゃあ!」

 

 

 --そして、その考えは、不正解だった。

 

 

(馬鹿な!何者!一体どうやってここを!)

 

 

「わわ、すごい!どんでん返しだ!」

 

 

 入ってきたのは、一人の少女だった。

 はちみつを連想させるような、綺麗な金色の髪を後ろで一つにまとめており、瞳も同じく金色。

 ただし、顔立ちは天地のもののそれである。

 端的に言えば、「東洋人がカラーコンタクトをつけて、髪を染めた」ように見える。

 厳密にいえば、リアルをベースにキャラメイクしようとして、髪と目の色だけ変えた、というのが正解だ。

 とっさに《看破》した柚葉だったが、その結果に驚く。

 彼女は、ジョブにすらついていない。

 《偽装》している、とも思えない。

 自分たちとは真逆、闇の無い(・・・・)存在なのだと、一目でわかった。

 そうして、彼女は気づく。

 少女の手の甲にある、刺青に。

 

 

 

「貴方、<マスター>?」

「あ、はい、そうです。私は安芸紅音(あきあかね)といいます!よろしくお願いします!」

 

 

 マスターなら口封じも不可能。

 かといって隠れ家を変える権利は自分にはない。

 そもそも<マスター>は規格外の力、<エンブリオ>を行使する化け物。

 隠れ家を変えてもまた今回そうしたように、その力で特定してくるだろう、と柚葉は考えた。

 実際がどうかは別にして、完全に手詰まりだった。

 この秘密を広められないためには、

 

 

「紅音、あなた忍者になりなさい」

「……え?」

「返事は?」

「は、はい!ありがとうございます!」

 

 

 忍者になりたかった紅音は、快諾した。

 

 

 それが、彼女の始まり。

 のちに忍者系統超級職へと至るもの。

 ”無闇”の二つ名で呼ばれる者。

 

 

 一人の少女の物語が、ここから始まった。

 

 

 To be continued




秋津茜ちゃんをすこれ!
秋津茜ちゃんカワイイヤッター!

by人気投票で秋津茜ちゃんに入れた人。









ほうれん草「……僕は?」
続きも書きたいですね、いつになるんだろう。
次回は本編に戻ります。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。