やりたくてやりました。後悔はない。
アリスとイチャイチャしたい。
もう一度言う。
お姉さん属性とツンデレ属性を持ち合わせた森の人形師、アリス・マーガトロイドとイチャイチャしたい。
髪を撫でたいし、胸に顔をうずめたいし、あわよくばそのまま夜のイチャイチャも楽しみたい。何だったらケープの一部になりたい
それくらいアリスはかわいいのだ。
おぉ神よ、貴方は罪深い人だ。なぜならばこの世にここまで魅力的な女性を与えてくださったのだから。その可愛さはもはや天使、いや、それ以上。
とにかくアリスかわいい。ハスハスしたい。いつまでも。字余り。
「……ねぇ、さっきから体をくねらせたり、変な笑顔浮かべてたり、気持ち悪いわよ。アンタ」
まぁ、そのアリスさんは、今僕の彼女なんですけどね。やったぜ。
あ、あとそのジト目気持ちいいですもっとやって。
「べっつに~? ただアリスがかわいいなぁーって思ってただけ」
「ちょっと……いきなりそんなこと言わないでよ……」
き、キター! アリスさんのデレ顔いただきましたー! かわいい! かわいいよアリスさん! 写真にとって一生眺めていたいですはい!
「こら、何か変なこと考えてるでしょ」
「そんな滅相もない! ただ僕はアリスとあんなことやこんなことをしたいなーっていつも思ってるだけだ!」
「変なこと思ってるじゃない!」
「ひでぶっ!」
上海にぶっ飛ばされ、椅子から転がり落ちた僕を、アリスはハァハァと肩で大きく息を品から見下ろす。さっきと同じくらい冷ややかな視線。なんか僕、ぞくぞくしてきた。
「……それで、少しは落ち着いたかしら?」
「いててて……まぁ、ちょっとはね。アリスを愛する気持ちは留まることを知らないけど」
立ち上がろうとしたらまた上海に殴られたので普通に戻ります。はい。
みんなにも分かるように説明すると。
アリスの彼女である僕は今日、いい茶葉が入ったからどう? とアリスに誘われ、お菓子を持ってきてお茶会をしているのだ。
どこでやっているかって?
勿論アリスの家に決まっているじゃないですかーやだ。
お家デートですよお家デート。全男子が夢見るお家デートをしているわけですよ僕は。
「まったく……アンタって、本当に私のこと好きよね」
「そりゃあもう。アリスを愛する気持ちなら、僕はこの幻想郷の誰よりも負けないって自負はあるよ」
実際問題、アリスは里の男どもに人気であるが、当の本人だけがそれに気づいていない節がある。
あんなにかわいい顔をぐっと近くに寄せてきたり、顔が赤い人におでこを当てて熱を測ったり、果てはケープ越しに胸ちらしたりと、その無防備さには枚挙に暇がない。あのままいっていたら、遅かれ早かれ里の男の誰かに襲われていただろう。
まぁそんなことになったら僕の黄金の右と左が黙ってないんだけどね。アリスを泣かせる奴は誰であろうと容赦しない。
「だけど、私ってそこまで魅力的かしら? 貴方に何度も言われても、ちっともぴんと来ないんだけど」
「そう言うと思って今回はこちらをご用意いたしましたー」
「は? えぇ?」
キョトンとするアリスを尻目に、僕はバッグからいくつか秘蔵写真とフリップを取り出す。
「えー、ただいまより、アリスさんが何故ここまで可愛いのかについての講義を始めたいと思います」
よろしくと頭を下げた。つられてアリスもぺこりとお辞儀し返す。
「えー、ではまずこちらをご覧ください」
言いつつ、僕はアリスの全体像が写っている写真を見せる。どこで撮ったのかという疑念の視線が痛いが、無視という形で黙殺しよう。
「はい、アリスさんです。一見何の変哲もない感じですが、この時点でかわいいです」
「だから何でよ」
「まず目に入るのは服ですね、ロングスカートにブーツ。はい、かわいい。それだけでもう正義なのです。もっと言うと、深い青色のロングスカートに白いケープが、アリスさんの白い肌を更にきれいに映しているんです。加えてブーツはアリスさんが持つ天性の美脚を隠すのに使われ、実に背徳的な……」
「分かった、分かったから! 一体いつまで説明するつもりなのよ!」
「これだけで軽く一時間は見積もってました」
「長すぎるわよ! さっさと次に行きなさい!」
えー、と声を上げたいところだが、他にも説明したいところがあるのでぐっとこらえて次の写真に移ろう。
次に取り出したのは、アリスが洗濯している写真。冷たい視線がさらに冷たくなった気がしたが、快感が勝ったのでよしとする。
「はい、アリスさんの洗濯シーンです。家庭的な笑顔が素敵ですねー。このほかにも笑顔の写真は沢山あります。この笑顔もまた魅力的な所以でしょう。この顔を見ただけで癒されたという人たちが百人中百人いるとの情報も入っております」
これがその情報ですと、僕はフリップ用いて説明する。アリスは微妙な顔をした。可愛い。
その他、あらゆる写真とフリップを駆使して説明すること数時間。恥ずかしさと突っ込みで疲れたアリスさんがぐでーッと机に突っ伏した。
「……以上が、アリスさんが魅力的たる理由になるわけです。納得しましたか?」
「納得した代わりになんか疲れたわ……」
力なく横たわるアリスさんの背中をさするため、僕は席を立った。正直言ってやり過ぎたが、余すところなく伝えられたので個人的には満足である。
「これが僕の愛なわけですよ」
「……まぁ、ここまで言われれば、流石の私でも気づくわ……うん、今度からはもうちょっと気を付けるようにする」
マジすか。これはあれですか、名実ともにアリスは晴れて僕のものってわけですかヒャッホウ。
「ちょっと、また変なこと考えてるでしょ」
「そりゃあそうさ。だって、ここ最近忙しかったでしょ。こんな至近距離でイチャイチャすることもなかったしさぁ」
正直言って、我慢の限界である。
僕はそのままアリスの顔をこっちに向けさせると、おでことおでこをこつんと合わせた。
「ちょっと、何を……」
「アリス、そのまま動かないで」
そのままは顔を寄せる。
アリスの顔は今にも爆発しそうなくらい真っ赤だけど、覚悟を決めたのかゆっくりと瞼を閉じた。あぁ、こう言う初心な所もかわいい。
僕はそんな彼女の唇に自分の唇を寄せて……
「……えっ?」
そのままほっぺにキスを落とす。
まぁね、こんな昼間っから濃厚なことをしてもね、いやいいんだけど、お楽しみは後に取っておく方が燃えるんだよ。うん。
「……ふぅ、この紅茶おいしいね、どこで仕入れてきたの?」
不満げに頬を膨らませるアリスを尻目に、僕は自分の席に戻って紅茶を飲む。確かにアリスの選んだ紅茶はおいしかった。流石僕のアリス。茶葉の選び方まで一流────
「……エイッ」
「……えっ」
瞬間に唇に感じる、柔らかな感触。そして目の前には顔を真っ赤にしたアリス。これはつまり……
「……このヘタレ。私も……好きよ」
……完全に予想外だ。紅茶の味なんて一瞬で吹き飛んでしまったではないか。
「……僕も、アリスが好きだよ」
苦し紛れにそういって、再び紅茶を一のみする。何故だかさっき飲んだ時よりも、心なしか甘く感じた。