<Infinite Dendrogram>~クソゲーハンター、クソゲーに挑まんとす~   作:折本装置

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陽務楽郎、サンラク、誕生日おめでとうございます。

というわけで記念に更新かつ三章開始です。


砂海にて望むもの
プロローグ 此岸


□ドライフ皇国・某所・数か月前

 

 

 ドライフ皇国に所属する<マスター>である、ルストとモルド。

 つい最近、<叡智の三角>を脱退し、己の道を歩む二人一組の<マスター>である。

 彼女達のデンドロ内における時間の使い方は、概ね二つに収束する。

 基本的に機体の改造や新機体の生産と、それらのテストとコスト集めを兼ねた狩りの二つだ。

 今はレンタルした工房の内部で、資料の山とにらめっこをしながら前者――つまり新機体開発の真っ最中だったが……。

 

 

「モルド、これを見て」

「うん、わかった」

 

 

 ルストの漠然とした指示を受け、一度モルドは思考を打ち切る。

 うずたかく積まれた紙の山から当然のように「これ」が何かを看破した彼は一枚の紙を取り出して広げる。

 

 

「カルディナの、トーナメント?」

「そう」

 

 

 その紙に書かれている内容を簡単に説明すると、こうだ。

 曰く、カルディナの決闘都市でトーナメントが開かれる。

 曰く、参加できるのはカルディナに所属していない<マスター>のみである。

 曰く、優勝者は莫大な賞金と副賞としてレアアイテムを得ることができる。

 曰く、複数の部門を設けている。

 曰く、参加賞として出場者全員にカルディナへの所属を認める。

 さらに言えば、副賞の一つは……。

 

 

「その優勝賞品、ぜひとも欲しいところ」

「ああうん、なるほどね」

 

 

 厳密には副賞であり、メインは賞金だったが、そこは彼等にとってはさほど重要ではない。

 彼らにとって重要なことは、今自分たちが求めているものを得る手段があるということだ。

 

 

 

「……サンラク達も来るかな」

「それはないんじゃない?あの人たち今はアルターにいるみたいだし」

 

 

 それでもモルドは思う。

 そうだったら面白いかな、と。

 

 

 ◇◆◇

 

 

 □【旅狼】チャットルーム

 

 

 鉛筆騎士王:というわけで、みなさん

 鉛筆騎士王:カルディナで行われるトーナメント、ぜひ参加しようね

 サンラク:は?

 オイカッツォ:ええ……

 京極:ちょっと難しいかなあ、天地って国外に出るのが難しくってね

 秋津茜:今から急げば間に合うかもしれません!頑張りましょう!

 京極:わかったよ

 京極:やるだけやってみよう

 鉛筆騎士王;甘々だねえ

 オイカッツォ:順調に浄化されてるね

 サンラク:単なるメッキだぞ

 サンラク:幕末に汚染された奴らはみんなメッキを纏う、中身はサイコパスだぞ

 鉛筆騎士王:隙あらば自分語り、そういうとこだよサンラク君?

 サンラク:は?かかってこいよ

 ルスト:語るに落ちてる

 京極:君もリアルとゲームじゃ全然違う癖によく言うよ

 京極:随分と甘々な日常を過ごしてるみたいじゃないか

 サンラク:おいまてきょうてぃめっと

 サンラク:そのへんのはなしはここでしたらせんそうだろうが

 京極:幕末で受けて立つよ

 オイカッツォ:動揺してるなあ

 サイガ‐0:あの、京極ちゃん

 サイガ‐0:その話はここではやめてもらえると……

 サンラク:レイさん?!

 鉛筆騎士王:夫背後から伏兵が!

 サイガ‐0:おっ!

 サイガ‐0:とっ!

 サンラク:ペンシルゴン、そういうのやめようね

 鉛筆騎士王:いや今のは普通に誤字だから、ごめんね妹ちゃん

 秋津茜:よくわからないけど楽しそうですね!

 サンラク:まあともかく

 サンラク:本題に戻ろう

 サンラク:カルディナならまあ何とか行けると思う

 サイガ‐0:そうですね、走ればそこまで時間はかからないと思います

 鉛筆騎士王:なお私はすでに、会場となる<闘争都市>デリラにいます

 モルド:僕たちもすでにカルディナにいるよ

 ルスト:サンラク

 ルスト:楽しみにしている

 サンラク:あー

 サンラク:やっぱり知ってたか

 ルスト:まあ目立つし

 鉛筆騎士王:変態の国民だからねえ

 サンラク:お、やるか?

 

 

 ◇

 

 

 □■???

 

 

 暗く小さな部屋だった。

 壁も床も天井も黒く、それでいて広さはビジネスホテルの一室程度しかない。 

 ただ一つだけある、魔力式のランプだけが唯一の光源だった。

 加えて、なぜかどこにも出入り口が存在しない。

 扉はもちろん、小窓すらない。

 暗く、昏い、そんな小部屋の中央にいるのは、一人の女だった。

 ウィンドウを見ながら、何事かを思案している。

 やがて、思索は終わったらしく、彼女はウィンドウを閉じる。

 

 

「さあて、情報や手駒もそろったしそろそろ大丈夫かな」

 

 

 女は、笑う。

 少し先の明るい未来を想定して、笑う。

 だってずっと待っていたから。

 あちらこちらを渡り歩き、情報やコストを集めた。

 間違いがないように、彼について入念に調査した。

 彼が求める対価を得るために、様々な手を打ち、人脈を張り巡らせた。

 ――そして、時は来た。

 

 

「必ず手に入れるよお、待っててねえ、サンラクくうん」

 

 

 そのすべては、ただ別の世界で出会った彼を求めて。

 想い人を得んとして、魔女が動き出す。

 

 

 カルディナの砂漠を舞台として、数多の思惑が動き出そうとしていた。

 

 

 Open Episode 【The things which they want in desert】

 




10時にもう一話上げます。
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