<Infinite Dendrogram>~クソゲーハンター、クソゲーに挑まんとす~   作:折本装置

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タイトルからしてお察しです。

いつの間にかPVが十万突破していました。
ありがとうございます。
今後とも、ご愛読、ご意見等よろしくお願いします。


楽園にて、深遠なる殺戮者と呼ばれたもの

 □■???

 

 

 それはサンラクが【ロウファン】を討伐してから<Infinite Dendrogram>の内部時間で一週間ほど後のことだった。

 

 

「ふんふん。あれ以来なかなかいい情報が見つからないねえ」

 

 

 とある建物の内部で、女性が何事かをつぶやく。

 彼女の手には買ったばかりの新聞が握られており、それを読んでいる最中だった。

 それに加えて、どこかからか入手した映像を録画した魔法カメラの映像も見ている。

 同時に二つのものを見るなど普通ならば不可能だが、彼女には可能だ。

 並列思考を得意としている彼女にとっては、左右の目で別のものを見ることなど、造作もない。

 

 

「せっかく一から仕組んだ『オークのNPCにプレイヤーを追いかけさせるR18計画』も失敗に終わったしねえ」

 

 

 厳密にいえば、失敗したというのは言い過ぎだ。

 確かにオークのティアンは、彼女の口車に乗せられた、とあるプレイヤー四人のパーティと交戦状態になったし、そのパーティーメンバーはメンバー全員デスペナルティに追い込まれたのだから。

 ……単に、彼女の目論んでいた、いかがわしい展開には転ばなかったというだけの話である。

 

 

「まあ、キングたち四人組(・・・・・・・・)にはいい薬になったでしょ。特典取られたからって散々悪く言ってくれちゃってさ」

 

 

 彼女は、少し声の調子を変える。

 それにはいくつもの感情が込められていた。

 大切なものを踏みにじられたことを思い出しての苛立ちと、それを上回る侮辱した者たちを制裁できたことへの暗い喜び。

 --そして何より、最重要なモノを見つけられた、満足感が込められていた。

 

 

 この<Infinite Dendrogram>の謳い文句ーー「<Infinite Dendrogram>は、新世界とあなただけの可能性(オンリーワン)を提供いたします」を聞いた時、彼女が欲しいと思ったのは一つだけだ。

 その一つをあぶりだすために、キングたち四人を使った。

 ()の性格を考えて、こういったトラブルを起こせば、必ず網に引っかかるだろうと思ったから。

 彼女の口車がなければ、互いのリアルすら知らない四人が連携するなどありえなかっただろう。

 ともかく、彼女は目的を果たした。

 そしてついでに、彼とパーティーを組んでいたためにMVPを知って、愚痴を言っていた四人を粛正したのである。

 もっとも、そのMVPの情報こそが彼女の知りたかったことなのだが。

 

 

「代替品を眺めて過ごす日々にももう飽きたしね。そろそろ動きたいところだよ」

 

 

 彼女の周囲、工房の内部には複数の人の形をしたものがいる。

 しかし、それらはどう考えても人間ではない。

 【縫製職人】の作ったハシビロコウの覆面をかぶり、黒い噛みあとのような傷をつけた男。

 特に装備品としての効果もない、見た目だけの黒い喪服のようなドレスに身を包んだ女。

 二つのワンドを持ち、魔法少女風のこれまたデザイン重視の服に身を包んだ少女。

 頭から骨をかぶり、どろりとした赤い絵の具をこぼした男。

 すべてが、とある人物を模してこの女性が【錬金術師】のスキルで作ったホムンクルスである。

 彼らは人の形をしていても、人間ではないモンスター、いわばまがい物だ。

 そして、彼女にとってはまた別の意味でもそうだった。

 

 

「やっぱり、本人を手に入れないとだめだ。そのためには何をしようかな。どこまでやればいいのかな。本人の正確な所在も掴まないとね」

 

 

 彼女は、まだ彼に接触するつもりはない。

 彼を得るためには、まだ準備ができていないと考えているから。

 今はまだ、情報収集とした準備の段階だと考えているから。

 

 

「--会えるのが楽しみだよ、サンラクくうん」

 

 

 かつて別の世界で、ディープスローター(・・・・・・・・・)と呼ばれた女は、笑う。

 いずれ必ず来る、再会の時を心待ちにして、笑う。

 そしてきっと、再会するときは、そこまで遠くはない。

 

 

 To be continued

 

 

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