<Infinite Dendrogram>~クソゲーハンター、クソゲーに挑まんとす~   作:折本装置

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ハッピーバレンタイン!

皆さんはチョコいくつ貰えますか?
筆者はたぶんゼロです。


チョコの代わりに感想とか、貰えるとありがたかったりします。
地震には気をつけましょうね。


鉄砲玉VS翠緑玉

 □【猛牛闘士】サンラク

 

 

 さて、しばらく仮眠をとり、もうすぐ本戦開始。

 俺はレイとキヨヒメとともに控室の前まで来ていた。

 正直ここまで来るのも迷ったけど、まあレイのおかげで何とかなった。

 デンドロではいろいろガバやらかしてる気がするんだが、割と彼女が補ってくれている。

 

 

『お互い頑張ろうね、レイ』

「は、はい!がんばりましゅ!」

『……全力。私も全力で頑張ります』

 

 

 うん、和やかな風景だ。

 

 

『……補足。ただし見た目は鎧を着こんで、銃を持った大柄な人物と半裸の覆面人間が会話している図です』

『心の声に突っ込んでくるのやめーや』

 

 

 いやまあ事実なんだけどさ。

 

 

 

 ◇

 

 

「東!【疾風操縦士】ルスト!西!【猛牛闘士】サンラク!」

 

 

 わかってはいたけど、まさか一回戦から知り合いと当たるとはなあ。

 まあ本戦に上がる前に当たらなかったからまあそんなに珍しくないかもだけど。

 

 

「今日は負けない」 

『こっちのセリフだな』

 

 

 試合開始前の言葉は少なくていい。

 終わった後に言い訳を聞けばいいからなあ!

 

 

「試合!開始!」

 

 

 アナウンスが鳴り響くと同時、俺とルストは動く。

 俺は武器を構えて、展開する。

 ルストは重厚な黄色のパワードスーツを《瞬間装着》、同時にアイテムボックスからグレネードと自身の機体を《即時放出》する。

 多分「乗る前に倒される」のを防ぐための方法なんだろうが。

 とりあえず爆炎に巻き込まれないように距離を取る。

 

 

 直後、爆発とともに煙が上がる。

 一応ガスマスクの役割も果たせる【蛇眼鳥面】で毒ガスの類は防げるが、視界をふさがれてミサイルやらで範囲攻撃されたらまずいな。

 とりあえず煙のない方向に退避、と。

 どういう仕組みなのか煙が上に行くでも横に広がるわけでもなく、発生した場所に固まっている。

 以前読んだ、休載で有名な古い漫画のキャラクターが使っていた能力に似てるな。

 あの漫画をパロったと思われるクソゲーがいくつか出てるからな、俺は詳しいんだ。

 ちなみに思われる、というのは制作会社が説明をしなかった、できなかったからだ。

 あれは凄かったぞ。大炎上していつの間にか会社が蒸発したり、あまりにも売れなさ過ぎて会社がつぶれたり、とにかく説明責任を果たす前に責任がなくなったっていう。

 漫画の方が、コアなファンも多い作品だったから仕方ないかもだけど。

 

 

『先手は譲ってやるよ』

 

 

 そうでなきゃつまらないしな。

 

 

『なら、ここからはずっと私のターンだね』

『言ってろ……っ』

 

 

 煙の中から、一つの機械が現れる。

 ルストの声は、機体の内部からスピーカーを通して聴こえてくる。

 緑色のボールのような形状。

 直径は五メートル程度だろうか。

 体積だけで言うならカッツォの<エンブリオ>やドライフのマジンギアより上だろう。

 【衛庫星翠】という名前、この前の赤い鳥と同じ、奴自身、いや奴ら自身のオーダーメイド機体だろうな。

 翼がないなら空中戦用ではない、陸戦特化の機体か?

 

 

『《ジャイロ・ボール》、起動』

『《配水の陣》!』

 

 

 球体にあるブースターを吹かして回転し始め、回転エネルギーのままに高速で移動する緑色の球体。

 とっさに上に退避したのは正解だった。

 直後、機体が回転を始める。

 移動速度は俺よりも、速い。

 三半規管が狂いそうだが、そうならない内部機構があるのか。あるいは彼女自身のスペックか。

 普通にあいつ自身のスペックでデメリット解決してそうで怖いんだよな。

 

 

『空中にいれば大丈夫そうだが……っ』

 

 

 とっさに回避する。

 避けたのは、《殺気感知》などのスキルによるものではなく本当に単なる勘だ。

 俺が先ほどまでいたところを無数の弾丸が通り抜ける。

 

 

『いや……なんで?』

 

