<Infinite Dendrogram>~クソゲーハンター、クソゲーに挑まんとす~   作:折本装置

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HAPPY BIRTHDAY 鉛筆!


文房具からの招待

 □某チャットルーム

 

 

【旅狼】

 

 

鉛筆騎士王:サンラク君、妹ちゃん

鉛筆騎士王:ちょっとギデオンまで来て貰えるかな?

サンラク:いやだ

サンラク:信用できない

鉛筆騎士王:酷くない?

オイカッツォ:罠にしか見えない

ルスト:サイガ‐0を盾にして動きを封じてからPKするつもりと見た

モルド:さ、流石にそこまではしないのでは……

鉛筆騎士王:そういうリアクションはぶっちゃけ妥当だと思うけど、ひどくない?

鉛筆騎士王:ちょっとギデオンでやりたいことがあるんだけど、手が足りないから手伝ってほしいだけだよ

サンラク:カッツォは?

オイカッツォ:所用でドライフに行ってる

サンラク:なんでカッツォを引き留めずに俺を呼ぶ?

鉛筆騎士王:弾は必要に応じて補充するものでしょ?

サンラク:それは説明になってないんだよなあ

サンラク:ほんとに受け臣にはどんな手を使って外道から逃れたのか教えて欲しい

モルド:どう考えても聞く意思がないような……

オイカッツォ:おい待てふざけんな、何言ってやがる

オイカッツォ:ここで言ったらダメだろ

サンラク:毒も喰らわば皿までだよ

オイカッツォ:ほとんどの連中にバレてるんだから、どうせ一緒って?そういうことじゃないんだよ

鉛筆騎士王:大丈夫大丈夫

鉛筆騎士王:カッツォ君にも 用事が済んだら戻ってきてもらうから

オイカッツォ:うん

サンラク:用事?

オイカッツォ:半分はビルドの探求

オイカッツォ:もう半分は、リアルが絡んでるから言えない

サンラク:大体わかったけどさ……どっち?

オイカッツォ:……両方

サンラク:両手に花だね!すばらしい!

鉛筆騎士王:全男性の夢だね!おめでとう!

オイカッツォ:言わなきゃよかった

サイガ‐0:すばらしい夢なんですか?

サンラク:あっ

モルド:よくわからない

ルスト:よくわからないけど、外道なのはわかった

サイガ‐0:すばらしい夢なんですか?

京極:どうしたの?えらく噛みついちゃって

サイガ‐0:そういうの今いいので、説明してください

鉛筆騎士王:えーっとねえ、まあ本人に訊けばいいんじゃないかな?

サイガ‐0:わかりました

サンラク:……やばい

ルスト:これはひどい

京極:完全に自業自得、いや、むしろ自業自爆だね

秋津茜:?

 

 

 ◇

 

 

「楽郎君」

 

 

 氷のように冷たいオーラが、俺の傍で自身の端末を見ていた玲から放たれる。

 あれれ、おかしいな。

 俺は玲の入れてくれたホットなお茶を飲んでいたはずなんだが。

 これ、アイスティーになってない?

 俺の記憶ガバ?

 そうでないなら、この嫌な予感と悪寒は何なのか。

 ……いや、分かっている分かっているのだ、原因が何かなんて。

 

 

「ーー説明してください」

 

 

 

 ひえっ

 これはあかんやつや。

 

 

 ◇

 

 

 □【猛牛闘士】サンラク

 

 

 いやーやばかった。

 マジで死ぬかと思った。

 あの外道共、本当に、許さん。

 リアル方面で攻めるのは反則だろうが。

 自爆?それは違うぜ。

 本当に悪いのは自爆した奴じゃなく、自爆させた奴なのよ。

 自爆特攻してきたキャラがそういう境遇になってしまった遠因が、その台詞を吐いたキャラじゃなければ素直に受け取れたんだがなあ。

 そういうとこだぞ、フェアリア(アバズレ)……。

 思い出したら殺意が湧いてきたけど、それは置いといて、だ。

 正直行ってみたい気持ちはあるんだよね、ギデオン。

 せっかく七つも国があるんだし、他の国もどんなもんか見てみたい。

 玲も、別に異論があるわけではないらしい。

 とりあえず、ギデオンに行ってみるか。

 鉛筆に手を貸すか、貸さないか、邪魔するかは行った後に考えよう。

 最悪、レイを担いで最速で離脱、距離を取ったうえでログアウトして、レジェンダリアのセーブポイントで再ログインすればいいだろう。

 そういえば。

 行く前に、挨拶しといたほうがいいよな。

 用事もあるし。

 

 

『というわけで、明日レジェンダリアを立ち、ギデオンに行きます』

「なるほどなあ、ギデオンか」

 

 

 ティックはうんうんと納得したようにうなずいた。

 

 

「あそこには、決闘が盛んで【猫神】を筆頭に強者ぞろいだからなあ。修行にはもってこいだと思うぜ」

『なるほど』

 

