<Infinite Dendrogram>~クソゲーハンター、クソゲーに挑まんとす~ 作:折本装置
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□【猛牛闘士】サンラク
フィガロと想定外の再会をした直後、俺たちはシュウのおすすめのカフェで食事をとっていた。
レジェンダリアのようなメルヘンさはアルターにはないが、だからこそ真っ当に美味い。
基本的にリアルよりこちらのほうが飯はうまい。
レジェンダリアは特にそうだったが、デンドロは現実とは異なった食材が多数存在する。
中には、原理を追求するとやばそうな「うまいと感じさせる」食材まである。
さらにはレストランなどの建物には、建物内部での食事の味への補正をかけるスキルが備わっている。
どこの店に行っても、現実でのトップクラスの料理を食べられるというわけだ。
最近は、デンドロダイエットとかいう言葉も聞くようになった。
うまい飯はデンドロで食って、リアルでは最低限の栄養補給をする、という。
正直、それ倫理的にどうなのかと思わないでもないけど、まあ、食いすぎて健康を害したりするよりはいいということだろう。
俺?いや、玲の作る飯のクオリティが高すぎて……。
料理漫画超えてるんじゃないかってレベルだからな。
ほんとに何でもできるんだよな、レイは。俺の彼女、マジですごい。
苦手分野とかたぶんないんだろうな。
少なくとも、俺には心当たりがない。
いや、結構長く一緒にいるけど本当に見当たらないんだよね、欠点。
閑話休題。
俺たちはカフェで積もる話に花を咲かせていた。
「なるほど。サンラクも<UBM>を討伐していたんだね。すごいや」
『まあ、俺一人じゃなくてNPCやレイの力があってこそだけどな』
ステラとレイの協力がなければ勝てなかったし、それ以前にティックの様々な形での援助がなければ勝負にすらならなかっただろう相手だ。
加えて、一度会敵して負けていたことや、あの四人組、えーと、リングだったっけ?
あれらが原因で、初見殺しを回避できていた。
『ま、そういう手段があるってのも含めて自分の力ってことワン。それに<UBM>は強敵だからな。単独討伐した<マスター>なんて、現状フィガ公とスライムぐらいしか知らんク……ワン』
『マジかよすげえなフィガロ』
あんなの単独討伐ってどうやったんだ?
レベル上げまくって下級職三つカンストして合計レベル二百とかになってるけど、今の俺でも単騎で【ロウファン】に勝てるかと言われたら無理だと思う。
いや、ケツァルコアトル
純粋に火力が足りん。
……というかスライムってなんだよ?
見たことないけど、TYPE:ガードナーの<エンブリオ>か何かか?
「どうだろう。<UBM>に、遭遇すること自体が難しいとはよく聞くけどね」
「王国とレジェンダリア以外で、<UBM>は出ていないのでしょうか?」
「そういえばグランバロアでも、<UBM>が出たらしいワン。近くにいた<マスター>が撃退したけど、逃げられたらしいワン」
『へえ……』
シュウ曰く、その<UBM>はまるでメタルなスライムのような見た目をしていたらしい。
銀色の流動的何か、だそうで、うんメタル系スライムですね間違いない。
液体金属系スライム、結構倒したからなあ。
あそこにいるのはともかく、普通の金属スライムは逃げ足速いみたいだし。
と、そういえばキヨヒメさっきから一言もしゃべってないな。
人見知りか?
「質問。どうしてそんなに変なしゃべり方なの?」
『おい待て、訊いてやるなよそういうの』
喋ったと思ったらこれだよ。こいつ俺とレイ以外には結構辛辣なんだよな。
とはいえ、ロールプレイの類は面と向かって指摘されると恥ずかしい奴もいるから突っ込んだらダメなんだよ。
俺も、正直今思い返すとウッ、頭が。
いや、状況に応じて攻略のためにいろいろやってきたからなあ。
『ははは、気にするなワン』
あ、シュウは気にしないタイプか。
それならいいけど。
……まさか、これが素じゃないよな?着ぐるみリアルでも着てないよな?
『いや、リアルでは着ぐるみ着てないし、こんな口調でもないワン』
しれっと心読まれたんだが。
さてはこいつ、レイと同じリアルチート側の人間じゃな?
ま、リアルの話してもあれだし話題を変えよう。
『そういえば、今フィガロはこっちで何してるんだ?』
「今は、決闘かな。死んでも死なないし、とても楽しいよ」
ほほう。
決闘かあ。
『ひょっとしてランカーだったり?』
「うん、そうだよ」
『”無限連鎖”のフィガロって呼ばれてるワン。ちなみに俺が考えたワン!』
あー、そういえばどっかで聞いたことあるなあ。
掲示板漁ってる時、目にしたっけ?