 

 驚いたのは、攻撃されたからではない。

 ルストとは別の方向から(・・・・・・・・・・・)、攻撃されたからだ。

 攻撃してきたのは、いつからそこにいたのか。

 十体(・・)の、人間サイズのロボット。

 頭部からガトリング砲が生えており、両腕にはブレードが取り付けられている。

 それらすべてに、《鑑定眼》で【黄子皆制】という名前が見える。

 一体でも十分脅威となるが、それが十体。

 頭部があるはずの部分にはマシンガンが取り付けられており、そこから弾幕を浴びせている。

 

 

 性能が高すぎるな……。

 ルストとモルドの二人で生産したにしても、強すぎる。

 何より、ルストもモルドも昨日会った時《看破》で確認したが生産職がメインじゃない。

 何か、条件でもあるのか?

 

 

 □■とある<エンブリオ>について

 

 

 【高位操縦士】ルスト。

 ドライフにてモルドとともに、”双宿双飛”の二つ名で知られるコンビでもある。

 彼女の<Infinite Dendrogram>におけるスタイルは使う機体を状況によって使い分けているというもの。

 回転することにより防御力と速度を両立する代わり、遠距離攻撃手段が一切なく近接戦しかできない【衛庫星翠】。

 パワードスーツ(コントローラー)で多数の子機(ロボット)を操作することで数に対応できる制圧型の【黄子皆制】。

 ミサイル、レーザー、熱量ブレードなど様々な兵装を取りそろえ、亜音速での飛行も可能である代わりに耐久性に難がある【赤人天火】。

 他にも機体を有しており、状況に応じて最適な機体を選び戦うのが、ルストとモルドの戦術だ。

 

 

 そんなルストたちの使うロボットを作っているのは、たった一つの工房、彼女の<エンブリオ>である。

 その銘を【自家戦窯 ヘパイストス】という。

 TYPE:キャッスル・ルールに分類されるこの<エンブリオ>の能力特性は二つ。

 一つは、戦車を作っていたギリシャ神話の神にちなんでいる、機械式特殊装備品の生産。

 それ以外のものは作れないが、逆に言えばそれに特化しているゆえに作られた機体の性能は非常に高い。

 だが、それだけでは機体の性能の高さを示す理由として不十分だ。

 第二の特性こそが、ヘパイストスの本質。

 

 

 第二の能力特性ーーそれはルスト専用機の生産(・・・・・・・・・)

 それは単にオーダーメイド、オンリーワンということではない。

 ヘパイストスの与えた法則(ルール)は、所有権の譲渡を許さない。

 ヘパイストスで造られた機体はすべて、ルストから所有権が離れた時点で自壊する(・・・・)

 《窃盗》対策の施されたアイテムや譲渡売却が完全に不可能な特典武具よりも強力で、凶悪。

 時に自らの発明品を装備し戦った逸話のある、ヘパイストスにふさわしい能力特性と言えるが、生産系の<エンブリオ>としてはある意味で致命的な欠陥ともいえる。

 何しろ、自分しか扱えないのだ。

 <叡智の三角>オーナーであるフランクリンが危惧したのも、「彼女しか乗れない機体に趣味人共が殺到したら、大義名分を失ってクランが崩壊しかねない」ということだった。

 結果として所属する必要のなくなったルストが脱退したことで、クランが崩壊する事態にはならなかったが、それでもルストの<エンブリオ>が生産系として破綻していることは疑いようがない。

 

 

 だが、ルストにとってはそれでいい。

 彼女は、生産者として名を馳せたいわけではない。

 ましてや、この財を築き上げたいわけでもない。

 ロボが好きで、それを作りたい、それに乗りたい、それで遊びたい。

 ただそれだけ。

 だから彼女にとって、ヘパイストスのデメリットはデメリットにはなりえない。

 彼女にとってはただ高性能の機体を作ってくれる工房でしかない。

  

 

 最高の機体と、最高の操縦士。

 それに対してサンラクは。

 

 

『――舐めプが過ぎるぜ、ルスト』

 

 

 現時点で……それらを欠片も脅威だとは思っていなかった。

 

 

 To be continued

 




余談
・【黄子皆制】
 なぜ、同時に二台の機体を運用できるのか。
 それは、装備枠の問題がある。
 【黄子皆制】は特殊装備品ではなく、その拡張パーツ、副砲だからである。
 頭が砲なのは機械の科k超パーツとして承認させるため。
 なお子機十体の操作自体は、パワードスーツの親機がコントローラーの役割を果たす。
 普通に難易度頭おかしいが、ルストは普通にこなす。

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