 

 別に修行のために行くわけじゃないです、とか言ったら殺されそうだな。

 俺のレベル上げを手伝ってくれていたことといい、こいつは俺が強くなることを期待している節がある。

 今でも期待しているのは単に、俺たちが【ロウファン】を倒したからなのか。

 --あるいは、まだ俺に強くなってほしい理由(・・)があるのか。

 おっと、大事な用を忘れるところだった。

 

 

『ティックの旦那、以前お願いした装備(・・・・・・・)はもう完成してますか?』

「おうよ。ばっちり出来上がってるぜ」

 

 

 ティックに作ってもらった装備品を受け取った。

 代金?なんか余剰分の素材を渡せば代金はタダにしてくれるみたい。

 これはティックだけでなく、ほとんどの生産職がそうらしいけど。

 さて、俺のほうはこっちでの準備が整ったし、レイの準備が済んだらギデオンに出発だな。

 

 

 

 □陽務楽郎

 

 

 ログアウトした後、俺はパソコンで調べ物をしていた。

 さっきは玲を沈静した後、まだ怖かったので逃げるようにログインしたが、今なら調べ物をする余裕だって十分にある。

 調べているのは、もちろんギデオン、そして王国に関する情報だ。

 ゲーマーにとって、情報を集めていくことは大事だ。

 特に外道鉛筆を相手にするとき、知らなかったという言い訳は許されない。

 あいつは無知をついて嵌めてくるし、知ってたら知ってたでそれを逆に利用してミスリードに使って嵌めてくるし……。

 あれこれ詰んでない?もう出会い頭に斬りかかるしか……いや、玲に遠距離から狙撃してもらえば……。

 いやいや、さすがにまだデンドロ内ではなにもされてない状況でそれやるのもなあ。

 とにかく、あいつが具体的なことを話してくれない以上、こちらで情報を探るしかない。

 ふむふむ、「ギデオンが誇る決闘ランカー”凌駕剣”と”無限連鎖”の試合。勝つのはどっちだ」「決闘王者”化猫屋敷”について語ろうスレ」……。

 ティックも言ってたけどやっぱり決闘が盛んな場所なんだな、ギデオン。

 しっかし、やたらかっこいい通り名だよな。

 シャンフロだとUMAか変態扱いかの二択だったし、こういうカッコいい通り名がついたら嬉しいけどな。

 

 

「でも、二つ名がつくほど目立つと手の内ばれるだろうし、別にいいかな」

 

 

 闘技場の試合に出るという行為は、どうしたって自分の手の内にさらすことになる。

 外道二人から、一方的に露出狂だの言われてる純真な俺だが、自分の肌をさらす性癖もなければ自分の手の内をさらす趣味もない。

 特に、この<Infinite Dendrogram>はユニークの要素が強いからなおさらだ。

 プレイヤー全員が持つオンリーワン、<エンブリオ>。

 そして俺に限って言えばユニークアイテムである特典武具を所有している。

 賞金がもらえることを含めても、二つ名がもらえるほど有名になるのはデメリットのほうが強いだろう。

 変な二つ名……後々黒歴史になるようなやつだけつかなければ、それでいい。

 あれ、これフラグじゃないよな?

 

 

「まあいいや、他に何か情報は……」

 

 

 お、PKとか、いわゆる闇よりの情報が出てきたな。

 PKにペナルティがない自己責任な環境で、あいつらならそっちに走るんじゃないかと思うんだが……。

「野党クラン<ゴブリンストリート>の情報求む!」「二人組のPK"嬲り殺し””嵌め殺し”について語ろう」……この辺はPKかな。

 というか、もう大体わかった気がする。

 でもまあ、あいつらの情報だけ見ればいいってもんでもないし、うん?

 まだいろいろアングラ寄りの情報があるみたいだな。

 どれどれ。

 「【悲報】<月世の会>の悪口を書き込んだデンドロブロガー、消える……。あっ(察し)」「幼女アンド王女誘拐犯のクソ野郎、ゼクス・ヴュルフェルを許すな」「王国西部、南部にて、行方不明者が続出。<UBM>の仕業か?」……。

 …………。

 いや、変な記事多すぎるだろ、王国。

 

 

 ◇

 

 

 サンラク:なあ、ホントに行かなきゃダメなのか?

 サンラク:嫌な予感しかしないんだが

 鉛筆騎士王:手が滑って、瑠美ちゃんに変なメッセージ送っちゃったらごめんね?

 サンラク:外道め……

 

 

 ◇

 

 

 目指すは、アルター王国の決闘都市ギデオン。

 同行者は恋人と、その娘(?)。

 待ち受けるはーー魔王。

 ……不安しかねえ。

 

 

 

 To be continued




Q:カッツォなにしたの?
A:銀金(とポテト)とのごたごたに巻き込まれたくない、そとみちおねえさんの指示でドライフでの様子をスクショして二人に送った模様。
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