『決闘ランカーってことは、やっぱり有名なんだな』
「うん、そうだね。だからお忍び用として着ぐるみを着ているのさ。着ぐるみなんて変な恰好、普通はしないからね」
なるほど。
変な恰好しているなと思ったら、そういうことか。
確かに、《看破》を防ぐ装備もつけてたみたいだしなあ。
「質問。犬もランカーなの?」
『いやいや、俺は違うワン。俺が着ぐるみを着ているのは……』
『「「着ているのは?」」』
『聞くも涙、語るも涙の話ワン』
「了解。なら、別に話さなくていい」
『クマーっ!』
シュウが頭を抱える。
そんな風におどけるシュウの様子がファンシーで、俺とレイは思わずそろって吹き出してしまった。
その後も、和やかにいろいろと話してから、フィガロが後数時間ほどで試合ということで、俺たちは分かれた。
別れ際には、二人とフレンド登録もした。
いやあ、再会って良いもんだな。
◇
さて、あらかじめ約束してあった、ペンシルゴンとの約束の時間にはまだ余裕があった。
そのままレイたちと一緒にギデオンを観光してもよかったんだが、せっかくなので狩りをすることにした。
結論から言えば、楽なもので、それなりに順調なレベル上げができていた。
王国のモンスターは、比較的常識的なものが多い。
その辺の木や石が突如ゴーレムに変じて襲ってくることもないし、霧が出てきたと思ったら実はエレメンタルでした、なんてこともない。
特に後者はホント許せん。自然魔力の霞と区別つかないとかマジでクソ。
あとエレメンタルといえば……っ!
『レイ!』
「え?」
とっさにレイのところまで駆け寄って、盾ーーティック謹製ーーを《瞬間装備》して構える。
直後、盾の表面で爆発が起こった。
「っ!」
『レイ!構えて!』
「は、はい!」
とっさに、周囲に降ってきた
俺一人なら躱せる程度の弾幕だが、機動力の無い玲をかばうためには、俺自身が動いて弾くしかない。
「キヨヒメ!連射!」
『承知』
ジョブスキルを使用したうえで、レイが襲撃者を狙い撃つ。
『無傷。全弾、周囲にいる配下に止められました』
配下……テイマー系列か?
あ、また。
「KYAAAAAAAAAAA!」
『くそっ!』
これは、自爆特攻モンスター?
レジェンダリアには度々いたモンスターだ。
確か、どういう理由で存在してるのかはわかってなくて、掲示板では「妙なところで設定が雑」と書かれてたな。
王国にいたとしても、不思議ではないが……いや。
跳んでくる自爆モンスターは、《看破》できない。
ならこいつはおそらくTYPE:ガードナーの<エンブリオ>。
そして自爆モンスターの<エンブリオ>。
つまりこいつは。
飛んできたほうを見やる。
『キヨヒメ、メイデン体に戻ってくれ。十秒だけ、俺の
「ふにゃっ!」
「了解」
メイデン体に戻ったキヨヒメに、盾を預けて、俺は攻撃を仕掛けている相手のほうに駆け出す。
《配水の陣》起動、オラオラ邪魔なんだよぶんぶん飛び回りやがってハエ共がよお!
はい残念!俺には当たりませんでしたあ!
……あ、今自爆生物同士がぶつかって誤爆した。
よし、はっきり見えるぞ。
あー、これはがっちりスケルトンとかに固められてるな。
これじゃレイとキヨヒメには突破は無理か。
あるいはキヨヒメが第四形態で獲得した、
レイには突けない、この場において俺だけが突ける隙。
『上ががら空きなんだよなあ!』
アンデッドの壁を飛び越えて、ようやく敵手の眼前へと降り立つ。
敵手は、一人の女性だった。
片手に細い槍を持ち。
整っていると一目でわかるマスクの上から仮面をかぶり。
禍々しい、黒紫色のオーラをまとい。
多くの【スケルトン】に囲まれた、女暗黒騎士風の人物。
《看破》によって、襲撃者の名前と正体が暴かれる。
--その名は、【死霊騎士】アーサー・ペンシルゴン。
『…………』
「やあどうもサンラク君、お久しぶりんふふふふっ!」
『ねえ、キルしてもいい?』
「あはははははは!何それ、また変態ファッション、ふふふさっきまで笑いこらえてたけどもうダメあはははははっは!」
『遺言は辞世ってほしかったんだが』
「い・や・で・すうううう。京極ちゃんじゃあるまいし、なんで私まで幕末ルールに染まらなきゃ……あ、ちょっと待って、さっきのは挨拶代わりの冗談だから、お願いだからその禍々しい短剣向けないで!君のことだからマジでやばいやつなんでしょ!」
うむ、先ほどの言葉は全面的に撤回しよう。
再会なんてものは、マジで碌なもんじゃねえ。
たった今あいさつ代わりに爆撃を仕掛けてきた
To be continued
やっと魔王出せました。